そんな今回はキュアット探偵事務所に初依頼の話ですが、まず信義から先に来ることに⋯どんな探偵活動が幕を開けるのか?本編をゆっくりお楽しみください。
side信義
パーティーの翌日、事務所には早速殺人事件の捜査の依頼が警察から直々に来て現場で捜査をして推理していた。その中で犯人が分かり、これから3人の容疑者とその1人の奥さんの前で犯人を告げる場面である。
「今回の殺人事件の犯人は池山臣吾(いけやましんご)さん⋯あなたです!」
「なっ⋯!?俺が?探偵さん、俺にはアリバイがあるんですよ?何を言ってるんですか?証拠を出してくださいよ!」
「証拠ならあります。さっき僕が発見したものですけど、被害者が残したメモ用紙⋯そこに犯人を記すダイイングメッセージがありました。丁寧に池と山の絵が描いてましたよ?」
「それを証拠だと言ってるんですか?絵だけで決めるって早計でしょうよ!決定打となる証拠はあるんですか?」
「それもありますよ、あなたのワイシャツの第2ボタンが外れてることです。これも僕がさっき見つけたんですけど、遺体の近くにそのワイシャツのボタンと同じのが落ちていました。恐らく取っ組み合いになったところをナイフで刺した時に被害者が倒れる時に手がボタンに引っかかって外れたんでしょう⋯違うと言うのならこのボタンを鑑識に回しますけどよろしいですか?まあ、被害者以外にあなたの指紋も出ると思うんですけどね。」
「ぐっ⋯」
「あなた、嘘よね?まさか⋯古田さん(被害者)を!?」
「ああ⋯そうだよ、俺が古田を殺した。あいつは俺の手柄を奪って出世を阻んだ⋯古田は順風満帆に出世していったが、俺は成果を上げてないとされて窓際に追いやられたんだよ!あいつがいなかったら俺は今頃係長だったんだ!!」
「だから古田さんを殺したってわけか⋯笑わせるんじゃねえ!」
俺が証拠品を出して奥さんにも問い詰められた池山さんはとうとう犯行を自白すると、それを黙って聞いていた28年前当時のサルさんが彼に対して怒鳴りつける。しかし、こういう鬼の厳しさは昔から変わっていない⋯相変わらずの正義感と迫力だ。
「仕事の手柄ごときが何だ、それなのにお前は何も努力せずに人を恨むことしか考えてねえのか?反骨精神も何もない人間に人を恨む資格なんかねえ!」
「す、すみませんでした⋯」
「池山臣吾⋯お前を殺人の容疑で現行犯逮捕する。」
サルさんの圧に負けた池山さんは無抵抗で他の刑事から手錠をかけられて逮捕され、署に連行されていく。その様子を彼の奥さんは何とも言えない表情で見届けることしかできなかった⋯それもそうだ、普段は家庭を大事にしてた旦那が知らないところで殺人をしてたからな。これに関しては奥さんが気の毒でしかない⋯同時に容疑者の他2名の男性も現場を後にする。
「織田さん、流石の推理でしたよ!やはり、ティアラの窃盗を食い止めた探偵さんは違いますね。」
事件が解決した直後、捜査の中であまり見かけなかった黒髪ショートでイケメンのような顔立ちをしてズボンスタイルのスーツを着た長身の女性刑事が声をかけてきた。まるで宝塚の男役スターみたいな雰囲気でメンズのスーツも違和感なく似合いそうである⋯
「あなたは?」
「申し遅れました⋯私、○○県警本部捜査一課4係の薫風(くんぷう)すみれと申します。あなたとは別行動だったので初めましてですね⋯どうぞよろしくお願いいたします。」
イケメン女子の刑事は丁寧に警察手帳を見せてから名を名乗る。すみれ⋯か、花のように美しいビジュアルに似合う名前だ。何よりも苗字の『薫風』が宝塚感出ていて悔しいかもだが、男の俺よりもイケメンで負い目を感じてしまいそうだ。
「カオルは最近入ってきたウチの新人刑事ですけど、織田さんにも負けない推理力で結構な事件解決に貢献している期待の新星なんですよ。もう指導係の俺なんか軽く追い越していて参ったもんっすね⋯」
(カオル⋯薫風さんのことだよな?)
