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今回は少し未来のお話。あと、クソボケの本名が分かったり。
Q.魔王が散った後の3rd世界は?
「あたくし達が、あの子が守ろうとした世界を繋いでいかなきゃならないのよ……!リタ、まだやれるわ!もっと書類を!!」
「あんな子供に全部背負わせたのよ!?この程度で休んでなんかいられる訳ないでしょ!?ボサ頭もさっさと手伝いなさい!」
「──作ろっか、ムーンベースに監禁部屋」
「カイン君は私達と居たから、色彩を手に入れた……なら、実質私の夫よ」
「重装ウサギ、今から幼児を演じてください。予行練習です」
「一撃で気絶させます。その後は識の律者に頼んで……ふふっ」
「そもそもこれだけ私達の脳を焼いた、カインお兄ちゃんが悪いと思いませんか?」
「ヘックッシ!!……うーん、くしゃみが止まらないな…」
「風邪か?今日の列車当番は俺が代わりに…」
「いや、そこまでじゃないから大丈夫。誰かが噂でもしてるだけだろ」
A.大 惨 事 !!
それは、ピノコニーの一件を終えた後の話。
サンデーとブラックスワンという新たな仲間を迎え、燃料切れの危機の中で次の跳躍先をどうするか考えていた列車組一同。
『──とまあ、列車の設備はこんな感じだ。何か困った事があったらすぐに聞いてくれ』
『ありがとうございます。ところで、ロビンとの密会の件ですが……』
『……何で知ってるんだ?いや、密会というかファンに追われてたから逃しただけ待て待て待て何だそのライフルは!?やめろ!?こっちに向けるな!』
オンパロス───ガーデンの鏡にしか映らず、ブラックスワンの紹介により存在が判明した星。
名前すら知られておらず、外からの観測も不可能な星であり、その形はまるで【∞】を思わせる独特な雰囲気を醸し出していた。
『オンパロスか……確かに今まで一度も開拓した事が無いのなら、多くの燃料が手に入るかもしれないな』
『ええ、跳躍先の一つとして候補に入れてもらえると嬉しいわ』
『そうだな……ところで、こんなに至近距離で話す必要はあるのか?』
『あるわ』
『何か圧が強い……意味があるなら良いか』
そして、列車会議の投票にて次の跳躍先はオンパロスと決まったが、なのかは体調を崩してしまった為、代わりにカインが行く事になった。
『星、カインをよろしくね。また誑かしてそうだったら……』
『うん、大丈夫。その為にこのバットはあるから』
『本人の目の前でなんて事言ってるんだ』
そんな間話があった後、切り離した車両に乗車しオンパロスを目指した列車組だったが───
『ほわぁぁぁぁぁ!?!?』
『カインっ────!!!』
着陸前の列車に対し、何かが衝突する事故が発生。
その際に出来た穴と衝撃により、カインは外へと投げ出されてしまい、共に乗車していた星、丹恒と逸れてしまった。
「ちょっ!?あべっ!?!ぐわしっ!!?」
投げ出された勢いのまま、地面にぶつかりは跳ね、ゴロゴロと転がっていく。
何とか受け身はとっている様だが、余りの勢いに止まることが出来ない。
「ああああ!!?ぶつかごへぇ!?!」
そして、轟音を立てながら壁に頭から突っ込む形で漸く停止した。
音もそうだが、勢いもとんでもなかった為に頭が完全に壁の中に埋もれており、間抜けな光景になっていた。
「おあぁぁぁ……ぜ、全身が痛い……」
壁に頭を突っ込んだ状態で苦痛の声を漏らすカイン。
普通なら死亡してもおかしくない状況だったが、それでも生存しているあたりは元魔王と言ったところだろう。
「此処は……オンパロスに着いたのか?」
何とか頭を壁から引っこ抜き、周りを見渡せば、何かが描かれている作りの壁や床。建物自体は年季がかなり入っているのか、至る所が崩れている。
まるで地球の古代ギリシャやローマを思わせる光景にしんみりしていた彼だったが、ふとある事に気づいた。
