翌朝、エデン条約に向けて、たくさんのトリニティとゲヘナの生徒が大聖堂に集まっていた。
そんな中、慎重勇者こと、竜宮院聖哉は上空でその光景を見つめていた。
「リスタ。エデン条約襲撃に向けて、一番警戒しなければならないことはなんだと思う?」
「警戒....うーん。」
全く答えが出てこない私に、しびれを切らしたのか、聖哉はその答えを言った。
「それは、爆弾やミサイルなどによる先制攻撃だ。」
「み、ミサイル!?」
「あぁ。始めにそんなのが投下されれば、いくらキヴォトス人だからと言って、五体満足には済まないだろう。よって、ミサイルの迎撃が最初の関門になる。」
ミサイルの迎撃。最初からとんでもなく難しいわね。
「でもミサイルを迎撃させすれば、いいのね。」
「いや、ミサイルを迎撃できたとして、その破片や有害物質が街に甚大な被害をもたらすかもしれない。そして、ミサイルの先制攻撃が成功しない場合。アリウスの生徒が作戦を中止する可能性がある。」
「た、確かに、そうなったら、アリウスの生徒を倒すことが出来ないわね。じゃ、じゃあ、どうすれば....。」
「発射されたミサイルの迎撃が無理なら、発射される前に仕留めるのみ。」
発射される前に、破壊する。確かに妥当な案だけど.....
「聖哉、アリウスの生徒が気づくんじゃない?」
「俺を誰だと思っている。ミサイルの発射地点を発見している。それをコピーし、偽物にすり替えてある。それにより、奴らも成功したと誤認するだろう。」
その言葉を言った後、聖哉はフンと鼻を鳴らした。
「まだ油断はできないが、ミサイルの発射台が一か所しかなかった。全く、慎重ではないな。俺だったら、カモフラージュしながら複数設置する。」
「いや、ミサイルが迎撃されるとは思わないでしょ。」
聖哉は、静かに時を待っていた。
「そろそろだな。」
「え?」
(ドカーンッ)
聖哉がそう言った瞬間、上空から高速で飛んでくる飛翔体が見えた。見えた瞬間に大聖堂は爆発し、崩壊した。
「はあああああ!! ちょ、ちょっと聖哉!!ミサイルをすり替えたんじゃないの?」
私の怒号に近い言葉に、聖哉は無表情に
「言っただろう。成功しなければ、アリウスの生徒が作戦を中止する可能性があると。」
「だからってこんな.....。」
「今、崩壊した理由は、俺があらかじめ仕掛けておいて爆弾だ。ミサイルは上空で消滅している。」
「いや、そういう問題じゃないでしょ......。」
「それより静かにしろ。『
聖哉がそう言うと、焦土と化した大聖堂の周りにメカタルテが出現した。さらに上空には、無数のオートマティック・フェニックスが顕現していた。
「メカタルテ兵は1万体。そして、『
「す、凄い!!」
私が驚いていると、聖哉が何かを発見したようだ。
「あれが、アリウススクワッドか。」
聖哉が、指をさしたところには、崩壊した大聖堂に大きな荷物を持ったアリウスの生徒と思われる子がいた。
ヒ「な、何でですか!? あれを受けて、傷一つ、ついていないなんて!?.....や、やるんですか!?」
その子が狙っているのは.....
