操甲天使・クローズアウトエンジェルズ! ~"WAR" in the ”Ex-Earth"~   作:もにもに+マウンテンヘッド

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~このエピソードに至るまでの作中の経過と推移~

“流星群の夜”の後、なんと国連軍改め植民地自治正当政府軍・ExECGT(エグゼグト)軍は、……盛り返していた!
それというのも、グランドロック宇宙港から大量に飛び立たせた汚職官吏だとか不良富裕層だとかの逃亡航宙船舶に混じらせて、密かに多数の航宙雷撃艇や対地爆撃艇、片道特攻同然の決死隊によるこれらを同時に出撃させていたのだ。……宇宙建設用途の強化効力爆弾などを満載爆装させた状態で。
そして、エグゼグトの企んだ作戦は見事に成功した。
自組織の負債同然であった部位を結社に仕留めさせて効率的に排除排泄清掃するとともに、それを欺瞞のデコイとして使ったことで、敵結社、プロレタリアン・アクション・ピープル・プロジェクト……通称:プロレタリアンの、エックスアース惑星各地全土の、散らばった拠点施設や物資製造設備、発電施設、SS-1bなどの弾薬製造工廠、それらを結ぶインフラ網……そして、スタンディングアーマー製造プラント。
これらへのピンポイント精密爆撃を達成したことで、結社の兵器装備品サプライチェーンは不随的打撃を被るに至り、
そして、これを以てエグゼグトは反攻作戦を開始!
もはや新規のフリッターが後方より届くことのなくなった結社の伸びきった最前線はこの逆襲により、壊滅していくこととなったのだ。
そうして、パンゲア大陸から結社の勢力は排撃され、勢いに乗った国連軍は、パンゲア大陸内にて豊富に採れる資源物資類を用い、反重力輸送艇・モービルラフトなどの類を大量配備。
そうして、彼ら彼女らが逆侵攻として進出していった先のひとつに、ニュー・コロンビア大陸の南端・リベルタ半島が存在していた……

この戦争は終わらない。一方が明らかな勝者となり得れるという、その限りが果たされるまでには……




(※注意:このエピソード「『泥濘の双聖者』~クローズアウトエンジェルズ・掌編~」は執筆の叩き台造りに一部生成AIの補助を受けてます)


掌編~『泥濘の双聖者』~
『泥濘の双聖者』第一話:「神はどこにいった?」


 

 

……レイン・フォール……

鬱蒼と広がる森に、天から注ぐ水気の気配はまだ途絶えることはない。

 

さらさらと砂を落とすかのような冷えた音で、静かにその木々と葉たちは、雨水の雫の粒を受け止めつづけている。

 

街道の開通以外には開拓のあまり及んでいない、ほぼ手付かずの自然……そしてこの霧雨に煙る碧色の木立の密集。

 

広大な森林のそれに覆われた山渓地とそこを縫う街道を、降りしきる雨粒とともに、霞(かすみ)と靄(もや)が、果てもなく包んでいる。

 

冷えた温度がその景色に満ちていた。

 

……降り続く雨は、見上げる限り広がる曇天の空の色と同じ、鈍い灰色をしている。

 

にもかかわらず、もわり、とした、決して穏やかでも優しい物でもない、厭な気配の熱の雰囲気が、じわり、と遠くから、予感として伝わってくる。

 

……そこに、異物めいた音が重なり、やがてこれまでになかった“熱”というのが、そして、実体としての温度と汚臭じみたそれの蒸気と共にもたらされる。

 

音は不協和音として明瞭に形と姿を為し始め、その輪郭が見えてくるかのように、徐々に加速する。

 

泥水が跳ね、泥濘が打ち据えられる音・それから、燃えた樹脂と炎の熱気が、金属の溶けた臭いと共に。

 

肉と血の胎動物が脈打たせる、銃器と装甲(アーマー)の可動のもたらすサウンドだった。それが、リズムの崩れたアンバランスな迫力のドラムマーチとなって、やがて来る一連を手繰り寄せるかのように、先導者/扇動者の如く、その地獄の演出をこちらへと近づけてきているかのように……。

 

まるで死病を伝播する瘴気の広がりのように、やがて波状となって、大地の向こうからここまでもへと流れてきていた……

 

根源は何処にあったというのだろう。

 

少なくとも、起源たる地から遠く離れた異邦の星に住処を得ても、どうしようもないことに戦争は起きていたのだ。

 

……こうなると人類愛なんて言葉は、一体何時だったころの誰による世迷言だったのか、と、博愛を謳う後世の歴史家であったとしても、きっと吐き捨てたくともなるであろう。

 

(さぞ広告代理店のそのコピーライターというのは、素晴らしい職業に違いない!)

