透き通る世界でも慎重な勇者   作:かげもじ

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20話、投稿しました。原作より、圧倒的に進みが速くなっています。
原作先生と竜宮院聖哉の性格は対極にあるので、そこの違いも表現出来たら良いです。


この神が頭いいのに面倒くさすぎる

私と聖哉は、補習授業部の子たちに会った後、神界に来ていた。

 

「聖哉、今度はどんな神と修行するの?」

 

聖哉にそう聞くと、何かを頭に巻いていた。

 

「せ、聖哉、それは?」

「鉢巻だ。今回は、知恵の神と修行する。」

「知恵の神? いや、鉢巻関係ある!?」

 

私がその名を聞き、驚くと、アリアが口を開いた。

 

「知恵の神、ガネリスね。でもちょっと問題があって......」

「問題?」

 

私の疑問に、アリアは言いにくそうに

 

「ガネリスは、統一神界一の物知り。あの人に答えられないことは無いわ。」

「ほう、なら、テスト対策に使える魔法も持っているのだろう。」

「いや、テストで不正する気? なんか、中学生みたいな発想ね。」

「あぁ、その能力をあいつらに身に付けさせれば、試験なんて、余裕だろう。」

 

確かにそうだけど......それって、あの子たちのためになるのかしら......

 

「リスタ、そんなことを考える必要はない。俺たちの依頼はあいつらを合格させること。どんな手を使っても、点数を取ればいいだけだ。」

「それ、先生のセリフじゃないわよ......」

 

早速、聖哉はガネリス様に会いに行った。

 

「ガネリス、この勇者に特技を教えてほしいのです。」

 

アリアの言葉に振り向いたガネリス様は、顔立ちの良い白髪の男神だった。その容姿は、知性を感じさせていた。

 

「くくく、噂の慎重勇者ですな、アリア氏。そこの金髪はリスタルテ氏だね。」

 

なんか、口調がちょっとおかしいわね。

私がガネリス様の喋り方に疑問を持つと聖哉が前に出た。

 

「おい、完全記憶能力のようなものはあるか?」

「ほう、完全記憶能力ですな。それは、僕に元来、備わっている能力なのです。」

「よし、それなら教えてもらおう。]

「いや、聖哉が覚えてどうするのよ。」

「まず、使える能力かを見極める。」

 

――いや、最初に使える能力か見るために覚えるなんて........

 

「くくく、聖哉氏は、凄まじいほどの慎重さですな~。あぁ、慎重というのは、注意深く軽々しく行動しない様子、思慮深い様子を意味する言葉で、類義語には「用心深い」「細心」「入念」などがある。--------

 

!? ちょ、ちょっと待って!! なんか急にめっちゃ饒舌になったんだけど.......まだ喋ってるし

 

ガネリス様の言葉の説明に驚いていると、アリアが困った様子で

 

「ガネリスは、イシスター様も一目置く神界一の知能を持ってるけど、話が長いのよ。私も前に、2時間も拘束されたわ.......お茶の話で.......」

 

お茶の話で二時間も!? てかっ、話が長いっていうか、自分の知識をひけらかしたいだけじゃないの!?

 

ガネリス様の面倒な一面を見た私は、どうすればいいのか困惑していた。だが、ここにいる、慎重勇者こと「竜宮院聖哉」は全く動じず、剣を鞘ごと抜いていた。

 

リ「!? 聖哉、何する気!!」

ア「ま、待って、聖哉!!!」

 

私たちの制止を聞かずに、聖哉は容赦なく、剣をガネリス様めがけて、振った。

 

(ゴチーン)

 

「あふっ!?」

リ・ア「!?」

 

「長い。それより、早く修行するぞ。」

 

いや、マジでこの勇者凄いわ!? その精神見習いたいくらいだわ!!!