「ひ、ヒナちゃん!?」
「うむ。ヒナが最初に狙われることも想定済み。アリウスはあのまま、ヒナと戦うつもりだが、もう遅い。」
「遅い?」
ヒナ「あなたたちは....。」
ヒ「貴方を先に行かせるわけにはいかないので.....すみませんね、えへへっ.....。」
ヒナ『いったい何が、起きたというの?爆発.....さっきの高速で飛んでくる音は巡航ミサイルのはず....だけど、この被害。ミサイルが落ちたとすれば、小さすぎる。』
『ヒナ。』
ヒナ『!? せ、先生!! さっきの爆発....』
『今から、端的に説明する。ミサイルは俺が対処した。そこにいるアリウスも俺が倒す。お前は、ほかの奴の援護に迎え。』
ヒナ『.....!!』
ヒナちゃんは聖哉の言葉を理解したのか、物凄い速さで駆け出した。
ヒ「に、逃がしません!!」
アリウスの子が追いかけようとした時、突然、銃弾が腹部に命中した。
ヒ「うっ!?な、何ですか!?」
アリウスの子の前に、メカタルテがざっと100体以上いた。徐々に歩み寄るメカタルテ。その光景を前にし、アリウスの子は戦意を喪失していた。
ヒ「ひ、ひやああああ!!!!」
?『ヒヨリ!!何が起こっている!?説明をしろ!!!』
『ほう、ヒヨリというのか.....。』
?『!?』
気が付くと、聖哉が通信機を手にして、アリウスの指揮を担当していると思われる生徒に声を送っていた。
?『き、お前は!?』
『覚悟しておけ、サオリ。俺の敵となるものは容赦はしない。』
?『お前が、勇者か!!!』
聖哉はそう言って、通信機を破壊した。
「せ、聖哉.....。」
「トリニティの奴らと合流する。それまでこいつらは、拘束しておく。」
私たちは、トリニティの子たちに会うために辺りを散策していると
ヒ「先生、リスタルテさん!」
「!?」
急に声がし、その方向を見るとシスターフッドのヒナタちゃんがいた。
「ヒナタちゃん。大丈夫?」
ヒ「は、はい。辛うじてですが.....。」
ツ「せ、先生....。」
ハ「こんなところに....。」
そこに、正義実現委員会のツルギちゃんとハスミちゃんが来た。
ハ「さっきの爆発。それにあのロボット.....全て、先生が.....。」
「あぁ。メカタルテだ。今もアリウスの生徒を殲滅している。それより....」
聖哉がそう言うと、瓦礫の方を見た。そこには、アリウスの生徒と思われる、黒いマスクをした子がいた。
ミ「リーダーの話によると、ヒヨリが勇者にやられたみたいだけど、もうこんなところに....。あのロボットや輝く鳥により、こっちの兵力は減少しつつある。ここであの勇者を殺す。」
アリウスの子が、臨戦態勢に入ったようだ。全員、銃をこちらに向けていた。
ツ「先生、ここは私が....。」
ハ「リスタさんも下がってください。」
「いや、お前らが下がれ。」
ミ「発射!!!」
アリウスの子の掛け声により、銃弾が一斉に発射された。
ハ「先生!!」
「『
風の神フラーラ様の技!! 聖哉とツルギちゃんたちの周りに風のバリアが張られ、銃弾を防いだ。
ハ「す、凄い!?」
ツ「こ、これが噂の先生の力....」
ミ「!? やはり、リーダの言っていた通り、規格外!!!.....なら、あれを....」
アリウスの子は、何かを指示していた。
「!?」
すると、そこに、シスターのような礼装にガスマスクをつけた亡霊のような奴が現れた。
「ほう。ハスミ、あいつを撃ってみろ。」
ハ「え!? わ、わかりました。」
聖哉に言われ、ハスミちゃんは銃を放った。だが、手ごたえがなく。まるで当たってないようだった。
全「!?」
「ま、まさかゴースト!?」
ヒ「あ、あれは、『聖徒会』の礼装。」
ツ「先生.....。」
「下がってろ。」
聖哉は、皆を後ろに下げ、前に出た。
ミ「いくら勇者でも、これを対抗することはできないでしょ。」
「せ、聖哉....。」
「驚いたな。」
全「!?」
聖哉の言葉に、皆が驚愕した。
ミ「どうするの、勇者?」
「勘違いするな。俺が驚いたといったのは、予想通りだったことだ。」
全「!?」
聖哉は、ホルスターから二丁拳銃を取り出した。
