一般通過脳焼きクソボケ大魔王   作:Nemusugi

13 / 17

クッソ難産でした。
いつもと違う雰囲気なので、変かもしれません。
後、短め。


前作主人公系元律者件元盟主 ヴェルト

 

 

 

「……チッ…」

 

ある日の星穹列車。

いつもの様に宇宙を駆け、特段トラブルも無い平和な一日である。

 

 

 

そんな日であるはずだが───、

 

「キッショ、何で当たるんだよ」

 

自室でブツブツと文句を垂らしているカイン。

彼が今しているのはとあるゲーム。

クレジットには『ブローニャ・ザイチク』の文字が。

 

 

ヴェルトが手渡してきたブローニャが作ったという

アクションゲームをプレイ中のカイン。

ゲームが好きな彼女が作成しただけあって、

どれ程の神ゲーかと期待していたが───、

 

「何だコレは…。最早苦行と言った方が正しいぞ…」

 

ダメージがデカ過ぎる。

当たり判定は無茶苦茶。

ストーリーも意味不明。

等、かなりのクソゲーだった模様。

 

そして、こんな事を呟いている今も───

 

 

 

『GAME OVER』

 

 

「このっ、クソカスが───っ!」

 

机を強打する音と共にカインの怒号が列車に響き渡った。

 

彼の机に大穴が空いた瞬間である。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりクソゲーは健康に悪いな」

「だから、アレだと言っただろう」

「いや、まさかあそこまでとは…」

 

あれから数十分後の列車内。

カインはヴェルトの部屋で共に落ちゲーで遊んでいた。

 

「ブローニャの事だから、最悪な事にはならないと

 思ってたらあれかぁ…。

 やっぱり、ゲームをすると作るは違う才能だな」

「彼女はプレイヤーの才能は素晴らしいが、

 いかんせん、クリエイターの才能はあまりなかった

 らしいな。」

 

本人がいない事を良いことに、好き勝手言いまくる男2人。

そんだけクソゲーだったからしょうがないね。

そんな話の間にも、ゲーム画面ではヴェルトがコンボを決めている。

 

「…上手くね?やってた?」

「…お前と同じ理由だ」

「あっ」

 

今、こうやって共に遊んでいるのも

元はクソゲーで発狂していたカインを哀れに思った

ヴェルトが誘った事によって始まったものだ。

…決して、かつて自分が辿った同じ道を進んだカインを哀れに思ったものでは無い。多分。

 

だが、カインも負けじとコンボで攻撃し返す。

 

「やるな」

「まぁな」

 

そんな会話を途切れに、2人はゲームに集中する。

ポップなBGMとは裏腹に内容はかなり激烈なものだった。

 

しかし──、

 

「……」

「……」

 

あまりにも決着がつかなかった。

片や、元々ゲームのセンスがあり、先に1人で遊んでいたヴェルト。

もう片方はブローニャ以外には負けられないと

永い時の間にゲームをし続けたカイン。

互いに一歩も譲らず、一進一退の攻防が続いた。

 

「…そういえばさぁ」

「…なんだ」

 

無言すぎる空気に耐えきれなかったカインが

ヴェルトに話しかけた。

 

「お前の妻って、テスラ博士だよな?」

「そうだが、それがどうした」

「…置いてきぼりにして、良かったのか?」

「…良くは、無いだろうな」

 

何処か目を逸らしている様なヴェルト。

 

あの、赤髪ツインテールな博士が自分を置いていった

ヴェルトに対して怒っている場面をカインは容易に想像できた。

 

「あの人の事だから、絶対怒ってるだろうな」

「…そうだな」

「ていうか、こっちの宇宙の姫子さんを助ける為

 とはいえ、妻を置いてきぼりするとか…。

 息子もいるのに何やってるんだよ」

 

顔を見なくてもわかる、カインの呆れた様な目と態度。

そんなカインに堪らず、ヴェルトは反論した。

 

