ランキングに載りました。誠にありがとうございます。
ちょっと難産気味。
『今日の16:00から。この前の続きやるよ』
カインが起床して数刻後。
自室ベット横のスマホに通知が来たかと思えば、これである。
思わずカインは顔を歪める。送信元はあのハッカー少女だった。
普段だったら喜んで参加していただろう。しかし、タイミングが悪い。
勘違いしないで欲しいのは、この招集は『来て欲しい』ではなく『来い』であるという事。
つまり最初から拒否権は無いのだが───
(メッッッチャ休みてぇ…)
ぶっちゃけ、カインは休みたいのである。
別に彼女の事が嫌いなわけではなく、寧ろ好きな部類だがそれはそれとして疲れが溜まっている。
3日前は『ヘルタ』に呼ばれ、模擬宇宙内で大量のヴォイドレンジャーと戦わされた。
一昨日は星と一日中ゲームをし続けた。
昨日に至っては姫子さんに特製コーヒーを飲まされた。これが一番キツかった。
その後、なのかの買い物に付き合った。
ここ数日間で体はボロボロである。
切実に休ませて欲しい。
申し訳ないが本日は断らせてもらおう───。
『ここ最近忙しくってェ…碌に休めてなくってェ…』
『その割には、一昨日星と一日中ゲームしてたらしいね。私以外とは出来るんだ?』
(バレテーラ)
何処からか情報が漏れてたらしい。
どうなってるんだ星穹列車のセキュリティ。
列車の態勢に苦言しそうになるカインだが、それ以上に困ったのが返信をどうするかである。
ここで下手に拒否すれば、どうなるか予測がつかない。
最悪の場合、”星核ハンター”達が列車に殴り込んでくるかもしれない。
そんな、
『行きますんで、勘弁してください』とだけ送り、自室を出る。
表情に苦笑いを浮かべながら。
ロビーに向かうとそこには既に、本を読んでいたヴェルトが居た。
朝の挨拶もそこそこに、気だるげなカインの表情にヴェルトが問う。
「随分と気だるげだな。何かあったのか?」
「ん〜?ちょっとこの後、用事がな…」
ヴェルトの問いに間延びした返事をするカイン。
……案外、大丈夫なのかもしれない。
「まぁ、星核ハンターからお誘いが来ただけだ」
「自分が何を言っているかを分かっているのか?」
そうして緩やかに時間は過ぎていった。
ーーーーーーーーーーーー
星核ハンター───宇宙を渡り、星核を集める謎の集団。
“カンパニー”によって莫大な数の懸賞金が懸けられており、一人一人がそれ相応の力や能力を持っている。
「運命の奴隷」の名を持つ、星核ハンターのリーダー『エリオ』
エリオが最も信頼する「言霊使い」の『カフカ』
「魔陰の身」に落ちた剣士の『刃』
全てを焼き尽くす鋼鉄の戦士の『サム』
彼らは皆、エリオの持つ『脚本』に殉じて行動しており、時には数多の人々を巻き込む程の事件をも起こす。
そんな大犯罪集団である。
そんな中───、
「そっちの素材、回収しといて」
「了解」
星核ハンターの中で1人、少し変わったタイプの少女が1人いる。
「罠は?」
「もう仕掛けた。多分そろそろ起動する」
とある星の建物、その一室にて
銀髪のポニーテールを揺らしながら、カインと共に狩猟の準備をしている少女がいた。
遊んでいるゲームは、今宇宙で人気の『ベヒーモスハンター』である。
「───掛かった!」
「突撃だぁぁぁ!」
彼女の名を『銀狼』
星核ハンターの1人にして、最上位の天才ハッカー。
そして、現実を書き換える”エーテル編集”を扱う少女である。
「ていうか、無理矢理呼んだ私が言うのもあれだけど、来て良かったの?」
あれから数時間後、一休みという事で休憩中の2人。
カインが虚数空間に入れていた菓子を食べながら、クッションに寄りかかった銀狼が問いかけてくる。
「…まぁ、本音は休みたかったが、別にそれは明日でもいいし、何より
「…はぁ…まったく」
調子の良い事を言うカインに対して、ジト目で返す銀狼。
口では呆れているが、その姿は何処か機嫌が良さそうだった。
「またそんな事言って…いつか刺されてもしれないよ?」
「もう刺された事あるけどな」
「えっ」
「ん?」
