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いつもより、頭空っぽでお送りします。
お互いに譲れない戦い、勝手に賭けられた彼を求める戦いが今、始まる!
聖杯戦争────万能の願望機たる聖杯を求め、参加者であるマスターが召喚したサーヴァントと共に勝利を目指す戦争。
夢の地であるピノコニーにて、様々な思惑が交差し、願いの為の戦いが始まる─────!
「「カインの初めてを奪うのは私だッッ!!」
「人の心とか無いのか?」
そう思っていたからこそ、目の前で起きている内容から目を逸らしたかった。
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「聖杯戦争、マスターにサーヴァントかぁ……」
ピノコニーの夢境内、自らの手の甲に宿った赤い印を見ながらカインは呟いた。
星が聖杯戦争に参加するとの事で、その間はのんびり観光でもしていようとしていた彼だったが、その矢先に令呪が宿った。
その後はあれよあれよと話は進んでいき、気づけば8人目のマスターとして参加する事になっていた。
「何で俺に……参加する気なんて全く無かったのにな」
参加者は既に決まっていると聞いていたにも関わらず、発現した令呪。要は例外枠なのだが、そのポジションに碌でもない雰囲気を感じる。
精々、星が困ってそうだったら手を貸す程度しか考えていなかった為にこの様な事態は想定していなかった。
というか、儀式に例外枠なんて作るな。絶対おかしな事になるに決まってるだろ。
「仕方ない……何か良い感じのが来てくれたら良いな」
とはいえ、ここで悩み続けているだけでは何も進まない。うだうだと悩み続けるよりはと、召喚陣の前に立ち、詠唱を読み上げる。
「───告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。この意、この理に従うならば応えよ」
カインの詠唱が響く。同時に召喚陣に光が灯り、輝き始める。
「───我は常世総ての悪と成る者、我は常世総ての善を敷く者」
詠唱を続ける度、召喚陣の輝きが増していく。その際に雷鳴を思わせる稲妻や強い風などが発生しているが、集中している彼は全く気づいていない。
「───汝、星を抱擁せし文明の灯火──抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」
詠唱を読み終えたカインは光り輝く召喚陣を見つめるが、中々サーヴァントが現れない。
というよりは、何か詰まっている様な印象を覚えた。
(……え?マジでバグったか?責任取れないぞ俺?)
だから例外枠なんて作るなと、今更ながら参加した事に後悔し始める。本当にバグが起きてしまった場合の負債は計り知れない。
そんな思いと裏腹に輝きは最高潮に達し、目を潰しかねない程の光を放ち始めた。
思わず目を手で覆ってしまい、輝きの中に星海を思わせる紫が混じり始めた瞬間を見落としてしまった。
そして────、
「───やっと……やっと会えた……っ!」
「はっ?誰dムゴッ!?」
極光の中、人影がこちらに向かってくる姿が見えた。眩しくてよく見えていないが、何とか目を凝らして確認しようとすればその人物に抱きつかれる。
「ずっとずっと探してた……っ!本当はもう何処にも居ないんじゃないかって……っ!」
(ちょっ、息が出来ないっ!?)
