そんな感じで今回は17話分の後半戦です。結構アレンジした部分も前回同様ありますが、最後の結末で伏線が大きく動き出しますのでどうぞお楽しみに!
それでは、また後書きにて。
side信義
「昨日お菓子作り体験する人が大勢来てね。パティシエ服はあと1着しかなくて他は洗濯に出しちゃったんだよ。」
店の中に戻り、帆羽さんが店長のたいらさんに俺とあんなのパティシエ服があるかを訊ねるもどうやらこの前日にお菓子作り体験教室があった関係で1着しか使えるものがないと告げられる。さて、どうしたものか⋯
「うーん、どうしようかなぁ⋯」
「残ってるパティシエ服のサイズはSMLのどれですか?」
「Lのみだった気がします。Lだったら織田さんが着るべきでしょうけど、あんなちゃんの分は⋯」
「ピンと来た、ちょっと待っててください!」
「「?」」
そう言ってからあんなは店の外へと出ていく。一体、何をすると言うのだろうか?この無鉄砲なところは俺に似たのかもしれないが、あまりにも急すぎる展開だ。
「とりあえず、僕は着替えてきますね⋯たいらさん、案内お願いします。」
「はい、こちらです。」
そうして俺はひとまずパティシエ服の在処をたいらさんに案内されてからそれに着替えていく。残っていたのがLサイズだったこともあり俺にピッタリ合ったのだが、よく残ったなと思うばかりだ⋯俺は運が良いにしてもあんなはちょっと不運を買ってしまう形になってしまったのは少し気の毒である。
(5分後⋯)
「お待たせしました。」
「あっ、ノブお兄ちゃん!」
俺が着替えを終えてレジにまた集まるとどういう訳かあんなの服装が店のものではないパティシエ服になっていた。いや、これはメイド服のようでもある⋯多分というか間違いなくグロスを使ったのだろう。
「織田さん!あんなちゃんのパティシエ服、どうですか?可愛いでしょう?」
「凄く似合ってるよ。可愛いな⋯」
「えへへ、ありがとう⋯ノブお兄ちゃん♪」
帆羽さんがあんなのパティシエ服についてどうかを訊ね、似合ってることを伝えるとあんなは少し照れながらも喜んだ。本当にあんなは従妹贔屓を差し引いたとていつでも可愛い女の子である。
「それじゃあ、ケーキ作りを始めましょうか。」
「はい!」
「よろしく頼むよ。」
それから帆羽さん、俺、あんなはキッチンに場所を移してケーキ作りを始めていく⋯材料はしっかり揃っているし、何よりも店の在庫のストックの数に驚かされた。流石は天下のパティスリーチュチュだよ。
「材料の計量はきっちりしっかりね?お菓子作りは正確さが大事なの。」
「はい!」
「ところで、織田さんはケーキを作った経験とかは?」
「あんなに簡単なケーキを作ったことはあるよ。とりあえず、バックアップはよろしくね?」
「お任せください!それじゃあ、始めましょう?」
そうして、俺達のケーキ作りは幕を開けた。卵を混ぜたり、粉をまぶしたり、大まかな作業は俺もあんなもプロである帆羽さんに手伝ってもらったが、オーブンに入れて生地が膨らむところのを待っていくことに。
「焼けた!ノブお兄ちゃん、私達のケーキの生地ができたよ?」
「ああ。まだまだこれからが本番だけどな⋯」
「2人とも良い感じですよ?デコレーションは私にお任せください!」
そうして、帆羽さんは俺達のケーキにデコレーションをしていく。あんなには普通のクリームを塗っていき、俺のにはチョコミントアイスを溶かして練り込んだクリームを塗っていく⋯るるかが好きなチョコミントを意識して作ってくれてるのは嬉しい話だ。
「完成!」
「⋯これって?」
しばらく待っていると俺達のイメージしたケーキがそれぞれ完成する。あんなのはいちごの乗ったバースデーケーキ、俺のはるるかの好みにピッタリなチョコミントケーキが出来上がった。生地は俺とあんなが作ったにしても本当にこのデコレーションは帆羽さん1人でやったものなのか⋯あまりのセンスの高さで店長のたいらさんが褒めてたのも納得である。