「念のため、狂戦士化もしておいたほうが良いだろう。」
聖哉はそう言うと、体から赤黒い狂気のオーラを発散され、髪が深紅に染まっていた。
ミ「そ、その力は!?」
「くらえ。『
二丁拳銃から発射された白いオーラに包まれた弾丸は、亡霊に命中した。すると、亡霊は浄化されたように消えた。
ミ「う、嘘!? あの人形の話だと、銃弾は効かないはず!!」
「これが、気味の悪い女神に教えてもらったゴースト特攻の銃弾だ。」
いや、気味の悪い女神って.....ネフィテト様にはお世話になっているのに。
アリウス側の切り札をいとも簡単に破られたことにより、アリウスの子たちは驚愕していた。
ツ「さ、流石、先生だ。」
「ツルギ、これを使え。」
聖哉がそう言うと、上空にいる魔法鳥からサプライボックスが落ちてきた。ツルギちゃんたちがそれを開けると、中には霊力を付与したと思われる銃弾が入っていた。
ハ「先生、これは!?」
「すべて、あの亡霊に対抗できる銃弾だ。お前らの口径に合わせてある。使え。」
「な、なんて用意周到さ!!」
相変わらずの準備の良さに、この場にいる全員が驚いていた。すると、聖哉は誰かに連絡をしているようだった。
ヒナ『どうしたの、先生?」
『ヒナ。ゴーストタイプの敵が出現した。修行の成果を見せる時だ。』
ヒナ『!? 先生の予想通りね。分かったわ。』
ハ「先生....。」
「俺は、ヒナと合流する。お前はあいつらを捕らえろ。メカタルテを100体、貸しておこう。」
聖哉は、そこにメカタルテを召喚してから、飛翔のスキルを使って、ヒナちゃんの所に行った。
ヒ「と、飛べるんですか!?」
ツ「.....これが、勇者!!」
〈市街地〉
ヒナちゃんは、市街地でユスティナ聖徒会と交戦していた。
ヒナ「これが亡霊....数が多いわね。でも、あの人と修行した技なら!『幽滅:イシュ・ボシュテ』!!!」
ヒナちゃんが放った霜白のオーラをまとった無数の弾丸は、亡霊たちを一掃した。
ヒナ「す、凄い....これが天上の神の力.....。」
そこに、前にアズサちゃんと会っていたアリウスの子が来た。
サ「勇者....そして、女神.....あの者たちのせいで、全てが狂った。」
「俺に何か用か?」
サ「!?」
ヒナ「先生、リスタ!!!」
聖哉は、自ら、敵のリーダー的存在の前に姿を現した。
サ「勇者....女神!!」
「あんたが、こんなことを....。」
目の前にいる子は、私たちに憎悪の視線を向けていた
ミ「リーダー!!!」
ヒ「何とか、逃げ切れました。」
ア「....。」
な、何で、ヒヨリちゃんは、聖哉が拘束したはず、ミサキちゃんはツルギちゃんたちが倒してくれてるはず!!
「せ、聖哉、どういう事!?」
聖哉の方を見ると、珍しく険しい顔をしていた。
「ハスミ、ツルギ、そして、あの場にいるメカタルテが全員やられたようだ。」
「!? な、何で....。」
聖哉は、タブレットで映像を見せてきた。そこには、私たちが去った後のハスミちゃんたちの様子が映っていた。
「メカタルテやツルギより、強い敵の登場は予想していたが、ここで登場するとは....。」
「ここで登場.....。」
映像は一瞬だった。赤黒い霧に包まれた後、皆の困惑した声が聞こえた。霧が開けると、そこには、ボロボロになったツルギちゃんたちがいた。その上に
「な、何よこれ!?」
赤と黒のマントに白い髪、血色の悪い顔をした大男がツルギちゃんたちの前にいた。
「恐らく、ドレイクだ。」
「な、何であいつがここに.....。」
聖哉は、ドレイクのステータスを見せてくれた。そこには
「う、嘘!?」
ドレイク伯爵
種族 吸血鬼 状態 正常
LvMAX
HP 528525 MP 137924
攻撃力 482859 防御力 459275 素早さ 465038
魔力 258291
耐性 火・氷・風・水・雷・土・毒・闇・麻痺・眠り・状態異常・即死・呪い
特殊スキル 邪神の加護(Lv.MAX)霧化転身(LvMAX).......
――な、何このステータス!? ゲアブランデの比じゃない!!!