胸の谷間に顔面を挟まれて話す事が出来ない。無理矢理だが、腕に力を入れて何とか引き剥がす事は出来た。
が、相手の顔を見た瞬間に動きが硬直した。
「サーヴァント、ムーンキャンサー」
紫が混じる白銀の髪、姫君の様なドレスを纏い現れたのは終焉の律者。その瞳は濁っており、口からは吐息が漏れ出している彼女は愛しい者をじっと見つめる。
その姿は成長していれど、目の前で囁いているその声や彼女の顔を忘れた事など無い。カインの顔面は蒼白と化した。
「キアナ・カスラナ──もう逃さないからね、カイン」
「すいません用事を思い出しましたせっかく来てもらったのに申し訳ないですね俺は辞退しますのでそれでは失礼しまァァァァ!?!?」
この日、カインは遂にキアナによって捕らえられた。
別離の歳月を埋める様に抱きしめるキアナとは対照的に、カインからは肋骨が折れていく悲鳴が響き渡っていた。
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「───書いて?」
「…………」
その後、ピノコニーの一角にて座らされていたカイン。あのままでは話も出来ないと、肋骨が折れた状態で何とかキアナを運んできたカイン*1は現在、冷や汗を流しながら縮こまっていた。
「書いて?」
「……ッすぅーー……」
目の前に置かれているのは、キアナが何処からともなく取り出した婚姻届。
ご丁寧に殆どの部分がキアナによって埋められており、後はカインの直筆のみとなっていた。
「カインは自分がやった事が悪い事だって分かってるんでしょ?じゃあ、書けるよね?」
「あの…その…」
ニコニコと笑みを崩さないキアナだったが、カインは既に理解していた。今のキアナに下手な事を言ったら、死ぬよりも酷い結末が訪れると。
とはいえ、書いたら書いたで確実に自分は
「何で書かないの?まさか、こっちの宇宙で他の女達に夢中になってたから……なんて訳ないよね?」
「いや、それは……」
「んー?どうしたの?早く書いて?」
如何にかして説得したいが、あまりの圧に声を出せない。かつてのやらかしに関しては全面的に自分が悪かったのもあり、カインは震えが止まらなかった。
実際のところ、彼はこちらの宇宙に来てからも多くの女性と縁がある。そのクソボケさ故に多くの修羅場に巻き込まれて来ており、本人も異性と関わる機会が多いと感じていた。
その為、一応の意味を込めて聞いてしまった。
「も、もしもの話……俺がこっちで色々な女性と関係があった──」
ドスッ!!
「……はぇ?」
目の前のテーブルに突き刺さったのは紫に輝く剣。かつて、己を貫いた彼女の剣が婚姻届の真横に突き刺さっている。ピノコニーの明かりに照らされてか、その輝きはより生々しく見えてきていた。
刺すまでの動作が全く見えていなかったが、目の前にある剣は間違いなく本物である。カインは察した───次は俺がこうなる番だ。
「……聞き間違いかな?私がずっと一人で慰めてた時に、カインは他の女と遊んでたって言った?」
「そっ…そんな訳ないじゃないですか……ハハハ」
「そうだよね?私を置いて行ったカインがそんな事……言うわけないよね?」
何事もなかったかの様に話を続けているキアナに、ケビンと相対した時以上の威圧感を感じる。
カインはちょっと心が折れそうだったが、現実は何も変わらない。
「じゃあさっき何を聞こうとしてたのか、もう一回言ってくれる?」
「えっ」
マズイという感情が出たのが口だけで済んだのは、ある意味奇跡だった。
先程の失敗をこうして使ってきた事に、キアナの成長を感じなくもないが全く実感に浸れる様な状態ではなかった。
「さっきのは聞き間違いだったんでしょ?だから、もう一回言ってくれる?」
「ええっと……それは……」
下手な事を言った瞬間、あの剣で貫かれる事は分かっている。その後はどうなるかは知らないが、碌でもないことになるのは確かだろう。
頭脳をフル回転させ、何とかこの場を切り抜ける事だけに集中して、何とか口を動かす。
「そうだっ!芽衣達はどうしてるんだ!?俺が居なくなった後の事はヴェルトから多少は聞いてたけど、キアナの口からも聞きたいな!」
「芽衣先輩はお餅とシーリンをカインとの子供みたいに見てるし、ブローニャはカインとの新婚生活VRを勝手に作って怒られてたよ」
