名探偵プリキュア! -銀の正義と黒の秘密-   作:寿垣遥生

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遥生です。学生さん達は夏休みが終わり学校が始まりましたね⋯そして、大人達はお盆が終わってから平日はお仕事。いずれにしても大変ですが、いつもお疲れ様です!皆さんはこの前の原作31話をご覧になりましたか?キュアアルカナが最高でしたよ!変身バンクからるるかちゃんが天使で⋯まだ観てない方はYouTubeに見逃し配信がやってますので是非ご覧ください!るるかちゃん推しの方、そして元推しの方⋯戻ったり愛が深まったりしますよ?

そんな中で今月最初の投稿となりますね。今回からはアニメ本編の15話分です⋯原作とはかなり展開が違いまして、この時にはあまり出てなかったキャラも出てきますので。その彼女はここ最近はもうメインで人気ありますから⋯どうぞ読んでってください!

それでは、後書きにて。


#37 知られたるるかの素性

sideすみれ

 

 それから私達は事務所に戻ってからロンドンから届いた本物の封筒を開封してから中の手紙をジェット先輩が開く。その中には森亜さんの写真が添付されていて、彼女についてのプロフィールとかも記されてあった。

 

「森亜るるか、1983年11月1日生まれ。」

 

「誕生日はノブお兄ちゃんと同じだ⋯1999年、この年生まれだけど。」

 

「そうなの?今年、師匠が産まれるんだね。」

 

『1983年生まれとなると現代に戻ったら信義の16歳年上になるのか⋯こっちではるるかが年下なのに不思議な関係だ。』

 

「るるか!」

 

 私が森亜さんの生年月日を読み上げると、あんなさん達がそれぞれ反応する。ノブおじいちゃんと同じ誕生日ではあるが、ボスもおっしゃる通りに現代に帰って森亜さんがいたら16歳年上になるという不思議な関係だ⋯ここではノブおじいちゃんが12歳歳上のはずなのに。

 

「そうなると⋯今年で16歳になるのか。」

 

「まことみらい市に来る前はロンドンの事務所で数多くの事件を解決⋯『天才探偵』と言われていたそうだよ。」

 

「この写真は2年前のものらしいですね。」

 

「14歳、今の私と同じ歳だ⋯るるかさん、凄く可愛い。ノブお兄ちゃんが好きになるのも納得かも⋯」

 

「あんな⋯大丈夫、今のあんなもるるかさんに負けないぐらい可愛いよ。すみれさんもそう思いますよね?」

 

「そうですよ。あんなさんのことは従妹であることを差し引いてもきっとノブおじいちゃんは森亜さんと同じぐらい可愛い女の子で大好きだと思ってるはずですから⋯」

 

「すみれさん⋯」

 

 あんなさんが森亜さんの14歳だった時の写真を見て自信を失っているところをみくるさんと私で励ます。とにかく、あんなさんには笑顔でいてほしいと私も思っている⋯彼女にはネガティブでいてほしくないのだ。やはり、その為にはノブおじいちゃんを取り戻す以外に道はないのだろうか。でも、どうやって⋯それが分からずに悩むのだった。

 

side out

 

 

 

 

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side信義

 

「るるか⋯」

 

 それからアジトに戻った俺達は共有の部屋に戻り、るるかに秘密が何かを迫ろうと声をかけた。とりあえず、手紙が本当にあるかどうかは別として俺は彼氏として知りたいのだ⋯森亜るるかの手紙に書かれるぐらい重要な秘密というものを。

 

「どうしたの、信義?」

 

「俺もそろそろお前の秘密にしていたことを知りたいんだ。手紙があるかどうかは別として⋯るるかがどういう人間で何をしていたのか。それを教えてくれ⋯」

 

「どうしてそれを知ろうとするのかしら?ロンドンの事務所が調べてるから彼氏としても知らなくちゃいけない⋯そう思ってるのでしょう?」

 

「マシュタン、その通りだよ。手紙を送ったであろうロンドンの事務所はるるかの秘密を握っている⋯だとしたら、俺も彼氏としてるるかの真実に向き合わないといけない。だから⋯」

 

「そこまで言うのなら私はあなたに話せる範囲のことを教えてあげる。あなたにだけは特別だから⋯」

 

