ソラユメ 餘部透 【タツタサンドな日々 (元ネタEver17)】 作:あまるーん
息ができる海の底。クジラは2人の人間を食べた。
モグ……モグ……モグ……。
微妙な表情をしていた。そして、頭の中で、……まずい……まずい……まずい。
餘部「クジラさん。まずいなんて、ひどいなぁ」
皐月「何故思考回路が読めるのですか?」
餘部「え。テレパシー」
皐月「あ、はい」
彼女はツッコミを入れることを諦めた。
ま、彼氏は元神様だからね。
町全体を見守る土地神様だったのだから、生物全体の思考を読めるとて、不思議ではない。
餘部「ボクもさっちゃんも美味なのに。ね!特にさっちゃんは!」
パクッ!皐月の髪の毛を喰う。
……いや、全身を喰っている!?
逃げようと藻掻き、振り解こうとする。
皐月「今、まさかの狂気化!?正気に戻ってください!!」
体を喰べるプレイが続く。皐月の身全体が、贄そのものだったらしい。
わたたべですね!
元土地神(美胡ちゃん要素)が海中で贄をパックンチョするだなんて…。
ところで、これはカニバリズム?アダルト?R-18?CERO Z?
どこに分類されるのやら。
皐月「私は死なない」
──
───
変○プレイが終わったらしい。
餘部「狂気化はしてないよー。悔しかったんだ。まずいだなんて」
皐月「…そう。悔しいですよね。…って!それはそうですが、この小説の年齢制限が上昇しそうでした!」
狂気化はしてないらしい。それなのに、CEROが最大級に上がりました。
喰べる展開は多かったけど、喰いしん坊すぎだよ…。
流石は、ハンバーガー屋で大量に食べた男、餘部透!
餘部「つまんないのー。…………さっちゃん、キミは、プロフィールに17歳と表記されてたよね」
皐月「メタ発言先輩…。そうですが?年齢がどうしたんです?」
突然の年齢の話題に対し、疑問に思い聞き返した。
餘部「…ううん。何でもないよ。キミの将来の星道が、見えた様な見えてない様な、不明瞭なことだからさ!」
彼はあえて、理由は言わないでおいた。
純粋で真っ直ぐな意志を持ってるけど、ひねりのある発言もする。
そんな彼らしさもあり。
皐月「は、はぁ…」
彼女はこの話題をそのままにすることにした。
クジラ『あんたら、クジラのお腹の中でカニバリズムラブをするなんて、人類初じゃないのかい?』
テレパシーがはっきりと聞こえる。彼だけじゃない。彼女にもだ。2人は驚く。
皐月「私にもテレパシーが伝わってきました!…妙なワードを作り出されましたが」
隣の彼に対し、クジラの意志が伝わってきたことを言う。
餘部「妙なワードも面白いからいいじゃない。さて、クジラさん。その通りだよ!」
こちらからも話しかけた。
クジラ『おめでとうな!オイラも嬉しいぜ!あんた達まずかったけど、喰べたかいがあったな』
皐月「まずい……まずい……まずい……まずい……」
餘部「祝ってくれて嬉しいけど、失礼だな。彼女がショックで、まずい無限ループに陥りそうだよ」
クジラは思ったより気さくなキャラではあった。
しかし、まずいばかり言うことに対しては、やはり複雑な感情を持つ。
クジラ『そんなロボットみたいになるなんて、悪かったぞ。…じゃあ、お礼にこの海から出してあげようか?』
皐月「え?できるんですか?」
思わぬ助け舟に、正気を取り戻せた。まずいロボットにならなくて、良かったね!!
餘部「でも、危険地帯なんだよね…」
クジラ『大丈夫、オイラの噴水で、人々心に潤いを与えるからさ!』
クジラの案は素敵だ。地上に突然クジラが出現して、噴水をしたら、ワクワクして潤うだろう。
人々は日常を求めつつ、刺激を欲してもいるのだから。
餘部「それなら安心かな!さてさて、さっちゃん。一緒に還って遊ぼう!」
皐月「はい!餘部先輩との、あの青春を再び。美穂呂町にて!」
還る……帰る……変える……。
餘部「さっちゃん、さっき喰べたキミの愛情、キミの作ったタツタサンド×○○○○個分ぐらい詰め込まれて、美味しかったよ!」
彼は愛しの彼女の首筋を、愛を込めて喰べた。狂気化はしていない。
タツタサンドを食べる前と食べた後の際にするような、ただの愛の挨拶だ。
──
───
ヘリオトロープが蔓延していない美穂呂。男女2人がその町にいた。
マヨネーズとクジラと別れの挨拶をした後、帰ってきたのだ。
命の恩人だ。もし、別の場所…そこでその名称と再会する時があれば、感謝の気持ちで溢れるだろう。
そして…。
皐月「思い出したんです、自分の存在を」
餘部「ボクもだよ、キミは…Ever17の中の、タツタサンドの中で分裂した皐月だね」
皐月「あなたも…タツタサンドを食べる為、外側から使命を果たしに来た餘部先輩ですね」
地上にて、自分達の正体を思い出していた。
この世界には、複数人の皐月と餘部がいた。
平和じゃない地上で具(レタスなど)を生成した。
足元でクジラに喰べられ、なんやかんやで助けてもらう。パン生地を作り出す。
空でマヨネーズに争いを納めてもらい、パンを焼いて完成。
嘘のようだが、ここはゲーム、Ever17の中のタツタサンドの中、何が起きても仕方がない。
逆に、内側からヘリオトロープの力により、外に多少は干渉することができる為、Ever17のソフトとPSPがここに存在した。
──
───
ここは天文部の部室。望んだものを見通せる天体望遠鏡が、そこに大きく存在感を表し、佇んでいる。
彼女らは、それを覗くことにした。
餘部「じゃあ、さっちゃん。お先にどうぞ」
皐月「はい!それでは…」
見る……観る……視る……。知りたいと強く願った。
望遠鏡の中………。それは、タツタサンドが衰退している世界。
ここ近年、この世界では、クジラやマヨネーズの原材料などが、非常に枯渇している。
それにより、庶民にとってのクジラのタツタサンドとは、夢のまた夢の存在。
この世界を変える為、2人はEver17のタツタサンドの中に入ったらしい。
ゲームに登場するタツタサンドの肉はマグロ。
元いた世界において、マグロも減少傾向にあった為、マグロで代用するのが最初の計画であった。
しかし、たまたまクジラが現れた為、結果的に最高の状態で還れる。
皐月「………視ました。…先輩もどうぞ」
──
───
彼も望遠鏡の中を覗き終える。しばし、余韻があり。
餘部「………観たよ。…ボクらの世界ってさ」
皐月「私達が食べていたタツタサンド。……元の世界では希少価値だったんですね」
餘部「………星道の軌道修正をしたみたいだし、これで復活かな。毎日毎食、タツタサンドを食べさせてあげようか?」
彼は、いつものふざけたノリで聞いてみた。無茶振りにも聞こえる。もちろん、愛情を込めてることも伝わる。
皐月「それでは是非。一緒に、毎日毎食いただきましょう。こちらとセットで」
彼女もそのノリに乗ってみた。
込められた愛情にお礼をする様に、彼の髪の毛を喰べる。
彼の愛しの赤毛の髪の味、とても温かい。
餘部「…さっちゃん。こりゃ、1本取られたな。じゃあ、ボクもいつも通り………」
彼女もやや薄めの赤毛の髪だ。その綺麗な髪は、とても甘い味がした。
………さぁ、あの世界への星道に乗り、全てを連れて還ろう。