「なんて?」
「委員長は『共存する為の環境作り』って色々な場所に行ってるし、識ちゃんはカインの私物でオークションしてる。ゼーレ達は腹上死されても復活させられるように頑張ってて、ウェンディは外堀を埋めてるね」
「なんて???」
あまりの情報量に思考が停止する。何処ぞの領域展開もびっくりな情報量だが、キアナはその笑みを全く崩さない。
一つ確かな事は、ゼーレの権能の使い方が最悪だという事だ。
「……別に無理して答えなくても良いよ?カインだって、聞こうとした事を忘れちゃう事くらいあるよね」
クスリと笑い声を漏らしながら、微笑んでいるキアナ。その美しい笑みは助け舟を出している様に見える。
そして、濁っている瞳を溶かしながらカインを見つめてきた。
「この近くで防音性のあるホテルって知ってる?別にこの場でも良いけど」
「待ってください本当に待って!」
下腹部を摩りながら笑みを浮かべ続けるキアナに、カインの凡ゆる感覚が悲鳴を上げ始める。
生存本能が逃走一択と叫んでいるが、同時にここで逃げた場合は監禁されるという事も感じ取っていた。
ならば、出来る事はただ一つ。由緒正しき方法、謝罪における最大の誠意を表す姿しかなかった。
「すみませんでした……ッ!!」
圧倒的土下座である。魔王だとか悪理だとか、そんな話は今はどうでも良い。プライドも何も捨てた一世一代の美しい土下座である。
静粛な時が刻一刻と過ぎていく。最早、見てくれなどどうでも良いカインはキアナからの審判が下されるまでの一秒一秒を恐怖の中、噛み締めていた。
「……ふふっ」
永遠とも思えた時間が何秒過ぎた頃だろうか。小さな笑い声が聞こえ、体が震えてしまう。遂に審判が下されると思い、目を瞑ったが幾ら待っても何も起きはしない。
「もう……しょうがないんだから。ほら、顔を上げて」
その声にカインが恐る恐る顔を上げる。そこには先程までの圧がある笑みではなく、昔の様な明るい笑みを浮かべているキアナの姿があった。
「カインがどんな思いで魔王なんてやってたのかも、今は分かってるから。私だって、ただ悲しんでただけじゃないからね?」
「キアナ……ッ!」
かつての自分を理解しようとしてくれていたキアナに喜びとも、そうさせてしまった悲しみとも言えない複雑な感情を抱き始める。
もっとも、これもキアナの策略なのだがカインは知る由もない。
「全くもう……私がカインを刺すわけないでしょ?あの時と同じことなんて、二度とやらないんだから」
「……ごめんな」
「それで子供が作れなくなったら困るし」
「……?何か言ったか?」
「ううん、何でもない」
キアナの発言に先程とは打って変わって、しんみりとした空気が二人の間に流れて始める。
途中で何か言っていた様だが、よく聞き取れなかった。多分気にしなくて良い事だろう*2。
「───私、カインにずっと言えてなかった事があるんだ」
何も言わなくなったカインにキアナの顔が近づいてくる。良い雰囲気だと感じたのか、一気に距離を詰めてきた。
二人の額が当たる程まで間近に近づける。そして、吐息の生ぬるさが感じる程の距離で囁いた。
「私は、カインの事がずっとs──」
ブーッ……ブーッ……
「……ん?」
そんな空気をぶち壊すかの様に、彼のスマホが着信のバイブレーションを起こした。スマホをポケットから取り出し、ろくに画面も確認しないままカインは応答してしまった。
「もしもし?」
『あっ、カイン?さっきから待ってるんだけど、今何処に居るの?』
「……は?」
スマホから聞こえて来た、知らない女の声。その女と親しげに話しているカインの姿に再び空気が凍りついていく。
このクソボケ、私の前で知らない女と話してる。
「いやちょっと、俺が呼び出した英霊が昔の知り合いでな?……嘘じゃないに決まってるだろ!?」
「昔の、知り合い?」
まるで、もう思い出になっている存在の様な扱い方をされている。その事実にキアナは
このクソボケは、絶対にここで仕留める。
「ああ、じゃあここで待ち合わせって事で……っておい!」
「ねぇ、カイン」
通話している最中にも関わらず、手の中からスマホが消えた。振り向けば先程までの笑みは何処へやら、目を見開き無表情でこちらを見ている姿は下手なホラー映画よりも恐ろしく感じる。