「るるか、良いの!?信義のことだから相手に話すなんてことも⋯」

 

「信義は彼氏として私のことを知りたいと思ってる。だから、私も彼女として教える義務があるわ⋯たとえ話されたとしても私は後悔しないから。」

 

「るるかがそこまで言うのなら⋯」

 

「ありがとう、マシュタン。」

 

 マシュタンはるるかに対して俺に秘密を教えることを懐疑的に思い反抗するもここは彼氏だからと丸め込む。まだまだ俺はマシュタンからの信頼はそれほど厚くない⋯俺もるるかの彼氏として信頼されるレベルにならないとな。

 

「私の名前は森亜るるか、これは戸籍にも記してある本名よ。1983年11月1日生まれのさそり座⋯前にあの子達には話したけど、私は元々キュアット探偵事務所の探偵だったの。3年前、親友に誘われてロンドンで探偵になり日本のキュアット探偵事務所に移ってからも探偵を続けていた。でも、その中で親友が⋯」

 

「親友が?」

 

「⋯」

 

 るるかは順調に自分の本名と生年月日に加えて出自を順調に話していた時、突然と俯いて言葉を詰まらせてしまう。恐らく相当辛いことがあったものと推測される⋯これは詮索して良いのだろうか?

 

「ごめんなさい、辛いことを思い出してしまって⋯その中で私はファントムに行くことを決めて今に至るという感じね。」

 

「るるか、その親友に何があったのかを詳しく話せるか?辛いことかもしれないが、お前がファントムに行った理由を知りたいんだ。まさか、そのお友達は亡くなったり?」

 

「いえ、亡くなってはいないわ⋯でも、実質そんな感じよ。ごめんなさい、これ以上は詮索しないで?」

 

「分かった。」

 

 るるかに親友の話を振ると、今にも泣きそうな表情で苦しみながら詮索しないでとお願いする。ここまで言われたら俺はもうこれ以上踏み込むことはできない⋯こういう時は深掘りしないことが彼氏として正しい判断だろう。

 

「とりあえず、しばらく昼寝した方が良い。寝れば多分気が晴れると思うからさ⋯」

 

「うん⋯信義の言う通り、昼寝させてもらうわね。おやすみなさい⋯」

 

 そうして、るるかは俺の進言通りに昼寝を取るのだった。しかし、るるかがまさか俺と同じ誕生日だったとは⋯それは置いといて、彼女の親友についてがかなり気になる。話によると彼女の親友は実質亡くなったようなもの⋯それから推測されるのは戦いの中で植物人間なったか、あるいはその親友が記憶喪失になって自分の知ってる親友じゃなくなったか。その二択だろう⋯どっちにしても俺はるるかを救わなくてはならない。とにかく、何か手がかりを掴みたいと願うばかりだ⋯

 

side out

 

 

 

 

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sideすみれ

 

「ここ、来たことある!」

 

 日を改めて次の日の月曜日の学校終わり、私達が森亜さんのことの調査の為に手がかりの1つとなってる取水塔へと向かうとあんなさんがこの場所を知ってると言わんばかりの反応をする。

 

「そうなの?」

 

「うん、小学校の遠足で⋯あそこでお弁当のハンバーグを落としたんだよ?楽しみに取っておいたのにぃ⋯」

 

「それって最悪だね。」

 

「ポチ⋯」

 

「私も実は小学生の時にこの取水塔で遠足をしてましたよ。あんなさんの話を聞いてると私も思い出しました⋯」

 

「そうなんですか。でも、私の時代の取水塔の色が違いますよね⋯この時のように水色じゃなかったです。」

 

「そういえば⋯私の時も違いました。」

 

「⋯って話してる場合じゃないだろ?森亜るるかの調査をしに来たんだぞ!」

 

「「「はい⋯」」」

 

『まったく。あんなとみくるはともかくすみれが1番しっかりしてなくてはならんのに⋯タイムパトロールとしての仕事をしてる時のように気を引き締めろ。』

 

「返す言葉がございません⋯」

 

 私とあんなさんとみくるさんが取水塔を見て話を膨らませていると、ジェット先輩とボスから叱られてしまった。私もこうして頼られる仲間ができたことで気が安心してしまってるのだろうか⋯良くも悪くもマイペースになることができたのかもしれない。

