私は女神リスタルテ。およそ百年前に女神として統一神界に誕生した。これまであのありえないくらい慎重な勇者こと竜宮院聖哉と難度S以上の世界を何度も救ってきた。
そして、今日は大女神イシスター様に部屋に来るよう呼ばれている。
「失礼します。リスタルテです。本日はどのようなご用件で?」
私がそう言い、部屋に入るといつものように聖母のような笑顔で出迎えてくれた。
「来てくれたのですね、リスタ。今日、貴方を呼んだのは他でもありません。世界の救済を頼みたいのです。その世界の名前はキヴォトス。」
異世界の救済。その言葉を聞いて私は期待で胸がドキドキになった。
「イシスター様、その世界の救済難度は?......」
「リスタ、それがわからないのです。この世界は突如として現れました。それ故、まだ世界の全容が把握出来ておらず、難度が設定できません。
とりあえず、救世難度は「?」としておきましょう」
その言葉を聞き、私は疑問に思った。イシスター様は三千世界を見通せる力の持ち主。その力でも見通せないと言うことは......
「それは、ゲアブランデやイクスフォリアレベルの難度という事じゃ.......」
「ええ.....その可能性はあるでしょう。あるいはそれ以上かも知れません。なんせ、私の能力を拒むほどの力があの世界にあるのですから。」
——イクスフォリア以上!?.....そんなの攻略できるのかしら
「今回は特例で、私自ら最奥神界で竜宮院聖哉の召喚を許可してもらいに行きました。」
イシスター様はそう言うと一枚の召喚リストを渡してもらえた。
私は一気に胸が高まり出した。
——聖哉に会える。どんな世界もあの勇者となら、攻略できる。
「ありがとうございます。必ずや世界を救済して見せます。」
「よろしく頼みます。リスタ。」
私は一礼すると、走って「勇者召喚の間」行った。
私は弾む心もそのままに床に魔法陣を描いていた。
召喚のための呪文を詠唱して、召喚する聖哉の名前を読み上げた。
「いでよ、竜宮院聖哉!!」
私がそう叫ぶといつものように魔法陣から光が溢れ、私の眼光を染めた。
「聖哉!!」
——やっべっ、いきなり叫んじゃった。また叱られる。
っと、また叩かれることに恐怖しつつも、いつもの会話ができることに期待をのせていたのだが......魔法陣の中央には誰もいなかった。
「なんで!?.....ちゃんと召喚は成功したはずなのに.....」
私がそう嘆いていると、扉から大きな音を立てて、アリアが入ってきた。
「リスタ、イシスター様が至急、来て欲しいらしいの。」
流石はイシスター様だ。この状況をすでに把握しているのだろう。
私とアリアは急いでイシスター様の部屋に行った。
「失礼します。イシスター様、聖哉を召喚したのに現れなくって.......」
私がそう言ったとき、イシスター様の表情がいつもと違い、焦っていることに気づいた。
「ええ、リスタ。見ていました。そして、何者かが召喚に干渉して来たことも......」
「それじゃー、聖哉を呼べないんですか?」
「いえ、リスタ。そうではありません。確かに竜宮院聖哉はこの神界では召喚できませんでしたが、どうやら、その世界にいるようなのです。」
私がその言葉を聞いた時、頭が混乱した。
「これは推測ですが、私たちの召喚を何者かが拒み、あの子を直接、あの世界に飛ばしたのだと思います。しかも、この世界の扉が開かないのです。」
イシスター様がそう言うと、アリアが口を開いた。
「そんな......勇者の召喚を邪魔して、直接世界に召喚できるなんて、さらに、その世界にも行けないなんて、そんなの神クラスじゃないとできないはずです。」
「ええ、そうです。アリア。今回のこの世界は、あの難度SSイクスフォリアと同じ現象が起こっています。」
——そんな....いくら聖哉とはいえ、レベル1の状態でそんな危険な世界に放り出されちゃ無事では済まないはず。
「リスタ。安心してください。この世界は魔物はおらず、直接的な脅威もないと感じます。」
「私も、最奥神界に協力を仰ぎ、世界に行ける方法を見つけています。」
私はその言葉を聞き、少し安心した
「リスタ。今回は特別にこの水晶玉を授けます。」
「これは?」
「この水晶玉は、貴方が使っている水晶玉と違って、世界を見通せるだけでなく、声も送れることが可能なのです。」
「ありがとうございます。これなら、その世界に行かなくても聖哉のサポートができる。」
私はイシスター様にお礼を言い、部屋を出た。私は早速、アリアと一緒に聖哉と連絡を取ることにした。