蓮ノ空ヴィクロ✕キャプ翼サンシャイン! 〜 FUSION PARALLEL 〜 作:松兄
激闘の日韓戦、そしてあの「ライバル認可」の会談から一夜明けた翌日―――。
激戦の疲労を考慮し、全日本ユース、には丸一日の「完全オフ(休日)」が与えられていた。
韓国ユースも帰国するが、それは明日の予定となっている。
梢、さやか、ヤノサは、「昨日の今日だし、まさかコムトも動けないだろうし、まずはしっかり体を休めて、次の試合に備えないとね」と、油断してそれぞれのオフを満喫していた。
――だが、3人はあの財閥令嬢の「行動力」と「恋の執念」を完全に甘く見ていた。
コムト「ふふふ……、正面から正々堂々と戦うと言いったけれど、『スピード感』もまた財閥の基本よ!」
コムトは、財閥の最高機密である「秘匿回線」を起動。
昨日、SPに無理やり調べさせた晴也のケータイへと直接連絡を入れた。
ピリリリリリッ! ピリリリリリッ!!
晴也「ッ!?」
突然、軍事レベルのセキュリティ通知と共に鳴り響いたケータイに、俺はベッドの上でひっくり返った。
晴也「な、なんだ!?」
番号は表示されていないが、おそるおそる出てみた。
晴也「も、もしもし……?」
コムト『――もしもし、コムトです。晴也さんは今日はオフなのでしょう? すぐホテルの裏口へ来てくれないかしら。断ったら直ぐ様部屋へと直行するわ』
晴也「いや、脅迫!?」
断る間もなく強引に連れ出された晴也。
気がつけば、大会の開催国であるドイツの、どこか中世の面影を残す美しい石畳の街並みへと、コムトと共に遊びに繰り出していた。
――そう、誰もが予想だにしなかった、隠密「ドイツの街角デート」の開幕だ。
ピッチの上の泥だらけのユニフォーム姿とは一転、コムトは実家のお抱えの超一流デザイナーが仕立てた、私服のクラシカルで洗練された服を身にまとっていた。
機能の試合後乱れていた髪も完璧にセットされ、どこからどう見ても高貴な一国のプリンセスだ。
コムト「どうかしら。この服?」
晴也「あ、ああ……。可愛いと思うけど」
コムト「…/////」
俺の隣を歩くコムトさん。だが、俺が街角のオープンカフェを見つけて、
晴也「あ、あのドイツの伝統的な焼き菓子、美味しそうだな。昨日、ウチの日向がお腹に凄いシュート入れちゃったし、お詫びにあれ奢るよ」
と言って、会計した小さなお菓子を差し出した瞬間、彼女の顔は一瞬で崩壊した。
コムト「えっ……わ、私に、お、お奢ってくださるの……!?(キュン)」
世界中の最高級スイーツを毎日のように食べているはずの彼女が、俺が買ったなんてことのない数十ユーロのお菓子を両手で大事そうに受け取り、顔を真っ赤にしてフハァ……と恍惚の表情を浮かべている。
晴也(やっぱりこの人、めちゃくちゃチョロいな……。でも、昨日の試合であれだけ無茶苦茶なフィジカル見せておいて、私服になると普通の、いや、ちょっと可愛い女の子なんだな)
俺がそんな風に思って少し微笑むと、コムトはさらに「ひゃぅっ!?」と変な声を上げて耳まで真っ赤に染まった。
コムト「な、何を見てるのかしら!? あなたから貰ったものだから、一生保管しておこうと思っただけよ!」
晴也「いや、お菓子だから今食べてね!?」
そして共に街を歩き、その日は一日一緒にいたが、夕暮れの時間。
普段の「男不信」や「打算的な世界」を忘れ、ただの同世代の男女として、ドイツの美しい街を歩く二人。
大聖堂の鐘の音が響く夕暮れ時、川沿いのベンチに座ったコムトは、オレンジ色に染まる水面を見つめながら、少し寂しそうに、でも真っ直ぐな声で呟いた。
