ブローニャ、ハッピーバースデー!(一週間遅れ)&フィギュア発売決定記念!
魔王のやらかしその2。
───描いたシナリオの上、待ち侘びていた。
その理想で壊してくれ、全部終わりにしよう。
「もしも私が崩壊に呑まれたら、ブローニャは殺せるか?」
「……突然どうしました?勝てないからとはいえ、盤外戦術は犯罪です」
ネゲントロピーのソルトレイク基地にて、ブローニャと共にホムの対戦型ゲームをしていたカインがふと呟く。圧倒的にブローニャが優勢な状況であり、逆転が難しかった為か突如として話をし始めた彼に、ジト目を送った。
「まさか。支配劇場に取り込まれた際に色々あっただけだ」
「そういう事ですか……あの人形達に何か言われたりでも?」
数日前まで繰り広げられていた支配の律者との戦い。キアナが思いを受け継ぎ、薪炎の律者に覚醒した事によって終わりを迎えたが、その際に受けた傷は深く未だに外出許可が出されていなかった。
囚われていたブローニャとその為、現在は基地内で暇を潰していた。
「それなりにな……『正義の味方面した気持ち悪い奴』だとか『お前みたいな奴が何で、そちら側に居るんだ?』……まぁ、色々とだ」
「それは……前者はともかく、後者は多少なりとも言い分はあると思います」
心外だとでも言わんばかりの表情をしていた彼にため息を吐きながら、ブローニャは淡々と突きつけ始める。
「武器が無くなったからと崩れた瓦礫で投擲したり、素手で殴りかかっていたのはどこのバカですか?」
「仕方ないだろう?剣も折れたのに加えて、銃もエネルギー切れだったんだ。使える物がそれぐらいしか無かった」
「相手目線では、随分と野蛮な行為である事に違いはありません」
そこまで言うと、流石にばつが悪い顔をするカイン。彼が随分なお人好しである事は理解している為、この様な部分さえ治ってくれればと思えてならないブローニャだったが、コントローラを操作する手は一切止まらない。
その間にもゲーム内では彼が追い詰められていき、遂にブローニャの勝利で決着がついた。勝負は終わりだとコントローラを置いたカインは、余韻に浸るように静かに画面を見続けている。
「……私は、自分の始まりが分からない」
ふと、ポツリと話し始めたカインに次の準備をしていたブローニャの手が止まった。
「この異端じみた力を持つ自分がどの様な存在であったのかも。テレサは私を息子として見てくれているが……それでも、何故この様な力を持っているかも、何処で生まれたのかも何も知らない」
自分でも覚えていない始まり。テレサはそんな彼を大切な家族として見ているが、同時に彼にとってはどうしようもない申し訳なさに似た思いを抱いていた。
同時に、先日撃破した律者の姿が頭を過ぎる。
「支配の律者の人形達……卑劣な敵ではあったが、それでもある意味では人間らしい存在だったんだ」
自分達の在り方を嗤い、踏み躙り、世界を陥れようとした支配の律者。だが、彼女達も世界に絶望し、諦めてしまった者達であった事に変わりは無い。
故に、彼の中である考えが過ってしまった。
「だからこそ思ってしまう。もしも私が崩壊に呑まれていた奴や、空の律者の様な存在だったら……呑まれてしまったら……」
「させません」
彼の言葉を食い気味に否定したブローニャ。その目には怒りの色が宿っており、先程とは違う気迫を纏っていた。
「ブローニャが、ブローニャ達がそうさせません。あの日、ブローニャとゼーレを先に送り出した時と同じ二の舞にはさせませんから」
「………」
「分からないのなら、分からないままで良いです。カインがカインである事に、何の変わりも無いのですから」
そうやって話を終えると、静かに笑みを浮かべたカイン。そんな彼を見て、収まったかとブローニャは息を吐いた。
「そうだな……ありがとう、ブローニャ」
「バカカインにはそれくらいが丁度いいんです……ほら、早くコントローラを構えてください」
「ああ、次こそは必ず勝つ。お前に目にものを見せてやる」
「言いましたね?何度でも叩き潰します」
そうして再びコントローラを手に取り、対戦を始めようとしていた二人だったが───、
「ブローニャお姉ちゃんばかり……ゼーレだって……」
(あのバカ、私達の事を忘れてないかしら?)
