名探偵プリキュア! -銀の正義と黒の秘密-   作:寿垣遥生

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遥生です。前回のたんプリはご覧になりましたか?るるかちゃんがついにエクリプス・シャドウに⋯究極の闇堕ち展開ですね。ここからもう白のキュアアルカナに光落ちするのは確定ですけど、どんな感じなんでしょうかね?そこは明日のアニメの原作を観ていきましょう!

そんなこっちの今回は14話分の後半戦です。手紙をかけた攻防戦⋯果たして?

それでは、また後書きにて⋯


#36 生徒会長とポチタン

sideすみれ

 

「まことみらい学園中等部の生徒会長をしている金田れいと申します⋯」

 

「ご丁寧にありがとうございます、キュアット探偵事務所の織田すみれです。よろしくお願いしますね?」

 

 それから私達は図書館の中に入ってはあんなさんとみくるさんの通うまことみらい学園中等部の生徒会長をしている金田れいさんと話すことに⋯その中で彼女はやけにポチタンが気になっている様子である。

 

「やはり、ポチタンのことが気になりますよね?」

 

「はい。このような生き物を私は見たことも聞いたこともありません⋯まさか明智さんの持っていたポーチが生き物だったなんて。」

 

「こんちは!」

 

「はっ、こんにちは!」

 

 私と金田さんが話していると、ポチタンが彼女に元気よく挨拶をする。まだ喋り始めたばかりなのか『こんにちは』とはちゃんと言えてないものの礼儀はしっかりしてそうだ⋯

 

「挨拶できて偉いね。もうここまで来たら隠せないんですけど、実はこの子⋯妖精なんですよ。可愛いでしょう?」

 

「確かに可愛いですね⋯でも、まさか現実にも妖精がいたなんて驚きました。その、織田さんと一緒に過ごされてるんですよね?周りから変な目で見られたりとかはありましたか?」

 

「すみれで構いませんよ?そうですね⋯ポチタンが公の場で動いたり喋ったりした時は怖いですけど、普段は大人しくできる良い子なので基本は大丈夫です。ただ、金田さんのように好奇心が出た相手には話しかけるので⋯あなたはもうポチタンに懐かれてる証ですよ。」

 

「そうなんですか。でも、不思議ですよね⋯明智さんと小林さん。」

 

「あんなさんとみくるさんがどうしたんですか?もしかして、生徒会長のあなたに何か迷惑をかけたりとか⋯」

 

「いえ、そういうことではなくて。ただ、あの2人は私が怖くないのか笑顔で挨拶してきたのを思い出したんです⋯私は普段生徒会長として周りを厳しい目で見てるから他の生徒達からは怖がられてて。どうすれば怖い人に見られないと思いますか?」

 

「そうですね⋯もっと素の自分を理解してもらえるようにすれば良いと私は思います。その為にはまず笑顔が大事ですね⋯もしかするとあなたが険しい顔をしているからみんなが怖がるのではないですか?」

 

「確かに⋯私は生徒会長として少し神経質になることが多くて顔にもよく出てた気がしますね。そこから気をつけてみます⋯」

 

「私も応援してますから頑張ってくださいね?」

 

「はい!」

 

「ポチタン?」

 

「どこにいるの〜?」

 

 私が金田さんを励ましたタイミングでポチタンを探していたあんなさんとみくるさんが図書館の前へと探しに来た。ジェット先輩の言う通りこっちに来てくれたようだ⋯

 

「あんなさん、みくるさん、こっちです!」

 

「すみれさん!」

 

「⋯と生徒会長にポチタン!?」

 

「ど、どうも⋯」

 

「ポチ〜♪」

 

 そんなこんなで私が窓から乗り出して2人を呼ぶと、あんなさんとみくるさんも私達の方を見て反応する。金田さんは緊張気味に反応し、ポチタンは2人に手を振って応えるのだった。

 

「ゴクゴクゴク⋯」

 

 とりあえず、私達は図書館の外のベンチに集まってポチタンはあんなさんの膝の上でミルクを飲む。その様子をあんなさんとみくるさんは微笑ましい様子で見守り、私も思わず笑みがこぼれた。その中で金田さんは不思議な様子である⋯

 

「お腹空いてたんだね?」

 