「──星?丹恒?」
共にオンパロスに向かっていたはずの二人が居ない。周りを散策してみたが人の気配は無く、この場所に誰かが来た様な痕跡どころか、墜落しただろう列車も特に見当たらなかった。
「電波も無しか……まぁ、予想はしていたけどな」
メッセージを飛ばしてみても、圏外という事で連絡も取る事が出来ない。
外からの観測も不可能なので、星外に居る列車からの助けも望み薄だろう。
ともすれば、やるべき事は一つだった。
「取り敢えずは人里を探すか。二人ならきっと無事なはずだ」
まずは、共にこの星に来た二人の無事も確認しなければ。
少なくとも、ここで待機しているよりは様々な情報が集まるだろうという判断の下、この地を後にする事に決めた。
「なるべく早く見つかってほしいけどな……早いところ、この星の情報が欲しい」
そうして、カインは人里を目指して道無き道を歩き始めたのだった。
「ミュミュ?」
ーーーーーーーーーーーーーー
オンパロスに降り立って数日が経過した。
着陸地点から人里を探しては歩き回り、都市であるオクヘイマに到着したカイン。
活気溢れる人々の姿を観察しながら、色々あって疲れた体を物陰で休憩させていた彼だったが───、
「どうでしょうか?この時の為に用意した部屋なのですが……」
「………」
「……カイン?」
「あっ、スゴクキブンガイイデスネ!」
用意されていたプライベート用のルトロにて、何故か混浴していた。おまけに体には金糸が巻き付いており、膝枕の状態での入浴である。
更には膝枕をしているのは、オクヘイマを守護しているという半神、金織のアグライアだ。
(どうして……こうなった?)
体に巻き付いている金糸を見つめながら、カインは心底困惑していた。
別にこの状況が嫌なわけではないのだが、相手が相手である為に疑問や緊張の方が強く、何よりアグライアがこの状況を楽しんでいる様な表情に更に不可解さが増している。
そんな、あまりの情報過多に少し頭を冷やしたくなってきた。
(Oh……so big……)
そうして空を見上げようとも、彼女の豊満な胸部装甲によって視界の半分以上が塞がれている。思わず変な感想が出てしまっていた。
尚、その様な事を考えている中で、星やなのかがこの場に居なかったのは幸運だろう。
仮に見られていた場合、遠くないうちに星・テロスや三月・テロス・なのかが誕生していたかもしれない。
「……少しのぼせてしまいましたか?では、私の自室で──」
「イエ!ナンデモナイデス!とっても良いお湯だなぁ!」
何となく彼女にじっとりと体を見られている事を感じながら、紛らわす様に答えたカイン。
彼の脳内では、この状況に置かれるまでの数日間の記憶が鮮明に脳裏を過っていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
「待て待てー!!」
「その先は行き止まりです…!!」
「あたち達から逃げないの!!」
『責任を取りなさーい!!!』
「ロリコンの印は押されたくないなぁ!!」
何とか都市に辿り着いたかと思い、街を散策していれば同じ顔をした数百人以上は居るだろう少女達に追いかけ回され、街中を走り回ったり。
至る所から現れる少女達に腕を掴まれたり、髪を引っ張られたりしながらも何とかその場は脱する事が出来た。
「今度は1人にさせません……!私もカイン様と共に生きます……!」
「……はい?というか、何で俺の名前……」
「早く私と共に冥界に……いえ、お持ち帰りされるのも……」
「何言ってるんだ……?」
そんな少女達から逃げた先には、今度は死の気配を纏った独特な格好の少女に共生宣言をされたり。
その後、車椅子に乗ったもう1人の少女に彼女は連れて行かれたが。
「お姉ちゃん?幾ら何でも、いきなりあの態度は困惑されるだけじゃない?」
