名探偵プリキュア! -銀の正義と黒の秘密-   作:寿垣遥生

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遥生です。今月になって夏アニメが始まりましたけど、いかがお過ごしでしょうか?僕が注目してるのはなのはの新作ですけど、まだ観れてない中で切り抜きのショート動画を観たんですよ。そしたら、なのはが13歳と前回シリーズより幼くなってて主人公の久瀬シイナより年下らしくて⋯何故新作で年齢を退化させたのか疑問符でしかもシイナはなのはにタメ口でなのはが敬語という感じだったんです。これはシイナ役の橘杏咲ちゃんはやりづらいと思いますよ?作中とはいえ大先輩の田村ゆかりさんに対してタメ口ですから⋯ばっどがーるのように同じ事務所の近い先輩である美里ちゃんに対してのタメ口とは違いますし。ただ、そこではよく考えたら幼稚園児を演じてた堀江由衣さん(のキャラ)にタメ口でしたから⋯まあ大丈夫かなと。あと、杏咲ちゃんはなのはが始まった年に産まれたとて産まれた日が始まる前というね⋯なのはをギリ知らない世代の新人声優になのはシリーズの主人公をやらせるというのはむしろ作品の伝統とかを知らないから怖いもの知らずって感じで良いと思ってます。プリキュアとかだと最近プリキュア役に起用されてる新人とか若手声優はみんなプリキュアを観て育った世代故にプレッシャーは計り知れません⋯でも、プリキュアの場合はこの先何十年も続くものですから永久的にプリキュアを観て育った世代の若手プリキュア声優が出てくるというね。まあ、何やかんやでプリキュア関連の話題で着地はしたものの時事ネタ失礼しました⋯

さて、今回からは原作に戻って12話分に突入します。るるかちゃんというかアルカナ・シャドウの素性に迫るあんなちゃんとみくるちゃん⋯そして、信義とるるかちゃんも動くことに。どうなるのでしょうか?

それでは、また後書きにて⋯


#29 るるかの正体に迫る探偵達

side信義

 

「信義、本当に今日はお手柄だったわ!お疲れ様♪」

 

「ああ、ありがとう⋯」

 

 その日の夜、俺とるるかの共用部屋に戻ってマシュタンが俺のことを労う。任務を終えてアジトに帰り、ウソノワールにマコトジュエルを見せたら彼は喜びはしなかったが最低限俺のことは認めてくれた。他の面々は任務を当然成功してないものだからゴウエモン以外はみんな嫉妬してたな⋯

 

(ただ、肝心なのは薫風さんのことだ。あの人が俺の孫だとしたら俺は誰と結婚したのか?しかも、俺の家族がしれっと殺されてたし⋯ジャックの言ってたことが本当ならさぞ辛かっただろうな。)

 

「信義、どうしたの?随分辛そうな顔をしてたけど⋯」

 

「ごめん、るるか⋯ちょっと薫風さんのことを考えてて。あの人が本当に俺の未来の孫だとしたら救うべきなのか?」

 

「どうしても彼女を救いたいの?」

 

「できればな。薫風さんは色んな立場的に俺達ファントムの敵かもしれない⋯でも、その彼女との共通の敵であるジャックから家族を殺されて心が傷ついてると思う。薫風さんは俺よりも若いからきっと今もかなり気にしてるはずだろうな⋯」

 

「本当に信義は女誑しというか人誑しね。呆れるわ⋯」

 

「マシュタン⋯」

 

 マシュタンが俺に対してデリカシーのないことを言い放つと、るるかはマシュタンを睨みつける。本当に彼女は俺のことを気遣ってくれる良い子だ⋯

 

「マシュタンの言ったことは気にしないで⋯私もあなたのことを応援するわ。信義は私のことを助けてくれた、私も信義のことを助けたいの⋯だから、一緒にジャックを止めましょう?」

 

「るるか⋯ありがとな。やっぱりお前は俺にとって最高のパートナーだ!」

 

「もう⋯頭を撫でないで、恥ずかしいから。」

 

「やれやれ、本当にお熱いのね⋯あたしの出る幕がないじゃないの。」

 