「あんなちゃんが誕生日をお祝いするバースデーケーキだよ?」
「えっ⋯」
「雪みたいに積もってるけど、暖かいって言ってたでしょ?あんなちゃんの誕生日は1月⋯ふわふわの雪みたいなデコレーションがされてるケーキで用意してくれたのはお母さん。あんなちゃんの喜ぶ顔を見たくてこんなケーキにしたんだと思う。」
「食べられなかったんです⋯誕生日ケーキ、しっかり用意してくれたのに今、お母さんと会いたくても会えなくて。」
あんなは今にも泣きそうな気持ちで自分の気持ちを帆羽さんに伝える。確かに⋯俺達がこっちに来る前だった2027年の1月24日はあんなの誕生日で彼女の母親である叔母さんはケーキを用意していたことだろう。その前日の夜には『あんなにバースデーケーキとしていちごのケーキを買うんだ』ってことを言ってたし⋯俺も泉さんが殺されたあの事件がなかったら非番だったのであんなの誕生日をお祝いしていただろう。俺だって祝いたかったからこの子の気持ちはよく分かる。
「それがあんなちゃんの元気がない理由ね。」
「えっ⋯」
あんなの気持ちを受けて帆羽さんはそれを優しい感じで聞いては何も言わずに母性溢れる笑顔で受け止める。本当に帆羽さんは俺よりも年下であるはずなのに母親のようでもあり姉のようなその懐の深さがあってあんなの目には次第に涙が零れようとしていた。
「すみません⋯」
「どうして謝るの?」
「だって私、探偵なのに⋯困ってる人の力にならなきゃいけないのに。」
「あんな⋯」
「えっ?」
泣いているあんなを見て黙っていられなくなった俺は帆羽さんを制してあんなを抱き寄せた。そのまま俺は彼女の頭を撫でていく⋯
「今は泣いていい。いきなり親と別れるなんて辛かったもんな⋯まだ14歳なんだから。平気な訳がないだろ⋯」
「ノブお兄ちゃん⋯」
「あんな、もう強がらなくて良いからな。寂しい時は寂しいと周りに頼ってほしい⋯俺でもみくるでもすみれでも帆羽さんでも誰でも良いから。探偵だからとか考えて我慢をするなよ?」
「ううっ、うん⋯ごめんね、ノブお兄ちゃん。でも、ありがとう⋯」
「あんなちゃん、これで涙を拭いて?」
そうして、帆羽さんはあんなにハンカチを渡してから一旦俺から離れて涙を拭っていく。本当に彼女の優しさに裏も何もなく、本当にまっすぐでいて優しい子だ⋯ファントムに加担している俺なんかよりも心が綺麗である。
「くれあさん、ありがとうございます⋯」
「あんなちゃんは強いから寂しさを隠してしまうんだろうけど、心の煌めきを大切にしてほしいな。」
「心の⋯煌めき。」
「うん。心にあるまっすぐな気持ち⋯楽しいや嬉しいだけじゃない、悲しいや寂しいって気持ちもあるの。無理して抑えることはないわ⋯心の煌めきは真実だから。」
「心の煌めき⋯良い響きだな。俺の煌めきとかもさっきので分かってるのか?」
「はい。織田さんの場合はるるかさんの為にケーキをプレゼントしたいっていうまっすぐな煌めきが見えました⋯あの人が好きなのはチョコミント。体調を崩していて早く治ってほしいって気持ちが伝わりました。」
「当たりだ。帆羽さん⋯君の直感には敵わないよ。何なら君も探偵をやってみない?」
「お気持ちは嬉しいですけど、私はパティシエなので⋯申し訳ありません。」
「そうか⋯」
俺は直感が鋭い帆羽さんに探偵になるように進言するも彼女はそれをパティシエだからとして断った。でも、るるかの話やるるかが大事にしていたあの写真からして帆羽さんがるるかの親友なのは推測できるが断定はできない。ただ、仮にそれが真実だとしたら彼女はロンドンの探偵事務所のオーディションをるるかと共に受けたということになる⋯だとしたら彼女は既に探偵だったはずなのだが、何をもって探偵を辞めてパティシエになったのだろうか?そこが疑問だ。
