メリーさんを殺したら怪異の女王になったんだが   作:87776

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第2話 美少女の風呂はボーナスシーンである

 あれから2日が経過した。

 

 特にこれと言って変わったこともなく、あったのは地獄のような片付けの作業だった。

 

 実は、メリーさんを解体するときに家中の穴という穴をガムテープで密閉し、消臭ビーズをまき散らしたりする。

 臭いにはかなり気を使わなければならなかったからだ。

 メリーさんがたとえ少女であったとしても、ぐちゃぐちゃになってしまえばそれなりに臭いはキツい。

 それのせいで隣人に気づかれでもしたら一貫の終わりである。

 警察だの事情聴取だの牢屋だの、そんな未来しか見えない。

 なので、そこら辺には滅茶苦茶気を使って解体作業時に消臭ビーズをまき散らしたのだ。

 お陰様で隣人に気づかれることはなかったのだが、まぁ後片付けというのは地獄になる訳で……。

 床一面に転がる、無数の小さな球体。掃除機をかけても、隙間に入り込んでなかなか取れない。

 全く、誰だよこんなビーズ家中にまき散らした犯人は。

 ……俺ですね、はい。自業自得である。反省はしている。かなり。

 

 と言う訳で、そんな感じの後片付けのせいでそれなりに忙しく過ごしていた訳です。 

 

「はぁ……風呂入るのなんて久々かもしれない」

 

 ちゃぽん、と水の音が風呂場に響いた。

 

 水面に艶やかな長い白髪が浮かぶ。

 それを揉みしだきながら、俺は天井を仰ぎ見ていた。

 

 風呂場の鏡に、目の下にクマが出来た少女の顔が反射した。

 ……やっぱり、顔はいいんだよなぁ。顔は。

 

 でもなぁ、メリーさんって神道じゃないしなぁ。

 しかも俺を殺そうとしたヤツと同じ顔ってのはどうにも気がよろしくない物だ。

 え、お前も食っただろうって?

 そりゃ、そこは正当防衛ってやつでしてね……。

 

「……暑い」

 

 若干のぼせるくらいまで風呂につかり、満足したら風呂から出る。

 

 引き出しの中から取り出したタオルで体をふく。

 ドライヤーで髪を乾かしたら、だぼだぼの男物の家着に着替える。

 

「この服……ちょっと臭うか?」

 

 すん、とメリー臭が漂ってきたことにしかめっ面。

 こりゃぁ買いなおしだな……。うん。明日買いに行こう。

 

 そして問題を明日の自分に加齢に放り投げた俺はそのまま、そのままパソコンの前のゲーミングチェアに身を投げ、キーボードを叩き始める。

 

 何をしているのか。

 あれだ、ネットサーフィンである。

 それもメリーさん関連の情報について。

 

 だってそりゃそうだろ。あんなことがあった後に色々気にならない方がおかしい。

 例え俺が神道原理主義者(笑)だとしても、気になるのである。

 と言う訳で、様々な事をネットで調べているのである。

 例えば、なぜメリーさんを食べたらメリーさんになるのだとか、メリーさんミンチって本当に食べてよかったのかとか、メリーさんミンチの栄養価はなにか……などなど。

 ちなみにだが、検索した結果分かった事は皆無だ。 

 もうね、本当にまっさらである。

 まぁ、うん、そうだろうなって感じ。

 ていうかメリーさんのミンチ肉の情報が載ってる方が怖ぇよ。

 

 要するに、俺の身に何が起きているのか、分かる情報は一切得られていないというのが現状である。

 

「せめて、元に戻る方法とかないのか?」

 

 ま、たぶんないだろうが。

 苦虫を嚙み潰したかのように、俺は目を細めた。

 

 

▼△▼△

 

 深夜の二時。

 

 住宅街の明かりはすべて消え、所々蛍光灯が不気味に光っているだけ。

 こういう時間には基本的に人は外を出歩かない。

 怪異というのはこの時間によく表れる。

 

 だから子供は夜中に外を出歩いてはならないと教わるし、あまりそう言った怪異の類に襲われなくなる大人になろうと基本的に夜中には明かりのない場所を避けようとする。

 

 それは別に誰かから教わる訳ではない、ただの不文律のような物だ。

 人間にとって怪異の存在は不可視であり、怪異が実際に存在するかどうかなど知っているわけではない。

 だが、暗い場所は怖い。そういう当たり前の感情である。

 

 しかし、時にそういった感情を破って外を出歩く人間がいる。

 

 しかもその日は幼げな白髪の少女が独りで外を出歩いていた。

 右手にはコンビニのビニール袋をさげている。

 鼻歌を歌いながら、やけに足取り軽く歩いていたのだ。

 

 当然、その様な少女は怪異に狙われる。

 

 影が動いた。

 ゆっくりとその無軽快な少女に近づく。

 手を伸ばした。

 あと少しで、触れられる。

 

 ──その時だった。

 

「……やっぱり、いる(・・)よなぁ」

 

 目が合ったのだ。

 

 あり得ない。

 目が合うはずがないのだ。 

 人間が怪異を見られるはずがない。

 

 なのになぜ目が合う?

 瞬間、影は少女から悍ましい気配を感じ取った。

 腹の底から湧き上がる、濃く、重く、べっとりとした呪い。

 逃げなきゃ──喰われる。

 ふわりと、影は闇の中に消えて行った。

 

 

▼△▼△

 

 ええ……怖いっすよ。なんすか急に。

 こう、後ろから現れてふわぁって消えてくの。 

 普通にホラーじゃないっすか。

 

 夜中に腹が減ったからコンビニ行ったら、ずっと後ろから気配がするなぁ、って思ったらこれだ。

 とても怖かったです、はい。幽霊って本当に存在するんですね。

 まぁ、元からメリーさんのせいで実証済みではあるんだが。

 

 ……だなんて言っている場合ではない。

 これは異常事態だ。

 あんなもの今までの人生で一度も見たことがない。

 しかも、さっきのアレは一度目じゃない。

 すでにもう3回はああいうのを見ている。

 

「考えられる原因は一つ、だな」

 

 当然この体だ。

 というか、この体以外に原因を考えられない。

 

 恐らくだが……あれはメリーさんと同じ類の存在なのではないだろうか。

 幽霊、怪異、そういう類の存在である。

 そしてこの体となった影響でそれらが見れるようになった。

 

 まぁ、そう考えるのが自然か。

 なぜそうなったのかは知らないが、事実としてこの体になったせいで怪異が見えるようになった。

 というか、怪異を見る能力を獲得した、と言った方が正確か。

 なにせ元々なかった能力が新たに備わったのだ。それはすなわち、獲得と言っても差し支えないだろう。

 

 

 と、その瞬間だった。

 何かがポケットの中で震えた。

 

 スマホだ。

 

 なんだ?

 取り出して、スマホを開いた。

 その時、文字列がスマホに表示された。

 

 

【あなたの能力:

 あなたは怪異を見ることが出来ます

 あなたは怪異を簡単に屠る程度の力があります

 あなたは人間を見ると電話番号を知ることが出来ます

 あなたは電話をかけた相手を殺すことが出来ます

 あなたは■■■■……】

 

 

 感情が追いつかず、情報も整理できないまま現れた。

 それは、あまりにも唐突だった。




リアルの方で忙しくてなかなか時間が取れなかったです。本当に申し訳ない。


追記:プロローグがないのはあまりにも物語構造上の欠陥があったので追加しました。しかも色々な部分も改稿しました。流石に計画性がなさすぎである。猛省。
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