「猿田さんこそ細かいところにすぐ気づく洞察力がありますから⋯そこは私でも及ばないですよ。でも、どうして猿田さんはこれだけ凄い刑事なのに班長とか主任とかやらないんですか?」
「俺は出世とかに興味はねえんだよ⋯偉くなったら現場に出られなくなるからな。現場主義の俺としてそれは受け付けられないんでね⋯まあ、巡査部長の昇進試験は受けて合格はしたよ。これは受けとかないとって上司がうるさかったからな。」
「誰がうるさいって?」
「八重樫係長、何でもないっす!」
サルさんが薫風さんからの質問に対して上司に対する愚痴も交えて答えるも、その張本人である当時の係長である八重樫亨(やえがしとおる)さんがやって来ては睨まれてしまいサルさんは怯んでしまう。あの自由奔放で年下の上司の言うことすら気にしないぐらいマイペースなサルさんがこんなに怯むのは今を思うと珍しいものだ。
「織田さん、本当に今回は我々の依頼を受けてくださりありがとうございました。とりあえず、報酬に関してはお金を渡す訳にはいきませんので後日お礼の品を事務所の方にお送りしますね。これからもよろしくお願いいたします。」
「いえ、僕は事件を解決させたまでです。お困りの時はまたいつでもお呼びください。」
係長の八重樫さんは俺に礼を言ってから握手を交わす。とりあえず、これでキュアット探偵事務所と警察にパイプができて実績に箔もついたことだろう⋯
「係長、この後の打ち上げに織田さんを誘うのはどうっすか?今回の英雄ですからもうパーッとやっちゃいましょうよ!」
「そんな⋯英雄だなんて、サルさんったら褒めすぎですよ?」
「だから、俺のことを『サルさん』って呼ばないでくださいよ⋯勘弁してほしいっす。俺はそんなベテラン刑事じゃないっすから⋯」
サルさんに褒められて俺が謙遜すると、サルさんはさらに謙遜して照れるのだった。俺は最初に会った時から彼をノリで『サルさん』と呼んでいたがこの反応で、まあこの時は若手の刑事だったし今の年齢の俺とあんまり変わらない30歳ぐらいだしな⋯そりゃあベテランのように扱われたら申し訳ない気持ちにもなるだろう。
「本当に織田さんは猿田と仲が良いですね。それで、打ち上げの方はどうされますか?」
「はい、もし僕で良かったら⋯」
俺が八重樫さんからの誘いを受けようとしたその時、俺のジュエルキュアライセンスフォンの着信音が鳴り出す。ちなみにこれはボイスレコーダーとの交信も可能であり、今のところは連絡先を誰とも交換してないから恐らく相手はあんなかみくるだろう。
「すみません⋯ちょっと出ますね。もしもし?」
『ノブお兄ちゃん、大変なの。今、とんでもなく変な事件の依頼が来ちゃって⋯』
その声の主はやはりあんなで変な事件に関してを依頼された言って困惑した様子が声から伝わる。とんでもなく変な事件か⋯漫画とかアニメとか推理小説に出てくる頓痴気な事件でも引き受けてしまったのだろうか?とりあえず、話を聞くことにした。
「変な事件?簡単な内容だけでも教えてくれ。」
『それが⋯大学生の男の人が来て、その人のバッグの中身が変わっていたらしいんだけど、中身がリンゴ、じゃがいも、玉ねぎ、食パン、エプロンになってたみたい。』
「とりあえず、話は大体分かった。その大学生の人には待たせておくようにみくるには伝えといてくれるか?」
『うん、そう言っておくよ。ごめんね、殺人事件の推理をしてる中でこんな電話をして⋯』
「いや、事件は解決したから大丈夫だ。今すぐ向かうからな?」
『本当?それじゃあ、キュアット探偵事務所で待ってるね。』
そう言ってあんなは俺との交信を切る。しかし、これまで受け持ってきた窃盗とは打って変わってバッグの中身が突然変わるというかなりおかしい事件に巡り会ってしまった⋯詳しい話はとりあえず事務所に着いてその依頼人の大学生から聞くことにしよう。
「変わった形の携帯電話ですね?」
「えっ⋯まあ、僕の地元に流通してる最新型ですよ。八重樫さん、お誘いのところ申し訳ありませんが次の事件の依頼が来たので事務所に戻らせていただきます⋯また今度お誘いください。」