「ですが…ここで攻めておかなければ、ヒアンシー様やサフェル様に
「……そうは言ってるけど、一回も寝た事ないでしょ?」
「うっ……」
「テロッちはさぁ……あたしの事も忘れてるくせに他の女と仲良くしてるんだ?指輪だってあたしに渡してくれたのに?」
「だから何で俺の名前……っていうか、指輪って何の「あ゛?」ヒュッ」
「……ライアに言われてるから、今はこの程度にしておくけど。テロッちがあたしのものだって事、これから教えてあげるから」
その先の路地裏では、待ち構えていたかの様にフードを被った猫耳少女に壁際に詰めよられ、とんでもない事を布告され。
それからというもの、彼女と共にお宝探しに付き合わされる事になる様になった。
「遅い。いつまで僕を待たせるつもりだったんだ?」
「いや、待たせるも何も……俺は知らないんだが?」
「っ……まぁいい。再び僕を楽しませてみせろ、魔主卿」
背の高い椅子に座った皇帝に、やたらとチェスの相手をさせられたり。
負けた後には、勝者の権利として膝の上に座られたが、本人は随分と満足そうな顔をしていた。
「はむっ……やはり、キミが作った料理は美味しいな。メーレを更に用意しておくべきだった」
「俺の料理なんかで良いのか?カイザーに言えば、もっと良い物が食べられるんじゃないか?」
「……?確かにワタシはカイザーの剣だが……同時に1人の女だ。キミの料理を食べたいと思うのは悪い事なのか?異界のダイオウイカ」
その最中には、皇帝の右腕たる剣士に料理を作ったり。
出会ったばかりの頃に、共に行こうと深海に引きづり込まれそうになり、焦ったのは余談である。
「大丈夫です今回は絶対に死なせませんから次に私を庇ったり誰かの為に犠牲になる時にはベットに縛りつけてその心の病気が治るまで私が付きっきりで診て治してみせます見てくださいアーリたんはいつも無理をして怪我をしちゃうんですからいっぱい包帯を使っちゃうんですよ?でもそんな優しいアーリたんが私は大好きでこうやって何度も治しながらお話しましたよね痛かったですよね苦しかったですよね?だから今回は最後まで絶対に居てくださいね約束ですよ?」
「すみません今から帰ってもいいですか?」
仕舞いには、本当に記憶に無い事を話す濁った瞳の看護師に詰められた。
もの凄い湿度が篭っている視線や言動に思わず逃げ出してしまったが、その際も笑っているだけで更に恐怖を感じる事にもなった。
そんなこんなで各地を歩き回って、気づけばアグライアとルトロにて入浴していた。
本当に意味がわからない。何でこんなに好感度が高いんだ。
(昔、この星に来たか……?いや、ブラックスワンの助けが無いとこの星は発見出来なかったから違うな……)
幾ら考えようとも、この星に来た事や彼女達に会った覚えは無い。
もしかしたら、人間性を得る前の機構時代の自分だったら来た事があるかもしれない。が、その頃の記憶は殆ど無く、何よりとんでもなく好感度が高い。
加えて、この星が特殊である事や何故か
……ともするならば、何となく想定される答えは一つだけだったのだが、それ以上に気にしている事がカインにはあった。
(というか、この世界や空間自体になんとなく既視感があるな……)
火を追う旅やら、救世主やら、12柱のタイタンやら。
この星に来てからある既視感がどうしても、かつて訪れたとある地が頭をチラつかせていた。
火を追う十三人の英傑達。かつて滅びた者達の墓場にして、記憶体達が来訪者に試練を課す場所でもあり、かけがえのない者達と出会った思い出の地。
(まるで、『古の楽───)
その地の名が頭を過ろうとしていた時だった。
……ルトロの外から足音と息切れの声が耳に入って来る。急いで向かってきているのか、かなりの物音を立てている。
そして、
「───アグライア!」
「──漸く来ましたか。彼ならば此処に」
(……?俺が目当てか?)