 

「それに⋯やっぱり未来のことは知らない方が良い。」

 

「「「⋯?」」」

 

「ウソノワールが未来自由の書を使ってるのを見て思ったんだ⋯答えありきで動くなんてまっぴらだって。」

 

「そうだよね、未来は自分で作ってくものだもんね!」

 

「うん、まずは調査だね!」

 

 そう言ってあんなさんとみくるさんを先陣として森亜さんに関する調査を続けることに。この先のことを知っている未来人の私やボスがあまり言える立場ではないが、未来は自分で切り開くもの。そう考えると、この時代の時点での未来もきっとあんなさんやみくるさん、そしてノブおじいちゃんや森亜さん⋯この人達の行動が新たな未来を切り開いているのかもしれない。

 

「手紙によると半年ほど前にこの取水塔でマコトジュエルが砕けたとか⋯」

 

「ウソノワールが言ってたやつですね。マコトジュエルは1つの大きなジュエルでそれがここで砕けて街に散らばった⋯その砕いた人がキュアット探偵事務所の誰なのか、すみれさんはどう考えてますか?」

 

 私が手紙の後半にある森亜さんが失踪したことに関わる事件の部分を読むと、あんなさんが疑問を抱いて質問を返す。2人が聞いたウソノワールの話からして誰がマコトジュエルを砕いたのか⋯話を直接聞いた訳ではないのでよく分からないが、しばらく考えた。

 

「うーん⋯これはあくまでも直感ですけど、もしかしてプリキュアが砕いたとか?私達の他にプリキュアがいる可能性もありますね。」

 

「それで、その後に森亜るるかは姿を消した⋯仮にそのプリキュアがマコトジュエルを砕いたとしたら彼女と何の関係があるんでしょうか?」

 

 それから私達は調査の中にあった取水塔であった出来事とウソノワールから聞いた話をリンクさせた上で考察をしていく。半年ほど前にマコトジュエルを砕いたのが仮に私やノブおじいちゃんとも別のプリキュアだとして、それで何故森亜さんは行方不明になったのか⋯そのプリキュアと森亜さんの関係は調べて聞き出す余地がありそうだ。

 

「とりあえず、手紙で分かったことはそんな感じか。」

 

『あんなやすみれや信義よりも前にいた別のプリキュアがマコトジュエルは別問題としてるるか本人から聞き出せればな⋯』

 

「私に何か用?」

 

 すると、どこに隠れていたのか森亜さんとノブおじいちゃんが私達の前に歩み寄る。この話をずっと聞いていたのだろうか?本当に隙のない2人だ⋯

 

「るるかさん⋯」

 

「師匠⋯」

 

「どうやらあの手紙は本当にあって大したことは書いてなかったようだな。でも、お前らもよく考えたものだ⋯半年も前に別のプリキュアがマコトジュエルを砕いたと。良い情報を聞かせてもらったよ⋯」

 

「待ってください、森亜さん⋯あなたはどうしてファントムにいるんですか?どうして、ノブおじいちゃんも一緒に!?」

 

「知ってどうするの?」

 

「悪いがお前らに話すことは何もない⋯じゃあな。」

 

 すると、森亜さんとノブおじいちゃんの去り際に強風が吹き荒れて、この間に2人はいつの間にいなくなる⋯本当に森亜さんは謎が多すぎだ。この人の真実にたどり着かない限り何故ファントムにいるのか、何が目的なのか⋯全く分かりようがない。

 

side out

 

 

 

 

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sideるるか

 

「なあ、るるか⋯」

 

 取水塔から街中への移動道中を歩く中で信義は私にある話を振ろうとする。明智さん達は推理の中で半年前のあの時にマコトジュエルを砕いたのは別のプリキュアであると予想していた⋯そのことに関してを質問したいと思ってるはずだ。

 

「どうしたの?もしかして、明智さん達が言ってたことが気になったりとか?」

 

「話が早いな。あんな達の推理だとマコトジュエルを砕いたのは俺達とは別のプリキュア⋯でも、ウソノワールが言うにはマコトジュエルを砕いたのは青い蝶。この2つの関係性を知りたいと思ったんだ⋯るるかは何か知ってるのか?」

 

「詮索しないでとるるかが言ったのに詮索するつもり?」

 