「それを言ったら、お前だってキアナ達の前で

 最悪な死に方だったらしいじゃないか。

 あの後の彼女達は荒れに荒れていたからな。

 その対応をした俺たちの身にもなれ」

「そうだけどさぁ…」

「何より、俺達が行かなければあの『天上の人』が

 こちらの宇宙に来ていた。ならば、行くしか無いだろう?」

「そう言われると、何も言い返せねぇ…」

 

がくりと頭を下げるカイン。何も言い返せない様に

ヴェルトはジト目で見る事しか出来なかった。

 

「大体、俺に帰れと言う前にお前がまず、彼女達の元に

 帰った方がいいだろう。彼女達は未だにお前を待っているぞ」

「ええ?だってキアナ達には、学園や戦乙女の皆がいるんだぞ?

 なら、今更俺が帰る必要は無いだろ」

「…そういう態度だから、クソボケ呼ばわりされるのだろうな」

 

このヴェルトの発言に、流石に頭に来たカイン。

事実である。

 

「はぁ?そんなこと言われる筋合いは───」

「あるだろう」

「あるな。ごめん」

 

主に魔王時代のアレコレとか──。

流石に言われる筋合いはあった様だ。

というより、その時代の話をされたら基本的にカインは頭が上がらないのである。

 

 

「…お前がこうしてまだ生きている事を彼女達が知ったら、どうなるのだろうな。」

「別に?精々半殺しにされて終わりじゃないか?

 もしくはその後に裁判にかけられるか。」

 

何気ない様に放つ発言に、流石のヴェルトも僅かに眉を歪ませた。

 

「…カイン。お前は彼女達にとって、自分がどれ程の

 存在であったかを分かっていない」

「そんなに言うほどか?仲良かった同期が問題を起こした程度だろ。……まぁ、アイツらには悪い事したとは思ってはいるが」

 

そう呟くカインであったがヴェルトの表情は直らなかった。

 

「さっきも言ったが、お前は彼女達の前で──特にキアナに関しては自らの剣に貫かれて死ぬという、最悪の死に方をしたんだ。」

 

カインにとっての始まりの親友であるキアナ。

共に崩壊と戦っては周りを破壊しすぎて、お互い拳骨を

貰っていた事もあったり、時には試練を乗り越える為に

励ましていた事もあった。

そして魔王となり、崩壊現象の大半を消し去った後は

世界を襲った魔王として、彼女に討たれる選択をした。

 

「…分かってるよ」

 

少なくとも、あの優しき彼女にとってカインが

取った選択はあまりにも、酷いものだろう。

彼もそれを理解しているからこそ、何も言う事が出来ない。

 

 

だが───、

 

 

「それでも──今更、帰れる訳ないだろ」

 

だからこそ、帰るわけにはいかない。

自分が出来た事は、彼女達を傷つけた事ぐらい。

そんな自分が、今更会いに行く資格など無いだろう。

 

「カイン…!」

「飲み物無くなったから、自室から取ってくる。

 その後にゲームを再開しよう」

 

何事もなかったかの様に部屋を出て行こうとするカイン。

そんな姿を見せる彼にヴェルトは───

 

 

 

「───彼女達は未だに、執着しているぞ」

 

部屋を出る直前のカインに告げた。

 

「…誰に?」

「お前にだ。お前以外に誰もいない」

 

いつも以上に本気の目をしているヴェルト。

彼が本当にこちらを心配して伝えているのだろう。

それはカインにも伝わっている。

 

分かっている。

 

 

 

 

それでも───

 

 

 

 

(それでも、俺は───)

 

 

 

 

頭を過ぎるは嘗ての───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『待ってぇ…!行かないでぇ…!カインお兄ちゃん…!』

 

 

 

『カイン君、貴方は───私の命に変えてでも止めて見せる。』

 

 

 

『バカキアナも…!芽衣姉さんも…!みんな待ってるんです!

