蓮ノ空ヴィクロ✕キャプ翼サンシャイン! 〜 FUSION PARALLEL 〜   作:松兄

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第52話:謝罪

 

 

 ハーフタイム。ベンチに戻る両チーム。だが、ヤノサとツサノは自軍のベンチに戻る前に蓮ノ空のベンチに来た。

 

ヤノサ「ごめんなさい!」

 

 ヤノサは、蓮ノ空のメンバーに頭を下げた。

 

慈「え?」

 

ヤノサ「まず、試合の開始のときにアタシが仕掛けちゃったこと。花帆さんでしたね。すみませんでした。あの時、勘違いしてたんです……」

 

晴也「勘違い? そういやなんか雰囲気がおかしかったけど……」

 

ツサノ「実はね……」

 

 姉妹は話してくれた。ヤノサが試合前のミーティングで蓮ノ空の試合映像を見たとき、みんなが晴也に頼りきりで勝利という甘い汁を吸ってる寄生虫に見えてしまっており、この試合でみんなを断罪しようとしていたこと。

 

 しかし――、試合開始してすぐに蓮ノ空にみんなの目と必死なプレーを見て勘違いだと気づいたこと。

 

 まずそれを謝りに来たことが1つ。

 

吟子「寄生虫………」

 

来夏「まあ、実力が開きすぎてるのは自覚してたからね………」

 

瑠璃乃「だからルリたちも"練習しなきゃ!"って思ってたし……」

 

ヤノサ「ですよね。だからこそ、すみませんでした!」

 

 頭を下げるヤノサさん。

 

晴也「勘違いが解けたならそれはいいよ。それで、もう一つは?」

 

ヤノサ「その後の、突然のみんなのラフプレーです」

 

 ヤノサさんは悲しそうな顔で晴也に話しかける。

 

ヤノサ「あんなの、私たちが小学校、中学校の時に、晴也くんと一緒に練習したサッカーじゃない。晴也くんがドイツに来て、三人で毎日日が暮れるまでボールを蹴った。……あの時のサッカーを、汚してしまいました……」

 

 ヤノサは晴也に深く頭を下げた。他のみんなはその様子を黙って見ている。

 

ツサノ「ドルトムントの選手として、そしてあなたの友人として、本当に恥ずかしい。……怪我をさせたみんなにも、心から、謝らせて……」

 

 カラム姉妹は二人揃って蓮ノ空に頭を下げる。

 

 それを見た梢先輩は穏やかに、しかし凛とした声で答えた。

 

梢「謝罪は受け取ります。でも、お二人がピッチで示してくれた『答え』が、何よりの言葉でした。後半、本当のドルトムントと戦えるのを楽しみにしています」

 

 晴也も無言で二人を見つめていましたが、やがて優しく笑い―――、

 

晴也「……謝るなよ。あの頃、上手くなることだけ考えてたあの頃の2人は、もっと怖かったよ。あんなモブ共のプレー、俺はカウントしてないさ。……後半、またあの時みたいに、死ぬ気でボール追おうぜ」

 

 晴也はそう言い、拳を突き出す。

 

ヤノサ「……うん。約束!」

 

 トンッ

 

 2人は拳を合わせて、正々堂々を誓い合う。ヤノサはかつての戦友に見せる、強気で美しい微笑みを取り戻した。

 

梢(………………)

 

 その様子を、梢は複雑な顔で見つめ、

 

さやか(……………?)チクッ!

 

 さやかは、胸のあたりに痛みが走ったような気がした。

 

さやか(何だろ? 今のチクッは……)

 

 

 そして2人が自軍のベンチに戻っていく中、みんなは二人の背中を見つめていた。

 

慈「あの子たち良い子じゃん。なんでこんなチームにいるの?」

 

綴理「さあ?」

 

梢「ふふっ。でもみんな、後半が本当の勝負よ! 全力でぶつかりましょう!」

 

蓮ノ空『おう!!』

 

 

 一方で、自軍のベンチに戻った2人。2人が自軍のベンチに戻ると、そこには不満を隠せない選手たちが(たむろ)していた。

 

モブ「おい、ヤノサさん! 敵と仲良くお喋りか? さっきの裏切りプレーと言い、お前ら姉妹は追放だ!」

 

 しかし――、その言葉が終わる前に、ベンチの屋根が震えるほどの咆哮が轟いた。

 

監督貴様ら、いい加減にしろ!!

 

選手『!!???』

 

 ドルトムントユースを率いる監督が、鬼のような形相で立ち上がった。

 

監督「カラム姉妹のアレが裏切りに見えるか!? 節穴かお前たちの目は! あれは、ドルトムントの誇りを忘れて汚い手に染まったお前たちへの『愛の鞭』だ! サッカーへの愛を忘れた貴様らに、彼女たちは身を挺して『正解』を叩き込んでやったんだ!」

 

 監督は怒りに震える拳をベンチに叩きつけた。

 

監督「晴也がチームにいた頃、その前から知っているが、彼女たちはこのチームの誰よりもドルトムントを愛し、勝利に誠実だ! 前半の失点、そしてあの無様な空気を招いたのは、カラム姉妹ではない! 誇りを捨てたお前たち自身だ! その醜態、墓まで持って行くがいい!」

 

 監督の目には、怒りだけでなく、教え子たちの不甲斐なさへの悲しみが宿っていた。

 

 それに対して、メンバーは黙って何も言えなかった。

 

監督「いいか、後半だ。ヤノサとツサノ、そして晴也が見せている『覚悟』に、お前たちはどう応える? 恥をかいたまま終わるか、それとも死に物狂いで食らいつくか……選ぶのはお前たちだ!」

 

 監督の激に、選手たちは一様にうなだれ、やがて静かに、しかし強く拳を握りしめた。

 

 その様子を見たヤノサとツサノは顔を見合わせ、頷き合う。

 

ツサノ「ヤノサ、行くわよ。私たちの『本気』、晴也くんに見せないとね!」

 

ヤノサ「うん、お姉ちゃん! 蓮ノ空のみんなと、最高の試合をしよう!!」

 

 

審判『後半開始します!』

 

監督「行ってこい!!」

 

 そして両チームフィールドに出る。そこには、かつてドイツの空の下で共に汗を流した「三人の天才」と、彼らに導かれて目覚めた両チームの、真剣勝負の色が浮かんでいた。

 

 いよいよ、後半戦の開始!

 

 

 

後半:開始前

 

蓮ノ空 1 ー 1 ドルトムントユース

 

― つづく ―




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