ナギサちゃんと話した後、夜になり、合宿場に向かった。
ヒ「せ、リスタ、先生!どこ行ってたんですか?」
「ナギサの所だ。」
ヒ「ナギサ様の......本当に私を....。」
ハ「先生。実は先ほど、シスターフッドの方々に少しあってきたんです。いろいろと調べたいことがあって....。」
「あぁ、明日の試験会場が第19分館なのだろう。」
「また場所が変わるの?」
ハ「いえ、そうではありません。ただそこにはこの後、かなりの数の正義実現委員が派遣されて、建物全体を隔離するとのことです。何やら、『エデン条約に必要な重要書類を保護する』という名目でティーパーティからの要請があったみたいで...」
!? いや、試験会場なのに、重要書類があるの、おかしくない? 流石に気づいてよ、正義実現委員会!!
コ「そ、そんな.....」
ハ「つまり、試験を受けたいのであれば、正義実現委員会を敵に回せ、と....」
全「!?」
な、ナギサちゃん....やり方が汚すぎる!! 正義実現委員会....ハスミちゃんやマシロちゃんと戦えってこと?
この場にいる、全員が戦慄していたと思っていた。だが、聖哉は何とも思ってないように
「なら、その正義何とかを壊滅させればいい。そうしたら、試験は受けられるのだろう。」
全「!?」
「いや、聖哉!! いくら何でも、あの数は.....」
コ「私たちには無理よ!! ハスミ先輩やツルギ先輩に勝つなんて....」
「直接、戦わない。神界でメカタルテを千体、製造した。そして、トリニティを上空に、オートマティック・フェニックスも完備してある。これなら、手を直接、出さずに勝てる。」
ハ「せ、先生.....流石に正義実現委員会と戦ったら、このトリニティに入れなくなりますよ。」
「気絶させといて、『眠かったので、寝てしまった』という事にしておけばいいだろう。」
「いや、適当すぎる!? いつものあんたはどこ行ったのよ!!!」
ア「.....私のせいだ。」
全「!?」
皆が、この事実に、絶望していると、それまで黙っていた、アズサちゃんが口を開いた。
ア「みんな、聞いて。話したいことがある。」
ヒ「あ、アズサちゃん....。」
コ「アズサ.....?ど、どうしたの?具合でも悪いの?」
アズサちゃんは、自分が「トリニティの裏切り者」という事を言おうとしてるんだと確信した。だって、それを言おうとしてる本人の体が震えていたからだ。
ア「ティーパーティーのナギサが探してる『トリニティの裏切り者』は私だ。」
全「!?」
コ「きゅ、急に何の話?」
アズサちゃんは、自分の素性を説明した。自分がアリウス出身だったこと。そして、ナギサちゃんのヘイローを破壊するためにトリニティに潜入していたスパイだったという事も。
ヒ「......っ!?」
コ「噓でしょ!?それってつまり....。」
「アズサちゃん.....。」
(バンッ)
? 今、クローゼットの所から、物音がしなかった?
ア「......アリウスはティーパーティーを消すためなら、何でもしようという覚悟でいる。アリウスはまず聖園ミカを騙して、私をこの学園に入れた。詳細は知らないけど、きっとトリニティと和解したいとか、そういう嘘をついたんだろう。」
ハ「なるほど、ミカさんを....確かに彼女は政治に向いていないと言われてましたが....おそらくは、全てが終わった後、その罪をミカさんに着せる.....そういう流れを想定しているのでしょうか。」
コ「ま、待って....急に何の話...?いや、嘘だとは思わないけど、別に今の私たちとは関係無いじゃん....?」
コハルちゃんの言葉に、皆が静まり返った。少しの沈黙が流れた後、アズサちゃんが
ア「明日の朝、アリウス分校の生徒たちがナギサを狙ってトリニティに潜入する....私は、ナギサを守らなきゃいけない。」
「!?」
ヒ「あ、明日!?」
? ちょっと待って.....アズサちゃんは、ナギサちゃんを殺害するために送り込まれた刺客じゃないの? 何で、ナギサちゃんを守ろうと....
「正義実現委員会も会場の護衛に駆り出され、戒厳令も出ている。要人襲撃には適したタイミングだ。」
アリウス側も、頭が回るようね......