そんな微笑ましい一幕もありながら、彼らはのんびりと過ごす。
気の許せる人とのんびりゲームをして、菓子を食べながら駄弁る。
こんな時間を、カインは好んでいた。
(本当に───なんて心地の良い時間だろう)
列車の仲間達とはまた違う心地良い空気の中、つい時間を忘れそうになる。
そんな中───、
「ところでさ、カインに見て欲しいものがあるんだけど」
「ん?俺に?」
銀狼が端末を操作しながら聞いてくる。
一体何だろうかと、銀狼が持つ端末を覗くと
そこには────
「これ、何?」
「─────」
『一緒に寝ちゃった❤️』という一言の下に
薄着のシャツに、下着のみの星が熟睡している自分と腕を組む2ショット写真があった。
───一昨日、共にゲームをした際に撮ったのだろう。記憶にはないが。
「ねぇ、この写真は何?当てつけ?」
ジト目を超え、仄暗い目をし始めた銀狼が詰め寄ってくる。
───星、後で覚えてろよ。
そんな彼の気持ちを残して───。
ーーーーーーーーーーーー
カインと銀狼の付き合いは、彼女が星核ハンターになる前まで遡る。
その頃、銀狼がハマっていたFPSゲームのマッチにて、自チームに1人の初心者が入ってきた。
チャットにてコメントが送られてくる。
名前は───
《Rey : 初心者です。よろしくお願いします。》
「ふーん…、まぁ、よろしく」
一応、こちらも一言《よろしくお願いします》とだけ返しておく。
装備こそちゃんとしているがおそらく、初心者なので周りの足を引っ張る結果になるだろう。そう思いながら、試合を開始する。
──開始後の周りと比べて何処となくぎこちない動き。間違いなく初心者だ。
そう判断した銀狼は興味を無くし、敵を探し始める。
だが数十秒後、
「うわぁ、1人で行動してる」
突如として、初心者が単独行動を取り始めた。
この様なゲームでの単独行為はかなり危険だ。仲間の中には我慢ならなかったのか、ボイスチャットで怒鳴り声を浴びせる者もいた。
「あーあ、やっぱ駄目かな」
そして、またチートを使うか悩んだその時──
《右上の建物にいた3人、キルしました。》
「は?」
何事もない様に初心者が伝えてきた。更に───
《陣地に2人入ってきました。援護しますので誰かお願いします。》
突撃するだけでなく、撤退すべき場面では迅速に下がり、
《zilverさん、対処ありがとうございました。》
完璧とも言える、精密な援護射撃を繰り出す。
これが始めたばかりのプレイヤーの動きだろうか。
初めは嘘だと思っていた他プレイヤー達も、流れてきたログを見て、全て本当の事だと知る。
自由行動をボイスチャット越しに怒鳴ってきた仲間ですら、余りの貢献度に何も言えなくなっていた。
そして試合は終了。結果は自チームの大勝利だった。
『いやぁReyさん大活躍でしたねー!本当に初心者ですか?』
『マジでそれ。何であんなエイム力してるんだ…?』
『今からでもプロ、目指しません?』
気づけば仲間が皆、ボイスチャットにてその初心者を褒め称えていた。
そして、褒め称えられている本人もボイスチャットを起動させて一言呟く。
『昔の親友に重度のゲーマーがいたので、そのせいです』
───へぇ。
聞こえてきたのは男の声。それも自分より少し歳上程度の。
成る程、確かにそれならばあれ程の動きが出来ても、
可笑しくないかもしれない。
試しにコンソールを使って調べてみたが、結果は本当に始めたばかりの初心者であった。
───良いね、面白い。
『…本当に初心者なんだね』
『まぁ、似た様なゲームはやった事があったので』
『それだけじゃあ、片付かないだろこの結果!』
周りが騒ぐ中、銀狼は彼の居場所を調べる。
都合の良いことにこの星からそう遠くはない場所にいた。
外に出るのはあまり好きじゃないが、
それ以上に一度あの様なプレイを魅せた彼の顔を見てみたかった。
『今からそっちに向かうから。準備しておいて』
『なんて?』
ゲームを落として、拠点を出る。こんなに楽しみな気分で外に出るのは、いつ以来だろうか。