 

聖哉に殴打された、ガネリス様は、一瞬、意識が飛びかけていたが、すぐに正常に戻り

 

「あぁ、修行というのは、元々は「宗教的な行」すなわち、本質的に「仏の悟りを求めて実践すること」であり、聖哉氏が言ってるのは「世間的な学問や技芸などを習い修めること」などを指す、「修業」でありますな。また―――――」

 

いや、殴られても、喋るんかい!!! 流石、知恵の神だけあるわね.......面倒くさっ!

 

「........。」

 

ふと、聖哉の方を見ると、明らかにイライラしてる表情で、再度、剣を振り上げていた

 

「ちょ、聖哉!?」

 

(ゴチーン、ゴチーン、ゴチーン-------)

 

数回、数十回を超える殴打により、ガネリス様は完全に意識を失っていた

 

「いや、やりすぎだろ、お前!? いくら、話が長いからって.....」

 

聖哉にそう言うと、フンと鼻を鳴らし

 

「俺たちには時間がない。こんなことに時間を使うのは無駄だ。」

「た、確かにそうだけど......」

 

そうしてる間に、ガネリス様が目を覚ました。

 

「はっ!! 僕としたことが、少し話が長かったようですな。」

 

す、少し?

 

「では、完全記憶能力のやり方を、伝授しましょう。聖哉氏なら、簡単でしょう。ではこれを。」

 

ガネリス様が、聖哉に何かが入った「ボトル」を手渡してきた。

 

「これは?」

「脳を一時的に活性化させる神のドリンク。その名も「アタマヨクナール」です!!」

 

あ、アタマヨクナール?

 

「これを飲んで修行すれば、さらに脳を発達させることが出来るのです。」

 

な、なんか、怪しくない? 前、キヴォトスで白髪の子が変な水を売ってたのと、似てるんですけど.......

 

「聖哉、どうする...ぐぼっ!!」

 

突然、聖哉が強制的に怪しいドリンクを口に入れてきた。

 

「あんた、急に何するのよ!?」

「どうだ、体に変化はあるか?」

 

変化? 言われてみれば、頭がスッキリしてきたかも......

 

「効果が出てきたようですな。では、リスタルテ氏。私が出す問題を解いてみなされ!!」

 

知恵の神から問題!? どんな難しい問題が.......

 

(デデンッ)

 

〈4+6=?〉

 

「!? こんな問題、誰でもわかるわ!! わたしゃ、小学生低学年か!?」

「うむ、おかしいですなー。リスタルテ氏の知能レベルだとこのくらいだと思ったんだけど.....」

「!? お前、なめとんのか!!!」

 

私は、馬鹿にされた怒りで、ガネリス様に掴みかかった。すると聖哉が、私を止め

 

「おい、リスタは、ここまで阿保じゃない。」

「せ、聖哉......!」

 

私をフォローしてくれるのね。流石、前世の旦那さん❤

 

「流石のリスタでも、小学生高学年レベルはあるだろう。」

「!? 結局、小学生なのかよ!! フォローになってねぇわ!!!」

「とりあえず、副作用などはあるか?」

「それ、私が飲んだ後に聞く、普通?」

 

私の訴えに、2人は気にしてないように、話を進めた。

 

「副作用ですな。ふむ、それは、個々人の知能レベルで決まるのです。」

 

ち、知能レベルで?

 

「知能が著しく低かったら、脳へのダメージが大きいのです。所謂、知恵熱というやつですな。ですが、聖哉氏なら、反動はほぼないに等しいでしょう。」

「なるほど、なら俺も飲もう。」

 

聖哉はそう言うと、「アタマヨクナール」を飲んだ。

 

「よし、早速、修行をしよう。」

「くくく、聖哉氏ならほかの技も身に付けられるでしょうな。実に面白いですな。」

 

聖哉は、ガネリス様との修行を始めた。

――結局、鉢巻って何の意味があったの!?