 そうして、るるかは俺と共にジャックの野望を止める決意を固めた。彼女には他のファントムの人間にはない優しい心を持っていて、何よりもまっすぐだ⋯こういう彼女だからこそ俺はファントムの人間だとしても信じられるし、何よりも俺がファントムで行動を共にする理由ともなっている。そんな俺達を見てマシュタンも少し呆れ気味ではあるが、嫌な表情はしていなかった⋯パートナーの意見をどんな立場でも理解できる妖精も頼もしいもので、俺達ならきっと薫風さんの心の傷は救えることだろうな。

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

sideあんな

 

「んー、ぐぬぬ⋯!」

 

 ある日の休日の朝、私は探偵事務所の窓を開けようとする。鍵を開けても押しても開かない⋯この事務所は見た目は新しそうだけど、結構建付けが古いのだろうか?この時でも20年とかは経ってそうだ。

 

「ポチ?」

 

「あっ、ポチタン⋯ちょうど良かった!」

 

 ポチタンが私のもとへちょうど来たので、協力して窓を開けることに⋯なかなか固くて開く気配はなさそうだったが、しばらく粘って押し続けた末にやっと開く。この時点で古い建物なら現代のキュアット探偵事務所はどうなっているのか気になってしまうばかりだ⋯

 

「開いたぁ⋯こんな時にノブお兄ちゃんがいたらなぁ。」

 

「おはよう⋯って、あんなどうしたの!?」

 

(5分後⋯)

 

「窓を開けようと思ったら硬くてさぁ。それにしても、みくる⋯今日は早いね?」

 

 それから私達は事務所の1階へと移動してみくると話をする。その間にポチタンは私に抱かれてミルクを飲んでいるが、昨日はすみれさんに懐いてた中で私に変わっても安心していつものように飲んでいた。みくるが話したい内容に関してもある程度察しはついている。

 

「アルカナ・シャドウというかるるかさんのことが気になって⋯あの人がファントムの仲間なのは分かったとして、どういう人なのかとかどういう信念を持ってるのかよく分からないんだよね。どうして、師匠は彼女のもとへ行ったのか⋯」

 

「私も気になってたけど、付き合ってるからという理由だけじゃなくてやるべきことがあるとも言ってたね。るるかさんがやりたいことって何だろう?でも、プリキュアが怪盗なんて⋯」

 

「とりあえず、るるかの素性とかに関してはロンドンのキュアット探偵事務所に問い合わせといた。あそこの連中なら色んな情報を持ってるからな⋯」

 

「それで!?」

 

「どうだった!?」

 

「いや、詳しいこと手紙で届くんだよ!」

 

『お前らも知りたいことは山ほどあるが今は落ち着け!』

 

 私とみくるは早くるるかさんのことを知りたい気持ちが前に出てジェット先輩に迫るも、ドギーから落ち着けと言われる。確かに、急かしたところで情報がすぐ出てくるわけじゃないよね⋯

 

「電話して聞くというのはダメなの?」

 

「超重要な情報は手紙でやり取りするんだ。」

 

『電話だと誰から盗聴されるか分からないものだからな⋯俺達がしている通話というものは一見すると1対1のやり取りかもしれないが、傍受器でその受信数に同調されると盗聴されてしまうものなんだ。電話というのは必ずしも安全なツールではないんだよ⋯』

 

「そうなんだ。」

 

「ドギーはやっぱりタイムパトロールだけあってこういうのって詳しいんだね?」

 

『まあな、タイムパトロールには機密事項というのが多いものでね。いかに犯人側にバレず逮捕できるかが大事なんだよ⋯昔から海外に限らず日本には工作員というかスパイがうろついている。やつらはどこに隠れていつ行動してるのかは分からない⋯みくるも信義から習わなかったか?』

 

「いや、そこまでは⋯」

 

『あいつ、そんな肝心な時にファントムに行きやがって。戻ってきた時は俺からキツく言わないとだな⋯』

 

 ドギーはみくるに大事なことを教えなかったノブお兄ちゃんの態度に渋い表情を浮かべる。確かに、自分の弟子であるみくるよりも敵であるるるかさんを選んだものだから怒られても仕方ないはずだ⋯

 

「ロンドンからなら数日かかるね。」

 

「待ってられないよ⋯こうなったら私達でるるかさんのことを調べてついでにノブお兄ちゃんの動きも聞きに行くしかないね!」

 

「そうこなくっちゃ!」

 

「ポチ〜♪」

 

『本当に我慢のできないお子様達だ⋯ジェット、こんな好き勝手を許して良いのか?』

 