「カインお兄ちゃん……私だって、ゲームで遊べるのに……」
「「………」」
扉の隙間から覗いている、二つの瞳。彼等が気付いているとは思っていないのか、ボソボソと何かを話しながら目を見開いている。
カインとブローニャは、気付いてしまったが為につい無言になってしまった。
「……ブローニャ、あれはどうしたら良い?」
「───ゼーレ、ウェンディ、外から見てないで隣に来たらどうですか?」
すると、扉の向こうからこっそり覗いていた彼女達が一斉に部屋へ流れ込んでくる。二人きりだった部屋があっという間に賑やかになっていく。
何処にしまっていたのか、菓子を広げながら観戦しているゼーレ達を見て、笑みが溢れる。
こんな日々が、これからも続いていく事をブローニャは願いながら。
「………は?カインが天命の職員達を殺害した……?」
もっとも、そんな願いは叶わなくなったのだが。
ーーーーーーーーーーーーーー
『テレサから言われて来たのか。初めまして、私はカイン・テロスだ』
【学園長から言われて探した、よく分からない男子生徒】。それがカインへの第一印象でした。
学園長の養子にも関わらず何処か変で、キアナと度々問題を起こしていた彼。そんな彼に対しては、キアナと同じ様にバカカインと呼んでいました。
『ゲーム?遊んだことは無いな。必要も無いと思っている』
『──今すぐにやりましょう。機材の準備や指南はブローニャがしてあげますから』
『いや私はやるとは一言も言ってな……おい、話を聞け』
次の印象は、【世間知らずで鈍感な仲間】。ゲームを遊んだどころか、名前も殆ど知らなかった彼を無理矢理誘ったのは、今では反省しています。
でも、周りの生徒達からの興味の目線などに気付いていなかったのは流石に鈍感過ぎます。
……そんな彼でしたが、今では思う事は一つです。
『ウェンディは必ず助け出す……今は休んでいろ』
『やってみるか、カカリア?私はお前を撃ち殺す覚悟など、既に出来ている』
『待っていてください、ゼーレ……!!』
『やはり人助けか?私も同行しても良いか?』
『───カイン!?』
『お前達は先に行け!律者コアもそうだが、お前達を失う訳にはいかない!』
【どこまでもお人好しなバカ】───それが彼でした。
ウェンディを助け出す時、危険を顧みずカカリアお母様の元に一人で向かって、彼女を助け出してくれました。
量子の海で、ゼーレを助ける為に一人で走っていた時も彼は私を助けに来てくれました。でも、その後には追われていた私とゼーレを先に送り返して……未だに許してませんからね。
『すまないとは思っている。だが、ブローニャが律者になった以上はお前達の帰還を優先しただけだ』
『その部分を言ってるんです…!いつもいつも自分の事を後回しにしてばかりじゃないですか……!?』
『お、落ち着いて?ブローニャお姉ちゃん……』
いつも自分の事は後回しにして、傷ついてばかりの彼に何度も言い聞かせ様としましたが、結局彼の答えは変わりませんでした。
『……それでも、ブローニャ達が無事なら私はそれでいい』
──もっとも、そんな彼の言葉に惑わされ続けた私が言える事ではありませんが。
バカカインの癖に、ずっと私達の味方であろうと頑張り続けていて。本当は姫子先生を失った傷を引き摺っていたのに、そんな部分を出来るだけ見せないようにしていて。
『またブローニャの勝ちですね。これで20勝目です』
『あと少しだったな。次は必ず勝ってみせる』
『そうですか……楽しみにしてますから』
気づけば、彼の隣に居続けたいと思っていて───。
……だからこそ、今でも考えずにはいられない事があります。
少しでも何かが違かったのなら、彼は今でも私達の隣に居てくれたのではないかと。彼を引き止められる瞬間を、私達は幾つも見落としてしまったと。
『お疲れ様でした、カイン。夜も更けて来たので早くハイペリオンに戻りましょう。皆が待ってます』
『………』
『カイン?』
『っ!いや、何でもない……本当にこれで良かったのか……?』
『…?なら、ブローニャは先にハイペリオンへ戻っています。また明日』
『──ああ、また明日』
あの時、実質的な父を自らの手で送り出したあなたの表情に気づけていれば、居なくなる事はなかったでしょうか?