「それで、くれあさんはその『煌めき』からケーキを作ってるんですか?」
「ええ、私はその人の煌めきを知ってケーキを作ってるのよ?楽しい気持ちはもっと楽しくして寂しければその寂しさを癒してあげたいの。」
あんなが帆羽さんにどういう心境でケーキを作っているのかを訊ねると、彼女は煌めきに合わせてその人を喜ばせたり癒したりしてるということを答えた。何とも帆羽さんらしい答えである⋯確実に俺よりも若いのに俺と同じぐらいどころか俺以上に人生経験を積んでるのかと思うぐらい人間が完成している。俺も今やるべきことが解決して事務所に戻れるのならあんなの従兄というか実の兄的ポジの立場としてこういう兄貴になりたいと思った。
「あっ⋯ちょっとすみません。」
「どうぞ?」
ちょうど帆羽さんが話し終えたタイミングでボイスメモの着信音が鳴る。あんなはとりあえず一言挟んでからボイスメモを立ち上げては交信をすることに⋯
『あんな、聞こえる?』
「みくる、どうしたの?」
『マコトジュエルが盗まれたの。今、すみれさんとポチタンとドギーでその場所に向かってるから⋯あなたも来て?私も頼りになるように頑張るから!』
「えっ、うん⋯分かった!くれあさん、あの⋯」
「行ってらっしゃい!」
「ありがとうございます、行ってきます!」
「待て、あんな⋯俺も行かせてもらう。帆羽さん⋯ケーキは大事に管理しといてくれる?」
「ええ、お任せください。戻ってくるのを待ってますから!」
「ありがとう。」
「ノブお兄ちゃんも行くの?」
「ああ、俺が行ったらダメなのか?」
「ううん⋯それじゃあ、行ってきます!」
そうして、俺とあんなはケーキを帆羽さんに託して現場へと向かうのだった。マコトジュエルが盗まれたとなるとファントムの誰かかジャックの仕業だろう⋯とにかく、マコトジュエルはどんなやつだろうと絶対に渡さない!
「あんな〜!」
「あんなさん⋯とノブおじいちゃん!?」
その現場へと向かう道中、みくると彼女を引っ張るポチタンとすみれに加えてドギーもリードで導かれて合流する。恐らく検知したのはポチタンだろうが、そうにしてもみくるがどうも疲れ気味なのが気になる。
『お前、まさかマコトジュエルを横取りしようと!』
「ボス、どうやらその様子じゃなさそうですよ?」
『しかし⋯』
「みくる、どうしたの?かなり疲れてるけど⋯」
「はあ、はあ⋯元気が出ないかもしれないけど、頼りないかもしれないけど、でも⋯私いるからね!」
「みくる⋯ありがとう、みくるの顔を見たらもっと元気が出た!」
あんなはみくるの気持ちを知って安心したのか元気な笑顔で感謝を伝える。まさにあんなとみくるの2人は奇跡の2人とも言えるだろう⋯まさに良き相棒にして親友だ。
「良かったな⋯あんな。」
「ところで、師匠はどうしてあんなと一緒だったんですか?るるかさんはどこへ?」
「いや、あいつは体調を崩してて⋯チュチュでケーキを作ってもらおうと思ってたんだ。それで、あんなと一緒になって⋯」
「あっちポチ!」
『ポチタンがマコトジュエルの方向を示している。行くぞ!』
「はい!」
「「うん!」」
「ああ!」
そうして、俺達はポチタンに導かれてマコトジュエルがある方向へと向かう。この感じだとファントムかジャックに盗まれた後だ⋯とにかく、どの道にしても取り返さないといけない。
「来やがったな、プリキュ⋯って、どうしてお前さんがここに!?」
ポチタンに導かれた先の場所に到着すると、そこにはゴウエモンの姿があった。手にはうさぎの人形を持っていて恐らくは子供から盗んだのだろう⋯ファントムに加担している俺とはいえ何ともやり手が悪どいものだ。
「その人形はあの子の!」
「返して!」
「ならば俺と勝負だ!」