 

ガネリス様の部屋を後にした私は、アリアと自室に戻った。

 

ガネリス様の話した通り、その日、熱が出て、寝込んでしまった。

 

神界での5日後

 

「おい.....おい、起きろ、リスタ。」

「!? もう修行は終わったの?」

「あぁ、テストに使えそうなスキルは一通り、覚えた。これをあいつらに覚えさせることが出来れば......」

「ねぇ、聖哉。本当に試験でそんな卑怯な手で点数を取ろうとしてるの?」

「当たり前だ。あいつらは、成績不良生徒。どれだけ勉強しても、合格する確率は少ない。」

「そ、そんな言い方!!」

「そんなことより、キヴォトスに戻り、次の日の放課後にあいつらを神界に連れていくぞ。」

「.....。」

 

私は聖哉の指示に従い、次の日に、補習授業部の子たちを神界に連れてきた。

 

ヒ「こ、ここが神界ですか........。」

ハ「美しい、女神さまがたくさんいますね。」

コ「み、みんな、エッチな恰好をしてるじゃん!!死刑!!!」

ア「きれいだ。」

 

補習授業部の子たちが、初めて来た神界に驚いていると、聖哉が

 

「おい、驚いている暇はない。すぐに行くぞ。」

「いや、もうちょっと待ってあげてもいいんじゃない?」

 

私たちはガネリス様のお部屋に行った。

 

「おい、ガネリス。こいつらにも、スキルを覚えさせることはできるか?」

「ほう。その子らは、リスタルテ氏に任された、キヴォトスの住民ですな。本来、人間には会得できない領域ですが、やるだけやってみましょう。」

 

ガネリス様は、ドリンクを取りに行った。すると、ヒフミちゃんが聖哉に

 

ヒ「せ、先生!! これから何をするつもりなんですか?」

「お前らには、完全記憶能力を覚えてもらう。それを使い、試験に合格する。」

 

補習「!?」

 

コ「え!? つまり、ズルをするってこと?」

「ズルではない。」

ア「だ、だが、先生。私たちは......」

ハ「........。」

 

皆の不安な様子を横目に、聖哉はガネリスから、ドリンクを受け取った。

 

「お前ら、これを飲め。」

ハ「これは.....」

コ「ま、まさか、エッチな奴じゃないでしょうね!!!」

「とにかく飲め。それを飲んだら、修行を始めるぞ。」

 

聖哉はそう言い、皆に「アタマヨクナール」を飲ませ、早速、修行に取り掛かった。

 

習得できなかった私は邪魔にならないように、部屋を出た。

 

神界での次の日、私は様子が気になり、ガネリス様のところに行った。

 

だが、そこにいたのは、聖哉とガネリス様だけだった。

 

「せ、聖哉、皆は?」

 

私の質問に、聖哉は珍しく険しい、表情になり

 

「『アタマヨクナール』の反動で寝込んでいる。いくら、キヴォトスの生徒だからって、神の技を習得することはできなかった。」

「じゃ、じゃあ、普通に勉強して、合格するしかないわね。」

「いや、俺が透明化して、テストを解けば......」

 

いやいや、あんたが解いてどうするのよ!! 全くこの勇者は.....少しは、あの子たちのことを信用してあげてほしいのだけど.....

 

私が聖哉の行動に不満を募らせていると、突然、扉が開いた

 

ヒ「先生!! 私たちは決めました。自分たちの力で試験に臨みます。」

ア「先生、勉強を教えてくれ。」

コ「あんまり、私たちを舐めないでよ。」

ハ「コハルちゃん。先生に舐められたんですか?」

コ「そっちの舐めるじゃないわよ!!!」

 

み、みんな.....

 

「せ、聖哉!! この子たちがこう言ってるんだから、信じてあげて。」

 

私がそう言うと、聖哉は少し考え、決心したように

 

「わかった。こういう事も想定してたからな。本当は時間をかけたくなかったのだが、ガネリスに勉強のコツを教えてもらった。」

 

全「先生......。」

 

「だが、勉強は神界で行おう。その方が、時間は取れる。」

「で、でも聖哉。休憩は取らせてあげてよ。」

 

私の言葉に、聖哉は当たり前だと言わんばかりの表情で

 

「無論。今回はポモドーロ勉強法の拡張版を採用する。勉強50分、休憩10分のサイクルを行う。人間の平均的な集中力は90分が限界くらいだからな。」

 

せ、聖哉にしては、優しい方ね.......