「まあ、僕も何だかんだで黙って待つのは癪だからな⋯こいつらと一緒に付き合うことにするよ。」

 

『まったく⋯好きにしろ。』

 

 こうして、みくるだけじゃなくてジェット先輩もるるかさんについての調査を協力することに⋯ドギーに関しては呆れてる様子だけど、嫌とは言ってはいないようで結局は一緒に行くことに。ここからるるかさんの謎を解き明かして、ノブお兄ちゃんを取り返したいところだ。

 

「怪盗団ファントムの事件を調べたら何故かこの街で事件を起こしている⋯ということは!」

 

「?」

 

「アルカナ・シャドウ⋯もとい、るるかさんの似顔絵を見せて街で聞き込みをすれば何か知ってる人がいるはず!」

 

「なるほど!それなら、一緒に行動しているノブお兄ちゃんの行方にもたどり着くはず⋯」

 

「ポチ〜!」

 

「じゃあ早速聞き込みからだね?」

 

「うん!」

 

『そんな簡単に見つかるものなのか?ジェットはどう思っている?』

 

「まあ、まず探偵は考えるより聞き込み第一だからな⋯好きにさせてやれよ。」

 

『ええ⋯』

 

 そうして私達は街の人達にみくるが描いたるるかさんの似顔絵を見せてから聞き込みを始める。しかし、みんな見たところで知らないの一点張り⋯るるかさんってもしかして普段は外出をしないというか目立たない人なのだろうか?

 

「全然分からない⋯」

 

「手がかりがなさすぎる!」

 

「うーん、私の似顔絵が悪いのかな?」

 

「『悪いんだよ!』」

 

「えっ、そうかな?」

 

 みくるが自分の描いた似顔絵が悪いのかと不安に思うと、ジェット先輩とドギーが声を揃えて悪いと言う。でも、純一さんの時はそれで分かったはずなのに⋯

 

「とりあえず、すみれさんに⋯!」

 

「すみません⋯薫風ですが今は捜査一課自体が事件の捜査で外出しております。」

 

「そうですか⋯」

 

 それから県警本部に行ってすみれさんがいるのかを確認してからるるかさんを見かけたかどうかを尋ねようとするも捜査一課はみんな発生した事件の捜査で不在ということで何も成果を得られず⋯でも、正直私もあの人がノブお兄ちゃんの孫だと知った中で上手く話せるか不安だったからそこに関しては少し安心できたかもしれない。とにかく、やり直しにはなったけど諦めずに調べていくのみ⋯頑張ろう!

 

side out

 

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

side信義

 

 悩みに悩んでから数日経った今日、俺はるるかとデートをしていて今は公園の噴水の近くにいる。あれから薫風さんとジャックのことで悩んでいたのだが、るるかから気分転換のデートを提案されて今はこんな感じだ⋯彼女は例にも漏れず今回もアイスを頼んだわけだが、やや贅沢な2段重ねのダブルである。

 

「⋯」

 

「どうしたんだ、俺の方を見て⋯俺の奢りなんだから遠慮しないで食べて良いんだぞ?」

 

「ごめんなさい、何だか嫌な予感がするの。」

 

「ジャックなのか!?」

 

「とりあえず、占いで見てみましょう?」

 

「ああ、よろしく頼む⋯」

 

 そうして、マシュタンはるるかの不安を緩めようと水晶を取り出して占いを始める。ジャックがるるかのことを探り出しているのだろうか?仮にそうだとするなら今後、下手に外でデートとかできなさそうだが⋯

 

「マシュマシュマシュマシュ〜!」

 

 マシュタンが水晶に質問したいことを呪文に込めて祈ると、パッと水晶が光り出す。どんな結果がマシュタンの前に出たのだろうか?俺とるるかはその結果が見えないものだから知りたくて仕方ない。

 

「見えたわ!『面倒臭いお願い事が来るでしょう』って⋯」

 

「面倒臭いお願い事⋯何なんだ?」

 

「あたしにもよく分からないわ?とにかく、そう占いに出てたのよ⋯」

 

「嫌な結果。」

 

「大変だぁ〜!」

 

 マシュタンの占いの話を聞いたそのタイミングでゴウエモンがただならぬ雰囲気で俺達の元に走ってくる。この様相だと何かトラブルがあったようであるが、それが占いに出てた面倒事なのだろうか?