「ポチタン、空を飛んであんなさんとみくるさんを探しつつ色んな体験をしていたんですよ。ねっ、ポチタン?」

 

「ポチ♪」

 

 みくるさんがポチタンが空腹だったということを知り、私は今日何があったかを代わりに説明する。本当に今日のことはポチタンにとっては大冒険だったと言えるだろう⋯

 

「すみれさんから話はある程度聞いてますけど、この子⋯ポチタンは何者なんですか?」

 

「「えっ!?」」

 

「ポチタン♪」

 

 金田さんがあんなさんとみくるさんにポチタンが何者なのかを訊ねると、2人は答えを出せずに言葉を詰まらせる。無理もないだろう⋯ポチタンが時の妖精だなんて言えるはずがない。そんな中でポチタンは自らの名前で返事を返すのだった。

 

「ポチタンはポチタンってことですよ。ポーチの妖精⋯でしょうかね?」

 

「そうですか。ポチタン、私はれい⋯よろしくね?」

 

「れい!」

 

 そうして、金田さんはポチタンに向けて自分の名前を名乗る。本当に彼女の表情は先ほどと比べてだいぶ優しくなって気がした⋯私に言われてから意識してる面もあるはずだが。

 

「ふふっ、良い子⋯それにしても、ポチタンを学校に連れて来てたのは何か理由が?」

 

「えっ⋯はい、ポチタンは友達で。」

 

「実は私達、探偵をしてて⋯」

 

「知っています。明智あんなさんに小林みくるさん⋯それにここにはいらっしゃいませんが、織田信義さんと薫風すみれさん。演劇部のなくなったドレスをあなた達が見つけたと聞きました。」

 

「その薫風は私ですけどね⋯」

 

「ええっ、そうなんですか!?何故苗字が?」

 

「その問題はとりあえず今は置いといて⋯ポチタンは私達、キュアット探偵事務所の仲間なんです。だから、あんなさんとみくるさんの傍にいさせてください⋯私からもお願いします。」

 

「「お願いします!」」

 

 私達は生徒会長の金田さんに事情を説明してからポチタンを持ってくることの許可を申請する。ポチタンがいないとマコトジュエルが現れた時に検知できないというのもあるし、何よりもポチタンは私達の友達だから⋯

 

「本来は校則違反ですが、学校に申請書を出して許可を貰うという方法があります。私も一緒に行って先生に掛け合いましょう⋯」

 

「えっ?」

 

「良いんですか!?」

 

「これは代々生徒会長に受け継がれてきたバッジで、これを付けた時に決めたんです⋯何があっても生徒の力になる、と。」

 

 金田さんは私達のお願いを聞いた上で左胸につけているバッジに手を重ねて自分の決めたことを話す。何があっても生徒の力になる⋯彼女は一見厳しそうかもしれないが、本当は生徒のことを何よりも大事にしている立派な生徒会長だ。そういった一面もあんなさんやみくるさん以外にも伝わってほしい⋯

 

「そういえば、すみれさん⋯ポチタンと一緒だったんですよね?ポチタンは何をしようとして事務所を飛び出したんですか?」

 

「実はですね⋯」

 

「ポチ〜、手紙!」

 

「手紙?」

 

 みくるさんがポチタンが飛び出した理由を私に訊ねて、それに答えようとするとポチタン自らが手紙を取り出す。そう⋯この子は森亜さんの素性が記された手紙をあんなさんとみくるさんに届けようとしていたのだ。

 

「それが秘密の手紙ね⋯」

 

 その手紙を渡そうとしたその時、森亜さんとノブおじいちゃんの2人が歩み寄ってきた。それもかなり険しい表情だ⋯内容は私も見ていないが、恐らくかなり重大な秘密が書かれていそうである。

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

side信義

 

「それが秘密の手紙ね⋯」

 

 俺とるるかは手紙を持っているあんな達を探し回った末に図書館の前で見つけた。あんなとみくるとすみれの他にもあと1人、まことみらい学園中等部の制服を着た緑髪で眼鏡をかけた女の子もいるが、彼女は理事長と前話した時に話に出てきた理事長の孫娘で生徒会長の金田れいさんだろう。

 

「とりあえず、その手紙を俺達に渡してもらおうか。」

 