コ「ちょ、ちょっと待って....よ、よく分かんないけどアズサはティーパーティーをやっつけに来たんでしょ?なのに守るってどういう事?話が合わないじゃん。」
そ、それ!! 私も気になってたところ....
そのことを、アズサちゃんが言うのかと思ったが、聖哉が口を開いた。
「俺から説明しよう。アズサの本当の目的は、ナギサを襲撃することじゃない。あいつを守ることだ。そのために今回の作戦に加担した。つまり、二重スパイだ。」
ハ「....どうして、ナギサさんを守ろうとするんですか?それは、誰の命令で?」
ハナコちゃんの言葉に、アズサちゃんは、
ア「....これは誰かに命令されたわけじゃない。私の判断だ。桐藤ナギサがいなければ、エデン条約は取り消しになってしまう。あの平和条約がなくなればこの先、キヴォトスの混乱はさらに深まるだろう。」
アズサちゃんの言葉を聞いた、ハナコちゃんは眉間に皺を寄せた。
ハ「だから平和のために、という事ですか?とっても甘くて、夢のような話ですね。今回の条約の名前と同じくらい、虚しい響きです。」
ア「.....。」
「ハナコちゃん.....。」
ハ「アズサちゃんは嘘つきで、裏切り者だった.....あなたは、ずっと周りのすべてをだましていた。そういう事であっていますか?」
ア「私のせいで補習授業部は、こんな危機に陥っている。本当にごめん。私のことを恨んでほしい。今のこの状況はすべて、私がもたらしたことだから....」
アズサちゃん。確かに今回の件、アズサちゃんが相談してくれれば、起こらなかったと思う。でも、アズサちゃんだけのせいじゃない。
「それは違うわ!!」
全「!?」
「この話は、お互いを深く信じられていたら、こんなことにならなかったと思うの。」
ハ「そうですね、そうかもしれません。今のナギサさんのように、誰も信じられなくなってしまった人を変えることは難しいです。誰かを信じるということは、元々、難しいですし。」
ヒ「でも、アズサちゃんは、話してくれた。謝ってくれました。」
「聖哉が言ってた。アズサちゃんは『スパイ』にしては、目立ちすぎるって....逃げようと思えば、逃げれたと思う。」
ハ「それでも、ここに残った理由は、補習授業部での時間があまりにも楽しかったから。そうではありませんか?」
ア「.....!」
ハナコちゃんの言葉に、何かに気づいたように、目を見開いた。
ハ「皆でいろんなことをしたり...何をしても楽しいことばかりだったから。」
「アズサちゃんが、モモフレンズの話をヒフミちゃんとしてる時、本当に楽しんでいたと思う。」
ハ「だから、この楽しい時間を壊したくなかった.....みんなで知らなかったことを学んでいくことが、楽しかったから....。違いますか、アズサちゃん?」
ア「......うん、そうかもしれないな。」
ハ「何だか知ったような口をきいてしまいましたが....分かるんです、その気持ち。何せ....はい。同じように思った人が居たんです。」
「ハナコちゃん?」
ハナコちゃんは、自身のことを語り出した。その才能から、身の丈に合わない、期待を寄せられ、自分が監獄のようなところに閉じ込められている感覚だったことを.....ずっと、学園をやめたかったことを....
――だから、わざと、低い点数を取ってたんだ.....
ハ「桐藤ナギサさん....彼女を、アリウスの襲撃から守りましょう。そして、絶対に試験に合格しましょう。」
ア「で、でも、そんなこと、不可能じゃないか?」
ヒ「誰かに助けを求めるとか?」
アズサちゃんとヒフミちゃんの言葉に、ハナコちゃんはみんなを一瞥し、話した。
ハ「不可能ではありません。何せここには、正義実現委員会のメンバーと、ゲリラ戦の達人と、ティーパーティーの偏愛を受ける自称平凡な人と、トリニティのほぼ全てに精通した人がいます。」
ハナコちゃんは、その後、聖哉と私を見て、微笑んだ。
ハ「そして、ありえないほど慎重な最強の勇者と天上の女神までもいますから。」
「た、確かにそうね.....」
ハ「このメンバーなら、トリニティくらい、半日で転覆させられますよ❤」
ハナコちゃんの自信満々な言葉に聖哉は
「いや、3分で壊滅させられる。」
「!? 何、本気に捉えてるの? 例えよ、例え!!!」
「本当に三分で壊滅できる。それより、さっきから、お前らは何を言ってるんだ?」
「? どういうこと?」
聖哉は、深いため息をついた後、クローゼットの方に指をさした
「ハナコ、ナギサを守る必要はない。ナギサならそこにいるではないか。」
全「.......は?」
「ちょ、ちょっと待って!!もしかして、さっきの物音!!!」
私は急いで、クローゼットの扉を開けた。そこから出てきたのは.....