 

「どうしたんだ、ゴウエモン⋯俺とるるかはデート中なんだから邪魔しないでくれるか?」

 

「それどころじゃねえよ!助けてくれ、新人達⋯いや、アルカナ・シャドウさんとマスターさん!!」

 

「「⋯?」」

 

 ゴウエモンは切羽詰まったような感じで俺達のことを『さん』付けで助けを求める。これでマシュタンの占いの結果がこれだと確信が持てた⋯とりあえず、どんなことだろうとも話だけでも聞くことにした。(その間にるるかはアイスを完食⋯)

 

「いらっしゃいませ〜。」

 

 そうして、俺とるるか(とマシュタン)が連れて来られた先は地元のCDショップである。まさかとは思うが、ここにマコトジュエルが宿ってるということではないだろうか?それの奪取の依頼をウソノワールはゴウエモンに託したのだろうが、それでも度胸がないとは本音を言えば腰抜けの一言に尽きる。

 

「このCDショップにマコトジュエルが宿ってる物があるのか?CDに宿ってるのならそれを買えば良いのに⋯」

 

「CDじゃねえ、あの女性を見てくれ!」

 

「「?」」

 

 俺とるるかはショップの物陰に隠れてからゴウエモンが指差す女性の方を見る。彼女の左手首にはカラフルなミサンガを巻いているのだが、それ以外の要素を見ても普通にCDを試聴している人にしか見えない⋯

 

「未来自由の書によると、あのミサンガにマコトジュエルが宿ってるのらしいのだが⋯」

 

「ミサンガ、自然に切れたら願いが叶うってアクセサリー。」

 

「そこが問題なんだ!ミサンガを盗むには切らなきゃいかんだろ?でも、切ったらミサンガへの想いが消えちまう。自然に切れたとしてもミサンガに用がなくなってどの道消えちまうんだ⋯」

 

「マコトジュエルって消えることがあるのか?初耳だった⋯」

 

「信義はマコトジュエルの仕組みとか知らなかったの?」

 

「ああ、この時代に来るまでマコトジュエルの存在そのものを知らなかったからな⋯でも、その人が大事にしてる物に宿ることは知ってたんだが。想いが消えると消えるんだな⋯」

 

 俺はゴウエモンの話から想いが消えるとマコトジュエルも消えてしまうことを知ることに⋯るるかからも知らなかったかと問われるも彼女は俺から実情を聞いたとしてもこれ以上責めたりすることはなかった。

 

「本当に信義は探偵としては一流かもしれないけど、るるかの彼氏としては二流、マコトジュエルの知識に関しては三流ね⋯」

 

「ぐっ、何も言い返せない。」

 

「マシュタン⋯大丈夫、私も最初はマコトジュエルのことは分からなかったから。これからもお互いに知らないことは沢山あるかもしれないけど、その時は一緒に勉強しましょう?あと、私にとってあなたは一流の彼氏と思ってるから安心して♪」

 

「るるか⋯」

 

 るるかは余計なことを言うマシュタンを睨みつつも優しい表情に戻ってからは俺の手を優しく握って俺のことを励ました。嬉しいかもしれないけど、半分悔しいところもある⋯年下に優しく励まされるのは複雑かもしれないが、本当にこの子は天使のような存在だ。これだけ優しい心を持っていて可愛い女の子は言うまでもなく未成年であること以外はかなりの優良物件ではなかろうか?

 

「それで、一体どうすれば良いんだ?イチャイチャしてないでお前らも良い案を考えてくれよ!」

 

「切らなければ良いんだろ?」

 

「切らないと奪えないだろ!お前はアルカナ・シャドウと惚気まくって頭がおかしくなったのか!?」

 

「信義が言ってるのは想いの方。そうよね、信義?」

 

「えっ?ああ⋯(るるか、ナイスフォロー!俺⋯実はミサンガ自体を切らなきゃ良いようにと話を進めようとしてたんだよな。)」

 

「とにかく、その想いを切らなきゃ良いってわけか⋯で、どうするんだ?」

 

「それを見せてあげる、信義も。」

 

「俺もか!?でも、男の俺がグロスを使うのは少し抵抗があるんだが⋯」

 

「協力してあげたら今夜、一緒にお風呂入ってあげる。もちろん、バスタオルなしの裸も見せるつもりよ?」

 

「サーイェッサー!とことん、やるぞ〜!!」

 

「随分と単純だな⋯」

 

「彼女とのラブラブイベントと聞くとテンションが上がるのは彼氏の性よ⋯仕方ないでしょ?」

 

 るるかが作戦を実行しようと変装をすべくグロスを取り出そうとして、俺も巻き込まれグロスを塗ることから抵抗しようとするも⋯ここで一緒に風呂に入れると聞いては彼氏の性ですんなり受け入れることに。これに後ろでゴウエモンとマシュタンは呆れるもそんなのは関係ない。俺はるるかと楽しい時間を過ごせるのならどんなことだって受け入れるつもりだからな?