扉が開いたと同時にルパロ内に響いた青年の声にカインの意識が浮上する。
若干の名残惜しさを覚えながらも、膝枕から立ち上がり来訪者がどの様な人物かを確認しようとした────。
「っ……ああっ……」
「─────」
その姿を認識した時、声を出す事が出来なかった。
白い髪に青い瞳、衣服などはこの星に合わせた格好であったがそれでもその姿を忘れた事は無い。
十三英傑の第二位、ヨルムンガンドの尊主にしてあの計画を実行した、誰よりも崩壊に立ち向かっていた男。
そして、自分が力を奪い取り、無理矢理にでも送り返したあの救世を背負った───
「……ケビ「盟友っ!!」うおっ!?」
その名前が口から溢れそうになった瞬間、青年は濡れるにも関わらずにそのままカインの肩を掴み、崩れ落ちた。
「僕はっ、僕はっ、君にあんな決断を……!本当にごめんなさい……!」
大粒の涙を流しながら、自らに縋り付く様な青年に言葉を失うカイン。
未だに状況は飲み込めきれてはいなかったカインだったが、流石に彼をそのままにしておく事は出来ないと、しゃがみ込んで彼と視線を合わせようとした。
「この星で会った皆が『カイン』って名前を知っていた。だったら、何処かで俺が信頼できるからこそ、その名前を明かしたんだろうな」
そう話しながら、俯いていた青年の顔を上げさせる。
自分が出会った頃のケビンとは違い、未だに初々しい雰囲気がある彼に不思議な感覚がありながらも、彼と静かに目を合わせた。
「ファイノン……だったか?アグライア達から話は聞いてる。救世主とか何とか言われてるらしいな?つまりはヒーローって事だろ?」
世界が変わっても、彼が背負わされるものは相変わらずだった。
ならば、今度は共に世界を救う道を、ヒーローになるのも悪くはないだろう。
「俺は何があったかは知らないが……そこまで涙を流してくれたのなら、今回はもっと上手くいく筈だ」
そして、カインは笑みを浮かべながら立ち上がり、ファイノンの前に手を差し出す。
「──今度こそ俺達で、
そうして差し出された手を、ファイノンは泣き笑いながら握りしめたのだった。
尚、そんな二人の光景を見ていた彼女は───、
(胸元の大きな傷跡に掻き上げられた髪、そして鍛えられた背筋に……!ドッ、ドスケベすぎます……っ!こんな肉体が許されて良いのですか……っ!?)
先程までの余裕のあった態度の内面は、随分と面白い事になっていた。
実年齢
その実態は、彼氏いない歴=年齢の恋愛初心者むっつり娘であったらしい。
今日もオクヘイマは概ね、平和である。
カイン
投げ出され墜落元魔王。未来の俺は何をした?
古の楽園でも走り回っていた為、オンパロスの空間に既視感を感じている。
何がとは言わないが、楽園での主な被害者はメビウスとエリシア。
尚、ファイノンのもう一つの名を知った際には、何でカスラナの名を持つ奴は皆こうなんですか?と血反吐を吐いたらしい。
カインヲイジメヌンデ…。
黄金裔の方々
トリビーは全員居るし、アグライアは人間性マシマシ。
ファイノンも炎を宿しているし、皆の情緒や様子がおかしい。
「そういえば……データ上の誰かを助けようとするのは、二回目だな」
皆が皆、脳が焼け焦げている。
星&丹恒
黄金裔の反応を見て『あっ(察し)』となった。
???
「取り敢えず、そこに座ろうか?愛しのカイン♭」
少しキレているかもしれない。
????
「ハーイ、あたしに会いたかった?」
カインの情緒が死ぬ。
『アーリたん』
旅人としての名は『シルド』。
かつて
魔王として名乗った名は『ラグナロク』。
悪の理として生まれ出でた虚像。