 

「よし、『レディ・パーフェクトリー(準備は完全に整った)』を目指して、勉強だ。」

 

全「おー!!」

 

そうして、慎重勇者による勉強会が始まった。

 

「まず、三日間。勉強をした後、模擬試験を行う。そこで、お前らの成長度を見る。」

ヒ「三日ですか......。」

「大丈夫よ。神界では、1時間ちょっとだから。」

ハ「すごいですね、神界は。」

 

模擬試験まで、あと三日

 

ア「ハナコ、この問題はどう解けばいい?」

ハ「どれですか?ああ、なるほど。こういう時はですね、倍数判定法を用いてこのように.....。」

ア「なるほど......うん、理解した。」

「.......。」

 

ハナコちゃんって、意外と勉強できるのね。教え方うまいし.....。

 

「お前ら、質問があるときは、声に出さなくていい。」

ヒ「? どういうことですか。」

『こういうことだ。』

コ「!? 頭に直接!!」

『「テレパシー(以心伝心)」だ。これにより、同時並行で教えることが出来る。』

ア「先生って、何でもできるんだな。」

 

聖哉だけに任せるわけにはいかないと思い、私も覚えた、以心伝心を使った。

 

『私にも聞いていいわよ、みんな。』

ヒ「リスタさんも教えられるんですか!?」

『これでも女神だからね。高校生くらいならわかるわ。』

『やるじゃないか、小学神。』

『誰が、小学神よ!? 小学生みたいに言わないでくれる!!』

 

こんな感じで、勉強会は3日目に突入していた。そんな時、ヒフミちゃんが、私と聖哉を呼び出していた。

 

ヒ「先生、気になってることがあるんですが.....」

「ハナコのことだろう。」

「ハナコちゃん!?」

ヒ「はい。ハナコちゃんはどうやらすごく勉強ができる感じなのですが、どうして落第してしまったんでしょう。」

 

確かに、アズサちゃんやコハルちゃんの質問にも、即答してたし.....何か事情があるのかな?

 

「......実を言うと、ハナコだけ、テレパシーが使えない。」

「!? な、なんで......。」

テレパシー(以心伝心)の弱点として、思考力が高いやつには使えない。信頼関係ができてないと使えない。つまり、相手が強制以心伝心を拒否すれば、思考を読み取ることが出来ないということだ。」

「ってことは.....ハナコちゃんは、物凄く頭がいいんじゃ......。」

「あぁ。しかも、『アタマヨクナール』の反動を受けてない様子だったからな。」

 

『アタマヨクナール』の反動を受けてない!? つまり、寝込んだのは、演技ってこと?

 

「ヒフミ、安易に信用しすぎないほうが良い。まずはこの模擬試験で、あいつの思惑を予想する。」

 

模擬試験当日

 

「聖哉、テストは誰が作ったの?」

「無論、俺だ。」

「!? とんでもなく、難しい問題にしてないでしょうね!!」

「当たり前だ。過去問を参考にしている。」

「まぁ、それなら、大丈夫かも。」

 

そうして試験が始まり

 

「タイムアップ。」

 

コ「終わったー。」

「採点をする.....終わりだ。」

「はやっ!!!」

 

凄まじいほどの採点速度に驚きながら、得点を見た

 

ヒフミ:72点

アズサ:32点

コハル:11点

ハナコ:2点

 

!? 何この散々な点数!!! 