ナ「むーー!!む――――!!!」
ヒ「ナギサ様!?」
ハ「......フフ❤」
ア「.....!!」
コ「ど、どういう事?」
「せ、聖哉、これは....」
私の疑問に聖哉は、相変わらず無表情で
「アリウスの目的は、わかっていたからな。ナギサとの話の後、拉致った。」
「拉致った!?そ、そんな、軽く!?」
ハ「さ、流石、先生ですね....でも、ナギサさんが拉致られたら、皆が気づくんじゃないですか?」
た、確かに、そんなことしたら、アリウスも作戦を変更するんじゃ.....
「俺を誰だと思ってる。何のために、ナギサのつまらない話を聞いていたと思う?あいつの所作、礼儀作法を記録するためだ。」
「ど、どういう事?」
「ナギサの動きを模したメカタルテに土魔法でナギサの皮をかぶせて、本人そっくりに仕上げた。それをあいつのセーフハウスに置いておけばよい。」
想像の一つ、二つ上を行く、聖哉にみんなが震撼していると、ハナコちゃんが....
ハ「あの時、セーフハウスを教えてほしいといったのは、こういう事だったのですね。」
「今頃、アリウスの生徒がセーフハウスを襲撃しているだろう。だが、そこは罠。セーフハウス全体を爆弾に変えている。それにより.....」
(ドカーン)
聖哉の言葉に呼応したように、大地が響くほどの爆音が鳴った。
「建物が崩れ、奴らは瓦礫の下敷き......ふむ、襲撃に来た奴らは倒せたようだな。」
「ちょ、ちょっと聖哉?」
「.....なるほど、アリウスの生徒がそれくらいで死なないと思っているのだろう。それも想定済み。殺すつもりはない。手足を潰して、戦線に復帰できないようになればなおよい。」
ヒ「あ、あの先生.....」
「.....なるほど、リスタのような治癒魔法を敵が持ってる可能性だろう。それも安心しろ。オートマティック・フェニックスを放っている。傷口を炎で焼けば、治癒魔法は使えない。」
ア「せ、先生?」
「.....なるほど、まだ他にも、アリウスがいるという危惧だろう。それも想定済み。オートマティック・フェニックスにより対象を発見次第、土蛇、機兵によって、倒していってる。勿論、手に持っている武器と通信機器は破壊済みだ。」
コ「ちょ、ちょっと先生!!」
「.....なるほど、更なる、増援の事だろう。安心しろ、さっきの爆発は、ナギサ暗殺の手段としておき、奴らの仲間に、変化の術でフェイクを流しておけばいい。死体なども、黒焦げにしておけば、本人かどうかもわからないだろう。」
「!? いや、もーえーわ!!! 」
こ、こいつ、相変わらず、やばすぎる!!! 慎重を通り越して、サイコパスすぎるだろ!!!
ハ「.....皆さん、私の言ったとおりでしょ❤」
ヒ「あはは.....」
ア「先生は、本当に勉強になるな。」
コ「いや、どこがよ!! 」
皆が、聖哉のサイコパスぶりに、驚愕していた。
「で、でも聖哉、ハスミちゃんたちやシスターフッドは、このことに気づいてるんじゃない?」
「その点も安心しろ。俺が事前に一言、言っておいた」
ハ「一言?」
「.......『これから起こる件について、一切手出しをするな』とな。」
「!? でも、ナギサちゃんの言葉でない限り、従わないんじゃ.....。」
「安心しろ。あいつらに事情を伝えてる。そこで、正義実現委員会に聞いたところ、ある人物が改めて、待機命令を出したことが判明した。」
ある人物? 正義実現委員会に指示が出せる人物.....ナギサちゃんはここにいるし、セイアちゃんは昏睡状態........それって!!