「そうですか。頑張ってくださいね!」
「俺も応援してますよ。」
「お気をつけて!」
「ありがとうございます。それでは⋯」
俺は八重樫さん、サルさん、薫風さんに見送られて現場を後にしてからキュアット探偵事務所へと向かった。しかし、リンゴにじゃがいもに玉ねぎに食パンにエプロンか⋯カレーを作るにしては色々おかしいのだがどうして中身がそれらに変わったのか?それを移動に使った自転車を漕ぎながら考察していく。
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「キュアット探偵事務所の主任探偵の織田信義です。」
「小松崎純一です。」
探偵事務所に戻ってから俺は依頼者である純一さんに名刺を渡すと、彼もご丁寧に名前を名乗る。しかし、話を聞いただけでも随分おかしな事件だがその実態を聞き出すことにしよう⋯
「それで、純一さん⋯この子達には話したと思いますけど、もう一度僕にお話しください。」
「実はここら辺にあるまことみらい出版に向かおうとした時にバッグの中身が変わっていたんです。」
「中身についてはあんなから聞いてます。しかし、まことみらい出版に何の御用だったんですか?(まことみらい出版って28年前からあったのか⋯まあ今では歴史あるような佇まいだもんな。)」
「純一さんは漫画家志望でこのバッグの中には本来だったら漫画の原稿とか着替えが入ってたそうです。」
「そうか⋯ありがとな、みくる。純一さんは漫画家を志望されてるんですね?」
「はい。僕、小さい時から漫画が大好きでずっと夢見てきました⋯だからここで叶えようと思って勝負をかけたんですけど、こういうことになっちゃって。今日、原稿を見せる予定だったけど間に合いそうにありません。折角、探偵事務所を見つけてここまで助けを求めてきたのに⋯」
「純一さん⋯」
純一さんは突然の中身すり変わり事件に平然としていられずに落ち込み絶望する。そりゃあ長年の夢がこんな形で崩れると思ったら立ち直ることなんて無理だろう⋯俺も何が原因でこうなったかが分からないと手の打ちようがない。
「ねえ、ノブお兄ちゃん⋯」
「分かってるよ。でも、どうしてこうなったのか⋯ん?」
「どうしたんだ、信義?」
「あの、何か気づいたことでもあるんですか?」
「純一さん、そのバッグ⋯やけに短くないですか?」
「本当だ。僕、短くした記憶ないのに⋯この汚れは?」
俺がバッグの紐が短いことを指摘すると純一さんもそれに気づくが彼はまた新たな発見をする。俺もそこは盲点だったが、下の方が汚れていたのだ。
「ノブお兄ちゃん、みくる⋯もしかして、バッグの中身が変わったんじゃなくてバッグ自体が変わってたりとか?」
「それが濃厚か⋯あんなもよく気づいたな。とりあえず、一緒に探しましょう!」
「分かりました。」
「でも、この汚れが何の汚れなのか⋯もしかしたら、入れ替わったことと関係があるかもしれませんね。」
「みくる⋯それを考えるのは後の話だ、今は街中から手がかりを探すぞ!」
「そうですね。すみません、師匠⋯」
「とりあえず、ジェット先輩はドギーと一緒に留守番しといてくれ。俺達は純一さんと一緒にバッグを探してくるから!」
「分かった、あいつらの仕業かもしれないから気をつけろよ。」
「あいつら?」
「ああ、分かってる。行くぞ⋯あんな、みくる!」
「「うん(はい)!」」
そして、俺、あんな、みくるは純一さんを連れて漫画原稿の入った本物のバッグを探しに探偵事務所を出るのだった。ジェット先輩からはファントムの仕業かもしれないと忠告され、純一さんは何が何なのか分からない反応をしていたがとにかくそうだとしたらあいつらの野望も止めなくてはならない。あそこの怪盗はニジーだけじゃないってことは前回で分かったからな⋯もしかしたらアゲセーヌか彼女以上に厄介な怪盗が現れる可能性だってあるし、ここは気合いを入れないとだ!