 

ア「ちっ、紙一重だったか。」

「いや、紙一重じゃないけど....。」

ヒ「コハルちゃん実力を隠してたんじゃないんですか!?」

コ「やっ、その......か、かなり難しかったし.....。」

ヒ「すっごく簡単でしたよ!?小テストみたいなレベルでしたよ!?」

「ま、まぁ、ヒフミちゃん。人それぞれだから......。」

 

ヒフミちゃん以外は不合格だった。二人の点数も散々だが、ハナコちゃんは......。

 

ヒ「2点!? ハナコちゃんって、もの凄く勉強ができる感じでしたよね!?」

ハ「確かに、そう言う雰囲気があるみたいですね。実際は違いますけど.....。」

「.......。」

 

やっぱり、聖哉の言った通り、実力を隠してるのかも......でも、なんで?

 

すると、聖哉は深いため息をついた

 

「はぁ。最初でこれか.....。」

「で、でも聖哉。これからもっと勉強すれば、良くなるわ。」

 

いつもの聖哉なら、良くならないと否定すると思った。でも、帰ってきた返事は、

 

「そうだな。神界で勉強すれば、時間はある。これから伸ばすしかないな。」

 

!? 聖哉からこんな言葉が聞けるなんて......てっきり、信用できないというのかと思ったのだけれど......。

 

「お前ら、次は『第一次特別学力試験』だ。そのためにより一層、慎重に勉強する。」

 

そんなこんなで、勉強会は続き、試験当日。

 

「みんな、頑張ってね。」

全「はい。」

 

第一次特別学力試験が終わり、翌日、結果が届いた。

 

ハナコ:4点

アズサ:52点

コハル:44点

ヒフミ:70点

 

す、凄い! アズサちゃんとコハルちゃん、めっちゃ伸びてるじゃない!!

 

「やったね、コハルちゃん、アズサちゃん。その調子よ。」

コ「ふん、どんなもんよ!!!」

ヒ「まぁ、でも、合格はしてないんですけどね。それにハナコちゃんは......」

 

ヒフミちゃんはそう言うと、ハナコちゃんの方を見た。

 

ハ「あら?ヒフミちゃん、どうしてそんなに声量が下がってしまうのですか?最初の模擬試験が2点、次の試験は4点ですよ。これを数列として考えたら、あと四回受ければ、きっと合格圏内に届くはずです。」

 

いやいや、どんな理論よ、それ.......

 

「うむ。ヒフミ、第一次試験を落としたら、合宿を行わなければならないといったな。」

 

合宿? そんな話あったの!?

 

ヒ「はい、明日から始まるそうですね。それより、先生。ナギサ様から話があるようです。」

 

ナギサちゃんから!? もしかして、怒られるんじゃ......

 

「いいタイミングだ。俺も行こうと思ってた。

 

その夜、私と聖哉はティーパーティの部屋に行った。そこには、チェスをしているナギサちゃんがいた。

 

ナ「あら、先生。お疲れ様です。最初の試験は、合格したのはヒフミさんだけのようですね。」

 

ナギサちゃんは、チェスをやめ、真剣な表情になった。

 

ナ「単刀直入言います。あの成績の伸びよう.....どんな手を使ったんですか?」

 

? 確かに、実際はそこまでの期間は経ってないのだから、気になると思うけど......なんか、まるで落ちることを望んでるような発言ね.....

 

「それをお前に言う義理はない。それより、こっちから質問がある。この試験、三回とも不合格だと、退学になるのか?」

 

た、退学!? そ、そんな.......

 

ナ「そうですね。試験で不合格を繰り返す、成績の回復の見込みがなければ、皆さん一緒に退学していただくしかありません。」

 

ナギサちゃんの言葉に聖哉は、頭をかしげた

 

「なるほど。もう一つ質問だ。」

ナ「何でしょう。」

「.......なぜ、補習授業部を作った?」

 

ナ・リ「!?」

 

ど、どういう事? 補習授業部はあの子たちの成績を上げるために作ったんじゃないの......

 

「リスタ、おかしいと思わないか? 普通に考えれば、成績不良者を更生させるなら、個々人で試験を受けさせるはずだ。なぜ、全員合格しなければならないという条件を付ける必要がある。」

「た、確かに!!」

ナ「............流石、先生です。こっちの思惑はバレてるようですね。」

 

!? う、嘘よね、ナギサちゃん!!!