「夫婦の会話中にスマホなんて取り出さないで?ちゃんと私の目を見て、話をして?」
「いや、結婚も何もしてないだろ……」
「は?????今からホテルにぶち込もうか?????」
「嘘ですすみません俺達は夫婦になるのでしたね!」
再び土下座を繰り出すカイン。9割以上で戸籍や苗字が犠牲になる事が確定してしまったが、元はと言えばカインが悪いので自業自得である。
やったねカイン、家族が増えるよ。
「こっちは今すぐにでも監禁して、既成事実作りたいんだよ?何年も待たされて我慢は限界なのに……それなのに、この仕打ちはどうなの?」
「いや本当におっしゃる通りです!キアナの気持ちを汲んでなかった俺が悪いです!」
「じゃあ早く書いて?」
再び婚姻届を目の前に突き出される。先程と違うのは銃口がこちらを向いており、いよいよ我慢の限界が近くなってきているのだろう。
「書かなくても、実質って事で何とかなりませんか……?」
「良いよ、ここで作ろっか?」
「勘弁してください……ッ!」
この状況をどうにかしたいが、おそらく何をやっても無駄になるだろう。
だが、どうにかしなければ監禁からのデキ婚で新婚旅行ランデブーと化してしまう*3。
何とか出来る事はあるか?武具を作成して目眩し……もしくは、キアナから一気に離れて……
(勝てる訳ねぇだろうが!!)
「何が勝てないの?言ってみなよ」
(!?思考が……読めるのか……!?)
遂に思考まで読んできたキアナ。その事実に驚愕しているカインをよそに、腕を掴んだままゆっくりと押し倒していく。既にキアナの息は荒くなっていた。
「本当はもっとロマンチックな場所が良かったけど……外でするのも悪くないかも」
「外でなんて事言ってるんだ!止めろ服を脱ごうとするな!!勢いのまま押し倒そうとするな!!!」
ギリギリと腕を押さえてくるその力に抗えず、馬乗りされてしまう。
火照る身体をカインに押し付けながら、ズボンのベルトに手を伸ばしていく。ゆっくりとズボンが下がってきた。
「怖がらないで……すぐにカインの方から求める様になるから……♡」
「いやぁぁぁぁ!!」
その時だった──背後から数人の足音が聞こえてくる。足音はすぐ側で停止し、その場で立ち止まっている様だった。
「───何、してるの?」
(っ!その声は!!)
声がした方向へ顔を向ければ、星に召喚したサーヴァントであろう金髪の少女がこちらを見ている。
流石のキアナもこの時には動きを止めていた。
「星っ!助けてくれっ!俺のサーヴァントが襲ってきて動けないんだ!!」
「──────」
「……あれ?聞こえてるか!?」
助けを口にしても、パクパクと口を震わせるだけであり目は虚ろとなっている。そんな星の状態に危険を感じたのか、少女が前に出てきた。
「下がってください、マスター……!彼女はサーヴァントです!!」
「──大丈夫、私が何とかするから剣を下ろして」
「ですが、彼女がこちらに何をしてくるか……!」
「良いから。セイバーはカインに剣を向けないで」
星は少女に言い聞かせると、固まっていたキアナをカインから剥がした。
ポイ捨てする様にキアナを投げ飛ばすと、無理矢理カインを立ち上がらせて、顔を近づけた。
「何してるの?」
「えっ、いやだから、召喚したサーヴァントに襲われてるから──」
「何してるの?」
どうやら星の脳は危険域に達しているらしい。同じ質問を繰り返し続ける星からの圧に押されながらも、何とか話を続けた。
「サーヴァントになったキアナに襲われかけてました……」
「ふーん……あいつがキアナなんだ……」
衣服から汚れを払う様な仕草をしながら、こちらを見つめているキアナ。
そんなキアナを真正面から見返す星には、並々ならぬ
「カインの話で沢山出てきた女が、あんな頭がおかしい女だったなんてね。対して、私は銀河一の美少女。もう勝ちは決まった」
“お前も頭がおかしい女だろ”という突っ込みはしてはいけない。何度も脳破壊されてきた星にとっては、キアナこそ最大の恋敵であったのだ。
その後、星はキアナを鼻で笑った後に笑みを深める。そのままカインの側に立ち、見せつける様に告げた。
「これからもカインは私と開拓していくから。昔の女はそこで黙ってれば?」
(喧嘩を売るな星────!!)
