一般通過脳焼きクソボケ大魔王   作:Nemusugi

4 / 17



アンケ結果にして前日譚。3rd本編はいつか書きたい。


短めです。あと念の為、タグを追加しました。













──例え、世界が希望に満ちていたとしても
魔王は許せなかった。


3rdの魔王
番外 : 月の少女は『悪』を見た


 

 

 

 

───夢を見る。

 

 

もう、そんな事は無いはずなのに。

でも確かにこれは夢であるという感覚を覚える。

 

 

───夢を見る。

 

 

キュルキュルと映像が巻き戻る様に記憶が遡る。

 

 

───夢を見る。

 

 

楽しかった事、悲しかった事、苦しかった事

辛かった事、怒った事、様々な思い出が過っていく。

 

 

───夢を見る。

 

 

そして、いつの日かの思い出が───

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「何故、お前はそんなに料理が出来ないんだ」

「うっ…」

 

ある日の聖フレイヤ学園。

その一室、調理スペースの中で2人の学生が話をしていた。

 

1人は問題児と名高い『キアナ・カスラナ』

もう1人もある意味、問題児の『カイン・テロス』

 

そして、そんな2人の目の前にあるのは

料理とは名ばかりの産業廃棄物(劇物)

 

「レシピ通りに作れば、こうなる筈は無いのだが…」

「ちょっと、隠し味で……ね?」

「隠し味でこうなるなら、人類は滅んでるだろうな」

 

キアナの言い訳をバッサリと切るカイン。

彼女見つめるその目は、いつも以上の鋭さを

放っていた。

 

何を隠そう、今日の昼食を何にしようかと

考えていたところに

「じゃあ、カインの分も作ってあげる!」

とキアナがやる気だったので、

せっかくならと楽しみにしていたのである。

しかし、結果はこれである。

 

「そもそも人外である私ですら、料理が出来るのだぞ?

何故、人間のお前が出来ないんだ」

「…ピザトーストなら作れるし」

「ピザトーストだけ、だろう?」

 

そう言うと、頬を膨らませて抗議の意を示すキアナ。

それを見て、「事実だろ?」と告げるカイン。

数秒後、キアナは彼の背中をポコポコと叩き続けていた。

 

「うるさーい!ピザトーストなら美味しく作れるし、

何より芽衣先輩と一緒なら普通に作れるもん!」

「確かにその通りだが…、やはりお前達の考え方はよく分からない」

 

いつも通りの世間知らずの彼だが、

彼なりに面白いと思っているのか、少し笑っている。

そんな顔を見たせいか、キアナの怒りも収まってきた。

 

 

少しして、溜息を一度ついたキアナは料理を片そうとする。

 

「仕方無い。これは私が何とかするから、カインは──」

「待て」

 

しかし、そこにカインからの待ったがかかる。

 

「食べる」

「──え?」

「だから、それを食べると言っている」

 

驚きと共に、カインの顔を見るが

先程とは一転して、真顔となっている。

 

「さっきまで、あんなに酷評してたのに?」

「別に食べないなど、私は一言も言っていない」

 

──なんて暴論。あんなの、食べないと言ってる様なものでしょ。

 

さっきまでと打って変わった言動にまた少し、

機嫌が悪くなるキアナ。

そんなキアナの顔をじっと見つめながら、彼は話す。

 

「何より、キアナが私に作ってくれた物だ。ならば、食べる。」

 

そんな彼の本心の一言を聞いたキアナは

 

───ふぅ〜ん、そっかぁ。

 

(な〜んだ。やっぱり、私の事大好きじゃん)

 

一瞬で機嫌を直していた。チョロい。

結局のところ、口ではあの調子でも私の事が好きである。

そう思えたキアナは、途端に機嫌を直して

彼に食べて貰おうと更に作っていた料理を取り出した。

 

「そんなに食べたいなら、最初から言ってくれればいいのに!

まだまだ、沢山あるからね!」

「──何?」

 

何処に隠していたのか、先程の2倍以上の量が机上に出てくる。

カインの額に汗が一筋、流れた。

 

────死ぬかもしれない。

 

そんな、崩壊との戦い以上に命の危機を感じるカインを

知ってか知らずか、更に部屋には『雷電芽衣』と

『ブローニャ・ザイチク』まで入ってきた。

 

「あら、2人して何をしてるのかしら」

「また私達に隠れて何かバカな事ですか?」

「違う。調子に乗らせたら、殺されかけている」

「あぁー!またそんな事言って!」

 

そう言ったカインにキアナは怒り、芽依はキアナを宥める。

ブローニャはそんな光景を見て、

バカコンビめ…と目を細める。

2人だけだった空間が、途端に騒がしくなる。

 

 

でも皆、楽しそうに笑っていて──

こうして、また1日が終わっていった。

 

 

 

 

 

 

 

けれど、こんなくだらない日常が

 

そんな日々が彼女(キアナ)は大好きだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大好き、だったのに

 

 

────『我は魔王ラグナロク。全てを無に返す者』

 

 

カインは”魔王”になって

 

 

────「全世界の天命組織及びネゲントロピーに被害が…!」

────「芽依さんが重体です!体中に傷が…!」

 