敵のステータスに戦慄していた私は、聖哉の方を見ると頭を抱えていた。
「せ、聖哉!?」
「一体、どうすればいいのだ.....。」
聖哉がこんな動揺するなんて!? ま、まずいかもしれないわ。
すると、サオリちゃんが
サ「お前の先見性が外れたようだな、勇者。これで形勢逆転だ。」
ヒ「り、リーダー。私はどうして助かったんでしょう.....。」
サ「私もわからない。だが、今は任務に集中しろ。」
ヒナ「先生、しっかりして!! アリウスが来るわ。」
ヒナちゃんが、聖哉を守ろうと前線に出る。対してサオリちゃんたちは、一斉に銃を構えた。
サ「覚悟しろ、竜宮院聖哉!!!」
「聖哉!!!」
ヒナ「先生に手を出させない!!」
ヒナちゃんとサオリちゃんたちがぶつかろうとした時、突然、サオリちゃんたちの銃が腐食した。
サ「!?」
ヒ・ミ「!?」
あ、あれは、ペストリア様の腐食の能力! いつの間に.....あれは!! 土蛇!?
土蛇が銃に噛み付き、腐食させたんだわ!! という事は.....
ヒナ「先生?」
「うむ。落ち込んだように振舞ってみたが、余り慣れないな。落ち込んだことなど、一度もないからな。」
サ「な、何だと!?」
「サオリ。俺がヒヨリやミサキを自分の手でなく、ほかの奴らに任したかわかるか?」
「ど、どういう事?」
この場にいる全員が、聖哉の言ってることに理解できず、困惑していた。
「普段の俺なら、ヒヨリを生け捕りにせず、その場で殺していた。」
ヒ「!?」
「ミサキは、冷静に物事を見れるようだが、重要な情報は何も持っていないだろうと思い、その場で殺していた。勿論、骨も残さずにな。」
ミ「!?」
「だが、あえて泳がし、誰が助けに来るかを検証した。結果的にドレイクの能力を見ることが出来たのはいい収穫だ。」
サ「き、貴様!!!」
人の心があるのかわからないその言葉に、アリウスの子たちは、戦慄していた。
「せ、聖哉!! ハスミちゃんやツルギちゃんは? その言い方だとおとりにしたみたいじゃない!!!」
「その通りだが?」
「その通りって....。」
「安心しろ。本当に危険な状況だったら、メカタルテと魔法鳥で逃がしている。」
「そう言う問題じゃ......。」
サ「き、貴様ー!!!」
「!?」
サオリちゃんが、聖哉に憎悪の視線を向けていること気づいた。
「何だ、サオリ。来るなら来い。」
聖哉がサオリちゃんたちに向ける視線は、氷魔法のように冷たかった。
サオリちゃんが、丸腰で聖哉に殴りかかろうとした。だが、通常のステータスでも劣るのに、狂戦士化までしている聖哉に当たるわけもなく。逆に聖哉に強烈な拳を腹部に受けた。
サ「ぐっ!?」
狂戦士化の攻撃力が加わった拳を受け、サオリちゃんは蹲ってしまった。
ヒ・ミ「リーダー!!!」
聖哉は、透かさず3人の所に行き、銃を向けた。
サ「!?」
「サオリ、選ばしてやる。俺にベアトリーチェの情報を渡せ。そうすれば、見逃してやろう。」
「いや、勇者がする提案じゃなくね!?」
サオリちゃんたちが戦慄するのもわかる。目の前にいる大人は、自分に銃を向け、躊躇なく殺そうとしてるのだから。多分、勇者じゃなくて魔王に見えていたと思う。
サ「まさか、マダムの事も知っているとは.....勇者とはよく言ったものだな....。」
「まだ喋れるとは、感心だ。痛みにも耐えられるように今まで訓練されてきたのだろう。だが、もう終わりだ。」
聖哉は、トリガーに指をかけていた。
「ま、待って聖哉!!!」
ヒナ「先生.....。」
「.....くらえ。『
サ「......!」
?「待ってくれ、先生!!!」
「!?」
そこに、来たのはアズサちゃんだった。
「アズサ、邪魔をするな。こいつを捕らえたら、情報を吐かせる。勿論、その三人にもだ。」
ア「先生、サオリと話をさせてくれ。」
「!?」
アズサちゃんの頼みには断れないらしく。銃を下げて、アズサちゃんに委ねた。
ア『先生!! 貴方、今どこにいるんですか!!』