「いや、あいつらの推理が当たってるのかどうかを知りたくて⋯答えたくなかったら答えなくて良いからな?」

 

「分かった、答えてあげる。あの子達の推理の通り⋯マコトジュエルが砕かれたことに関わっていたのはあなたよりもずっと前にいたプリキュアで私の親友よ。そして、私もアルカナ・シャドウになる前から名探偵プリキュアであの時の現場に立ち合っていた⋯」

 

 マシュタンは私のことを詳しく詮索しようした信義を睨むも、私はそれを制して自分の口で半年前のことを話す。本来だったら答えることもなかったのだが、あの子達は与えられた手がかりからマコトジュエルが砕かれたことに別のプリキュアがいたのではと真実に迫っていた。そうなると、もう信義に対して隠すことはできない⋯

 

「そうとなるとお前はウソノワールと戦っていて、その中で親友のプリキュアがダメージを受けてその際に⋯だからあの時話せなかったんだな。」

 

「うん。ごめんなさい、話す勇気があの時は湧かなくて。信義のおかげで話すことができて良かった⋯ありがとう。」

 

「気にすんなよ。俺はるるかを守るナイトだからな⋯お前にはいつまでも笑顔でいてほしい、その為なら俺は何でもするさ。だから、るるかはいつまでも俺にとっての姫でいてくれ⋯」

 

 私が自分のことを励ましてくれた信義に感謝すると、彼は跪いてから自分の気持ちを伝えてから私の手に唇を重ねる。本当に彼は見た目からして小さい時にお母さんが読んでくれた絵本の王子様とそっくりだし、何よりも優しくて素敵だ⋯そんな信義を見てると心臓のドキドキが高鳴るばかりである。

 

「うん。こんなわがままかもしれない私かもしれないけど⋯私のことをしっかり守ってね、王子様。」

 

「ああ。とりあえず、デザートを食べたい気分だからこの前行けなかったチュチュに行くか?今月いっぱい使えるクーポンを貰ってて⋯るるかも常連のお店だしさ。」

 

「そうね、行きましょう。」

 

 信義はこの流れからチュチュに行こうと提案してくる。そういえば、前に行こうとしていた時は混雑していたから店内で時間を過ごせなかった⋯でも、今日は行けそうな気がする。あの子の様子もゆっくり見れたらと思うばかりだ⋯

 

「いらっしゃいませ。あら、織田さん⋯来てくださったんですね?」

 

「今日こそ行けるかなって思って。この店の常連で彼女も一緒だよ⋯」

 

「今日も来たわ。」

 

「いらっしゃいませ。それでは空いてる席にご案内しますね?」

 

 そうして、私達を出迎えてくれたこの店のパティシエである帆羽くれあに案内されて私がいつも座ってる隅の席へと向かっては座る。実は彼女こそが私の親友だが、記憶を失っていて私のことは一切覚えていない。

 

「これ、ぬいぐるみ置きです。ご注文が決まったらいつでもお呼びください⋯」

 

 そうして、くれあはいつものようにマシュタンを飾る台を置いてから奥のキッチンでまたお菓子作りをしていく。本当に彼女の笑顔を見ているだけで私は安心できるもので、たとえ私のことを忘れていても幸せならばそれだけで満足だ。

 

「本当に良いお店だな⋯マシュタンをぬいぐるみと思っているだろうけど、台を用意してくれるとは。」

 

「本当にチュチュは良いお店というかあの子の気遣いが凄いのよ。あたしもるるかも本当にお気に入りなのよね♪」

 

「信義はここに来たのは初めて?」

 

「あんな達と一緒の時にここで事件があってその時には来たけど、ここのスイーツとかは食べたことがないかな⋯でも、このお店って凄く地元では定評だとは聞いてるよ。美人パティシエの帆羽さんとスイーツの美味しさで人気だけど、どちらかと言えば帆羽さんの人気の方が強いらしい。あの子⋯凄く美人で優しいしスタイル良いから納得だよ。間違いなくなくグラビアモデル界隈からスカウトされてるだろうな⋯」

 

「⋯」

 

 信義は働いているくれあの姿を見ながら彼女の話に聞いた評価とか彼自身がくれあに対して思ったことを私に話す。しかもとても興味津々な表情をしていたし、くれあのことを沢山褒めていた⋯彼女に信義を奪われないか不安である。