 

聖哉の疑問にナギサちゃんは無表情になり

 

ナ「先生が疑問をお持ちになるのも無理はありません。補習授業部は生徒を退学させるために、作ったものですから。」

「!?」

「.......。」

 

衝撃の事実に、私は声が出せなかった。だが、聖哉は冷静な表情で

 

「やはりな。理由は、不穏因子の削除といったところか。」

「不穏因子!?」

ナ「......はい。補習授業部の中にトリニティの裏切り者がいるからです。」

「あの子たちの中に!?」

ナ「その裏切り者の狙いは、エデン条約締結の阻止。この重さを理解していただくには、『エデン条約』のことを話さなければならないですね。」

「いや、いい。」

「聖哉!?」

ナ「.......。」

 

ナギサちゃんの話を遮った聖哉は、いつもより声を低くし

 

「そんなこと、とうに知っている。トリニティとゲヘナの間に結ばれる不可侵条約だろう。トリニティとゲヘナな代表が出席し、中立的な機構を作ること。」

ナ「......そこまで知ってるんですね。そして、その団体がトリニティとゲヘナの間で紛争が起きたときに介入し、その紛争を解決することになります。」

 

そんな条約を作らなければならないなんて.....そんなに、この二つの学園は仲が悪いの?

 

ナ「ですが、ここに誰かが踏み込めば、両陣営が仲良く共倒れしたしまうことになります。「ちょっと待て!」!?」

「せ、聖哉!?」

「俺は前に言ったはずだ。エデン条約などどうでもいいと。俺はそこに介入しない。話を戻そう。お前が俺にこの依頼をしてきたのは、トリニティの裏切り者を探すことだな。」

 

私たちに裏切り者を探させるために.......

 

ナ「はい。あなたはキヴォトスの平和を守る、勇者なのですよね。裏切り者を探し出すことが、キヴォトスの平和に直結します。いかがでしょう、シャーレとしてご理解いただけますと幸いです。」

 

ナギサちゃんの言葉に、聖哉は(フン)と鼻を鳴らした

 

「まだそんなところにいるのか?」

ナ「!? どういうことですか?」

あの中の裏切り者なら、もう見つけている。」

 

裏切り者を見つけている!? それは.......

――聖哉の言葉に、ナギサちゃんは紅茶ごと、カップを落とした。そして、明らかに焦った様子で前のめりになり

 

ナ「せ、先生!!それは誰ですか、教えてください!!!」

「ふむ、俺は言ったはずだ。隠し事をするなら、トリニティがどうなろうがどうでもいいと.....お前に教える必要はない。」

ナ「くっ!!」

 

聖哉の煽るような発言にナギサちゃんは、顔をしかめていた。

 

「そして、その陰に潜む、黒幕の正体も判明している。」

ナ「!? せ、先生!! 貴方は一体、何者なんですか!?」

「ナギサちゃん。あの男は、あらゆる可能性を考え、慎重に準備をする完成された『勇者』」

 

「慎重勇者よ!!!」

 

 




「ヒフミ、合宿とはいえ、なぜ、プール掃除をする必要がある?」
ヒ「先生、勉強もそうですが、遊びも大事ですよ。」
「そうよ、聖哉。暑い気候に、冷たいプール!そして、水着!!最高よー!!!もう、のっりのりね~!!ヘイヘイヘーイ!!!「うるさい。」あべしっ!?」
コ「り、リスタ!!生乳出てるわよ!?先生、エッチ。死刑!!!」
ア「いいパンチだ、先生!!」
ハ「ふふふ、楽しいですね~。」

「次回『合宿、その中に潜む真実』」

「また私、生徒の前で無様な姿を見せるなんて......。」

読んでくださり、ありがとうございます。
聖哉の慎重さや先見性、疑う力はエデン条約においてはチートすぎますね。
後、神界が便利すぎる。
今後は、オリジナルの展開も書いていくので、ご了承ください。
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