 

戦場が近づいてきていた。

 

ニュー・コロンビア大陸、リベルタ半島中部……ルポナ街道第4警戒線。

 

ここは後方のパンゲア大陸陸地のような、その勢力の最終防衛圏から、一方側のそれたちにとっては、ようやくやっと! 逆襲が叶う事ができた前進進出地であった。

 

Exアース(Earth)・植民地(Colonial)自治正当政府(Government)軍(Troops)……通称ExECG-T(エグゼグト)の反抗はこうして始まっていたのだ。

 

斯くしてこの半島はそのエグゼグトにとっての対“結社”……プロレタリアン勢力との正面戦闘の最前線のひとつとなっていた。

 

……されど、この半島における策源地たる半島南西端部のアイボリーコースト橋頭保からもしばらく離れていて、その戦域の中でも緩衝地帯たるこの戦場は、ただ忘れ去られた、泥沼の最前線でしかなかった。

 

現に今、雨にオペラを唄うかのように、下界たる地表では、戦闘による鉄火場……戦場が現出していた。

 

「――クソッ、またか!」

 

しびれを切る、とはこのことか!……マイクル曹長の舌打ちが、〈シミターMk36〉の窮屈な“殻”(コクピット・カウル)の中に響く。機体番号〈427-1〉。

 

叫ぶ声。ガチャガチャ、と……彼の毒づきのままとも言える荒っぽい機体操縦の挙動の取らせ方とは裏腹に、その操作入力自体のマイクルの腕は、パニックに陥るようなこともなく、危なげなく確かなものだった。CVTのドライバーとして乗り始めてからの歴自体はそこそこだ。彼がこの機体(ダチ公)と付き合い始めて、もう5ヶ月になる。

 

だが……にも拘わらず、操縦の入力に対して機体本体の挙動が大振りな仕草を示すのは……なんてことだろう、機体の駆動構造としてその全身内部のフレームに張られた可動機構の、その人工筋肉アクチュエーター系統、これが、予想以上にガタがきていた、ということであろうか。

 

……いや、にしては妙だ。他の要因は? 思い当たる節は……

 

なぜならば、機体各部関節・アクチュエーター駆動部位の動作肢の動作作動は、手元のマルチファンクションディスプレイ・コンソールの簡易テレメトリー機能で確認しても問題がない。ならば、それ以前の機体内部の機体操縦系統内の経由部位にて、肝心のトラブルは生じているのか……

 

まだ断定するには推理の余地がある、とマイクルは必死に思考する。

 

その上で彼はこう続けるが、曰く、スタンディングアーマーの「転がし屋(ドライバー)」として……自分の操縦にはそこそこ自信があった故に、もしかしての死因にも、納得できる裏付けと根拠は欲しいものだ、と常々思っていた。

 

まあ、自分のミスでも癪だし、ましてやそれ以外の原因だなんてのは、あの世での笑い種にもならん。

 

平たく言えば、こうだ。

 

“くたばるのは、まだ後でいい”。

 

(今朝がた、補修と点検は受けたはずだろ!? すっかり伸びちまった使い古しとはいえ、多少は状態が良いのを優先して回してくれたんだ。いつもなら、まだこんなにダラついたレスポンスの悪さになるはずは…?!)