ドヤ顔を決めながら、カインの左腕を抱きしめる星。その煽り散らかしている言動にキアナの額で青筋が浮かぶ。その怒りの覇気に近くで眠っていた折り紙の小鳥が慌てて飛び去った。
そして、堪らずキアナも星に喧嘩を売り始める。
「別に良いよ、勝手にそう思ってたら?私とカインはこれから夫婦になるから関係ない話だもん」
(お前もか、キアナ───!!)
星とは反対の右腕部分を抱きしめるキアナ。幸せそうな笑みを浮かべながら、腕に抱きついているキアナに虚無の目線を向け始めた星。その感情が全くない目線には、Ⅸも一瞥を向けるかもしれない。
「カインを離したら?苦しそうにしてるじゃん」
「あんたの方こそ離したら?私はカインの嫁になるから、これくらいは普通でしょ?」
「は?何言ってるの、このバカは……」
「「…………」」
(気まずい…誰か助けてくれ……)
互いに視線を向け合いながら黙り込むキアナと星。側から見れば、美少女という言葉が具現化した様な二人に挟まれているという羨ましい光景だが、抱きつかれている彼からすれば現世の地獄である。
「カイン、こんな頭がおかしい女は放っておこう?早く手伝って」
「カイン、何かゴミ臭い女なんて趣味が悪くない?私の方がよっぽど良いでしょ?」
「「あ゛?」」
売り言葉に買い言葉、まさにどんぐりの背比べと言える応酬がカインを挟みながら行われる。
互いの言葉が気に障ったのか、聞いた事がない様な声を出し合う二人にそろそろカインは本気で逃げ出しそうだった。
だが、状況は一変する。
「「ふふふ……あははははっ!!」」
突如として笑い声を上げた二人は笑顔のまま互いを見つめ合う。カインから距離を取り、互いが直線上に並ぶ様にする。
そして────、
「「────壊す」」
「マスター!?」
「ああああああ!!!」
正妻戦争の開幕である。互いに獲物を取り出して睨み合う姿は、まさに怒れる猛獣の様だった。なんか喉も鳴らしてるし。
「最初からこうしておけば良かったんだ……あんたみたいな泥棒猫はさっさと潰しておけば、私の一人勝ちだったんだ……っ!!」
「そっちこそ私に勝てると思ってるの?あんたみたいな小娘が、カインへの愛で私に勝てるわけないじゃない?」
ジリジリと近寄りながら、互いに煽り合いボルテージが高まっていく。一歩ずつ踏み締める様に近づき、遂に目の前に立った瞬間に大きく息を吸い────、
「「──カインをパパにするのは私だァァァァ!!」」
そんな、あまりにも終わっている宣告が開始の合図となった。カインはちょっと泣きそうだった。
ーーーーーーーーーーーーーー
こうして始まった正妻戦争。あまりにもしょうもない理由で始まったこの戦いは熾烈を極めた。
片やその身に星核を宿した、星穹列車の開拓者。
片や地球の神たる、終焉の律者。
互いに
【すまない、まだあなたがピノコニーに居ると聞いた。久しぶりにあなたの温もりを感じたいんだ───黄泉】
【少し話があるわ。後で時間を貰うわよ───符玄】
【全部燃やし尽くせば良いかな?今向かってるから待っててね──ホタル】
【メカヨロイの新作が入荷したらしい。お前も見に行かないか?──ヴェルト】
【ちょっとウチの部屋に来てくれる?───なのか】
そして、ついでと言わんばかりにスマホには大量のメッセージが。カインは静かにスマホの電源を落とした───駄目だこりゃ。
「……セイバーだったか?腹は減ってないか?近くに売店があった筈──」
「今更出てきた昔の女に席なんか無いよ。これからは私の時代だから」
「こんな時に何を!?早くあの二人を止めなければ!」