『バカカインがそんな事する筈がありません!これは何かの間違い──』
『……あたくしも、個人としてはそう思いたいわ。でも確かに通報にはあの子の声と名前が入っていたわ……』
『そんな……』
あなたの起こした事の真実をもっと早く知る事が出来ていれば、引き止める事が出来ていたかもしれません。
『そう……カイン君がそんな事を……』
『芽衣姉様はヨルムンガンドに在籍していたので、知らないのも無理はありません……全く、あのバカは何処に行ったのでしょうか?』
『芽衣先輩は少し前まで、カインと一緒に居たよね?別れる時のカインはどうだったの?』
『そうね……古の楽園を出た後のカイン君は───』
『──芽衣先輩……?』
芽衣姉さんが言う通り、その時に見つける事さえ出来ていれば、止める事が出来ていれば───、
『私っ……!カイン君を本当の独りにさせてしまったのかも……っ!』
彼の最期はあの様なものではなかったのかもしれないと、今でも考えてしまっています。
『さようなら、ブローニャ・ザイチク……目覚めた頃には、全てが終わっている筈だ』
そうして私は───私達は遂に、彼の手を掴む事は出来なかった。
彼が散ってから1か月後、私は未だに寮の自室で閉じこもっていました。
……本心では分かっています、彼はあの日散った事を。誰も死なせたくなかった彼が、自分だけを殺した事を。
こんな事をしていたって、何の意味もない事くらいは。
『………』
それでも私は、未だに淡い希望に縋るように彼を待っていました。
“もしかしたら、何処かで生きているのでは?”
“こうやって一人で遊んでいれば、またひょっこりと現れてくれるのでは?”
自分達が彼を終わらせたにも関わらず、そんな甘い理想を拗らせて。
『……カイン、楽しいですか?』
隣に彼が使用していたコントローラを置いて、その日も一日中ゲームを遊びながら、待ち続けて。
『今日はこのゲームです。次は勝つと言ってましたよね?』
居るはずもない彼と遊ぶように独り言を話し続けながら、待ち続けて。
『少し休憩です……カインも近くに来てください』
置いてあったホムのぬいぐるみを彼に見立てながら、待ち続けて。
来る日も来る日も、待って待って待って待ち続けて。それでも、彼が部屋の扉を開けることなんて一切無くて。
『───嘘つき、また明日って言ってたじゃないですか』
『ブローニャ、少し紹介したい子がいるのだけど……問題は無いかしら?』
『……私にですか?』
ある時、部屋の外から学園長に声をかけられました。その頃には多少なりとも、外に出なければと思う部分もあった為にその少女と対面する事にしました。
『ありがとう……ほら、大丈夫だから』
そうして学園長の背後から、特徴的な紫髪が見える。
ゆっくりとその少女が姿を見せて────、
『あなた、は─────』
『……紹介するわね。例の件であの子が守り抜いた、たった一人の生存者よ』
『……シーリン・テロスよ』
その名前を聞いた時、彼がもう居ないことを私は漸く理解しました。
ーーーーーーーーーーーーーー
「すぅ……んんっ……」
深夜のリーズンスタジオ内、長い銀髪を束ねた女性がデスクの上で眠りについている。
かなりの修羅場だったのか、周りにはエナドリ缶が多数転がっており、瞳の下には濃い隈が出来ていた。
「──んっ……ぁ……」
首から下げている社員証が揺れている中、微かな声を出しながら意識が浮上していく。ゆっくりと顔を上げ、背伸びをしながら先程まで見た夢を思い返していた。
(……随分、懐かしい夢を見ましたね)
眠気から覚めきっていない頭を目覚めさせる様に首を振る。リーズンスタジオ内の時計の針は既に深夜を指していた。
あの戦いから既に六年の時が経過した現在。それぞれが自分の道を歩み始めており、彼女もまたゲームプロデューサーという道を進んでいる。