「タイム!」
「「「えっ?」」」
これから戦いの火蓋が切られそうとした時、俺はタイムをかけてこの時間を止める。俺のことをそっちのけでやろうとしていたし、何よりも邪魔されてこっちも機嫌は良いものではない。ここはジェスチャーでゴウエモンと話す時間を作った。
【ゴウエモン、これから俺達はやるべきことがあるから手短にとっとと負けてくれないか?】
【お前、何を言ってるんだ?俺に負けろとか正気か!?俺が負けたらウソノワール様に怒られるんだぞ?】
【それに関してはお前から話をつけといてくれ。俺は今、体調を崩したるるかにケーキを作ってた最中で店の人を待たせている。とにかく、ケーキはゴウエモン達にもおすそ分けするから自然な感じで負けてくれ!マコトジュエルは俺が自然と回収するから。】
【なるほど⋯お前を信じて良いんだな?】
【ああ、俺は嘘をつかないから信じてくれ!】
【了解。よろしく頼むぜ?】
そうして、俺とゴウエモンはジェスチャーでのやり取りを終える。もちろん、この動きからしてあんな達が分かることなどない。変なことをしてるなとは思われるだろうが⋯
『信義、何をしてたんだ?』
「気にすんな。さあ、かかってこい!」
「お前さんから乗り気とは良い度胸だな⋯やってやるぜ!嘘よ 覆え、来やがれ⋯ハンニンダー!」
「ハンニンダー!」
そうして、ゴウエモンは俺の挑発に乗って手に持ってるうさぎのぬいぐるみからハンニンダーを生成する。本当にここまでは順調に阿吽の呼吸で俺のシナリオ通りだ⋯さて、どう倒してマコトジュエルを回収してからゴウエモンには帰ってもらおうか。
「あんな、みくる、すみれ、変身だ!」
「ボス、ノブおじいちゃん⋯何か変ですよね?」
『ああ。何かさっきゴウエモンとやり取りがあったように見えた気がするんだが⋯』
「そんなの気のせいだよ!ねっ、みくる?」
「そ、そうだね⋯すみれさんも変身しましょう?」
「分かりました⋯」
「「「「オープン!」」」」
「「ジュエルキュアウォッチ!」」
「「ジュエルキュアライセンスフォン!」」
「「「「プリキュア・ウェイクアップタイム!」」」」
(変身中⋯)
「どんな謎でもはなまる解決!名探偵キュアアンサー!」
「重ねた推理で笑顔にジャンプ!名探偵キュアミスティック!」
「気高く咲き誇る答えへの道標、名刑事キュアバイオレット!」
「百鬼夜行を斬り敵を撲滅、名刑事キュアマスター!」
「「「「名探偵プリキュア!」」」」
「俺の答え、見せてやる!」
俺達は変身をして、名乗りまでもを決める。こうして俺がこっちで名乗るのはどれぐらいぶりだろうか?しかし、恐らくは今日限定の仲間復帰⋯アンサーとミスティックとバイオレットがどれだけ成長したかを見せてもらうとしよう。
「ハンニンダー、うさぎの跳躍力を見せてみやがれ!」
「ハンニンダー!ハンニンダー!ハンニンダー!」
うさぎのハンニンダーは踏み込む力をバネにして高くジャンプしながらこっちに向かってくる。やはり、自然な感じで襲わせてきたか⋯ちょっと特攻するのはやられに行ってる半分ではあるけども。
「みんな、避けろ!」
とりあえず、このジャンプ攻撃は簡単にいなしていくことに。本来だったらここで俺が一撃入れても良かったのだが、自然にやられることが前提なので俺が簡単に仕留めたら八百長が明らかになる。ここは少し泳がせることにしよう。
「ハンニンダー!」
その次にハンニンダーは人参のミサイルを放ってくる。簡単に攻撃を許すではなく次から次に攻撃してくるのも自然な流れだ⋯違和感も何もないだろう。
「はあっ!」
「えいっ、たあっ!」
「やあっ!」
「おらぁっ!」
「ハンニンダー!?」
しかし、そのミサイルはそれぞれ蹴ったり殴ったりで弾き返したり俺とバイオレットはそれぞれの剣で斬っていく。なかなか熱いバトルをやってくれるな!