 

「るるか、大丈夫?」

 

「うん⋯マシュタン、大丈夫よ。信義は何を頼むか決めたの?」

 

「俺、アイスサンドケーキってのを食べてみたいなと思ってて。いちごのアイスが挟まってると聞いたら俺の好きなフレーバーだしさ⋯そう言うるるかは決めたのか?」

 

「私はいつものアイス3種盛り。ここに来た時はいつもこれなの⋯私が大好きなチョコミントも入ってるし。」

 

「とりあえず、それにしようか。飲み物は無難に紅茶かな?俺はコーヒーにするけど⋯すみませーん!」

 

「はい、お決まりでしょうか?」

 

 注文が決まって信義が呼び出すとくれあが出てきた。私としては望んでいない場面である⋯こんな時に店長の浅井さんじゃないのは忙しいからというのもあるかもしれない。ただ、くれあは今はお菓子を作れるレベルにはあるもののこういう接客業の方が比率としては多い。

 

「アイスサンドケーキのいちごとアイス3種盛りを1つずつ。あと、飲み物は紅茶とコーヒーで⋯」

 

「ご注文の方を繰り返しますね。アイスサンドケーキのいちごとアイス3種盛り、飲み物は紅茶とコーヒー⋯以上でよろしいでしょうか?」

 

「問題ないよ。なあ、るるか?」

 

「ええ⋯」

 

「かしこまりました、少々お待ちください。」

 

 そうして、くれあは次のテーブルへと注文を聞きに向かった。こんな感じで彼女は色んなテーブルや奥にあるキッチンを行ったり来たりしていながらも注文した品を忘れないぐらい頭が良い⋯それもそうだ、この子は頭の回転が昔から早かったのだから。私との記憶がなくなったとしても記憶力とかは健在である。

 

(くれあと話してる時の信義、凄く笑顔だった。彼が優しい人なのは分かってるけど、やっぱり私以外の子に笑顔でいるのを見てると胸が苦しい⋯これが恋なのね。)

 

「くれあちゃん、良かったら俺と写真を撮ってくれない?君目当てで来たんだよ⋯ついでにこの色紙にサインも書いてくれる?」

 

「えっと⋯」

 

「ずるいぞ!僕なんか隣の県からここに来たから僕か先だろ?くれあちゃん、僕と一緒に写真を撮ってください!」

 

「申し訳ありません。ここはパティスリーなのでこういうことは⋯ご注文の方をお聞かせ願えますか?」

 

「何だよ⋯俺、別にケーキとかいらないんで帰るよ。」

 

「僕も。くれあちゃんがこんなにファンサービスのできない冷たい人だと思わなかったです⋯隣の県から来て損したよ。」

 

「⋯」

 

 くれあに写真撮影をせがんだ男性客2人は彼女から断られると、怒りのあまりに店を飛び出す。それを受けたくれあはかなり落ち込んでいる様子だ⋯こういうことはNGだから断ったかもしれないが、ケーキとかの商品を召し上がらずに帰っていかれたのだから無理もない。

 

「またこういう人達が来たのか。帆羽さんは気にしなくて良いよ⋯仕事に戻ろう。」

 

「はい⋯」

 

 そのままくれあは店長の浅井さんと一緒に店の奥へと下がっていく。本当にこのお店の男性客のほとんどは彼女が目当てで来た人達が多くて私もこの人達を見ていて不愉快になることが度々ある⋯くれあはここのパティシエであってアイドルとかではないのだから。

 

「それにしても、帆羽さんってこんなに人気なのか⋯隣の県から来たとか言われてたし。確かに評判通りの美人さんだもんな⋯」

 

「もう、またその話⋯彼女の私の前で他の女の子を褒めないで。」

 

「ごめん⋯嫉妬させちゃったか?大丈夫だって。確かに帆羽さんは綺麗な人かもしれないけど、るるかは超絶美少女で俺の自慢の彼女だからな⋯大好きだよ。」

 

「本当に信義はずるい⋯でも、そんな正直なあなたが私は大好きよ♪」

 

