あれから、翌日の朝
リ「先生、出てきてください。先生としての業務が溜まっています。仕事を始めてください。」
聖哉は本来の先生としての業務をしないで部屋に籠っているらしい。
——まぁ、あの聖哉が事務作業なんてしないよね。
私はそう思い聖哉が何をしているのか、覗いてみると.........部屋には大量の銃器や弾薬、爆弾までも散乱していた。
「何よこれ?!」
私が声を出したことに気づき、聖哉が振り向いた。
「リスタか、見ての通り、この世界で使う武器の製作だ。前回の捻曲イクスフォリア同様、魔力弾の制作に取り組んでいるのだが、女神の毛がないから上手く合成できない。」
聖哉は困っているようだ。
「やはり、この世界で代わりになる様なものを見つけなきゃな。」
「まっまさか、生徒の髪の毛を使うんじゃないでしょうね。私ならまだしも、いきなり、生徒の髪をぶち抜くなんてセクハラよ。」
「安心しろ、そいつの家に行って、拝借するだけだ。」
「いや、それも犯罪だろーが!!どこの世界に生徒の家に入って髪の毛だけ盗っていく先生がいるんだよ!!」
私が聖哉にツッコミを入れると、開き直ったように
「ここにいるだろう、それか直接言って、貰えばいい。」
「まぁ、確かに、それならいいけど、引かれる様な......」
「そんなことはどうでもいい、まずは装備を整えることだ」
いつも通り、戦闘のことにしか興味無い聖哉に私は思い出すように言った。
「それと、聖哉、いくら準備をしたいからって、先生としての役職を任されたのだから、やらなきゃいけないんじゃ.....」
聖哉にそう言うと、彼は面倒くさそうに....
「アロナ、俺の仕事を肩代わりすることができるか?」
「はい、できますけど.......この書類は機密事項があったりするので先生も一度目を通した方が....」
——こいつー!!小さい女の子に仕事させようとしてるー
「聖哉、いくらなんでも、アロナちゃんひとりにさせるわけには!!」
私がそう言うと、聖哉は納得したように
「確かにそうだな......リスタ、アロナと一緒に事務作業しろ」
「私が?!」
「そうだ、書類を書けなくても、目を通すことはできるはずだ。もし、気になることがあったら知らせろ。」
私は雑用を押し付けられ、怒りを覚えたが、内心、この勇者に頼られて、嬉しい気持ちにもなった。
「わかった。やればいいんでしょ!!....よろしくね、アロナちゃん」
「はい、よろしくです。」
そう言い、満面の笑みで返してくれるアロナちゃんに
——やっべ!!この子、天使だわ。聖哉と話した後にこの子と話すと、温度差で風邪ひきそうー
私がアロナちゃんに見惚れていると、彼女が聖哉に言った。
「先生、先日、連絡したゲヘナ風紀委員のチナツさんから、連絡が来たました。」
「本当か?!」
アロナちゃんの話を聞き、聖哉は作業を一旦やめ、耳を傾けた。
『先生、こんにちは。先日ぶりですね。今回の件についての連絡をさせて、いただきました。風紀委員長の方も会いたいと言っていたので明日の12時ごろにゲヘナ風紀委員会のタワーに来てください。私も先生とはゆっくり話をしたかったので楽しみにしています。お迎えは私がします。ではまた明日に』
どうやら、ゲヘナの風紀委員長と会えるようだ。
「そうと決まれば、行くしかないな。アロナ、ゲヘナ学園とはどのようなところだ」
「はい、ゲヘナ学園はミレニアムとトリニティと並んで、キヴォトス三代学園の一つのマンモス校です。「自由と混沌」を校風としているとているせいか、粗暴な生徒が多く、キヴォトスの中でも特段と治安が悪い学校です。その中でゲヘナ風紀委員会は常識人が多く、崩壊しかけているゲヘナを取り締まっています。」
——えーそんなところに明日、行くの?