数十分後、目的の建物の一室に到着し、インターフォンを鳴らす。
「来たよ。開けて」
「───ファッ⁉︎」
これが2人の出会いだった。
ーーーーーーーーーーーー
それからは2人で度々、集まってゲームをする様になった。
FPSだけで無く、格ゲーからホラゲー、サウンドボックス系まで、種類を問わずに遊び続けた。
時には、カインの方から誘いを出し、ゲームセンターなどで遊ぶことさえあった。
そんな彼らが”親友”になるのに時間はそこまでかからなかった。
そして、その関係は銀狼が星核ハンターになった後も、特に変わらなかった。
…星核ハンターになると伝えた際には、何処かバツの悪い顔をしてたが。
ただ───、
「最近、カフカの用事に付き合わされる事があってな。まぁ、別に犯罪とかじゃ無くて買い物とかに付き合ってるだけだが。」
「ホタルはなぁ…、何か最近圧が強い時があるんだよなぁ…。この前だって、俺が怪我を治してたら、凄い詰め寄ってきたし…」
───なんか、ムカつく。
最近の彼の言動には、何処か腹が立った。
他のメンバー達と仲良くしてる話を聞くたびにイライラした。
そんな日は決まって、ゲームのミスが多かった。
(私が最初に出会ったのに…)
そんな事を思っていたが、銀狼は我慢した。
こうして、2人で遊ぶ時間が楽しかったからこそ耐えた。
星核ハンターである自分と星穹列車の乗員であるカイン。
本来なら、いつ敵対されてもおかしくない関係。
それでも、この関係を壊される事が嫌だったからこそ、銀狼は耐えていた。
我慢して、我慢して、我慢して、耐え続けた。
だから───
『一緒に寝ちゃった❤️』
「─────は?」
こうなってしまうのも無理はないだろう。
ーーーーーーーーーーーー
星から突然、送られてきた画像。
そこには薄着になっている星と、その隣で熟睡しているカイン。
側から見たら”行為”の後に見えなくも無い。そんな写真が星から送られてきた。
…無論、2人はゲーム中に寝落ちしてただけだが。
しかし────、
「───そういうこと、しちゃうんだ」
いかんせん、我慢し続けていた彼女にとっては劇薬だった。
真似事だと理解は出来たが、それでも一線を越えるには十分だった。
親友が
(なら、いいよね──。)
───いっぱい、我慢したんだから。
───私だけじゃ、不公平だよ。
───分からせなきゃ。全部、あのクソボケが悪いんだ。
彼女の中の”何か”がぷつんと音を立てて切れる。
“親友”という枠に収めていた何かが溢れ出した。
───もう、我慢は出来なかった。
ーーーーーーーーーーーー
今すぐ列車へ殴り込みに行かなかったことを我ながら褒めていた。
無理矢理、彼の元に向かっても異常なまでの回避スキルで逃げられるだけ。
だから行動範囲を絞った。────何処に逃げられてもいい様に。
油断している時を狙った。────少しでも近づく為に。
「ねぇ、この写真は何?当てつけ?」
「─────」
余りの衝撃に体も口も動かないカイン。
普段の堂々とした様子とは違う姿を見た銀狼はクスリと笑う。
───やっぱり、ずるいなぁと思いながら。
ようやく再起動したカインが口を開く。
「──えっと、ですね、その写真は──」
「大丈夫、分かってる」
「ゑ?」
キョトンとした顔をするカインに、銀狼は答える。
───もうちょっとだ。
「あの写真は星が悪ふざけで撮ったってことくらい」
「───!やはり分かってくr「それと」…ん?」
あの写真が星の悪ふざけだと理解していた事にカインが嬉しさを覚えたのは束の間。
───この部屋はこんなに室温が低かっただろうか。
「カインがどうしようも無い程馬鹿で、
どうしようも無い程優しくて、
どうしようも無い程クソボケだって事」
ゆっくりと銀狼は近づいてくる。嫌な予感がして、後ろに下がるカイン。
薄暗い部屋の中、モニターの光が2人を照らす。
「だって親友だから。カインの事は大切な親友だから。」
ねぇ、と更にゆっくり近づく銀狼。また一歩下がるカイン。
何か湿ってきたな。
「でもこれは酷いよね。私に対する
(俺は何もしてないだろうが───!)