side out
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「⋯」
その頃、るるかはアイスを持ってビルの屋上から景色を見渡す。もちろんのことながら相棒の妖精であるマシュタンも一緒である⋯しかし、るるかの方は何かを考えているのかアイスを食べるペースがいつもよりゆっくりだ。
「るるか、もしかして考え事?あんまり食べれてないじゃない⋯何を考えてるのかしら?」
「別に⋯マシュタンにも教えない。」
「あたしにまで秘密にしなくたって良いでしょ?どうせ、織田信義のことで頭がいっぱいだったり?」
「⋯」
「図星かしら?まさかあなたが異性のことを考えるなんてね⋯」
るるかはマシュタンから信義の名前を出されて思わず顔を赤くして黙り込んでしまう。実を言うとあれからるるかは信義のことを色々調査して陰から見ていて彼のことが色々と気になって仕方ない状態である。プリキュアに変身したことに関しても、優しくてかっこいいところも⋯何もかも。
(織田さん⋯本来は敵であるにも関わらずあの時私をナンパから助けてくれてアイスまでご馳走してくれた。こんなにも優しい人に会ったのは初めてで心が温かい⋯でも、私が見ていた目の前であの人はプリキュアになった。織田さんとは戦いたくないけどどうすれば良いの?)
「ここにいたか新人。会合に顔を出さないのはあまり感心できないなぁ⋯」
すると、るるかとマシュタンがいるビルの屋上に歌舞伎風というか石川五右衛門のような風貌をした大男で怪盗団ファントムの幹部の1人であるゴウエモンがやって来ては彼女に声をかける。
「あら、ゴウエモンじゃない⋯今回はあなたが任務を任されたのかしら?」
「まあ、今回はこの俺がウソノワール様からマコトジュエルの奪取を任されたわけだ。それにしても、お前は相変わらず無言でアイスを食べるのに夢中だな⋯たまにはマシュタンを介せずとも自分でコミュニケーションを取ったらどうなんだ?」
「⋯」
ゴウエモンはるるかに対して自分からコミュニケーションを取るようにと進言するも彼女は相変わらず無言でアイスを食べ続ける。彼女は考え事で頭がいっぱいであるが故に自分の世界に入っている状態だ⋯聞く耳など持っていない。
「ありゃりゃ、また無視か⋯こりゃあ参ったもんだぁ。」
「ごめんなさいね⋯この子、任務のこととかで頭がいっぱいで。悪く思わないでちょうだい。」
「任務⋯確か、ある男の調査だったよな?しかし、その男はキュアマスターになったのだからこれ以上の調査は必要なのか?」
「あたしにもよく分からないわ。でも、るるかは織田信義ことを⋯」
「マシュタン。」
ゴウエモンがキュアマスターになったことが分かった信義の調査の必要性を訊ね、マシュタンが答えようとするとるるかは答えさせまいと話を遮る。ウソノワールに報告されるのが怖いというのもあるし、何よりも自分の気持ちを知られてからかわれたくなかったのだ。特にあの3人だったら茶化されるに違いないだろう⋯
「どうした、新人。何か不都合なことでもあるのか?」
「別に。」
「やっと喋ってくれたな。まあいい、もしも暇だったら俺の任務の手伝いをしてくれないか?俺がお前に怪盗のいろはを叩き込んでやるよ。」
「⋯」