新作の『アラハト』の開発や宣伝の為、日夜働き続けていた彼女だったが、その疲れからか居眠りをしてしまっていたらしい。幸いな事は共に開発をしている重装ウサギが偶然、この場に居なかった事だろう。
「もう、六年も経ったのですね……」
だが、六年という月日は決して傷を癒せたわけではなく、むしろ彼が共に居た証を忘れていく痛みが増していく様な時間だった。
ブローニャもそのうちの一人である事は言うまでもなく、未だに彼の事を引きずっている。
デスクの中で所狭しと貼られた彼との写真に、社員証に付いているホムのキーホルダー、自宅にて大切に保管してある彼と読んだ攻略本。そして、異様なほど厳重に保管してある彼のコントローラ。
未だに彼への恋幕に囚われている自分に苦笑いが出てしまう。
だが、目の前には作業中だった画面が煌々と光っており、苦笑いしている場合では無い事を思い出した。
「いえ、今はその事を考えている場合ではありませんね。早く次のβテストの準備を……」
そうして早くしなければゼーレに何を言われてしまうか分からないと、急いで作業を再開し始めていたその時だった。
デスクに置かれていたスマホが震え、彼女の体が硬直する。
こんな深夜に一体誰が?ソシャゲの通知?もしかして……ゼーレにバレたのでは?など様々な予感を感じながら画面を覗いた。
「キアナからのメール……?」
画面に映っていたのは月に居るキアナからの連絡だった。彼が散った後、繭の影響か僅かに残っていた崩壊エネルギーの管理、そしてとある計画の為に未だ月に残り続けている彼女。
送られて来たメールを見ると件名も無く、余程の緊急だったのか本文も端的に書かれているだけの様で、キアナにしては珍しい事だった。
その様なメールの内容が気になり開封してみると、そこには一文だけが記されていた。
【見つけたよ。何処にいるかはまだ分からないけど、生きてる】
「………は?」
最初はメールの内容が理解出来なかった。目を擦り、夢か疲れによる幻覚では無いかともう一度確認してみる……内容は先程と変わらなかった。
完全に目が覚めた。これは、夢じゃない。
「────生きてる」
何処かで生きてる───彼が、生存している。
私達に屠られ、勝手に満足して消えていった彼が、私達の知らない地でのうのうと生きている。
ずっと待っていたのに、一度も帰ってこなかった彼が────、
「……あはっ」
つい、口角が上がり笑い声が出てしまった。
思っていた通りだった。彼はまだ何処かで生きている。あんなにしぶとい彼が、いつも私達の側に居た彼がそう簡単に死ぬわけないのに!離れるわけが無いのに!
……なら、やらなければならない事は決まってる。彼を許すわけにはいかない。
「ふふふふ……あはははははっ!」
そうだ、私はあの頃には無かった多くの武器を手に入れた。そう思いながら目線を下に向けると、あの頃では考えられない程の重量を持つ自らの胸部が足元を見えなくしている。
英雄という人々からの肩書きやゲームプロデューサーという社会的地位。そして、大きく成長した女としての肉体。
……彼を捕らえ、縛り付ける要素は既に揃いきっている。
「ずっと……ずっと待ってましたよ?今度はいつまでも隣に居てもらいます」
あの頃の自分達はまだ子供だった。何も出来なかった自分達は彼の自己犠牲を止める事が出来ず、全てが終わった後にはただ涙を流すことしかできなかった。
だが、今は違う。あの頃には出来なかった手段が取れる。あらゆる手を持って、彼を自分達のものに出来る。
「カインが自分で魔王と名乗ったのですから。魔王を倒した者達には、報酬が必要ですよね?」
ああ、今からでも再会が楽しみで仕方がない。彼が今の自分達を見たら、どんな顔をするだろう?