「はぁ?私が正妻だけど?カインの表情を見てても分からなかったんだ?」
「……あれを?」
カインが指を刺した先には、キャットファイトよろしく団子になっている二人が。
言い争い、殴り合っている姿にハウンズも遠巻きに見つめることしか出来なくなっている。働け、治安組織。
「あれの間に入りたいか?原因の俺が言うのもあれだけど、絶対に入らない方が良いと思う」
「あんたの力が強すぎて苦しそうにしてただけでしょ?」
「ですが、マスターを見捨てるわけには……」
「俺は絶対に入りたくないけどな。入った瞬間にプチっと潰されて終わる」
「逆だよ?あんたの匂いがキツすぎたんじゃない?」
そこまで話すとセイバーも溜息を吐きながらその覇気を収め、星達の争いを再び観戦し始める。本当は止めに行きたいが、マスターに言われた以上は手を出さないつもりとの事だった。
「ここはひとまず剣を下ろしましょう……ところで、空腹では無いかという質問ですが…」
「ん?ピノコニーには星が案内した場所以外にも色々なグルメがあるからな。どうせならと思って───」
「っ!そうですか、それは楽しみですね!早く行きましょう!!」
「「カインの初めての女になるのは私だぁぁぁ!!!!」」
───すまない、ピノコニー。
こうして、カインとセイバーは戦場から離れて、ちょっとした観光と食事に赴いた。様々な思惑に塗れた戦争はまだ、始まったばかりである。
「星さんも酷い人ね。いきなり姿が見えなくなったと思ったら、シルドさんと結ばれようとしていたなんて……」
「わぁ、ロビンまで参戦してる……大惨事だ……」
尚、数十分後に戻ってきた際には参加人数が更に増えていたらしい。こんなので良いのか、聖杯戦争。
カイン
一般通過脳焼きクソボケ大魔王。キアナ達への負い目がかなりある為、基本的には逆らえない。
この後にキアナから
機構時代の俺がやった事。何も知らない、覚えてない。
ちなみにキアナとの決戦で生き残ってしまった場合は『地球陣VS火星陣、魔王を賭けた星間大決戦!!〜金星のヴィを添えて〜』が数年後に始まっていたため、実はまだマシなのかもしれない。
聖杯への願いは『かつての仲間達に一言謝りたい』。
キアナ
絶対的終焉天上天下正妻。バッチバチの召喚バトルに打ち勝って現れた。
カインが昔とちょっと違う?私が本物を間違えると思ってる?
正直、さっさと掻っ攫って既成事実からの新婚爆誕したいと思っているが、何とか話をする様に我慢している。
実は本体では無く分霊なので、病み度はちょっとマシという罠。それはそれとして、婚姻届は絶対に持ち帰る。
にげないで、きえないで、そばにいて。
星
遂に来た私の時代。古い女は黙ってな。
キアナに匹敵するヒロインムーブを放っているとは本人の自談。
セイバー
今回の被害者。
この後、カインの信用ポイントでもっきゅもっきゅした。
ロビン
銀河一調和心強歌姫。
ちょっとファンに囲まれているところを助けたり、お忍び休日に付き合っただけなのに……。
スタレクソボケ被害者達
えっ!?合法的にクソボケを独占する方法があるんですか!?
やりますやらせていただきます!
3rdクソボケ被害者達
カインさぁ……ひどいよ。なんで勝手に死んじゃうの?悲しいじゃん。
私達にこんなことさせないでよ。本当は私達と帰りたかったのにさぁ!
なのに、なんでこんな真似するの?あんな事されたから、カインのこと助けられなかったじゃん。
もう犯すしかなくなっちゃったよ。
でもいいよね?二人一緒に幸せになれるから。