「あなた、織田信義さんですね?この前は事件を解決してくださってありがとうございました!」

 

「ああ。君は確か⋯中等部の生徒会長をやってる金田れいさんか。悪いけど、今は君に構ってる暇はない。その手に持ってるその封筒を渡してもらうぞ?」

 

「いや〜!」

 

「ポチタンが嫌がってるし、これは大事な手紙なの!ノブお兄ちゃんが相手でも渡さないよ。」

 

 俺が金田さんの感謝を遮り、封筒に手を伸ばそうとするとポチタンが持っていかれたくないと言わんばかりに抵抗。これにあんなも俺に渡さまいとポチタンを守ろうとする。

 

「それなら、あなたごと連れて行くしかないわね⋯」

 

「またぬいぐるみが喋った!?この子も妖精?」

 

 ポチタンとあんなが手紙を譲らないでいると、マシュタンが前に出てきてはポチタンごと連れて行くと迫る。これを見た金田さんはまた驚いた⋯どうやらこれより前にポチタンが妖精であることを知ってるのだろう。

 

「生徒会長、この人達は怪盗団ファントムです⋯師匠ももうキュアット探偵事務所の人間ではありません。ここは下がっててください!」

 

「ファン⋯トム?」

 

「ノブおじ⋯織田さんと森亜さんにはこの手紙は渡しません!」

 

「やれやれ⋯アルカナ・シャドウ、マスター、手柄をあんたらで横取りするつもりなのか?」

 

「「「ブラキッド!」」」

 

 俺とるるかが手紙を持ってるポチタンに迫ろうとした時、あんな達から見て背後に待機していたブラキッドが横槍を入れてくる。折角良いところまで来てたのに邪魔しやがるとは⋯

 

「横取りというかお前に手紙は渡させない⋯るるかの秘密をお前達が知って何の得になるんだ?」

 

「そうか、アルカナ・シャドウの秘密が書かれてあるのか⋯俺も実に興味があるな。俺は外部勤務だったものだからアルカナ・シャドウが森亜るるかであること以外をよく知らないもんでね⋯」

 

「⋯」

 

 ブラキッドは手紙にるるかの秘密が記されていることを知っては余計に興味を持つ。この狂気の笑みにるるかはドン引き気味だ⋯無理もない。

 

「そうはさせません!」

 

 すると、ブラキッドとあんなとみくるの間に金田さんが立ち塞がる。プリキュアでもない一般人で生徒会長の肩書きがついてるだけの子が抵抗しようとは無謀すぎだ⋯でも、これが生徒会長として生徒や周りを守ろうという固い意思なのだろう。

 

「会長さん!?」

 

「何だあんたは⋯俺の邪魔をするのなら容赦はねえからな?」

 

「金田さん、逃げてください!」

 

「すみれさん⋯私は逃げません!私は生徒会長として生徒の力になりたい、なると決めたんです!!」

 

 すみれが逃げるように進言した中で生徒会長として守り抜く意思を見せた時、彼女が左胸が光り出す。恐らくはバッジだろうか⋯この光からはマコトジュエルが宿る気配がした。

 

「マコトジュエルが宿ったか⋯面白い、それを利用させてもらうぜ?」

 

「きゃっ!?」

 

 すると、ブラキッドはあっという間のスピードで金田さんを押し倒してからバッジを盗んでいく。これが彼女が生徒会長であるという証なのだろう⋯クローバーが刻まれてある。

 

「生徒会長!」

 

「大丈夫ですか?」

 

「何とか⋯」

 

「ブラキッド、まさか!?」

 

「とりあえず、お前達が手紙を差し出さないということで強行策で行かせてもらうぜ?嘘よ覆え、It's show time!ハンニンダー!」

 

「ハンニンダー!」

 

 そうして、ブラキッドはバッジからハンニンダーを生成して領域が展開される。この中には生徒会長である金田さんはいない⋯とにかく、手紙はこっちが手中に収めるのみだ。

 

「るるか⋯」

 

「ええ!」

 

「「オープン!」」

 

「ジュエルキュアライセンスフォン!」

 

「ティアアルカナロッド。」

 

「プリキュア・ウェイクアップタイム!」

 

(変身中⋯)

 

「百鬼夜行を斬り敵を撲滅、名刑事キュアマスター!」

 

「神秘と秘密で包み込む、キュアアルカナ・シャドウ!」

 

「「シルバーシャドウプリキュア!」」

 

「さあ、迷宮へ誘いましょう⋯」

 

 まず先に俺とるるかがプリキュアへと変身して手紙へと狙いを定める。ブラキッドにも渡さないし、何よりもあんな達からも奪ってみせる!