 

みんなを傷つけて

 

 

────「学園長…!これって…!」

────「彼が、あたくしに叩きつけてきたもの(退学届)よ」

 

 

勝手に1人でいなくなって

 

 

────「聞いてほしい。彼が、魔王が何を考え、企んでいるかを」

 

 

 

ケビンから全てを聞いて「止めなきゃ」って思って

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

『何がっ…!何が”ロマンチックな物語”だっ!』

『明日への希望!?そんなもの、呪いと何も変わらない!』

 

 

 

 

 

 

 

 

私は

 

 

 

 

 

 

 

 

『最後に待つのはお前か、キアナ・カスラナぁっ!』

『今更、人の希望()を見せられたって…!』

 

 

 

 

 

 

 

 

カインを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…最期くらい 恨み言、言ってけよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、目が覚める。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

月の少女(女神)は『悪』を見た。

 

優しかったらからこそ、人を知ったからこそ

魔王になってしまった、『悪』を夢見た。

 

「────6年、か」

 

眠りから目覚めた少女は呟く。何処か後悔を含んだ様な声で。

 

既に彼が消えた時から、6年という時間が流れていた。

 

「もう、何も匂わなくなっちゃった」

 

黒と赤が特徴的な、一回り大きな衣服を抱きしめながら

キアナは1人、呟く。

 

時は進む。残酷な程、彼が居た証も消えていく。

街は補修され、事件も過去のものとなる。

実際、既に世間では過去のものになりつつある。

学園で彼がいた席など、もうとっくになくなってしまった。

 

「何が『私の事なんて、忘れろ』だよ。ばぁーか」

 

それでも、キアナは忘れない。忘れられない。

 

共に学園で過ごしたあの日々を。

崩壊と戦い、周りを壊しすぎては叱られた日々を。

芽依先輩やブローニャ達も一緒に並んだ日々を。

 

 

そして

 

 

 

 

───『お前達 みたいに なりた かった な』

 

───『これ 以上 崩壊に 巻き込みたく なかった』

 

 

 

 

「ねぇ、カイン」

 

彼の衣服に包まり、顔を埋めながらただ想う。

誰よりも、自分達の幸せを願っていた『魔王』(大切な人)を。

 

「カインが居ないと、幸せになんてなれないよ」

 

1人、彼の衣服を被りながら話続ける。

もう彼の温もりも、何も残っていない服の中で───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──だから、許さない」

「私を独りぼっちにした、カインなんて許してあげない」

 

そして、キアナの瞳には、既に光は無く

ただ、溶けたバターの様なドロリとした愛情と

独占欲、執着心しか残っていない。

 

 

「次、会えたら」

 

自らを包んでいた彼の衣服を脱ぐ───

 

「私から、逃げられない様にしなきゃ」

 

赤く、色めいた顔で、妖麗に呟くのであった。

 

 

 

 

 

───彼が捕まるのも、時間の問題かもしれない。





キアナ・カスラナ

『空』、『薪炎』、そして『終焉』の律者となった少女。
皆との帰り道から1人、消えてしまった。
魔王になった1番の理由が、
『自分達にもう傷付いて欲しくなかった』
だと知って、バグった。

人前では、明るく振る舞っている。

彼女の家には彼の戦闘服など、彼の私物だったものが
数多く閉まってあり、
部屋の至る所に彼との写真が飾ってある。
偶に、彼の遺品に包まれながら1人、慰めている。

───未だ、彼女は哀しみの中に(許さない逃がさない離さない)


雷電芽衣

『雷』、そして『起源』の律者。

キアナと同じくらい、破天荒で何処か世間知らずの彼を信頼していた。

食べる事が好きな彼と、共に料理をした事もあった。

キアナの為、ヨルムンガンドへ別れる際には最後まで信じて見送ってくれた。

魔王になった彼を止めようとしたが、届かなかった。

教官となった今でも、彼から貰った髪飾りを着けている。


ブローニャ・ザイチク

『理』、そして『真理』の律者。

キアナと同じくらいのバカだと思っていても
なんだかんだ、信頼していた。

ゲームをやった事のない彼の為、時には共に攻略本を読みながら、レアアイテムを探したりして遊んでいた。

海淵城にて、量子の海に行った際には、数多の攻撃を受ける自分達を助けてくれた。

魔王を止めようとするが、最期まで彼を止められなかった。

ゲームプロデューサーになった彼女の家には、今は使われていないコントローラ、そして付箋が沢山貼ってある攻略本が置いてある。












魔王

彼女達の光を綺麗だと思った。だから共に戦った。

恩師の死を悲しみ、”再び”人の闇を見ようとした。

大主教(オットー)の過去を知り、人の在り方に疑問を覚えた。

ロマンチックな物語(エリシア)に哀しみを覚えた。

人の、人類の”悪意”を見せられた。

優しき人達が、犠牲にならなければ存続出来ない世界が、
時を超えて尚、何も変わらなかった人の(悪意)が、
彼は許せなかった。







───最早、戻る道さえ焼き尽くした。

──ログを確認。どちらを確認しますか?

  • 「したんだ?私以外とゲームを」
  • 『魔王の追憶』
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。