蓮ノ空ヴィクロ✕キャプ翼サンシャイン! 〜 FUSION PARALLEL 〜 作:松兄
第1話:異国の地で
ドイツ――、ドルトムント市街地
ヤノサ「ごめん、ちょっと買い物行ってくるね〜」
ツサノ「分かった〜」
母親「気をつけてね」
ヤノサが家を出る。近所のスーパーへ向かっていると、道の端に気になるものを見つけた。
ヤノサ(? あの人、旅行客かな……? でも、私と同じ歳くらいに見える男の子……。あんな大きなキャリーケース持って……1人なのかな?)
気になったヤノサは声をかけることにした。
ヤノサ「スミマセン、何をされてるんですか?」
ヤノサが声をかけると、男の子は驚いてヤノサの方に目を向ける。
晴也「え、ああ……実はここに行きたいんだけど……。道を聞こうとしても誰も聞いてくれなくて困ってたんです」
男の子が事情を説明して印のついた地図を出してくる。ヤノサは地図を見せてもらう。
ヤノサ「ここでしたら、この道をまっすぐ行くとスーパーがあるんですけど、その裏ですね。私これからそのスーパーにいくんですけど、一緒にいきますか?」
ヤノサの申し出に、男の子はビックリすると……、
晴也「……是非お願いします」
申し訳なさそうにだが、そう答えた。
スーパーに行く途中、2人は少し話した。
ヤノサは、この男の子が今度チームに留学に来る日本からの子だということ。
晴也の方は、ヤノサが留学先の小学生カテゴリーのトッププレイヤーだということ。
まさかの出会いだった。そしてこれが……2人の運命の出会いとなる事を、この時の2人はまだ知る由もなかった。
ヤノサ「スゴイ偶然ですね」
晴也「ですね……あ、あそこのマンションですかね?」
ヤノサ「そうです。では、私はこれで」
晴也「はい。ありがとうございました」
そう言ってマンションに走っていく晴也を見送るヤノサ。
ヤノサ(中々礼儀正しい人でしたね)
ヤノサは、日本人はサッカーは上手くはないが、礼儀正しく公平な物の見方をする民族と言われることは前にとある本を読んで知っていた。
その例に漏れず、少なくともこの時点で今のチームメンバーよりは、晴也に対して人間的には好感を持ったヤノサ。
ヤノサ(サッカーは……どうなんでしょうね)
翌日、ヤノサの通う小学校に晴也が転校してきた。
晴也「大海晴也です。日本からきました。よろしくお願いします」
頭を下げる晴也。だが、クラスの視線は冷ややかだ。
が、全く気にする様子もなく先生に言われた席に座る晴也。そして授業を受けて4限目、校庭でサッカーらしい。
更衣室で生徒がジャージに着替えてグラウンドに出る。
ヤノサ(……意図せず実力が分かりますね)
――だが、
ヤノサ(はあ……。同じドイツ人として恥ずかしいです……)
サッカーのはずだが、子どもたちは晴也を囲んでシュートを撃ちまくって当てようとする。
ヤノサはそういう事がそもそも嫌いな性格なので、加担はしなかった。
それどころか―――、
ヤノサ(これ、止めたほうが……?)
「このままにしていたら、ゲルマン民族の名と誇りに傷が付く」。ヤノサがそんな事を思っていると――、
ヤノサ「………? ………!!」
――しかし、クラスメイトが何本シュートを撃っても、晴也には全く当たらない。
………それどころか、必要最小限の動きで躱されている。
生徒「なんで当たらねぇんだ!」
生徒「くそ!」ドガアッ!
一人の大柄な生徒のパワーシュート。狙いを定めて晴也に迫る。
ヤノサ(つ!)
危ないと思ったヤノサが急いで止めに入ろうとする。――だが、
晴也「………」ユラアッ
晴也の影が揺れたかと思うと、一瞬でボールに対して鋭い蹴りを叩き込み、ボールを跳ね返して抜群のコントロールでシュートを放った大柄な男子の顔面へと吸い込まれる……。
ボグシャアッ!!
生徒「ぐあぁああっ!!???」
アッサリと返り討ちに遭い、鼻血を出してゆっくりと後ろに倒れる生徒。
バターーーン!!
ヤノサ(!! 何、あの正確なキック!?)
生徒「な!?」
生徒「コイツ!!」
生徒たちが晴也をにらみつける。すると、
晴也「相手してやるよ。ボール奪ってみろ」
晴也もイライラしてるようで人差し指を曲げてクイクイと、挑発していた。
生徒「舐めんじゃねぇ!!」
一斉に襲い掛かる。生徒たち。――だが、散々ラフプレーを仕掛けているにも関わらず、全ていなされ躱される。
ヤノサ「う、うそ……!?」
それを見ていたヤノサは驚愕。いくらドイツ人とはいえ、チームに入っている訳ではない一般人のみんなではあるが、サッカー後進国と言われる日本の選手が、ここまでやるとは思わなかったからだ。
生徒「コイツ!」
ヤノサ「危ない!」
危険すぎるプレーに思わず声を上げるヤノサ。彼女としては、晴也のことは今のところ嫌いではないのだ。
姑息な生徒の後からのスライディングタックル。―――だが、
晴也「ふっ!」バッ!
晴也はボールごとバク宙して躱すと着地。落ちてきたボールをスライディングした生徒の腹に片足でふみつけてトラップした。
生徒「ぐええっ!!?」
ヤノサ「っ!!???」
晴也「ったく………危ねぇな」
ヤノサ(何? あのプレー……まるで、背中にも目があるかのような……すごい……!!)
ヤノサにとっての誤算。それは決して悪い意味ではなく、この日本人。―――大海晴也が自分のチームのメンバーになること……ではなく、その男の子が、自分がチームメンバーに求めてもダメだった、サッカーへの思いと実力を併せ持った人間であったことだった。
― つづく ―
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