 

「その手紙を渡して、さもないと⋯」

 

「言っておくが、ブラキッドにも渡さない。アルカナ・シャドウの秘密は守らせてもらうからな?」

 

「なるほど、あんたらは俺と協力する気はさらさらねえのか⋯ならば先に奪ってみろよ?」

 

「ポチ⋯」

 

「大丈夫だよ、ポチタン⋯」

 

「私達がついてるからね!」

 

「あんなさん、みくるさん⋯行きましょう!」

 

「「はい!」」

 

「「「オープン!」」」

 

「「ジュエルキュアウォッチ!」」

 

「ジュエルキュアライセンスフォン!」

 

「「「プリキュア・ウェイクアップタイム!」」」

 

(変身中⋯)

 

「どんな謎でもはなまる解決!名探偵キュアアンサー!」

 

「重ねた推理で笑顔にジャンプ!名探偵キュアミスティック!」

 

「気高く咲き誇る答えへの道標、名刑事キュアバイオレット!」

 

「「「名探偵プリキュア!」」」

 

「私の答え、見せてあげる!」

 

 不安になるポチタンを安心させてからあんな達もプリキュアへと変身していく。これで舞台も環境も整ったと言えよう⋯こうなったらもうこちらとしても容赦も手加減もいらない。

 

「はあっ!」

 

「ちょっ⋯アルカナ・シャドウ!?仕方ない!」

 

 アルカナ・シャドウはどうしても手紙を見られたくないのか俺の合図の前にアンサー達に突っ込んでいく。これに俺も追随することにした⋯いつもは俺の言うことを聞いて動く彼女が先に行くのは珍しいことだ。

 

「バイオレットはハンニンダーをお願いします!」

 

「アルカナ・シャドウと師匠は私達に任せてください!」

 

「分かりました⋯」

 

 そうして、アンサーはバイオレットにハンニンダーの相手をするように指示を出してミスティックとともに俺達と戦いつつ手紙を守ろうとする。案の定、アルカナ・シャドウは手紙を持ってるポチタンとアンサーの方に襲いかかるもこれは咄嗟に避ける。

 

「やるわね。」

 

「それなら⋯マスター、頭下げてて?」

 

「お、おう!」

 

「アルカナスターレイン!」

 

 そのままアルカナ・シャドウはちょうど前でミスティックと戦っている俺に頭を下げるように指示を出してアンサーに目掛けてアルカナスターレインを放つ。これで足止めする作戦だろうか?

 

「ミスティックリフレクション!」

 

 しかし、その攻撃はミスティックのミスティックリフレクションに阻まれる。こういう時にバリア役の彼女がいるというのは味方の時から思っていたが、かなり頼りになる存在だ。

 

「ポチタンには指1本触れさせない!」

 

「お前ら、横が隙ありなんだよ!」

 

「させない、バイオレットフラワリング!」

 

「うっ⋯!?」

 

 俺がバリアのないがら空きのサイドから仕掛けようとするとハンニンダーと交戦中のバイオレットがそれを見て花びらの弾幕⋯バイオレットフラワリングを放ってきてそれが俺に命中する。何て強さだ⋯こいつを敵に回したら痛手すぎる。

 

「マスター、大丈夫?」

 

「アルカナ・シャドウ⋯ああ、問題ない。ちょっと弾幕を食らっただけだ⋯」

 

「良かった⋯」

 

 俺が倒れてたところにアルカナ・シャドウが駆けつけては手を差し伸べ立ち上がる。本当に今の名探偵プリキュアはバイオレットが入ったおかげで俺以上に隙のないチームになった⋯アンサーとミスティックも前以上にアルカナ・シャドウとも戦えてるし俺がいなくとも3人は着実な成長というかチームがまとまったと言える。

 

「お前達⋯俺とハンニンダーがいることも忘れたのか?吹き飛ばせ!」

 