驚く?悲しむ?……どれであっても構わない。どちらにしろ、結末は同じなのだから、
「早く準備を進めましょう……今度は絶対に逃しません」
視線を下げたまま、自らの胸部を腕で持ち上げてみる。見た目通りの重量に加えて、持ち上げられた事により形が変わり、妖麗な雰囲気を出している事に更に笑みが溢れる。
彼を捕えるためならば、この身体だって幾らでも利用しよう。何度だって彼を縛り付けよう。
「せっかくなら、カインに選ばせるようにしましょうか……私を抱くか、私に抱かれるかを……」
大丈夫だ、まだ時間はある。彼が再びこの世界に戻って来た時、私達の隣に居させる様にすれば良い。
そうすれば、今度こそ離れる事は無い。互いに幸せになれる日々が始まるのだから。
「こうでもしないとあなたは逃げ出しますから、仕方のない事ですね」
深夜のリーズンスタジオに、彼との未来の想像に浸る声が響く。それは、あまりにも深い執着心が現れた様な湿度が含まれている様に思えて───、
「私達から離れる事なんて、二度と考えられない様にしてあげますから」
デスク上に置かれたモニターには、ハート型の何かが映る愛欲が融けた瞳に、妖しい笑みを浮かべるブローニャの妖艶な姿が反射していた。
「今のうちに……休暇申請を……」
「重装ウサギ、私は用事が出来たので後は頼みます」
「えっ───」
余談として、その分の負担は全て重装ウサギが背負う事になる。哀れなり、重装ウサギ。自分の上司が彼女だった事が全ての原因である。
ブローニャ・ザイチク
理の律者として、かつて彼と共に戦った少女。
現クソゲーカイハツメンテイ。色々とデカくなった。
彼とは悪友……の様に見せかけたクソデカ感情勢。
量子の海にて、ゼーレを助ける際に何処からか助けに来た彼に脳を焼かれた。その後、ゼーレと共に先に戻されてブチ切れたらしい。
実は魔王が一番警戒していたのは彼女。武具などの製造が厄介すぎる為、一番最初に気絶させられた。
その為、彼女が目を覚ました際には既に……ブローニャは壊れた。
彼を捕まえた場合、殴り飛ばした後にあらゆる手段を用いて縛り付ける。二度と離すつもりは無い。
大丈夫です、私達は幸せになれますから。
テレサ・アポカリプス
あの子が遺したものは、絶対に守り抜く。
キアナ・カスラナ
彼は繭を取り込んだから、オットーが残した虚数の樹関連の技術を使って、私なら見つけられるんじゃない?使ってた大剣とかも置いていってるし……。
→見 つ け た。
重装ウサギ
いつもネタに使われている可哀想なウサギ。
ひとえにてめェが
殺された天命職員の方々
大戦犯。
やっていた事はK-423の更なるクローンの量産、改良。気づかれない様に秘匿された地で行われていたが、古の楽園を出た後の傷心した彼に見つかり、壊滅された。
……彼等が居なかったら、彼は魔王になってなかったかもしれない。
シーリン・テロス
彼が唯一助け出せた少女。ちょっとだけ口が強く、大人びている様な雰囲気を出しているが、実は甘えたがりな一面も。
投与されていた薬品の影響か、K-423の更なるクローンに関わらず紫の髪色をしている。
シーリンの名は、名前の無かった自分に彼が与えたもの。
魔王
自分も彼女達みたいな人になれると思っていた。
共に崩壊と戦い、律者達を乗り越え、未来を歩めると思っていた。
異端じみた自分の肉体に、実は自分も律者ではないか……なんて夢物語を花のような彼女に話したりもした。
奴等を殺し、記憶を取り戻した頭で血濡れた手を見つめながら思う。
どうやら自分は、
合わせ鏡の様に終われない悪性の機構。でも、一人の人間として彼女達との日々を愛してしまったのも本当。鏡に映った醜い黒さを認めてしまった。
ならば虚像として、
自分が得た、人間としての心にまた呑まれてしまう前に。
次はどこに行こうか?
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