「ちょこまかちょこまかと!」
「ハンニンダー!」
「きゃあっ!?」
そんな中でハンニンダーはどういう訳かミサイルをアンサーに向けて放っては彼女も避ける余裕がなく直撃してしまった。俺とゴウエモンの間で取り決められた紳士協定はあっさり破られたのだ⋯
「「アンサー!」」
「お前、話が違うだろ!」
「何のことかさっぱり分からねえな⋯悪いが手加減はできねえもんでね。」
「くっ!」
俺はまだまだ言いたいことは沢山あるのだが、それを噛み締めてアンサーの元へと向かう。本当にファントムの人間は信用ならないものだ⋯こうもあっさり紳士協定を破られて俺は腹が立った。
「ハンニン、ダー!」
「ミスティックリフレクション!」
ハンニンダーはダメージを受けた後のアンサーにミサイルを3発お見舞いするもそれはミスティックがミスティックリフレクションを上に張って阻止する。しかし、これがいつまで持つかは分からない⋯ミスティックの踏ん張りどころだ。
「ぐっ、ううっ⋯」
「しぶといな、さっさと諦めろ!」
「諦めないよ⋯」
「?」
「だってその人形にはあの子の心から大好きって気持ちやお母さんの愛情でいっぱいなの!心の煌めきが沢山詰まってる!!」
「そうです。ゴウエモン、あなたには分からないと思いますけど親の愛というのは無限大なんですよ⋯それを邪魔することは許しません!」
「ミスティック、このまま俺達で押し切るぞ!」
「師匠、アンサー、バイオレット⋯はい!」
「「「「はああっ!」」」」
アンサーの気持ちの強さに感化された中で俺とバイオレットまでもミスティックを支え、そのままバリアで攻撃を押し返した。これが本来の俺達が重なった時の強さである⋯
「よし、ここは俺が⋯」
「お兄ちゃん、私に任せて!」
「アンサー⋯分かった。」
「オープン、プリキットミラールーペ!ポチタン!」
「ポチ〜♪」
「マコトジュエル!」
アンサーがルーペを展開して、ポチタンからマコトジュエルを受け取ってはルーペにセットする。本来は俺が決めるつもりだったが、彼女のやる気に押されて従兄として譲った。
「キュアアンサーが解決!⋯プリキュア・アンサーはなまるソード!」
アンサーはルーペのダイヤルを回してからそれを大剣へと変化させては敵のハンニンダーへと襲いかかる。これに対してハンニンダーは動きようがなかった。
「はあああああっ!」
そのままアンサーははなまるソードを振り、ハンニンダーを見事に斬り裂く。本当にアンサーは今回の経験を糧にさらに強くなった気がする⋯これが彼女の心の煌めきだ。
「キュアっと解決!」
「ハン、ニン、ダー⋯!」
ハンニンダーはアンサーのはなまるソードに屈して浄化されていき、マコトジュエルとうさぎの人形を取り返してマコトジュエルをアンサーがポチタンに渡していく。
「ポチポチ、キュアキュア〜♪」
マコトジュエルを与えられたポチタンは喜んでそれを吸収する。これでまた成長することになるのだが、ゴウエモンとの約束を裏切る形にはなってしまった⋯まあ、あっちも裏切ってるんだからお互い様ってところか。
「くっ⋯キュアマスターめ、話が違うじゃねえか!ひとまずお暇さるぜ?」
そう言ってゴウエモンはこの場から退却する。壊された土地も元に戻ったし、うさぎの人形もマコトジュエルも戻ったことだから結果オーライではありそうだ⋯少し思惑は崩れたが、兄貴として我慢しよう。
「とりあえず、女の子に人形を取り返せて良かったな⋯」
「うん!ノブお兄ちゃんも助けてくれてありがとう♪」
「あっ、ごめんなさい⋯」
女の子を見送ってた時、そのタイミングでみくるの腹の虫が鳴き出した。本当に素直というか⋯妙にバカ正直なところがあんなと似た部分もあるようにも思える。
「グルルポチ!」
「ふふっ、トレーニングをしてお腹が空いたんですね?」