「ハンニンダー!」

 

「「「きゃああああっ!?」」」

 

 すると、ハンニンダーはブラキッドの指示を受けてクローバー型の扇風機を回して強風を起こす。これにアンサー、ミスティック、バイオレットは思わず吹き飛んでそれぞれ地面に叩きつけられた⋯余計なことをしてくれたと言いたいところだが、今回ばかりは良いタイミングの助太刀と言える。

 

「さて、このままあの時のように力を奪って手紙を⋯」

 

「余計な真似をするな、ブラキッド。俺とアルカナ・シャドウで手紙は奪うから手を出すなよ?」

 

「ぐっ⋯」

 

 このままあの時の触手を出そうとしたブラキッドに対して俺はベガの刃先を彼の首元に突きつけて動きを制止させる。ブラキッドですら流石に刃物で切られるのは怖いのか唇を噛み締めたまま動けずだ⋯

 

「さあ、手紙を渡しなさい?」

 

「ポチ⋯」

 

「たああああっ!」

 

「はああっ!」

 

「はあっ!」

 

 手紙を奪おうとしたアルカナ・シャドウに対してアンサーとミスティックとバイオレットはそれぞれ攻撃を仕掛ける。しかし、いくら奇襲しようとしても彼女には動きが読めていて当たることすらないし、バイオレットの攻撃は受け止められた。

 

「渡さないよ!」

 

「手紙もポチタンも!」

 

「あなた達ファントムの好きにはさせません!」

 

「だったら俺が力づくでも奪うまでだ!」

 

「お兄ちゃん、やめて!」

 

「ポチ!」

 

 俺がアンサーとポチタンに迫り、手紙を奪おうとするが⋯アンサーの『やめて』という言葉を聞いて思わず手が止まってしまう。アンサー⋯いや、あんなは今は敵かもしれないが俺の中にあるまだ正義の心が本能的に身体を止めたのだ。

 

「マスター、何をやってるの。早く手紙を!」

 

「そうよ、戸惑う必要なんてないでしょ?」

 

「おいおい、とんだ意気地なしじゃねえか⋯こうなりゃ全員吹っ飛ばして俺が奪うまでだ。ハンニンダー!」

 

 アルカナ・シャドウとマシュタンから催促をされた時、ブラキッドがハンニンダーに指示を出して強風を送る。あのウソノワールが起こした衝撃波には及ばないが強烈だ⋯しかし、ここまで邪魔された以上は俺も堪忍袋の緒が切れた。

 

「こうなったら⋯オープン、プリキットライト!」

 

「マスター、何を?」

 

「アルカナ・シャドウはそこにいろ!」

 

 俺はプリキットライトを上にあててから足場を作り、そこを上へ上へと登っていく。上に行けば風は当たらない⋯そこを突いて奇襲を仕掛けた。

 

「マスターアレストショック!」

 

「ダダダダダ!?」

 

 俺は上空からハンニンダーに手錠をかけてマスターアレストショックで感電させ動きを止める。これが俺の作戦⋯そして、そのままチェックメイトへと向かう。

 

「お、おい!?マスター、何の真似だ!」

 

「邪魔をするな⋯オープン、プリキットミラールーペ!」

 

 俺はプリキットミラールーペを立て続けに起動しては決め技を放とうとする。一見すれば仲間割れのようなことをしてるのは承知のうちだが、とにかくブラキッドの好き勝手にはさせない!

 

「マコトジュエル、キュアマスターが解決!プリキュア!マスターシルバーバレット!」 

 

 俺はルーペから変形したライフル銃のトリガーを引いて閃光に乗った銀の銃弾を放ち、それがハンニンダーに命中しては銃がルーペに戻っていく。

 

「キュアっと解決!」

 

 「ハン、ニン、ダー⋯!」

 

 そのまま銃弾を受けたハンニンダーは無事に浄化されて、マコトジュエルと金田さんのバッジがそれぞれ戻ってくる。それを俺は手にした。

 

「くっ、ウソノワール様に報告して無事でいれると思うなよ!?」

 

 そう言い残してブラキッドは撤退する。しかし、この一連の流れに関してはアンサー、ミスティック、バイオレットの3人は唖然だ⋯無理もない、仮にもファントムの人間の俺がハンニンダーを始末したのだから。