 私は信義の真っ直ぐな気持ちに胸を打たれて嬉しくなり、私も大好きだと伝えた。本当に信義はみんなに優しく接するけど私にはその倍ぐらい優しくしてくれるし、その一つ一つの言葉には温かい心が宿っている。この人がファントムに来てくれて本当に良かった⋯

 

「お待たせいたしました。飲み物の紅茶とコーヒーにアイスサンドケーキのいちごとアイス3種盛りです。ミルクと砂糖はお好みの量でどうぞ⋯ごゆっくり。」

 

 そうして、くれあは私達が注文した品を運んできてはテーブルの上に置く。私の元には紅茶といつも頼むアイス3種盛り⋯信義のいちごアイスを挟んだケーキも美味しそうだ。

 

「それじゃあ、頂きます⋯うん、アイスの甘さとケーキの生地がふんわりしてて良いなぁ。これ最高だよ!」

 

「私も…やっぱりチョコミント、大好き。ねえ、信義も食べてみる?」

 

「俺がか?でも、どうやって⋯」

 

「あーん、させてほしいの⋯隣に移るわね。」

 

 私はアイスの盛られたを向かい側に押し込み、信義の隣に椅子を動かしてからそこに座る。それからチョコミントのアイスを1口分掬ってから信義の前に差し出す⋯

 

「ほら、あーん⋯して?」

 

「そう言われても。緊張するだろ⋯」

 

「緊張してるのは私も同じ。早く食べて?」

 

「分かったよ⋯うん、美味しい。チョコミントが苦手じゃなくなったかも⋯」

 

 信義は私が差し出したチョコミントアイスを緊張しながらも食べていく。彼は満面の笑みでチョコミントを美味しいと言ってくれた⋯私の愛情の味なのか、はたまたチョコミントの味なのか。信義も苦手を克服できて何よりだ。

 

「るるかもケーキ食べるか?お返ししてやるよ。」

 

「私も?うん、信義のケーキも食べたいと思ってたから⋯美味しい。いちごのアイスの甘さとケーキの生地のフワフワが広がってく⋯」

 

 そのまま私も信義がお返しで差し出したアイスサンドケーキを食べることに。こうして食べさせられてると、お互いに間接キスをしてるような感じで恥ずかしいところもある。でも、こうして食べ合うとお互いに愛が伝わってきてより美味しく感じるものだ⋯

 

「楽しそうに食べてますね?」

 

 そんな感じで楽しい時間を過ごしていると、これに気づいたくれあがやって来た。彼女は私達が美味しそうにケーキやアイスを食べてるのを見て凄く嬉しそうである。

 

「帆羽さん⋯いや、ごめんね。こうして周りが普通に食べてるのに俺達だけアツアツなカップルみたいなことをしてて⋯」

 

「いえ、どのように食べようと自由ですから⋯ただ、美味しくお召し上がりになっていればそれで十分です。本当に彼女さんとは仲良しなんですね?」

 

「うん。本当にウチのるるかが可愛いんだよなぁ⋯それにしても、さっきの様子も見てたけど帆羽さんって凄い人気だよね?」

 

「ありがとうございます。でも、さっきのようにケーキとかを頂かず私に会いに来ただけの人もいるんですよね⋯お店に来てくださるのは嬉しいことですけど、やっぱり私や店長の作ったものを食べてくださることが何よりも嬉しいことなので。」

 

「それもそうだよね。でも、帆羽さんって美人だしスタイルも良いから自然と君目当ての人も増えると思うけど⋯その中でモデルにならないかと誘われたこととかはあるのかな?」

 

「たまに芸能関係の人も来てこういうお誘いも頂くんですけど、私はあくまでもパティシエなので⋯やっぱりお菓子で勝負したい気持ちが強いです。」

 

「なるほどね。アイスサンドケーキとアイス3種盛りは帆羽さんが作ったの?」

 

「どちらも私ですね。聞くまでもないですけど、お気に召されて何よりです。」

 

「うん。帆羽さんは若いのに天才だよね⋯本当に今からでも独立できそうだと思うよ。」

 

「そんな⋯私はまだまだですよ。まだ店長に助けられてる部分もありますし、1人前になるには遠いです。」

 

「そんな謙遜しないで。君の才能は俺が太鼓判押しとくからさ⋯これからも頑張ってね!」

 