 

まさか、というつもりの予感が同時にマイクルの脳裏を掠める。

 

彼の思い返す通り、まさか整備ミスだとかというわけはなかった。

 

なにせ、このマイクル曹長は、居並ぶシミター乗りのパイロットの中でも、目敏い上にこだわりも強くあるのだ。そのうえで、自らの判断は納得ずくで締めないと我慢ができない性分とも来ていた。具体的には、肝心の人工筋肉アクチュエーター周りは、整備時にその時自分も肉眼による目視と機体コンディション及び人工筋肉テンション・キャリブレーション処理時の電子的チェックの二重で確認を取れていたつもりだった。

 

伸びちまった、というのも、味方なり敵勢力なりの、ジャンクになった損害機などから適宜摘出して回収した、再生予備品のモノを完品になるまでニコイチ・サンコイチ……を繰り返した代物を、その中でも悪くない状態であったのを自分でも確認と承認をして取り付けをさせたので、そのこと自体も、自身は承知していてのことでもあった。

 

そして、そんな状態の自機を乗って使いこなす、というのを、自分……マイクル・シモンズ・オーブリーエグゼグト軍機械化騎兵曹長というのは、慣れているどころか馴染んでいるどころか、元々からそんな戦いというのを、飽きるほどに続けて繰り返してきていて、もはや自身にとっては、当たり前に名人芸として、すっかり板についた物なのであろうと、自負までもしていたつもりでの、まさに今この瞬間でのトラブルとの直面なのであった。

 

なら、もしや……

 

機体制御の為の電装品周り、その内の人工筋肉駆動制御用のコンピュータが、シーケンサーの基盤ごとか、或いはそこに載っている電子制御コントローラ・チップあたりか……それらの側に、経年か戦闘での機構品の疲労の蓄積で、不調の類が帯びているのではないのか? と。

 

(まいったぜ、なあ、“ダチ公”よ)……マイカルは口の中で一人ごちた。

 

由来を辿ろう。

 

このスタンディング・アーマー兵器、ないしは国連軍側分類名:CVT……クロスコンバット・バーティカル・タンク、その現有主力機械化戦力の筆頭たるシミター型機シリーズの内の、この乗機! たる、第四大隊第二中隊第七小隊のその一号機。

 

……つまり小隊長機、マイクル自身も、そしてそれを指揮する小隊長であるということ……

 

先んじてくたばっていった前任者たちから役職を引き継いでいった結果、己を小隊長とさせるまで、マイクルを今まで生き延びらせてくれた、このMk36型シミター。

 

だが、“早すぎた名機”と称されるほどの……(他のCVT乗りから、やっかみ混じりや有りがちな嫌味だとか皮肉でも無く、割合本気の声色でそう言われるのにマイクルは内心、怯える節があった。確かに曰くは数々あろうが、乗りこなしている搭乗員本人たる自分からしてみれば、導入時期に見合わない、という気持ち程度の物でしかない……とはいえ他の機種のCVTに乗るつもりも、まだコイツが使い倒せるのであれば、今現時点においてはまるでないが)……高性能と称されるこの機体。

 

種機たるパイオニア型スタンディング・ユンボとの部材共通の後方互換性をほとんど全部かなぐり捨て、専用品・専用設計化への成約と制限を、可能な限り緩め、当時における次期主力配備型の本命仕様としての量産性と性能の両立/特化優先という無茶に賭けて得たそのハイパフォーマンス・スペック、痒い所に手が届く、使い心地の良さ!

 

しかし、それらとの引き換えに、かつての国連軍の大敗走・及び大規模な勢力域失陥による、専用に建てたばかりの、当時の30番台型専用製造工場の喪失による痛ましい影響が、この型式機種への名声についた泥……ならぬ、まさにミソとなっていた。

 

結果として、いまとなっては日々悪化していく一方の、このMk30番台型……マイクルの云う所のこの機体、“ダチ公”である……その補修部品や保守部材の都合のつかなさ……というのは、少なくともこのMk30番台シリーズにおけるどうにもならないウィークポイントの第一項に挙げられるべき難点と今は化していた。

 

ああ、そうですとも、とマイカルは普段からぼやいている。

 

死んでいったツキの無いヤツらがああで、一方でツキのあるという自らがこうだというのなら、ならば、一体どちらが幸か不幸か、といえるのだろうか、と。

 