 

「「オープン、プリキットグロス。」」

 

 そうして、俺とるるかはグロスを唇に塗ってからこのショップの店員に変装する。変装としては至ってシンプルだが、ここはお互いに眼鏡をかけて顔ではバレないように工夫はしてきた⋯さて、潜入開始だ!

 

「「いらっしゃいませ!」」

 

「ショップの店員さん⋯やるわね♪」

 

「マシュタン、俺達が潜入してる間はずっとるるかのポケットの中で大人しくしてろよ?るるかはあの女性と接触してくれ⋯俺も後で自然と話に入るから。」

 

「分かったわ⋯」

 

「了解。」

 

 そうして、るるかはミサンガをつけてる女性と接触していき俺はその近くでCDを並べるふりをしながら話の流れを見極めることに⋯普段のるるかはコミュ障で口数が少ないものだから不安はどこかにあるのだが、きっと任務となれば上手くやってくれるはず!俺は恋人である彼女を信じるのみである。

 

「その歌、良いですよね?」

 

「ん?」

 

「私も好きなんです、特に歌詞が⋯」

 

 るるかは音楽を聴いてるところのミサンガをつけた女性に声をかける。しかし、彼女が演技とはいえ俺以外の人に自然な笑顔を見せれてるところにコミュ障ながらも頑張ろうという努力を感じてしまう⋯

 

「あっ、それ超分かる!何か片想いの女の子って感じの歌詞なんだよね〜♪」

 

「もしかして、そのミサンガの願い事⋯恋が叶いますように、とか?」

 

「当たり!お姉さん、占い師とか?」

 

「たまたまですよ。」

 

「あのぉ⋯すみません。」

 

 るるかとミサンガの女性が話していると、そのタイミングであんなとみくるとジェット先輩もここにやって来てはあんなとみくるの2人がミサンガの女性の方に声をかける。こんな時に来るとか間が悪すぎだろ⋯敵対した今こそ気まずすぎだ。

 

「この人を知りませんか?」

 

 そうして、プリキットブックに記した探し人と思われる人物の似顔絵を見せていくあんなとみくる⋯この絵のタッチは恐らくみくるが描いたものでるるかを描いたものと思われるが、あまりにも下手すぎて俺は絶望半分、怒り半分の感情が爆発しかけてしまう。自分の彼女をここまで下手に描かれてたら黙ってはいられないものだ⋯さて、描かれたるるかの方はどう答えるのか?

 

「うーん、ごめん⋯知らないよ。店員のお姉さんは?」

 

「私も知りませんけど、先輩なら知ってるはずかもしれません。先輩?」

 

「どうしたの?」

 

「あの⋯この人達が探したい人がいると言ってるんですけど、先輩はご存知ですか?」

 

「失礼⋯」

 

「あっ、ちょっと!?」

 

 俺はみくるからプリキットブックを取り上げ、るるかの似顔絵を見つめる。こんな下手具合を見せられるとマジで不愉快極まりなさすぎで今にもブック自体を破ってしまいそうだ⋯でも、ここは我慢。変な行動をしたら怪しまれるからな⋯

 

「僕はこの人を知らないですね⋯」

 

「そうですか。でも、隣のページも見てくださいますか?この男性のことも探してますけど⋯」

 

 そうして、みくるは続けて隣のページにある男性の似顔絵と思われる何かを指差す。これもまた彼女が描いたのだろうが、これって流れからして俺を描いたのだろうか?るるかと来たら俺だろうから間違いないと見た。

 

「これって織田信義さんですよね?この街では有名な名探偵の⋯」

 

「そうです!私の従兄でもあるんですよ?とてもかっこよくて優しい王子様のような人で探偵としても凄いんですよね♪」

 

「そ、そう⋯ですか?ありがとうございます。」

 

「「えっ?」」

 

「信義、正体バレるから⋯ダメ!(小声)」

 