「はい⋯」
「ちょうど良かった!私、ケーキ作ったの。ジェット先輩も呼んで一緒に食べない?」
「良いですね!ノブおじいちゃんもどうかな?」
「悪い、俺はケーキを取りに行ったら帰るよ。るるかが待ってるし⋯とりあえず、お前らとはまた敵同士になるかもしれないがその時は容赦しないからな?」
「そうなんですね。私、絶対に師匠には負けませんから!」
「ノブお兄ちゃん、今日はありがとう!やることが終わったらまた私のお兄ちゃんに戻ってくれるよね?」
「その時が来たらな⋯」
そうして、俺はみんなの前から去って一足先にチュチュでケーキを受け取った。帆羽さんからは『あんなちゃんと一緒じゃないんですか?』と言われたが、今の俺はあんな達と一緒にいる資格はない。あいつらもあいつらで楽しい時間を過ごせたらと祈るばかりだ。
「やはり、帰ってきたか⋯」
俺がファントムのアジトに帰るとやはり出迎えに来たのはゴウエモンだった。とりあえず、言いたいことは読めている⋯恐らくは当たっているはずだろうが。
「帰ってきたら悪いのか?それよりも俺の指示を無視して本気を出しやがって⋯」
「仕方ねえだろ?ここで負けたらってことを考えたらつい⋯そう言うお前さんこそマコトジュエルをプリキュアに渡しやがって。俺はウソノワール様からさっきまで詰められてたんだぞ!?」
「それは悪かった。まあ、お互い様ってことだ⋯とりあえず、るるかのところに行かせてくれ。ケーキは後でお前達に山分けしておくからさ⋯」
「分かった。まあ、お前さんも兄らしいところを見せたかったんだろうよ⋯これ以上は何も言わねえ。アルカナ・シャドウのことはよろしく頼むぜ?」
「ありがとな⋯」
そうして俺はゴウエモンに送られてるるかが寝ている寝室へと向かうことに⋯俺の煌めきの込もったケーキ、食べてくれたら嬉しいものだ。
「るるか、ケーキ買ってきたぞ?」
「おかえりなさい⋯」
部屋に入ると、マスクをつけてて額に冷えピタを貼っているるるかが布団に入りながら俺を迎える。どうやらお粥の方は完食していてマシュタンもここまで看病をしてくれていたようだ⋯
「随分と遅い帰りじゃない。もしかして、パティシエのあの子に浮気とかしてないでしょうね?」
「マシュタン、違うって!俺は断じてるるか以外の女の子とは浮気はしないからな?確かに帆羽さんは美人ではあるけど⋯」
「それで、どんなケーキを買ってきたの?」
「買ったというか作るのを手伝ったんだよ。見てくれ、チョコミントケーキだ!」
俺はるるかの目の前でケーキを箱から取り出して実物を見せる。チョコミントのライトグリーンのクリームが塗られていて上にはいちごが乗っているケーキ⋯るるかの好物の味のツボをしっかりと帆羽さんが押さえてくれたようだ。
「チョコミントのケーキ⋯早く食べたい。」
「ちょっと待ってろよ?ナイフで1人分に切ってやるからな⋯」
そうして、俺はキッチンから持ってきたナイフでチョコミントケーキ1人分を俺とるるかの分の2人分カットしていく。その間にマシュタンはどうやらさっき紅茶を作っていたようでそれが入ったポットからティーカップに注ぐ。
「それじゃあ、ケーキ食べようか⋯頂きます。」
「頂きます。」
俺とるるか(マスクをずらしている)はフォークでケーキを1口分捌いてからそれを口に運ぶ。口に入れるとケーキのふわふわな生地の感触が伝わり、その奥からチョコミントの爽やかさの中にあるチョコの甘みが広がる⋯これが俺の煌めきが生み出した味なのか。それを引き立てた帆羽さんの才能もあるだろうが⋯
「美味しい。私の好きなチョコミントといちごの甘酸っぱさ⋯アイスを食べてるみたい。」
「気に入ってくれて嬉しいよ。しかし、本当に美味しいよな⋯俺も手伝った甲斐があるもんだ⋯」