『!?』
ヒ「あ、アコ?」
突然、アコちゃんから電話がかかってきた。
『お前こそ、どこにいる?』
ア『大聖堂の辺りです。それより、委員長はどこにいるんですか!!』
『アコ、落ち着け。ヒナはここにいる。』
ア『!? そ、それはよかったです....大変です、先生。トリニティとゲヘナ間で暴動が起こっています。』
『な、何で!?』
ア『どうやら、この惨状を作ったのが、相手の学園だと言って、責め合っているんです。』
聖哉はそれを聞き、面倒くさそうな顔をし、深いため息をついた。
『アコ。そっちにヒナを向かわせる。亡霊は、メカタルテに任せておけ。暴動は、俺が止めよう。』
ア『.....分かりました。貴方に、任せます。』
聖哉は通話を切り、ヒナちゃんに行くように急かした。ヒナちゃんは急いでアコちゃんの所に向かった。
サ「まさか、ここで姿を現すとはな。」
ヒ「ひ、久しぶりですね。」
ミ「そのまま逃げだしてもよかったのに。」
ア「スッ、ススッ、スーッ.....」
あれ?動揺してて気づかなかったけど、あの淡いピンク髪の子.....サオリちゃんたちから、姫って言われてたけど....。
サ「すべての計画が狂った。巡航ミサイルを大聖堂にぶつけることは成功したが、ユスティナ聖徒会は勇者によって、無力化された。」
その時、聖哉が首を傾げた。
「お前は、あまり事態を把握してないようだな。」
サ「!?」
「ミサイルの先制攻撃は成功していない。あれは俺が作ったダミーだ。実際の爆発は、あらかじめ仕掛けた置いた爆弾。トリニティとゲヘナの重鎮はハナコが指揮をし、保護している。」
聖哉の慎重さ。それを前にしたアリウススクワッドは声が出ない状況だった。
「お前らの目的はなんだ?」
サ「私たちは、『エデン条約』を奪い去った。正確には条約の内容を捻じ曲げた。」
ア「アズサ、忘れた?私たちには『トリニティ』としての資格がある。この条約は『第一回公会議』の再現。あの時までは各派閥がそれそれ権力を持っていた。そして公会議当日、全ての派閥が集まって新たなトリニティとなった....ただし、私たち『アリウス』を除いて。だから私たちは何も変わっていない。まだ形式としては、権限を持っている。」
その言葉を聞き、聖哉が何かに気づいたように
「なるほど。『ユスティナ聖徒会』は、その時の武力集団の亡霊というわけか。お前たちが、エデン条約を書き換えたのは、あれを手に入れるためだったのか。」
サ「あぁ。だがそれも、勇者によって破られたがな。」
サオリちゃんたちが、投稿しようとした時、赤黒い霧に包まれた。
「!!」
「こ、これは、ドレイク!?」
聖哉は、この霧を何とかしようと、風魔法を繰り出した。聖哉の風魔法により、霧が開けると
「!? い、居ない!!!」
アリウススクワッドの子たちがいなくなっていた。その光景を見た聖哉は、少し考え
「ドレイク.....奴もアリウスに協力しているのか?それとも.....。」
ア「先生....。」
「まぁ、逃げられることも想定済みだ。今は、この事態を収拾しよう。」
聖哉は、アズサちゃんを置いて、飛翔のスキルを使おうとした。
ア「ま、待ってくれ、先生!!私は....。」
「....お前にはお前の戦いがあるのだろう。危ないときは呼べ。」
「聖哉.....。」
聖哉は、アズサちゃんにそう言い、その場を去った。
「リスタ、ハナコと合流するぞ。」
私たちは、ハナコちゃんがいるトリニティに向かった。
ハ「先生、リスタ!!!」
「ハナコちゃん。」
聖哉は、ハナコちゃんに今の状況を説明した。
ハ「アリウススクワッド、ユスティナ聖徒会.....。」
「ツルギちゃんたちは?」
私の言葉に、ハナコちゃんは
ハ「まだ、目を覚ましません。正義実現委員会だけでなく、サクラコさん、ナギサさんも重傷です。」
「サクラコちゃんも....。」
ハ「先生、あの男は一体....。」
「あれは、ドレイク。違う世界から来た魔王軍四天王だ。」