「仕方ないわね、手伝ってあげる。それで、その今回のマコトジュエルはどこにあると言われてるのかしら?」
「ああ。未来自由の書によると、ヒントは紫の包みに入った夢が詰まった四角いもの⋯恐らく風呂敷だろうな。」
「ふぅん⋯で、るるかはどう考えてる?」
(もしかしたら、織田さん⋯それを持ってる人と一緒に行動してたり?そうだとしたら織田さんに何としても会いたいな。でも、あの人には⋯)
「るるか?ダメね⋯完全に自分の世界に入り込んでるわ。とにかく、その紫の入れ物を持ってる人を探しましょう。ただ、ゴリ押しで奪うのはダメよ?あなたはニジーやアゲセーヌのように変装ができないんだから正体がバレないようにね。」
「言われても分かってるさ⋯」
そうしてゴウエモンはビルの上から辺りを見渡して紫の包みを持ってる人を探す。その中でるるかに関しては完全に信義のことで頭がいっぱいで彼がゴウエモンの任務のターゲットに関わっているのではと考えてしまっていた⋯そして、マシュタンはるるかの代わりにゴウエモンに盗む際に気をつけるべきことを伝える。果たして、ターゲットは簡単に見つかるのだろうか?
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side信義
それから俺達は街中を探し回って駅前へとたどり着く。結構探してきたものの心当たりはなかったが、彼が駅前を通った時のことで心当たりがあると思い出してここまで来たわけだ。
「ここです!ここで向こうから走ってきた人とぶつかってバッグを落としました。」
「そうなんですね⋯」
「それってもしかして⋯純一さんとその人がぶつかった時に偶然バッグが入れ替わってそのまま持ち帰っちゃったとか?」
「なるほど、それありえるかも!」
あんなは純一さんがぶつかった時の話を聞いた上でその時何があったのかを推理する。これにはみくるも納得で、バッグ自体が変わったことも辻褄が合う。流石は俺の従妹だ⋯一緒に推理ものを観て推理力を鍛えてきただけはあるな。
「それで、ぶつかった人はどういう人でしたか?」
「うーん、それがよく覚えてなくて⋯」
俺が純一さんにぶつかった人についてを訊ねるも、彼は覚えてないと悩みながら答える。それもそうだ⋯漫画家になるイマジネーションしか見えてない中で誰とすれ違ったとかぶつかったとか考える余地はないのだから。
「そのバッグ、さっき同じのを持ってる人が来たよ。」
俺達が誰とぶつかってバッグが入れ替わったのかを悩んでいると、ベンチのペンキを塗っていたおじさんが声をかけては情報を提供する。同じのを持ってた人がいるとなると間違いなくその人が純一さんの原稿を持っているはずだ。
「すみません、その話を詳しくお願いします。」
「ああ、その人は間違って持って行ったお兄さんを探してたんだ。」
「あんなの推理、当たってた!」
「うん♪」
みくるはその後ろで推理を当てたあんなとタッチを交わす。あんなの推理力に関しては俺も昔から認めていて、よくサスペンスやコ○ンの事件のトリックとか犯人を俺よりも先に当てていたんだよな⋯英語が苦手なのは唯一の欠点だが、それ以外に関しては水準以上に頭は良いのだ。
「それで、その人はどちらに行ったか分かりますか?」
「あっちの方に行ったけど⋯」
「どんな人でした?」
「うーんと、若い女の人でこんな眼鏡で髪型はこんな感じで⋯」