「ごめん⋯」

 

 あんなが目の前に本人がいるとも知らずにべた褒めし、これを受けて照れてしまうところを見せてしまう。これにあんなとみくるは唖然として場が凍り、るるかからは小声で怒られてしまった。本当に俺は変装がかなり下手くそだ⋯演技も何もできやしないし嘘も演じれない。終わってるよな⋯

 

「あっ、ミサンガだ!可愛い〜♪」

 

「本当だ、素敵♪」

 

 そんな感じで場が凍った中であんなが口を開くや否やミサンガにみくるまでもが反応する。本当にあんなはおまじないとかそういう系の物にかなり興味があって、元の時代にいた時はお守りとか色々と俺が買ったものだ。

 

「この時代にもミサンガがあったんだね!」

 

「時代?」

 

「あっ⋯いえ、何でも!」

 

 あんなは思わず1999年当時にもミサンガがあったと言ってしまう。これにはみくるも動揺して誤魔化そうとする。やっぱり、俺もあんなも似たり寄ったりだな⋯

 

「私、まさみっていうんだ。さっきもこのお姉さんとミサンガの話で盛り上がってたんだけどさ⋯見て?これ、もうちょいで切れそうなんだ♪」

 

「本当だ!」

 

 ミサンガの女性⋯まさみさんはミサンガの隙間に指を入れてもうすぐ切れそうなことをアピールする。こちらとしてはミサンガそのものが突然人工的に切れるシチュエーションは避けたいところなのだが⋯

 

「願い事は何なんですか?」

 

「それなんだけど、実は⋯」

 

「すみません⋯」

 

「はい?」

 

「トイレ借りても良いですか?」

 

「どうぞ。」

 

「!?」

 

 まさみさんが願い事を明かそうとしたタイミングでギターを背負った背の高いイケメンが店員のるるかにトイレを借りて良いのかと声をかける。見たところ俺よりもかっこいいから嫉妬を覚えてしまうもので、そんな彼を見たまさみさんは顔を赤くして動揺してしまう。まさかとは思うが、まさみさんの願いとはもしや⋯!?

 

「まさみさん、どうしました?」

 

「あんな⋯答えは簡単だよ。ズバリ、まさみさんは彼のことが好きなんですね?」

 

「声がデカいって〜!」

 

「つまり、あなたのミサンガに込めた願いとは?」

 

「はい、彼と結ばれますようにって⋯」

 

「「キャーッ♪」」

 

 みくると俺でまさみさんの願い事に迫ると、さっきの男性と結ばれたいという恋愛模様のお願いだった。これにあんなとみくるは大興奮⋯その中でるるかが彼のことをどう思ってるかは少し不安だ。

 

「実は⋯ここに通ってるのは彼に会えるからでさ。喋ったことはないんだけど、音楽を聴いてる時の真剣な目がかっこよくて。このミサンガはその時初めて作ったんだよね⋯ってか私、語りすぎちゃったかも。」

 

「まさみさん、すっごく応援してます!」

 

「あ、ありがとう⋯」

 

 まさみさんの恋バナを聞いたあんなは彼女のことを応援するような姿勢を示す。本音を言えばあんなとみくるには今回のことに関わってほしくなかったのだが⋯この2人が止まるはずがないよな。

 

「あら?彼、何か探してる?」

 

「まさみさん⋯これって話しかけてみるチャンスでは!?」

 

「ええっ!?でも、そんな勇気⋯って、ああっ!ミサンガが⋯」

 

 あんなが迫ってまさみさんがパニックに陥ったその時、ミサンガが自然と切れてしまった⋯これでまさみさんは更に動揺してしまう。しかし、俺の方が平然としてられないし後ろで見てるゴウエモンもパニクってる⋯

 

(嘘だろ、マコトジュエルが消えるとなったら用なしじゃないか⋯どうすれば良いんだ?)