切実に思うカインだが、今の銀狼には届かない。
日頃の行いである。
そして、とうとう壁際に追い込まれたカイン。
そんな彼を見て、比べたら小さなその体を銀狼は押し付ける。
「私をいつも滅茶苦茶にして、何もされないと思ってたの?」
星やなのかに比べたら小ぶりながらも確かにある”それ”が、カインの胸元でぐにぐにと形を変える。
それを見て悶えるカイン、クスクスと笑う銀狼。
銀狼の目の中にはまるで、獲物を捉えたかの様なドロドロとした瞳があった。
「だからこれは罰ゲーム。私を裏切った、どうしようも無いクソボケ専用の罰ゲーム」
───景品は私。チップは
ペロリと舌で唇を舐める。───やっと捕まえた。
そして、欲情に濡れた声で耳元に囁くのだった。
「────私にも、してくれるよね?」
────もちろん、逃げないよね?
この後、滅茶苦茶逃走劇を繰り広げた。
カイン
ゲームつよつよ系元魔王。『ブローニャ』以外には負けられない。
Reyの由来は某ニュータイプ。名前の通り、キモい動きで避けてはキル数を稼いだ。
この後、カフカが銀狼を回収しにくるまでの逃走劇が始まる。
星核ハンターに対しては
「まぁ…俺は人の事言えないから…」という事。
バツの悪い顔した理由もこれ。
エリオ曰く、『脚本』の中に載らない人物であり、また自分達の最終目的を単独で行える人物との事。しかし、
(今回の銀狼の行動は、カインの逆鱗に触れるものじゃないのでセーフ)
銀狼
チーターボッチハッカー系少女。
自分で作ったモジュールは友達と言えるのだろうか。
対等に接し続けたカインに脳を焼かれ続けた結果、余りのクソボケ度に脳が黒焦げになってしまった。
この後、自慢のハッキング能力とエーテル編集を存分に活かしカインを追い詰めるが、あと僅かのところで
実は一度だけ、カインにエーテル編集を試みたが、逆にハッキングされかけ
星
自慢半分銀狼を弄るつもり半分で写真を送った。思ってた以上に効いてて驚いた。
事情を聞いた姫子達に捕まるまで後3分───
新番組 魔王学生カイン君!
第1話『入学!始まりの君達へ』
第4話『争奪!限定ラーメンロワイヤル!』
第7話『
第9話『さらば恩師よ───空、貫きし炎よ』
第31話『ソコニ悪意がある限り』
最終話『さようなら、始まりの君よ』
20027年、放送開始───!
そういえば、お気に入り1000人突破記念を書いてなかったので
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一般降臨脳焼きクソボケ崩壊戦士
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「女性遍歴が分かる奇物?」「そうだよ」
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もしもキアナ達が、彼の始まりを知ったなら
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大魔王は逃げられない!!(捕食ルート)
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早く、本編を進めろ