みくるがおじさんに純一さんを探していた人がどういう人なのかを訊ねると、おじさんは仕草を交えて答えてそれを鵜呑みにしてみくるが似顔絵を描いていく。
「できた!ズバリ⋯この人ですね?」
「「「この人!?」」」
そうしてみくるが似顔絵を完成させると、堂々とおじさんの前に見せつける。しかし、彼女の絵は言葉を選べばかなりシンプルな感じで⋯なかなかの絵心のなさに俺とあんなと純一さんは絶句する。こんな絵で誰なのかなんて分かるはずがない⋯
「おおっ、彼女だ!」
「「「ええっ!?」」」
しかし、おじさんはこの絵を見て誰なのかが分かったようだ。これにみくるはドヤ顔しているが、どうもこのおじさんの反応に確証が持てない。こんな絵心ない絵でよく伝わったな⋯
「とりあえず、探しに行きましょう!」
「みくる、待ってよ!」
「俺も⋯純一さんも行きましょう!」
「はい、ありがとうございました!」
そんなこんなで俺達は先陣を切るみくるを追いかけて次なる場所へと向かう。まさか、あんな下手な絵で伝わるとは思わなかったな⋯特徴を捉えていたのかもしれないが、これで分かるおじさんも凄いと思った。
「絵画教室です、生徒募集中です。お願いしまーす!」
純一さんを探してる人を探し回っていた道中、通りかかったところで絵画教室の前を通ってその生徒か講師かは分からないが、若い女性がビラを配っていてそれを受け取る。こんなところに絵画教室があったのか⋯この場所は今でも絵画教室をやってるのだが、まさか28年前からやってたとはな。
「絵画教室かぁ⋯ノブお兄ちゃんも受けてみる?絵が上手くなるよ?」
「大きなお世話だ!図工とか美術は唯一苦手な教科だったしな⋯あんなは絵を描くのはまあ得意だろ?」
「でも、やっぱり探偵をやっていく上でみくるのように似顔絵を描けるようになりたいし⋯」
(どの絵を見て言ってんだ、こいつは⋯みくるへのフォロー下手か!)
「じゃあ、僕が教えようか?」
「本当ですか?それじゃあ、また今度是非!」
あんなが似顔絵を描けるようになりたいと嘆くと純一さんが教えると名乗り出る。本当にこの人は優しい人だ⋯こういうタイプはプロの漫画家になったら絶対売れるに違いない。しかし、前々から思っていたのだが、『小松崎純一』という名前⋯どこかで聞いたことがある名前のような気もするが気のせいだろうか?
「見たことないなぁ⋯」
「そうですか。」
「悪いね⋯」
それからみくるが街中の人達に彼女自身が描いたぶつかった人の似顔絵を見せるも、どの人達も『知らない』やら『見たことない』としか返ってこなくて捜査がなかなか進まない。やっぱり、みくるの絵心のなさでは伝わらないのだろうか?だからといって俺が描いても結果は同じだろうな⋯
「情報なしだね。」
「はぁ⋯もう無理なのかな?」
「諦めるには早いですよ。僕達が必ず見つけますから!」
「ノブお兄ちゃんの言う通りですよ。大丈夫、私達がちゃんと見つけますから!ねっ、みくる?」
「ええ。あんなも師匠も前を向いてますから、純一さんも前を向きましょう!」
「みんな⋯」
「見つけたぜ、紫の包み!」
「「「「⋯!?」」」」
純一さんを励ましたその直後、背後から声がして振り向くとそこには歌舞伎俳優というか石川五右衛門のような感じの大男が目の前にいた。こいつ、何者だ!?