 だから、帰ってきてください!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やだぁ…!死なないで…!私を置いて行かないで…!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──馬鹿馬鹿しい。今更後悔したって、

  どうしようもないのに。

 

 

 

 

 

 

「──もし本当にアイツらが未だに俺を求めているとする。その時は──」

「───その時は?」

 

ヴェルトの顔を見る事もなく、カインは話した。

 

キアナ達の犬にでもなんでもなってやるさ

 

何処か瞳に後悔の色を灯したままそう言い残し、部屋を後にした。

 

 

 

 

1人、部屋に残されたヴェルト。

相変わらずなカインの頑固さに溜め息が出るがしだいにそれも静かな笑い声に変わっていった。

 

 

 

「フッ…、俺は忠告したからな。この先、

 お前がキアナ達に何をされようとも、俺は関係無いな。

 もっとも、今のお前では抵抗できないだろうがな」

 

 

クソボケがとんでもない墓穴を掘った瞬間である。

 

 

 

ちなみにゲームはこの後、列車の皆ともやった。

楽しかった。





カイン

案外、かなり引け目を感じている元魔王。
ブローニャ作成のゲームが、クソゲーすぎて発狂した。
その後の落ちゲーで回復した。やっぱ、才能の違いってあるよね。

魔王時代にはヴェルトをぶっ飛ばした。本当にすまない。
ヴェルト等、昔の自分を知る人と会うと、少し性格や言動が昔みたいになるらしい。

帰った場合はどの面下げて帰ってきたと半殺しにされる未来しか見えない。
何より、あんな悲しみに満ちた顔をさせてしまったのだから、帰る資格は無いだろうと思っている。
彼女達には、自分は必要ないだろうとも。


尚、本当に帰った暁には、襲われた後に各方面にタコ殴りにされ、再び襲われる事が確定している。






ヴェルト

経歴が前作主人公な元盟主おじちゃん。
奥さんと息子を元の世界に置き去りにして、勝手に旅立ってしまう系男子
カインとは虚数の海で初めて出会った。

カインが消えた後のキアナや芽衣達の荒れ具合見ているので、早よ帰れと思っている。
帰った後、タコ殴りにされた後、襲われるだろうなとも思っている。

仮にカインが帰らなければいけない場合は
カインが何が何でも共に帰らせようとする事が確定している。

「放せカイン!俺はこの宇宙でやるべき事が──!」
「うるせぇ!お前も俺と同じ様に博士に殴られろ!」











































『やだぁ…やだよカイン…』

血の池に座り込み、泣きじゃくるキアナ。
彼女の足元には血に染まった彼女の剣が転がっている。

『みんなで帰るって…私達の味方だって…
 隣に立ちたいって言ってたのに…!』

彼を失った悲しみに、泣き叫ぶ事しか出来ないキアナ。
そんな彼女に近づく人影があった。

『ずっと大好きだったのに!私がぁ…!私がぁ…!』
『キアナちゃん…!』『キアナ…!』

返り血に濡れた手で溢れ出る涙を拭い続けるキアナに
寄り添いながら、自分達も涙を止める事が出来ない
芽衣とブローニャ。


歯を食い縛り、手は爪が食い込み血が流れるテレサ。

力が抜けた様に崩れ落ち、立ち上がれないフカ。

顔を覆いながらも、声を漏らしているリタ。

光を失った瞳で虚空を見つめているゼーレ。

ただ静かに、彼を弔うデュランダル。


遠くではジークフリートやテスラ博士が
彼を止められなかった事を悔やんでいる。


────多くの者達が、彼の死を哀しんでいた。













キアナ

大切な人、止められなかったね。


魔王

終わりを見た。絶望を見た。悲しみを見た。

ならば目指すのは、彼女達のハッピーエンド。




次に番外編を書くなら───、

  • 阿鼻叫喚!地獄の過去上映会!
  • 「私はフレイヤの者。未来を告げにきた」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。