その学園の状況に恐怖している私を横目に聖哉は
「ふむ、思春期のガキどもを取り締まっている空崎ヒナは、やはり、かなりの実力者のようだ。」
「はい、ゲヘナ風紀委員会は精鋭たちの集まりですが、未だこの学園が崩壊しないのは彼女の存在が大きいからでしょう。」
——そんな子たちを取り締れるなんて、一体どれだけの強さなの?どんな見た目をしているんだろう。
「早速、ゲヘナに行くために準備をするぞ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日
私たちはゲヘナに行く準備をしていた。
「聖哉、今回はあの言葉を言わないの?」
聖哉にそう言うと、彼は不満そうに
「まだレベルもMAXじゃないし、武器もできていない。そんな状態で軽々しく言えるか!」
「大丈夫です。先生に何かあったときは私のバリアで守ります。」
「アロナ、お前のバリアがどれくらい耐えられるかは知らんがないよりはマシだ。よろしく頼む。」
——あれっ?なんか聖哉、この子に優しくない?
私は言葉を出そうとしたが、聖哉は前から言葉が厳しいだけで仲間には優しいのだと思い出した。
聖哉は連邦生徒会が用意してくれた車に乗ろうとしたが......
「リン、この車に爆弾が仕掛けられている可能性は?」
リ「ありません。」
「なら乗っている最中に襲われる可能性がある」
リ「この車は、防弾使用の特注品です。」
「いや、ミサイルを打ってくるかもしれない」
リ「ねーよ!!」
「念の為、戦車で行った方が....「いやっ、オイイイイィィィ!!聖哉、今から戦いに行くわけじゃないのよ。しかも、ただの学校に行くわけじゃないわ。一つの国に訪問するようなものよ。政治的な交流をしなきゃならないんだから、いきなり、臨戦体制でどうするのよ。」
「それもそうだな。よし、ゲヘナ学園に行くぞ!!」
ゲヘナ学園 風紀委員会タワー到着
チ「先生、遠いところからわざわざご足労いただきありがとうございます。」
聖哉を出迎えてくれたのは、黒いカチューシャに赤いメガネをした、可愛らしい生徒だった。
「先生、こちらです。」
「チナツ、今、この学園では銃撃戦などは起こっているか」
聖哉がいつも通り、身の危険を暗示していると、チナツさんは女神にも劣らない笑顔で微笑んだ。
「先生は相変わらずですね。先程まで、温泉開発部による事件を処理したので、今のところは起こっていません。」
——さっきまで起こっていたんかい!!やっぱりとんでもない学園ね
私が驚いていると、聖哉は
「今起こっていないからって、修行中に起こるかもしれないだろう」
「大丈夫です。その時には先生にも手伝ってもらいます。」
「ほう、修行の邪魔する悪ガキどもに鉄拳を喰らわすには、いい機会だ」
「さあ、先生、ここで長話もあれなので行きましょう。」
聖哉はチナツさんについていき、風紀委員会本部に入った。
エレベーターで登り、いかにも厳重そうな扉の前にたった。
「ヒナ委員長、連邦捜査部「シャーレ」の先生をお連れしました。」
扉を開けるとそこには3人の生徒さんがいた。
1人目は銀髪の子で銃の整備をしており、2人目は青髪の子でコーヒーを入れていた......
——ちょっと待って、青髪のこの服装なんで横乳が空いてるの?!私も言えないけど、まだ学生なのに!!
私は青髪の子の服装に驚いたが、すぐにその思考が飛ばされた。なぜなら、執務室の机に座っていた彼女の存在が大きかったからだ。
——あれが、ゲヘナの風紀委員長!!学生が出すようなオーラじゃない!!