「ハナコ。今回の件、お前なら気づいてるはずだ。本当の黒幕について......」
ハ「!?......そうですね。」
ヒ「な、何の話ですか?」
「......ついてこい。」
聖哉は、何も言わず、私たちを体育館に連れて行った。そこには、気絶しているアリウスの生徒、そして.....
「め、メカタルテ!?」
聖哉のメカタルテが機能を停止していた。頭部に弾痕があり、誰かに倒されたのだと分かった。
――メカタルテを倒せるなんて.....そんなの、ツルギちゃんを抜いて、一人しかいないわ!!
「ミカちゃん......」
ハ「やはり......。」
そこには、引きちぎったメカタルテの頭部をもったティーパーティーの聖園ミカがいたのだ。
ミ「はぁ~。まさか、アリウスの子たちを一人残らず、倒しちゃうなんて.....意外としぶとかったし....」
「ミカ。」
ミ「やっ、久しぶり先生、リスタ。このロボットたち、先生の仕業でしょ。でも、残念。私が倒しちゃったから✨」
その言葉を言う、ミカちゃんはいつものように、笑顔だった。
ミ「簡単に言うと、黒幕登場☆ってところかな?」
全「.....!?」
ミ「というわけで、ナギちゃんをどこに隠したのか教えてくれる?私も時間がなくってさ。」
「ミカちゃん.....。」
この状況に、私たちは息をのんでいる中、聖哉は全く、表情が揺るがず
「時間がない? トイレでも我慢してるのか?悪いが、この体育館には完備されていないぞ。」
いや、この状況でそんなデリカシーのない言葉言うやついる!?
ミ「.....余裕だね、先生。でも、これを見ても、その自信が持つかな?」
ミカちゃんはそう言うと、懐から一つの弾丸を取り出した。
「!? あ、あれは!!」
「.....。」
ミ「そう。先生やリスタは殺しても、本当の意味で死ぬわけじゃないんでしょ?でも、これがあれば、2人の
ミカちゃんの言ってることが本当なのかは、あの弾丸が纏っているオーラでわかった。
ミ「本当は、先生を殺すつもりはなかったのだけど、邪魔するなら仕方ないよね☆.....それと、もう一つ、こういうのもあるんだ~。」
そう言って、ミカちゃんは一つの腕輪を取り出した。
ミ「魔王の腕輪っていうらしいんだけど、何でも、力を与えてくれるらしいの。これがあれば、あのツルギちゃんも手出しはできないよね。」
ミカちゃんはそう言って、腕輪をはめた。
全「!?」
腕輪をはめた瞬間、ミカちゃんから、禍々しいオーラが湧き出てきた。
――あれは、まるで戦帝の「魔神の霊玉」!! まさか、ステータスが....
聖園ミカ
状態:狂気
HP 356931 MP 23987
攻撃力 279843 防御力 251856
素早さ 294738 魔力 13672
耐性:火・水・雷・氷・土・闇・毒・麻痺・眠り・即死・状態異常
スキル:確定会心(LvMAX)魔王の加護(LvMAX)
特技:
――の、能力値が1.5倍になってる!! しかも、ミカちゃんの確定会心と合わさって、その攻撃力は35万以上!?こんなの、この世界の生徒たちでは、太刀打ちできないわ!!!
だが、私は凄まじい能力値に驚いて、気づかなかった。ステータスの表記が私たちの世界と似ていることに.....