「ありがとうございます。それでは、ごゆっくり⋯」

 

 信義がくれあのことを褒めると、彼女は一礼してからまたキッチンへと戻る。本音を言えば信義の優しさは私が独り占めしたいところではあるが、こうやって自然な感じでみんなに優しい信義だからこそ私は彼のことを好きになったのかもしれない。それからも私と信義はチュチュで楽しい時間を過ごしてから割引券を使い信義が支払い店を出るのだった⋯

 

「美味しかった。やっとチュチュに行けて良かったよ⋯なあ、るるか?」

 

「うん⋯(やっと信義と一緒に行けたのは嬉しかったけど、ちょっと寂しかった⋯くれあと楽しそうにして。でも、この嫉妬する感じも恋なのかもね。)」

 

「マコトジュエルの気配がしたわね⋯それと嫌な予感もする。」

 

「マシュタン?」

 

「とりあえず、その場所へ向かおうか。マシュタン、占いで場所とか何が起きるかとか調べておいてくれ。」

 

「分かったわ!」

 

 それから私達はマシュタンの占いを聞いた上でマコトジュエルのある場所へと向かうことに。今頃はファントムの仲間の誰かが奪う為に行動に移しているはず⋯それに追いつきたいところだ。

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

sideあんな

 

 るるかさんとノブお兄ちゃんが去ってから私は率先して今回の事件のヒントを探っていくことに。まずは膝をついてから地面とか角度を変えて見ればきっと分かるはずだ⋯

 

「あんな?」

 

「ポチ?」

 

「何かるるかさんの手がかりがないかなぁって⋯」

 

「この辺りは徹底的にロンドンのキュアット探偵事務所のみんなが調べ上げたそうだ。そんな簡単に見つかるとは⋯」

 

『とはいえ、いくら優秀なロンドンのやつらでも見落としはどこかにあるはず。それをあんなが見つけれればだな⋯』

 

「自分の目で確かめたいの、ノブお兄ちゃんもだけどあの人も悪い人じゃないから⋯あの時もやっぱり私達を助けてくれたんだと思う。ファントムにいる理由が何かあるんだよ⋯私、その理由を知りたい!」

 

 そうして、次に横から取水塔ら辺を見て手がかりが何かないかを調べる。るるかさんに関する手がかりはきっとここにあるはずだ⋯私はどうしても知りたい、るるかさんがどうしてファントムにいるのか?何をしたいのかを。きっと半年前のここで何かあったに違いない!

 

「そうだよね、嘘で覆われた世界を天才探偵が望むはずがないもんね!」

 

「ポチ〜♪」

 

「そういう時はプリキットミラールーペを使って調べたらどうですか?ジェット先輩の作ったプリキットを使えばきっと謎は解けるはずです。」

 

「うんうん⋯」

 

「そうですね。オープン、プリキットミラールーペ!」

 

 私はすみれさんに言われてプリキットミラールーペを使い、辺りを見渡すことに。ジェット先輩の作ったミラールーペは本当に優秀でこれを使えば事件の手がかりになるものが結構見えてくるのだ。

 

「はなまる発見!」

 

 すると、取水塔の近くにある1枚の紙を発見⋯それを手にして見ると、表面が汚れていて何が記されているのかもよく分からない。これは何だろうか?

 

「これは⋯紙?」

 

「これが手がかりなの?」

 

「でも、何なのかよく分からないですね。」

 

「ポチ〜!?マコトジュエル!」

 

「おわああっ!?」

 

 すると、ポチタンはマコトジュエルに反応したのか私を引っ張ってからその現場へと向かう。こんな時にマコトジュエルが出てくるなんて⋯まだ十分に調べられてないのに!

 

「調査の途中だけど、行こう!」

 

「ええ!」

 

「忙しいなぁ⋯」

 

「マコトジュエルが現れたらそっち優先ですよ、ジェット先輩!」

 

『ファントムに取られる前に先回りしたいところだな⋯』

 

 引っ張られた私に続いて、みくる、すみれさん、ジェット先輩、ドギーも追いかけて行く。どこにマコトジュエルが現れたのか⋯とにかく、ファントムにマコトジュエルは絶対に渡さない!




いかがでしたか?次回は15話分の後編です。感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをして次回もお楽しみに!
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