私は彼女の威厳に恐怖していると同時に能力透視を行った。
「うそっ?!」
空崎ヒナ
役割アタッカー 状態正常
HP267836 攻撃力288412 防御力207584
素早さ228756 神秘56712
耐性:貫通・爆発・毒・麻痺・即死
特殊スキル:爆発特攻Lv.MAX
特技:終幕:イシュ・ボシュテ
——何このステータス?!聖哉に匹敵するわ。このステータスだったら難度Sクラスでも十分戦えるんじゃ……
私が彼女のステータスに驚いているといつの間にか、聖哉はその子の前に行き、急に手を取った。
「やはり、お前しかいない。ヒナ、俺と修行しろ。」
——オイイイィィィー。こいつ、初対面でヴァルキュレ様の時と同じことをしたー
ヒ「えっ.....え?」
ヒナさんは聖哉の行動に戸惑いを隠せない様子だった。
聖哉がヒナさんにとんでもない行動をしていると、天雨アコというさっきのすごいカッコした子が鬼の形相で話してきた。
ア「なっなっなっなんなんですか、あなたは、いきなり修行しろだなんて、いいから、委員長から離れてください!!」
アコさんが聖哉とヒナさんの間を取ろうとすると、聖哉は手を振り解き、
「うるさい、露出狂。今はヒナと話してるんだ。」
ア「誰が露出狂ですか?!」
「どう考えても、お前のことだろう。そんな装備で街中を歩いてるなんて、ヤバい奴しかいないだろう。」
ア「装備って言わないでください!!これはゲヘナの制服なんです!」
イ「アコちゃんと一緒にしないで!!」
聖哉とアコさんが歪みあっているとヒナさんが口を開いた。
ヒ「先生、アコの言うことは一理あるわ。いきなり初対面で修行しろだなんて、いくらなんでも説明不足すぎるわ」
「ふむ、確かにそうだな」
聖哉は修行の理由を話した。
ヒ「えぇ、あなたが強いのは、チナツから聞いてるわ。そして、とても慎重なのも。」
「それでも、まだお前には勝てない。お前を超えるため、お前と修行がしたいと言っている。」
聖哉がそう言うと、さっきまで可愛らしい顔していたヒナさんが禍々しいオーラを見せた。
ヒ「私を超える?先生は面白いことを言うのね。...........分かったわ。でも、風紀委員会の業務があるから、1日2時間くらいしかできないわ」
「一時はどうなる事かと思ったけど、修行はできるようね.....って聖哉?!」
聖哉は不満そうな顔をしていた。
「少なすぎる、もっと時間を取れないのか」
「聖哉、忙しい中、時間をとって付き合ってくれるのに文句を言っちゃダメ。」
ヒ「先生、本当はもっと協力したいのだけど、あのタヌキが無理難題を押し付けて、風紀委員会は今忙しいの。」
「あのタヌキ?」
ヒ「あぁ、このゲヘナ学園の生徒会、万魔殿《パンデモニウムソサエティー》の議長....つまり、生徒会長よ。優秀な人なのだけど、やらかすことが多く、わたしたちを目の敵にしているのよ」
ヒナさんが聖哉にそう言うと、聖哉は青筋を立てて、
「なら、その馬鹿野郎を先生として躾ければいいのだな」
聖哉の言葉に私たちは冷や汗をかき、止めた
「聖哉、これから、ゲヘナとは交流するんだから、そこの生徒会といざこざがあったらまずいでしょ」
とんでもないことをしようとする聖哉をなんとか説得させた。
ヒ「先生、修行するのはいいのだけど、毎回シャーレから来るのは大変なんじゃ......」
ヒナさんがそう言うと、聖哉は少し考え......
「なら、ヒナの家に泊めてくれ」
その言葉を聞き、そこにいた全員の思考が止まった」
ア「なっなにを言ってるんですかあなたは、委員長の家に泊まるなんて.....私でもした事がないのに、羨ましい」
イ「アコちゃん、言ってる事がおかしいよ.......」
「聖哉、いくらなんでも、初対面の女の子の家に止めてもらうなんて....」
「いや、リスタ、考えがある。」
聖哉がこう言うのだから、何かあるとわかるんだけど、私はなんだか納得できない気持ちになった」
ヒ「せっ先生が私の家に泊まる?は、恥ずかしいけど、この近くに家を借りるのも面倒だし…………わかったわ」
ア「委員長?!」
「話が早いな、なら、今日から修行を開始し、ヒナの家に止めてもらおう。」
ヒ「先生、もう少しで業務が終わるから、休憩室でまってて」
「あぁ、分かった」
聖哉は執務室を後にした。
休憩室にて
「聖哉、さっきはああ言ったけど、あなたは2時間の修行なんて、納得してないんでしょ。」
「あぁ、だが考えがある」
「嫌な予感しかしないのだけど.....」
「アロナ、少し頼みがある。連邦生徒会に連絡して、ある施設を用意してほしい」
「はい、わかりました。先生。」
——一体、何が始まるというの........
聖哉は絶対、アコと言い合いをすると思いました。