ミ「アハハハハハ!! 凄いでしょ、先生。力があふれてくるの。もう私を止められるものはいない!!!」
豹変したように、ミカちゃんは高らかに笑う。そんな様子を見て、私は咄嗟に声に出した
「ミカちゃん!!なんでこんなこと......」
私の言葉に、それまで、笑っていたミカちゃんは、黙ってしまった
ミ「聞きたいよね~☆.....それはね....ゲヘナが嫌いだからだよ。私は本当に、心から....心の底からゲヘナが嫌いなの。」
「!?」
補習「!?」
ハ「だから、エデン条約を取り消そうと?そのためにナギサさんを....?」
ハナコちゃんの言葉に、ミカちゃんは冗談めいた声で
ミ「えっと....誰だっけ?ごめんね、私あんまり顔を覚えるの得意じゃなくってさ.....あぁ、思い出した。浦和ハナコじゃん。礼拝堂の授業で参加して追い出された、あの。あははっ、懐かしいねぇ。」
ハ「......。」
ミ「ゲヘナのあんな、角が生えた奴らなんかと平和条約だなんて、冗談にもほどがあると思わない?考えるだけでぞっとしちゃうよ。絶対裏切られるに決まってるじゃんね?背中を見せたらすぐに刺されるよ?」
その言葉を言う、ミカちゃんが私は、嘘をついているようには思えなかった。
ミ「.....そういうわけだから、ナギちゃんを返してくれる?大丈夫、痛いことはしないよ。まあ、残りの学園生活は全部檻の仲かもしれないけど。」
「断ると、言ったら?」
ミ「.....なら、先生たちには、黙ってもらうしかないよね☆」
私はその時、ある声が聞こえた。
――ミ『先生、リスタ.....助けて....。』
「!?」
この時、私の以心伝心スキルが発動したんだと思う。ミカちゃんの心の中は、助けを求めているようだった。
聖哉の答えに、ミカちゃんは、きりっとした表情になった。
ヒ「せ、先生......。」
コ「どうすんの? あんなのツルギ先輩ですら、勝てないよ!!」
ハ「先生......。」
ア「何か、考えが......。」
「.......お前ら、下がっていろ。」
「戦うの、聖哉?」
「無論。お前も気づいてるかもしれないが、あの腕輪は、使用者の精神を蝕んで、最終的には崩壊するだろう。早急に、ミカをぶちのめして、外さないといけない。」
「せ、聖哉....。」
聖哉の言葉に、ミカちゃんが笑い出した。
ミ「アハハハハ!!!先生って、頭がいいと思ってたけど、本当は悪かったんだ~。この状況が分からないの? 先生は詰みってこと☆」
「お前こそ、頭がお花畑のようだな.....一つ質問だ、ミカ。お前は、俺と会ってから、どんな対策をしてきた。」
ミ「対策? そんなの必要ないじゃんね。この圧倒的な力が手に入ったんだから。」
ミカちゃんの言葉に、聖哉はため息をついた。
「.....そうか。ミカ、覚悟しろ。俺が直々に教鞭をとってやる。」
ミ「......!!」
全「先生!!!」
「聖哉!!!」
皆の声掛けに、聖哉は胸の前で、握り拳を作った。
「『
ミ「.......!!!」
聖哉が言葉を放った刹那、聖哉の姿が一瞬で見えなくなる。それと、呼応するように何かが衝突する音が体育館に鳴り響く。その風圧は、窓ガラスをすべて割り、私や補習授業部の子が立ってられないくらいだった。
体育館の中央を見ると、聖哉とミカちゃんが、お互いの銃同士をぶつけていた。
ミ「......!!な、なんで....何で、このスピードについてこられるの!?」
聖哉の力に押し負け、ミカちゃんが後退する。
ミ「私のステータスに、どうやって......!?」
ミカちゃんが、驚くのも無理はなかった。今の聖哉は一刻前とは、姿もオーラも違う。髪は赤く染まり、牙も剝き出し....体からは、赤黒い狂気のオーラを発散させていたからだ。
「
聖哉の姿に、ミカちゃんだけでなく、補習授業部の子たちも驚いていた。
ヒ「あ、あれが先生ですか......?」
コ「あんな姿、見たことない!!!」
っと、どっかで聞いたことのある驚き方をしていた。
ミ「こ、こんな......くっ!!」
ミカちゃんは、聖哉に向かって、銃を発射した。だが、聖哉の狂戦士化した能力値はミカちゃんの倍はある。音速の銃弾ですら最小限の動きで避けて、ミカちゃんに二丁拳銃を放った。
「
聖哉の魔力を込めた弾丸に、ミカちゃんは対応できず、体にもろに喰らった。
ミ「くっ!?」