 

「お兄ちゃん、どうして私達を助けたの?」

 

「勘違いするな。俺はお前達を助けたつもりはない⋯手紙を奪うのに邪魔がいたから始末しただけだ。改めて、手紙を渡してもらおうか?」

 

「どうして師匠はその手紙を欲しがるんですか?」

 

「アルカナ・シャドウが望んでいることは俺が叶えないといけないんだよ。彼女は手紙を欲しがっている⋯それだけの話だ。」

 

「たとえ、マスターのお願いでもそれは聞けないよ。私もポチタンを守る!」

 

「それならこのマコトジュエルを等価交換としようか⋯だったら手紙を渡せるか?」

 

「マスター、何を考えてるの!?」

 

「そうよ、マコトジュエルを相手に渡すなんて⋯」

 

 俺が手紙の対価交換としてマコトジュエルを見せると、アルカナ・シャドウとマシュタンがこれに猛抗議。しかし、それとは裏腹にポチタンは俺達の前に飛んできた。

 

「ポチ⋯どうぞ。」

 

「「ポチタン!?」」

 

「何を考えてるの?それは⋯」

 

「手紙をすんなり渡したか。何の狙いかは分からないが、ポチタンは素直だな⋯マコトジュエルをやるよ。」

 

「ポチポチ、キュアキュア〜♪」

 

 そのまま俺はポチタンから手紙を受け取り、その代わりにマコトジュエルをポチタンに渡した。これで交渉は成立というところか⋯まさかポチタンが俺を信じて手紙を渡すとは想定外だったが運が良いものだ。

 

「行きましょう、マスター。」

 

「ああ。また会う時こそ全力でぶつかるからな⋯手加減はしないぞ?」

 

 そうして、俺とアルカナ・シャドウはマシュタンも連れてから手紙を持って撤退することに⋯とりあえず、任務に関しては成功というところか⋯ブラキッドからどのようにウソノワールに知らされるかは分からないが、とにかくやることはやりきった。

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

sideすみれ

 

「ポチタン、どうしてノブお兄ちゃんに手紙を渡したの?」

 

 それから変身解除して空間が戻り、あんなさんがポチタンにどうして今は敵の立場にいるノブおじいちゃんに手紙を渡したのかを訊ねる。私もみくるさんもそこがどうも腑に落ちない⋯どうしてなのだろうか?

 

「ポチ⋯信義、悪くない。」

 

「そうなんだ。あんな、ポチタンは良くも悪くも師匠のことを今も仲間だと信じてたのかも⋯でも、どうしてなんだろう?ポチタンも師匠がファントムに行ったところを見たはずなのに。」

 

「とりあえず、これは後でジェット先輩やボスに報告しないとですね⋯と、ボイスメモ。もしもし?」

 

『すみれ、あんなとみくるとは合流できたのか?』

 

「はい⋯何とか。ですけど、ポチタンが持ってきた手紙をノブおじいちゃんと森亜さんに奪われて。」

 

『手紙?』

 

「すみれさん、明智さん、小林さん⋯大丈夫ですか?」

 

 すると、私達の元に金田さんが駆け寄っては大丈夫かと心配する。とりあえず、私達がプリキュアとして戦っていた間のことに関しては閉鎖空間に送られていたので見られてはいないはず。ただ、その間にかなりの心配をかけてしまったのは事実だ⋯

 

「金田さん、私達は無事です。」

 

「良かった⋯急にいなくなったから心配しましたよ。織田さん達は?」

 

「ノブお兄ちゃんは帰りました。色々事情があって⋯」

 

「ご心配をおかけしてすみません⋯」

 

「金田さん、バッジ⋯確かに取り返しましたよ?」

 

 そうしてあんなさんとみくるさんが事情を説明したり謝ったりしてから私は奪われた生徒会長の証であるバッジを金田さんの本人に返却する。とりあえず、これが無事なのが第一と言えるかもしれない⋯

 

「ありがとうございます。2人もありがとう!」

 

「その⋯何から説明すれば分かりませんけど、すみれさん!」

 

「いや、私に振られても⋯」

 

「説明はいいよ。探偵には秘密にしなきゃいけない決まりがあるんでしょ?」

 

「「⋯?」」

 

