蓮ノ空ヴィクロ✕キャプ翼サンシャイン! 〜 FUSION PARALLEL 〜   作:松兄

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第76話:韓国戦 試合終了!!

 

 

 日向の雷獣シュートが韓国ゴールに突き刺さり4ー2。

 

 韓国はキーパーが負傷交代する。

 

 

ピィイイイーーーッ!!!

RESTART!!!

 

 

 韓国ボールで試合が再開される。だが、限界を超えて燃え上がっていたコムトの肉体は、すでに悲鳴を上げていた。

 腹部に受けたあまりの衝撃に、本来のキレは見る影もなく、その動きは明らかに鈍い。

 

 

 それでも必死に晴也を視線で追い、必死で全日本に食らいつこうとするコムト。

 

 しかし―――、非情にも時間は過ぎていく。

 

 膠着状態のまま試合は動かずに、3分、5分と過ぎていき、

 

 

晴也「アディショナルタイムだ! トドメ刺すぞ!!」

 

全日本『おう!』

 

 後半アディショナルタイム、中盤での激しい攻防。

 

 

 インチョンのパスを翼さんがインターセプトした。

 

インチョン「なにっ!?」

 

翼「そーれっ! 大海くん!」ドッ!!

 

 ボールは晴也の足元へ。コムトがフラフラになりながらも必死に身体を寄せでプレスをかけるが、晴也のステップが、一瞬でその脇をすり抜けた。

 

 

コムト「あっ!?」

 

晴也「これで、終わりだ!!」ドゴォオォオォオオォオッッ!!

 

 目の前が開けた瞬間、晴也が放った鋭いシュート。

 

 交代したばかりの韓国の控えキーパーの横を鋭くぶち抜き、ゴールネットへ突き刺さった。

 

 

GOOOOOAL!!!

日本 5 ー 2 韓国

 

 

コムト「っ! まだ……っ!」

 

ピッ、ピッ、ピィイイイーーーッ!!!

― TIME UP(試合終了)!! ―

 

 そして、その直後に響き渡る長いホイッスル。

 

 

 激闘の幕が下り、全日本ユースの勝利が確定。ユニバーサル・ユース、1回戦を突破した。

 

 

コムト「あ……、あ、あ……」

 

 ホイッスルが鳴り響いた瞬間、コムトの身体からすべての力が抜けた。

 晴也に認められたい、晴也に良いところを見せたいという極限の緊張感だけで持っていたその肉体が、重力に逆らえずにピッチへと崩れ落ちていく。

 

 泥だらけのコムトが芝生に伏せられようとした、その刹那――。

 

ガシッ!!

 

 

 地面に激突する寸前、コムトの身体を、誰かが力強く抱きかかえた。

 

コムト「――っ!?」

 

 コムトが朦朧とする意識の中で必死に目を開けると、そこにあったのは、自分がずっと追い求めていた、晴也の顔だった。

 

 

晴也「無茶しすぎだろ、アンタ。……でも、凄かったよ」

 

 

 晴也はコムトをしっかりと支えながら、その真っ直ぐな瞳を見つめて、心からの言葉を掛けた。

 

晴也「あの状況から立ち上がって、最後まで俺を止めに来たその実力と、諦めない頑張り。……完璧に認めるよ。お前は強かった。最高の選手だ」

 

 

 晴也の口から、その言葉が漏れた瞬間、

 

コムト「あ……、あ、あああ……っ!!!」

 

 ずっと男に不信感を抱き、誰も信じられず、ただ自分の財力と権力だけで世界を支配しようとしていたコムト。

 そんなコムトが、生まれて初めて、自分が焦がれた本物の男から、その「実力」と「魂」を真正面から認められた。

 

 脳内に溢れ出る、人生最大の嬉しさと幸福感。

 

コムト(認められた……! 私、晴也さんに、認められたっ!!!)

 

 心の中でそう叫んだ瞬間、コムトの感情のメーターは完全に振り切れ、至福の表情を浮かべたまま、緊張の糸が完全に切れて文字通り「絶頂して気絶」してしまった。

 

 

晴也「おい!? アンタしっかりしろ! おい!!」

 

 白目を剥いてガクッと腕の中で意識を失ったコムトに、晴也は一気に慌てふためいた。

 

 周囲から見れば、晴也がコムトを何か変な術で気絶させたかのような完全な修羅場である。

 

ムン「おのれ大海晴也! 我らの司令塔に何をしたー!!」

 

キム「コムトさんっ!! しっかりしろっ!!」

 

 すぐさま血相を変えた韓国ユースの選手たちやメディカルスタッフが怒涛の勢いで押し寄せ、俺の腕からコムトをと回収。

 

 担架に乗せられたコムトは、気絶しているにもかかわらず、その口元だけはフフフ……と最高に幸せそうな、絵に描いたようなチョロすぎるドヤ顔を浮かべたまま運ばれていった。

 

 こうして、ピッチの内外で前代未聞の嵐を巻き起こした激動の試合は幕を閉じた。

 

 スタジアムが湧く中、電光掲示板には、日本の「2回戦進出」の文字が輝いていた。

 

 ――だが、激闘の興奮が冷めやらぬ2回戦進出の裏で、晴也には、試合以上の大ピンチが待ち受けていた。

 

 

 フィールドを出てロッカールームへと続く通路。

 

 韓国ユースの面々に担ぎ込まれていく気絶したコムトを見送り、俺が「ふぅ、一時はどうなることかと……」と胸を撫で下ろした、その瞬間だった。

 

 

ガシッ! ガシッ!