聖哉の強烈な銃撃により、ミカちゃんはその場で止まってしまった。
「どうした、もう終わりか?」
ミ「.....!!」
ミカちゃんは、聖哉に向かって、空気を裂く拳を上げた。だが、聖哉に簡単に避けられた。
「お前は、この計画が完璧だと思っていたが、俺の戦闘力を把握してない時点で完璧ではない。」
ミ「!?」
「最初に俺に会った時、俺は言ったはずだ。相手の所作、癖、容姿、携帯してる装備から、あらゆる可能性を想定する。俺のこの世界での戦闘データを分析することもお前はしなかった。魔王の加護などという物に甘え、準備を怠った。」
ミ「......くっ!!!」
聖哉は、最初の宣言通り、まるで、ミカちゃんに戦闘を教えてるようだった。ミカちゃんの攻撃は、聖哉に当たらず....逆に、聖哉の銃弾はミカちゃんにクリーンヒットしていた。
ミ「あはは....いつもの弾丸ならあまり痛くないのに.....。」
明らかに、ミカちゃんは疲弊していた。
ミ「通常の銃がダメなら......。」
ミカちゃんは、銃をしっかりと構え、聖哉に向けた。
ミ「
ミカちゃんがそう言った直後、月夜の空から轟音がした。
「な、何!?」
「隕石だ。『
「それって、やばくない!?」
「落ち着け。俺以外に隕石を降らせる攻撃を持つ敵が現れたときの対策はしてある。」
「そ、それって......」
聖哉がそう言った途端、隕石の音が聞こえなくなった。
ミ「!?」
「隕石は通常、大気圏突入の摩擦熱で消滅する。だが、ミカの隕石は小さいからか、うまく燃えないらしい。なら、空中にいるオートマティック・フェニックスで燃やしてしまえばいいという事だ。」
な、なるほど......相変わらず、便利ね、魔法鳥.....
自分の渾身の大技をあっさりと防がれたミカちゃんは、その場に崩れた。
ミ「そ、そんな.....私の.....。」
ハ「終わりのようですね。ミカさん、セイアさんを襲撃したのもあなたの指示だったんですか?」
ハナコちゃんは、今まで見たことないような形相でミカちゃんを睨んだ。
ミ「!....あはは、ハナコちゃんもそんな顔をするんだね。うん、私の指示だよ。セイアちゃんってば、いつも変なことばっかり言って。楽園なんだの、難しいことばっかり。でもヘイローを破壊しろとは言ってない。でも、自然とああなっちゃたの。そうだよね、アズサちゃん。」
ア「....!!」
!? アズサちゃんが、セイアちゃんを襲撃した犯人!?
ヒ「アズサちゃん.....?それはいったい、何のお話、ですか.....?」
ア「ち、違う....あれは....。」
(ドカーン)
アズサちゃんが何かを言いかけようとした時、近くから爆発音が聞こえた。
「な、何!?」
ハ「これは、まさか.....。」
「はぁ、シスターフッドだ。」
サ「ティーパーティーの聖園ミカさん。ほかのティーパティーメンバーへの傷害教唆及び傷害未遂で、貴方の身柄を確保します。」
そこには、サクラコちゃん率いる、シスターフッドの面々が集結していた。
ミ「あはは、ハナコちゃん。あなたが呼んだの、それとも、先生が?」
「サクラコ、今回の件に手出しをするなと言ったはずだが?」
サ「先生、残念ですが、それはできません。私たちもトリニティです。学園の安寧をもたらすために、今回は介入しなければなりません。」
シスターフッドの登場により、ミカちゃんは、いつの間にか、武器を落としていた。
ミ「何これ、洒落にならないんだけど.....どうして? 一体どこから、間違ったんだろう....。」
何もない天井を見上げながら、ミカちゃんはそう呟いた。
「マリー、サクラコが『覚悟の証』と言って、着てきた、あの露出狂みたいな礼装は、シスターフッド全体で着ているのか?」
マ「ろ、露出狂......そういうわけではありません。あ、あの礼装は、私個人として着るのは、ちょっと.....。」
サ「ま、マリー、なぜですか?あれは、由緒正しき『ユスティナ聖徒会の礼装』でして....。」
「ふむ、リスタとタメを張れるな。」
「いや、張れねーわ!!サクラコちゃんは純粋なんだから、あんまり、変なことを吹き込まないで!!!」
「次回、『そんな世界でも』」
マ「全ての人に、平和と安寧が共にありますように.....。」
読んでくださり、ありがとうございます。
次回で、第一章は完結となります。このまま続けて第二章に進むので、よろしくお願いします。