「言ったでしょ?生徒会長としてあなた達の力になるって決めたから。」

 

「流石は金田さん⋯良かったですね?あんなさん、みくるさん。」

 

「「はい!」」

 

「れーいー!」

 

 すると、ポチタンは勢いよく金田さんの名前を呼んでから彼女の胸元に抱きつく。本当にポチタンが初見でこんなにも懐いたところを私は見たことがなくて驚きも伴っているが、それだけ金田さんが優しい人であるということの証明とも言えるのかもしれない。一連の流れからして誇るべきことだろう。

 

「『れいさん』だよ⋯ポチタン!」

 

「良いよ、『れい』で⋯あなた達にもそう呼んでほしい。敬語もいらないから⋯すみれさんもそんな感じでお願いします。」

 

「じゃあ、れい?」

 

「よろしく、れい。」

 

「こんな感じで大丈夫⋯かな、れい?」

 

「はい、こちらこそ♪」

 

 そうして、私達は金田さん⋯れいと友達になって、学校での探偵活動においても大きなコネができあがった。そうにしても、ポチタンがこういう縁を引き寄せることになるとは⋯本当にポーチのごとくこういうのも運んでくるのだろう。この縁はいつまでも大事にしたいと願うばかりである⋯

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

side信義

 

 それから俺達は変身を解除して路地裏で手紙の中身を確認する為にるるかが封筒を開けて中身を確認する。ここは噂の張本人に見てもらわないと⋯どんなことが書かれているのだろうか?

 

「⋯」

 

「何が書かれてるのかしら?るるか、あたしにも教えて?」

 

「俺にも見せてみろ!何が書いてあるんだ?」

 

「あたしが先に決まってるでしょ?るるかの秘密はあなたよりもあたしの方が詳しいんだから!」

 

「俺だってるるかの秘密を知りたいんだよ!良いから見せろ!」

 

「良いけど⋯手紙じゃなかったわ。」

 

「手紙じゃない?」

 

 そうして俺がるるかから封筒の中身の紙を渡されて中身を確かめると、そこには請求書のように品目とか出費したお金とかが記されてあった。それも全てお菓子⋯これはもしや、ジェット先輩のなのか?

 

「これは請求書のようね?」

 

「恐らくはジェット先輩のだろうな⋯お菓子の品目が揃ってるから。」

 

「とりあえず、用は済んだようね⋯帰りましょう?」

 

「お、おう⋯」

 

 そうして俺達はファントムのアジトへと帰ることに⋯しかし、これでまだ終わりではなくてやはりと言わんばかりにウソノワールから呼び出された。

 

「それで、キュアマスター⋯何故お前はブラキッドに対して反逆を起こした?」

 

「反逆?そうだとしたら俺は何もしていない⋯むしろ、反逆を起こしたのはブラキッドの方だ。」

 

「どういう意味だ?」

 

「あんた、何を言ってるんだ?そもそもウソノワール様から今回の任務を任されたのは俺なんだぞ?それを邪魔したあんたが悪いんだろう?ウソノワール様、彼の言うことは信頼しない方がよろしいかと⋯」

 

「そもそも、ウソノワール⋯あんたが指示したのは手紙の回収。それに対してブラキッドは命令の中にはなかったマコトジュエルの回収をした⋯逆らってるのはどっちだと思うのか、あんたなら何を信じるかは分かるはずだ。」

 

 俺はブラキッドの反論に対して今回指示されたこととか全てを鑑みてやつを論破する。少々一休さんのとんちみたいな論理かもしれないが、ブラキッドは何も言えずウソノワールは納得したのか俺の言うことに頷いた。

 

「確かに、マスターの説明は一理ある。ブラキッド、少々やりすぎたようだ⋯以後気をつけよ。」

 

「も、申し訳ございません⋯ウソノワール様。」

 

 そして、ウソノワールから注意されたブラキッドはやや不本意ながらも主人に謝る。そんな感じで今回は落ち着いたが、本物の手紙は一体どこにあるのだろうか?それとも、手紙自体がそもそも存在しないのか⋯とにかく、るるかの秘密があっちに漏れないことを祈るばかりだ。




いかがでしたか?次回からはアニメ15話分をお送りいたします。感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをして次回もお楽しみに!
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