 

「でも、ミサンガが切れたってことは願いが叶うってことだよね?私、勇気を出してみる!」

 

 まさみさんは切れたミサンガをギュッと握りしめてから何かを探しているギターを背負ったお目当てのイケメンに声をかけようと駆け寄る。マコトジュエル云々よりとにかく彼女には報われてほしいものだ⋯

 

「あの⋯!」

 

「ん?」

 

「何かお⋯お探しですか?良ければお手伝いします!」

 

「えっ?」

 

「ごめん、待った?」

 

 まさみさんが勇気を出して男性に声をかけたその時、その人の元にセミロングでクリーム色の髪をお姫様のように巻いたようなが女性が一言謝ってから駆け寄る。まさかとは思うが⋯声をかけた人こそが彼の彼女ではなかろうか?そうなると、まさみさんは一方的な片想いをしていたことになる⋯

 

「電車が遅れて⋯ところで、その子は誰?」

 

「あっ、えっと⋯」

 

「お前を探してたら声かけてくれたんだよ。来んの遅いから⋯」

 

「彼女のせいにするつもり?まあ、いいや⋯とにかく行こっか。」

 

「ああ⋯」

 

 そうして、あのカップルはくっついてからCDショップを後にする。それを見たまさみさんはとにかく絶望のどん底に落ちたような表情をしていた⋯そして、宿っていたマコトジュエルの気配が消えかける。これが『想いが消える』というやつなのか⋯

 

「まさみさん!私が話しかけてみようなんて言ったから⋯」

 

「失恋しちゃった⋯アハハ。」

 

 あんなは心配になって自らの提案したことを謝ろうとしたが、まさみさんは笑顔を無理やり作ってから開き直ったような反応をする⋯失恋することがどれだけ心に痛くしみるのか、俺も小さい時に失恋をしたことがあるから気持ちはよく分かる。俺だって小学校低学年ぐらいの時に幼稚園時代から好きだった女の子に告白し、それに失敗してからそれっきり疎遠になった経験があるのだから⋯本当にあの時は人生の終わりを見た気がしたからな。どうかまさみさんにはすぐは無理にしても立ち直ってほしいものだ。

 

「まさみさん⋯」

 

「君のせいじゃないって!ミサンガが切れたら願いが叶うなんて嘘を私が信じちゃってたから⋯」

 

「そんなことはない!今回は間が悪かっただけで嘘と決めつけるのは⋯」

 

「嘘かもしれません。」

 

「「えっ?」」

 

 俺が思わず卑下するまさみさんを励まそうとしたその時、るるかはそれが嘘であるかもしれないと発言する。確かに、今回のことはミサンガが切れても願いは叶わないどころか最悪な事態を招いてしまった⋯でも、それを嘘と言うのはちょっと酷すぎやしないのだろうか?るるかこそ俺との恋の為にまっすぐだったはずなのだが⋯

 

「でも、そのミサンガ⋯捨てるつもりですか?」

 

「だって、嘘だったからいらないもん。」

 

「ミサンガはずっとあなたを見守ってた⋯」

 

「えっ?」

 

「あなたの気持ちに寄り添っていた。」

 

「私の⋯気持ち?」

 

「そう、彼のことが好きだった気持ち。その気持ちをミサンガはずっとあなたのそばで見てくれていた⋯」

 

 るるかは冷酷な現実をまさみさんに突きつけるかと思いきや、ミサンガが彼女の恋を見守っていたことをまっすぐに伝える。本当に彼女は間違いなく優しい心の持ち主だ⋯これが演技だろうと何にしても、こういう心がないとこんなに優しい言葉は言えないことである。そして、まさみさんはその話を聞いて涙を浮かべ、ミサンガを見て自分の気持ちを頭に浮かべた。

 

「そっか⋯」

 

「ミサンガが見守ってくれたことも、まさみさんが彼を想った気持ちも⋯どちらも嘘じゃない、本当のことでしょう。」

 

「お姉さん⋯」

 

「あなたは見たところまだ若い。いくらでも恋はできますし、何よりあなたは可愛いですよ⋯僕もまさみさんの恋を応援します。だから、そのあなたは自分の気持ちを大事にしてください⋯」

 

「るるか、信義⋯」

 

「(マシュタン!?)あっ⋯すみません、仕事中なのに。僕達はこれで⋯行くぞ?」

 

「はい、先輩⋯それでは、失礼します。」

 

 そうして、俺達は店の奥に戻って彼女達の様子を見守る。まさみさんには何としても恋を成功させてほしいと願うばかりだ⋯こうして前を向けたからにはきっと希望もあるはず!俺とるるかだって敵の立場という禁断の恋をパワープレイで叶えたんだ⋯まさみさんだって何とかなるだろう。

 

「良かったですね、まさみさん⋯はなまる素敵でした!」

 

「ありがとう。私、このミサンガと共にもう少し頑張ってみるね!」

 