 

 

 両肩に、ずっしりと重い「人間の手」が置かれる。

 

梢「晴也くん……ちょっと、こっちへ」にっこり

 

さやか「ずいぶん試合中にコムトさんを熱烈にハグ(※抱きかかえただけ)してましたね? ねぇ?」

 

 

 振り返ると、そこには晴也に恋心を寄せている梢先輩とさやか先輩の2人が、濁りきった笑顔で立っていた。

 

 さらに最悪なことに、通路の奥からは、今日の試合をスタンドで観戦していたはずのヤノサが、腕を組んでコツ、コツと靴の音を響かせながら歩いてくる。

 

 その碧い瞳は完全に氷点下だ。

 

ヤノサ「ジーーー……。わざわざ応援に来てあげたのに、晴也くんはピッチの上で韓国のお嬢さまを口説いて気絶させていたんですか? いいご身分ですね?」

 

晴也(やばい! 完全に目が据わってる!?)

 

晴也「ち、違うんだ! あれは倒れそうだったから支えただけで――」

 

梢&さやか&コムト「「「問答無用!!!」」」

 

 

晴也アァアァアアーーーーーーーーーッッッッ!!???!?!??!!!??

 

 

 静まり返ったスタジアムの裏通路に、晴也の悲痛な叫び声とお仕置きが虚しく響き渡ったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 試合から数時間後、無事に意識を取り戻し、まだ「ふふふ、あの人に抱きしめられてしまいましたわ……」と、宿泊先のホテルの自室のベッドの上で悶絶していたコムトの元に、一通の送り主不明の手紙が届いた。

 

 

 指定された場所は、厳重にセキュリティが敷かれたホテルの最上階のラウンジ。

 

コムト「何の用かしら?」

 

 疑問に思いつつも、いつもの足取りでラウンジのドアを開けると、そこにはさやかと梢、紅茶をすするヤノサの計3人が、ただ者ではないオーラを放って待ち構えていた。

 

 

コムト「あら、あなた方は日本の……それにドイツの代表選手? 私に何の御用かしら」

 

 この謎の組み合わせに戸惑うコムトに対し、ヤノサがカップを静かに置き、冷徹に言い放った。

 

ヤノサ「単刀直入に言います。あなた、晴也くんのことが好きなんですよね?」

 

コムト「――っッ!?」

 

 図星を突かれ、一瞬で顔を真っ赤にして動揺するコムト。

 

 そんな彼女を、梢とさやかが鋭い目で見据える。

 

 

梢「晴也くんの周りには、恋人を狙うライバルがいっぱいいるのよ。ポッと出のあなたが、家柄や金に物を言わせて晴也くんを横からかっさらおうなんて、(わたくし)たちが絶対に許さない」

 

 

 いつもなら「私のエネオズ財閥の力で、あなた方など一瞬で――」と言い返すはずのコムトだった。

 

 しかし、目の前にいる3人の瞳にあるのは、打算や金などではない。

 ピッチの上で血の滲むような努力をし、晴也と同じ世界の高みで戦ってきた者だけが持つ、純粋で強固な「本気の愛」だった。

 さすがのコムトも、3人の覚悟の重さを肌で感じ取り、ゴクリと唾を飲み込んだ。

 

コムト「金や権力では動かない、本物の障害というわけね。面白いわ。で? 私をここで排除するつもりかしら?」

 

 すると、3人は顔を見合わせ、フッと不敵な笑みを浮かべた。

 

さやか「まさか。排除するつもりなら最初から呼び出しませんよ。今日の試合、お腹にあれだけの衝撃を受けて、キーパーが壊れるほどのシュートを目の前で見ても、あなたは、最後まで晴也くんから目を逸らさずに立ち上がりましたね?」

 

 今度はヤノサが立ち上がり、コムトの目の前まで歩み寄る。

 

ヤノサ「晴也くんの隣に立つ資格があるのは、どんな壁にぶつかっても諦めない、強い人間だけです。……あなたのあの泥臭い頑張りと執念だけは、私たちも認めざるを得ません」

 

 この言葉に、さやかと梢も腕を組んで深く頷いた。

 

ヤノサ「家柄じゃなく、一人の女としての根性は合格です。だから――今日からあなたを、私たちの『正式な恋のライバル』として認めてあげます」

 

コムト「え……?」

 

さやか「勘違いしないでくださいね。認めたってことは、ここからは一切の手加減なしの泥沼争奪戦が始まるってことです。財閥の力抜きで、純粋に晴也くんの心を奪い合いましょう」

 

 3人の強い視線。コムトは一瞬呆気にとられたものの、すぐにそのチョロくて気高いお嬢様スイッチがカチリと入った。

 いつもの自信に満ち溢れた、最高に不敵な笑みを浮かべてみせる。

 

コムト「ええ。分かったわ。でも、私をただの甘やかされた令嬢だと思ったら大間違いよ! 正式な争奪戦の認可、ありがたく頂戴いするわ。私の溢れんばかりの愛の炎で、あなた方全員を焼き尽くして、晴也くんを私のものにしてみせるわ!!」

 

 

 こうして、ピッチの上の日韓戦は終わり、舞台は晴也を巡る、世界基準の「最強女子4人による仁義なき恋の争奪戦」へと姿を変えた。

 

 何も知らない晴也が「なんか最近、視線が痛い気がするなぁ……」と首を傾げる中、彼女たちの熱すぎる火花は、さらに激しく燃え上がっていくのだった!

 

 

― つづく ―




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