「そのバッグ⋯マコトジュエルを置いていってもらおうか!」
「マコトジュエル?ノブお兄ちゃん⋯」
「ああ、お前⋯怪盗団ファントムの人間だな?」
「か、か、怪盗団!?」
「まさか、ニジーとアゲセーヌの他にもファントムに怪盗がいたなんて⋯」
「おいおい、ニジーやアゲセーヌと一緒にされちゃあ困るねぇ⋯とにかく、今の俺は新人が見ている手前なんだ。大人しく渡してもらおうか⋯」
「お前がファントムの誰かは知らないが、今はそれどころじゃない⋯だからどいてくれ!」
「そうだよ、今は漫画の原稿が入ったバッグを見つけないとなの!」
「だから絶対に渡さない!」
俺とあんなとみくるは純一さんの前に立って怪盗団ファントムの一員からバッグを守ろうとする。本当に彼はニジーやアゲセーヌよりも優れた怪盗なのだろうか?そうにしては変装もせずに堂々と接触してるのだが⋯
「熱いねぇ、熱くて茹で上がっちまいそうだ⋯だが、相手が悪かったな!」
大男が持っていた扇子を振ると桜の花吹雪と共に強風が吹き荒れて俺達は風に押されてしまう。何という威力なのだろうか⋯まるで台風である。
「ああっ!?」
「ふんっ、頂いていくぜ!」
「待て!」
その風が消えると、いつの間にか純一さんの手元からバッグがなくなっていていつの間にかファントムの新しい怪盗の手元へと渡り彼は華麗に逃げ去った。
「こうなったら⋯オープン、プリキットライト!」
「大きくなった!?」
俺達は1つのプリキットを出してその中からライトを使用する。これを見た純一さんは思わず驚いてしまう⋯こういう近未来的な発明品はこの時代じゃお目にかからないだろうしな。
「ジェット先輩の発明品です!」
「とりあえず、ライトを光らせて作りたい形を描くと⋯ほら、このように具現化されるのです。」
「ピーナッツ、ですか?」
「トランポリンですよ。僕達はこれで追いかけてきますから、純一さんはここで待っててください!あんな、みくる⋯行くぞ!」
「うん!」
「行ってきますね!」
それから俺達は純一さんをこの場で待たせてから光で生み出したトランポリンを駆使してファントムの怪盗を追いかける。とりあえず、あいつは見たところ器用なタイプではなさそうだから上からなら見つかるはずだ⋯待ってろよ、新人(?)怪盗!
side out
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『ちょっくら俺は包みを見つけたから取ってくるぜ!とりあえず、お前は路地裏で待っていろ。先輩としてお手本通りに華麗に盗んでやるからよ!』
その頃、るるかとマシュタンは路地裏でゴウエモンを待つことに⋯実は彼が信義達から盗みに行く際に堂々と奪取宣言をしてここで待つようにと進言しその通りに待っていた。
「それにしても、ゴウエモン⋯本当にマコトジュエルを盗めたのかしら?」
「多分難しいと思う。あっちには織田さんがいるから⋯」
「あなたね⋯どっちの味方をしてるの?本当にるるかの考えてることって読めないわ。」
(織田さんは正義感の強くてキュアマスターになるぐらい強い人だからきっとゴウエモンが相手でもマコトジュエルは守るはず⋯立場は敵かもしれないけど私は信じてるから。でも、私が抱いているこの気持ちと胸のドキドキは何だろう?)