「そんなに美味しいのね?あたしも食べたいわ⋯」
「マシュタンにもやるよ。ほら、あーん?」
「あーん⋯美味しい!これが信義の愛の味なのね?確かに伝わったわ♪」
俺がマシュタンにケーキを1口分あげるとかなり気に入ったのか凄く喜んだ。こう考えると俺もケーキ作りを手伝えて良かったと思える⋯るるかとマシュタンが喜んで何よりだ。
「信義⋯ありがとう、ケーキ美味しかったわ。」
「こちらこそ⋯なあ、るるか。」
「どうしたの、真剣な目で私を見て⋯」
俺は思わずるるかの顔を見つめる。風邪をひいて少しキツそうな顔をしているが、こんなにも可愛いと美人が両立してる女の子なものだから素敵としか言いようがない。でも、ここで話すべきかどうか⋯
(いや、今言うのはよしとこう。ここで帆羽さんがるるかの親友ではないかと憶測で話したら嘘にしても本当にしても怒らせてしまうだろうな⋯このことは今は俺の胸の中に秘めておこう。)
「何を黙ってるの?言いたいことがあるなら言ってみなさい。隠し事とは信義らしくないわね⋯」
「マシュタン、そんなに急かさない。焦る必要はないわ⋯今はまだ話しづらいのでしょう?」
「まあ、話したところで良い気はしないだろうし。だから決断に悩んでて⋯」
「安心して。私は怒らないから⋯あなたの言うことはどんなことでも受け止める。だから、教えて?」
「るるか⋯」
俺がるるかに今日、帆羽さんにるるかのことを写真をソースとして探ったことを言えずにいる中でるるかはどんなことでも受け止めると言ってくれた⋯とりあえず、本人が大丈夫ならと俺は彼女に話すことに。
「実は帆羽さんにお前のことを訊いたんだよ⋯この写真を見て覚えているのかって。」
「それは⋯!?」
俺はるるかが大事にしていた写真をコピーしたものを本人に見せながら今日あったことを話す。しかし、聞かされたるるかは動揺していた⋯マシュタンも同様である。
「あなた、どうしてその写真を持ってるの!?それはるるかしか持ってないはず⋯」
「黙ってて悪かった。実はるるかがいない隙にコピーさせてもらったんだ。これ、お前が前に言ってた3年前のロンドンのキュアット探偵事務所の⋯「それ以上は言わないで!」⋯るるか?」
俺がるるかに写真のこととか調べたことを話そうとすると彼女は声を荒らげて突如怒り出す。何か調べたらまずいことなのだろうか⋯相当な荒れようだ。
「ごほっ、ごほっ⋯」
「るるか、大丈夫?まだ叫んじゃダメよ?」
「なあ、俺が今調べてることって何か知られたらまずいことでもあるのか?」
「とにかく、私から言えることは1つ⋯このことからは手を引きなさい。あの子には二度と関わらないで⋯それがあなたの身の為よ?ごほっ、ごほっ⋯」
「悪かった。ごめんな、るるか⋯知られたくないことを調べてしまって。とにかく、もう今日はゆっくり休め⋯まだ治ってないんだから。」
「そうね⋯でも、今はしばらくマシュタンと2人きりにさせて。」
「分かった。じゃあ、また後でな⋯」
るるかが取り乱しから落ち着くと、俺は彼女の言う通りに部屋を出て残りのケーキをゴウエモンとかの部下におすそ分けした。もちろん、ウソノワールにも。しかし、るるかと帆羽さんの関係は開けてはいけないパンドラの箱なのだろうか?手を引けとは言われたが手を引きようもない⋯俺は調べるべきか言うことを聞くべきかの瀬戸際に立たされるのだった。
いかがでしたか?また次回も読みたいと思った方は感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをよろしくお願いします!
次回はついにあの作品とのコラボ回⋯ではありますが、これは原作通りのあの作品とのコラボ回です。実際はるるかちゃんとか出ませんでしたけど、結構アレンジしてお届けしますのでお楽しみに♪