ハ「魔王軍四天王.....。そういえば、アズサちゃんは?」
「アズサは、自分のやるべきことをしようとしている。今は口を出すわけにはいかない。それより、ユスティナ聖徒会はメカタルテが殲滅しているが....。」
ハナコちゃんは、気づいたように
ハ「やっぱりあれは、先生の....あのロボットのおかげで、トリニティとゲヘナの被害を抑えることが出来ました。ですが、この事態を過激派は、相手の学園が仕業と豪語していまして。」
「あぁ。何か行動を起こせば、土蛇によって霊体にし、何もできないようにしてやる。」
「いや、それ実質、殺してね!?」
「死人に口なしだ。」
悪魔の所業をする勇者に驚愕していると、アロナちゃんが
ア「先生、アズサさんとヒフミさんが接触しました。」
「意外と、早かったな。土蛇の映像を見せろ。」
タブレットに映し出した映像には、ヒフミちゃんとアズサちゃんがいた。
ヒ「アズサ、ちゃん.....?」
ア「.....ヒフミ。」
ヒ「アズサちゃん、今までどこに.....学園は今、大騒ぎで.....。」
ア「.....うん、知っている。学園の方は先生が何とかしてくれるだろう。ヒフミも知っているだろう、あの人の強さを.....。」
ヒ「アズサちゃん......。」
ヒフミちゃんが、アズサちゃんに近づこうとすると、彼女は虚勢を上げ
ア「来ないで!!」
ヒ「.....!!」
ア「.....ありがとう、ヒフミ。でも、ここまでだ。ここから先には来ちゃいけない。ここから先は、私の居場所。ヒフミみたいな善良な人は、これ以上来ちゃいけないんだ。」
ヒ「あ、アズサちゃん.....?何の、何のお話ですか....?私じゃ、何がダメなんですか.....?」
ア「平凡で優しいヒフミには、似合わない話だよ。」
ヒ「アズサちゃん、私は.....!」
アズサちゃんは、声を低くし一言
ア「人殺し」
ヒ「.....!」
ア「.....人殺しになった私は、もう友達ではいられないだろう?」
ヒ「だって、だってアズサちゃんはそんな....。」
ア「私のせいだ。私のせいでみんなが傷ついた。私のあらゆる行動が、皆の運命に責任を背負っている。私が何もしなければ、皆が危険を伴う。」
ヒ「あ、アズサちゃんのせいではありません。ですから.....。」
ヒフミちゃんの目には、大きな雫を浮かべていた。
ア「そんなハッピーエンドは、この世界には無いんだ。今から私はサオリのヘイローを『壊しに』行く。それ以外に、この事態を止める方法はない。」
「!?」
ヘイローを破壊!? そ、それって、殺害するという事....ダメ....アズサちゃんにそんなことは....
「せ、聖哉!!」
ハ「先生!!!」
聖哉の方を見ると、思考を巡らすように静かだった。そして呆れたように、ため息をこぼした。
「そう言う意味で言ったんじゃないのだけどな。わざわざ声に出して言う事なのか?」
聖哉は、剣を抜き、スタイリッシュに振り回した。
「行くぞ、リスタ。アズサを助けに行く。」
「聖哉.....!」
「ヒフミちゃん。アズサちゃんがあんなことを言ったのは、傷つけたくないからだと思うわ。」
ヒ「そんな...私は....。」
「これは、ある王妃に言われたことなんだけど。今のアズサちゃんは、過去の自分によって引き起こされた事実に絶望をしているんだと思う。『後悔』『罪悪感』、そんな感情が渦巻いている。でも、あの子は、それでもと、運命に抗い続けている。でもね、あの子はまだ子供よ。きっとすごく辛いと思う。そんな時に、いつも傍で笑いあってくれる友達があの子を救っている。」
ヒ「友達.....」
「自分では楽しんでるだけだと思うけど、それが知らず知らずのうちに、あの子を救っているわ。だから、ヒフミちゃん。アズサちゃんの傍にいてあげて。いくら拒絶されようとも、あの子の傍で青春というものを教えてあげてほしい。」
ヒ「リスタさん.....。」
「次回『私たちの物語』」
読んでくださり、ありがとうございます。