メリーさんを殺したら怪異の女王になったんだが   作:87776

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プロローグ

 ちょうどメリーさんだとか口裂け女だとかの都市伝説が小学生の間で流行していたくらいの頃。

 

 小学生だった俺が自分のことを初めてキチガイだと認識したのはそのくらいの頃である。

 

 きっかけは初詣で両親と共に神社へ行った事だ。

 

 しんしんと外で降りしきる雪を、神様がいる本殿の中から眺めている時、ふと思った。

 

 ……神様がいるあそこに座ったら気持ちええやろなぁ。

 

 ええ、はい。控えめに言っても頭がおかしいんじゃないでしょうか。

 皆が手を合わせて新年のお願い事をしている横で、そんな事を思うというのはどう言い訳しようとキチガイのそれである。

 

 だがしかし当時の俺は割とガチ目にそんな事を思っていたのである。

 

 いやまぁ、分からんでもないが。

 神様って特別である。なら自分も特別になってみたい。 

 そう思うのは、前者の部分はまぁともかく、後者の部分は割とオーソドックスな欲求なのではないだろうか。

 まぁ不敬極まりないが。

 

 だが当時の俺はさすがにその辺はわきまえていたのか、一線を越えるような真似はしなかった。

 だって怒られるしね。ちゃんとその辺が分かってて偉い。

 

 しかし、問題はその後だった。

 

 いつまで経っても、あの場所に座りたいという欲求は失せなかったのだ。

 あまりにも欲求が消えないので、学校からの帰宅中に試しに道端の地蔵をどかして祀られてる場所にちょこんと座ってみたのだ。 

 同級生のガキどもらに、”コイツマジか”ってごくごく自然な冷たい目で見られながら、俺は気づいてしまった。

 

 ──ああ、自分がやりたかったのはここに座る事じゃなくて、神様になりたいんだなぁ。

 

 あまりにも早い中二病の発症である。

 たぶん早めに医者に診てもらった方が良かったのではないだろうか。

 

 さて、ここで質問。 

 

 【問】小学生の時点でこれだけヤバいというのにここに思春期が加わったらどうなるのだろうか。

 【答】さらなるキチガイなるだけである。

 

 

 中学生に進級し、俺は神になるべく実際に行動に移した。

 神とは何か、神の持つ力とは、神になるためにはどうしたらいいか。

 あらゆる疑問を知るために調べに調べつくした。

 分かったのは己は神にはなれないという事である。

 それから、神道原理主義者となり異端の神は認めないとかいう中々に頭のおかしい思想が残っていた。

 うーん、これはキチガイ。

 

 クラスの女子がメリーさんだとかの類の都市伝説を話すたびに、

 

 ──所詮は下賤な噂話程度の存在だ。そんなのを怖がるなんて脳みそが足りないのではないだろうか。

 

 と冷笑筋をピクつかせながら、傍らに”僕の考えたさいきょうの神様”ノートを携えていたのだ。

 たぶん、ブーメランが頭に5つぐらい刺さってる。

 ちなみに恐ろしいことに実はまだこの野望を俺は捨てきれていなかったりする。

 

 

 とまぁ、そんな類まれなる自身の過去について語ってみたが……まぁ運命って言うのは数奇なものだ。

 

 なんと驚くなかれ、俺は過去の俺が冷笑していた存在になったのだ。

 鏡を見ると、そこにはちょこんと白髪の少女が立っている。

 かつての散々見慣れたナイスガイはもうそこにはいない。

 

「メリーさん、かぁ」

 

 過去の俺がこれを見たら卒倒するだろうな、と苦笑を浮かべる。

 正直に言えば、まだ神様になりたいというあの時の情熱は大人になった今でも欠片くらいは残っている。

 だからもっとこう厳かな存在になりたかったのだが……まぁあの時は仕方がなかった。

 

 そう、本当にあの時は仕方がなかった。

 

 ……少しだけ、どうしてこうなったのか語るとしようと思う。

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