少なくとも、掘っ建てのような共同慰霊碑に碌な献花も弔辞まで無く弔わられただけでマトモな誂えの墓地と棺桶の中という寝床すらないような死にざまをしたあのヤツラは、今の自分とは違い、少なくとも、こんな泥の中で、機能不良のこのポンコツ“ダチ公”を躍らせているような“生き地獄”は味わってはないだろ、……と。

 

ーーその刹那、

 

「グッ、ぐぉおおっ」

 

自機の至近で、炸裂が轟音と共に連続する……“殻”の如き、薄い装甲の壁一枚で外界との遮蔽はされているとはいえ、揺さぶられた自機体と共に、己の肉体も動悸の発作のように身体と心臓が衝撃に震え、そして“殻”の外の直近に雷神の怒りの如きそれが降ってくる!

 

……その爆光の点滅の最中を、マイクルの36型シミターは、制動と駆動を繰り返しながら、懸命に自勢力域側への後退を図っていた。

 

それについての、マイクルの意図は複数ある……

 

まず一つは、己の生残の為に味方と合流するという事。

 

マイクルは機械(CVT)化騎兵小隊の小隊長である。その自隊の部下をあらかじめ待機させて置いておいた地点があり、まずはそこまで下がり、合流した後は僚機の援護を受けながら、自軍の勢力域まで自らたちの隊の撤収を完遂させること。

 

もう一つは……そうして自軍の砲迫隊のキルゾーンが設定されているはずの地点まで後退し、そこへと敵をおびき出す、ということである。

 

(後退していくその間、この健康優良CVTドライバーは、なんと直撃弾というのは回避しきっていた。勘が良い、というのを、マイクルは自負のひとつとしていたのも確かだ。)

 

その彼のシミター機の胴体上面左片側には、彼の機体の部位の中でこれだけが明瞭に被弾破損し壊れた状態の外付け式赤外線探照灯が装着されていた。……先ほど、ゴアイサツの目印代わりにこれを“あえて”焚いた。そして、まんまと釣られた敵は現在、このマイクルの機に“入れ食い”となっているのだ。

 

そもそも、マイクル機が、進出してくる敵の正面に「わざと」自機を認識させたのは十数分と暫し前のこと。

 

その一連は強行偵察同然の真似であった。

 

実際の任務というのも、おおまかにはそのような内容である。

 

しかし、本来なら隊の他の機も投入するのが妥当であった所を、“厭な予感がするから……”と、マイクルは己単独での威力偵察とした。

 

そうしたら、大当たり! であったのだ。

 

……敵の戦力の規模はさほどではなかったのが功を奏した。

が、しかしそこから、こんなイカれたのも同然のダンスを繰り返すことで、相手達の注意を己のみに引き付ける、ということをしていたのにも、理由はあった。

 

それというのも、本来ならば! 別部隊の、爆装したシミター隊班が駆逐担当として戦闘に参加する手はずだったのだ。

 

マイクル隊の接触と同じタイミングで、それにより釣られて誘引されるであろう敵の側面を突いて、攻撃を仕掛ける。

 

今回捕捉した、敵部隊……こちら側が偶然探知が叶った、半島のエグゼグト軍勢力域側へと進出してくる当該敵部隊を、こうしてサンドイッチにして押し込むことにより殲滅・撃滅する、……というのが大まかな作戦立てであった、その筈だったのだ。

 

だが、肝心の味方部隊は、敵の布陣のその外縁に接触する、そのタイミングが、マイクルの隊とズレ(・・)が生じてしまった。

 

……今、そいつらの部隊が何をしていて、どのようになっているかは分からない。

 

されど、結果としてマイクルのシミター隊のみが前線に置かれ、殺到する多数の敵機部隊の前に自らひとりのみが晒され、そうして、マイクル自身はそのさらに先鋒で、独りぼっちで死の追いかけっこをやるハメとなっている。

 

 

 

 

──神はどこにいった?

マイクルは苦悶そのものという表情をヘッドギアの奥で浮かべ、そして……切羽詰まっている焦りは傍らにして、まるでまじないを祈るかの如く、瞑目した。

 

 

 

 

 

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