「それじゃあ、私達も調査に戻りましょう?」

 

「うん!あっ、すみません⋯そこの店員さん?」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「この人とこの人を見たことないですか?」

 

「うーん⋯いや、ないっすね。そもそも店には俺1人だったんで⋯」

 

「えっ!?1人?ちょっと待ってください⋯さっきの2人の店員さんは?」

 

「だから、俺1人のワンオペでしたよ⋯何を言ってるんすか?」

 

「うそ⋯じゃあ、まさか!?」

 

「まずい、俺らのことを勘づかれた⋯るるか、退却だ!」

 

「うん!」

 

「おい、お前ら⋯俺を置いてくなよ!?」

 

 ワンオペで働いていた店員さんの証言により、俺達が偽の店員だということが発覚してるるかと隠れていたゴウエモンを連れて店の外へと退却することに。こういうワンオペのお店に潜入したのが間違いだったかもしれないが、マコトジュエルの宿り手も宿り手だったことから致し方なかった。しかし、まだマコトジュエルの気配は消えていない⋯ここは一旦戦況を立て直すことにしよう。

 

 

 

 

おまけ

『ウソノワールの秘密』(side信義)

 

「⋯い!⋯まい!」

 

 デート当日から遡ること数日前、俺は個人宛の依頼をこなして夜遅くにアジトに帰るとアジトの奥の部屋からよくは聞き取れないものの太い声が聞こえる。これはまさか、お化けなのだろうか?

 

(とりあえず、その音源に移動してみよう⋯お化けだろうと何だろうと俺がプリキュアの力で成仏させてやる!)

 

「⋯まい!美味い!美味い!」

 

(美味い?誰かが何かを食べてるのか?それとも、誰かを『上手い』と褒めてるのか?ドアを開けて確認してみよう⋯)

 

 俺は音源となる部屋のドアの前まで来て、何を言ってるのかが聞き取れたところでドアを開ける。その中には⋯なんと、ウソノワールがいて彼が『美味い!』と叫びながら大量のすき焼き弁当を食べていたのだ。

 

「美味い!美味い!うまーい!!」

 

(とりあえず、これは部下達に見せれるものじゃないな⋯秘密にしておく方が良いだろう。)

 

 俺はウソノワールの夜食風景を目に焼き付けてから静かにドアを閉める。それにしても、ウソノワールがすき焼き弁当を大量に食べて『美味い!』と叫ぶサマはまさに鬼〇の刃の煉〇さんだ。思えば何となく声も似てるしな⋯こうして、俺はウソノワールの秘密を1つ知ってしまうのだった。見たかったような、見たくなかったような⋯




いかがでしたか?あんなちゃんとみくるちゃんがるるかちゃんの素性に迫る中で出会ったミサンガをつけたまさみさん⋯彼女の恋愛ムードは本当に原作を観てて思いましたが、熱かったというかちょっと彼女がいたとはいえ恋した男の対応があまりにもクズというか最悪でちょっと腹立ちましたね⋯せめて声をかけて気にかけたことを感謝しろよと言いたいです。

そんな前では信義とるるかちゃんがデートした中でゴウエモンが押しかけてきては任務の手伝いをすることに⋯信義はグロスを塗ることに抵抗をしましたが、一緒にお風呂に入ろうというるるかちゃんからの誘いに乗って請け負いました。単純ですけど、信義はこれが素なんですよね⋯段々とあんなちゃんと接する時のように遠慮がなくなってきましたけど、あんなちゃん以上に遠慮がなくなっています。

それで、変装してしばらく時間を過ごすものの店員の口からあんなちゃんとみくるちゃんに明かされたことで信義とるるかちゃんは動揺⋯ここは一旦退却となりました。マコトジュエルに関しては信義は知識も得た中で、肝心のミサンガのマコトジュエルはまだ生きている模様。これをどう奪うのか⋯次回は12話分の後半戦です。

それと、おまけの方はいかがでしたか?これはもう説明するまでもなくウソノワールの中の人ネタです。彼をやってる声優は日野聡さんで日野さんの代表キャラといえば鬼滅の刃の煉獄さん⋯煉獄さんといえばすき焼き弁当ということで『美味い!美味い!』と叫んでもらいましたよ。今後もこういうネタを仕込んでますのでどうぞご期待くださいませ!

感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをして次回もお楽しみに♪
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