るるかは心の中で信義がマコトジュエルを守ると信じる。しかし、それと同時に彼女の中で疑問が生まれた⋯どうして信義のことが敵なのに気になってしまうのか?どうして彼のことを考えるとドキドキするのか?その疑問をるるかは自分に問うのだった。
「よっと⋯待たせたな。マコトジュエルを盗んできたぜ?これがが怪盗の仕事ってもんよ!」
そんな時にゴウエモンがるるかとマシュタンを前に着地してはドヤ顔で純一から盗んだ紫のバッグを見せつける。新人のるるかの前で宣言通りに盗み出すことに成功してゴウエモンの花は高々だ。
「で、マコトジュエルは?」
「よっこいせっと⋯どれどれ、丸いもんばっかりだなっと四角いの発見!こいつか?」
「ただの食パン⋯」
「ハズレね。」
ゴウエモンはバッグの中身を漁る中で四角いものとして食パンを手にする。しかし、るるかは『ただの食パン』とキッパリ断言⋯マシュタンからもハズレと言われてしまった。
「なっ!?そういえば⋯やつら、漫画の原稿が入ったバッグを見つけるとかって!」
「ふぅん⋯(これは⋯そういうことね。)」
「お、おい!?どこ行くんだよ!」
ゴウエモンが話す中でるるかはエプロンを手にしてから何かに気づき、エプロンを戻してからマシュタンを連れてこの場を去っていく。
「ヒントはパンと絵、それだけ。」
「パンと絵⋯」
しかし、その去り際でるるかは一言だけヒントをゴウエモンに授けていく。彼女にはもう本物の純一のバッグというかマコトジュエルのありかが分かっている⋯しかし、手の内はあえて味方にも出さない。彼女は一体何者なのか?表向きには怪盗団ファントムの一員だが、目的は果たして⋯
登場人物紹介
薫風すみれ(くんぷうすみれ)
(脳内)CV:鬼頭明里
身長:176cm
体重:54kg
誕生日:10月16日
年齢:満24歳
地元の(当時の)捜査一課に配属されて間もない新人刑事。ショートヘアに王子様のような整った中性的な顔立ちのイケメン女子でそのビジュは男の信義が嫉妬するほど美しい。刑事としても優秀で先輩刑事の猿田よりも鋭い推理力を持つ。ただし、洞察力とかに関しては劣っている(と思っている)。そんな彼女だが実はある秘密がある⋯
池山臣吾(いけやましんご)
(脳内)CV:小山力也
身長:178cm
体重:58kg
誕生日:12月17日
年齢:(当時満)34歳
古田を殺害した犯人。彼が手柄を横取りして出世したことに腹を立てて犯行に及んだ。妻がいる。
八重樫亨(やえがしとおる)
(脳内)CV:大塚明夫
身長:186cm
体重:70kg
誕生日:6月15日
年齢:(当時満)37歳
当時の捜査一課の係長でもちろん当時の猿田の上司。とても部下を大事にする人で部下に優しく犯人には厳しくがモットー。猿田の指導係もやってきて長年の縁がある。
いかがでしたか?探偵事務所の初依頼は信義でしたが、その相手が警察で殺人事件⋯しかし、彼はそれを見事に解決。決め手はダイイングメッセージよりも落ちてたワイシャツのボタンという⋯信義は刑事でいる時よりも推理力が上がったのではと思います。その中でイケメン女子の新人刑事に人情味のある係長⋯この2人との出会いもありましたが、その中であんなちゃん達の頓痴気な事件に巻き込まれることに。ただ、信義よりもあんなちゃんとかみくるちゃんの方が前に出ていて師匠の信義はサポートというかここだと後手に回ってる感じですね。しかし、そのバッグを探す中で入れ替わった方をゴウエモンに奪われてしまうことに⋯果たして、純一のバッグは見つかるのか?そこら辺は後半の次回にて。
その一方でるるかちゃんの方は会合に出席せず⋯どうやら信義のことが助けられた件やらプリキュアになった件やらで頭から離れずでした。この気持ちとドキドキはきっと⋯まあ、お察しかと思います。キミプリの恋愛模様では主人公の蓮の気持ちから動いてましたけど、ここではるるかちゃんの気持ちが動いており⋯どうなるのか?敵ながら信義を意識したりしてますけど、それでもゴウエモンにヒントを授けたりとファントム側としての仕事も全うしています。るるかちゃんって原作でも思ってますけど何者なのでしょうか?いつかアルカナ・シャドウに変身して動きを見せてほしいですな。
次回は4話分の後半です。果たして、信義達の運命は?るるかちゃんは一体!?感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをしてまた次回お会いしましょう!それでは⋯