コムト「……私の周りには、いつも私の家の『金』や『権力』しか見ない男ばかりだったの。だから、男なんてみんな汚くて打算的なものだと信じていたわ」
コムトはそっと自分のお腹(昨日のシュートの打撃痕がかすかに残る場所)に手を当て、晴也を振り返った。
コムト「だけど、あなたは違った。私の家柄なんて関係なく、一人のサッカー選手として、全力で私を打ち破り、そして……私の魂を認めてくれた。あんなに、お腹が痛くて、悔しくて、……でも、あんなに嬉しかったことは、人生で初めてだったわ」
夕日に照らされたコムトの真っ直ぐな瞳。そこに宿る圧倒的な純真さに、晴也は一瞬、言葉を失ってドキリとした。
晴也「コムトさん……」
コムト「ですから、覚悟してね、晴也くん。私は絶対にあなたを諦めないわ! あの梢さんも、さやかさんも、ヤノサさんも、まとめて全員蹴散らして、私のこの燃え盛る恋の炎で、あなたを絶対に落としてみせるわ!」
最後はいつもの大高笑い(ドヤ顔)に戻ったコムトさん。
だが、その頬は夕日のせいだけではなく、林檎のように赤く染まっていた。
晴也「あはは……。うん、手加減なしでかかってきてよ」
晴也は苦笑いしながらも、コムトさんの不器用で、だけど誰よりも一途なその熱量に、少しだけ胸が温かくなるのを感じていた。
ドイツの美しい夕暮れの中での隠密デートが終わり、夜の帳が下りた頃。
韓国ユースの泊まるホテルのコムトの部屋。
今日着た服を脱ぎ捨ててシルクのルームウェアに着替えたコムトは、窓の外に広がるドイツの夜景を静かに見つめていた。
いつもなら、思い通りに進んだ一日に「フン、当然よ!」と高笑いしているはずのコムト。
だが、今夜の令嬢の表情には、いつもの傲慢な笑みも、人を突き放すような冷たさも一切なかった。
コムト「……偽物の
そっと窓ガラスに手を当て、ぽつりと呟く。
これまでのコムトは、自分の「家柄」や「資産」に群がってくる汚い大人たちや打算的な男たちから身を守るために、あえて傲慢で、わがままで、誰の手にも負えないトゲだらけのお嬢様を演じてきた。
男を信じず、世界を斜めに見ることで、傷つかないように自分にバリアを張っていたのだ。
だけど、今日のデートで、晴也と過ごした数時間は、コムトの閉ざされた世界の扉を根底から消し去ってしまった。
コムト「晴也くんは、私が我が儘を言っても困ったように笑うだけ……。私が財閥の令嬢だからではなく、ただの『私』として、普通のお菓子を奢って、普通に隣を歩いてくれたわ」
思い出すだけで、ルームウェアの胸元をぎゅっと握りしめてしまうほど、胸の奥が温かい。
金や権力で人を支配する歪んだ世界ではなく、真っ直ぐにぶつかり合い、認め合う世界があることを、晴也は教えてくれた。
コムト「普通の財閥令嬢なら、きっとここでさらに着飾って、権力で晴也くんを縛ろうとすると思うけれど。……私は違うわ」
コムトは鏡の前に立ち、髪をそっと整えた。鏡に映る自分の瞳は、トゲがすっかり取れて、驚くほど穏やかで、澄み切っている。
コムト(決めたわ。晴也くん。あなたの前でだけは、もう格好をつけるのも、我が儘なフリをするのもやめるわ。私がずっと隠してきた、本当の私……誰よりも一途に人を愛し、誰よりも優しく寄り添いたい、この『本当の心』のままで、あなたにぶつかるわ)
普通イメージする韓国人や、高飛車な令嬢とは全く違う、コムトが本来持っていた「愛情深く、どこまでも優しい」本性の覚醒。
コムト「ふふっ……待っててね、私の大切な人」
それは、一人の女性として「本物の愛」を捧げる覚醒の瞬間だった。
自分の部屋でライバル3人に囲まれてお説教(物理)を喰らっているであろう晴也を思い、窓から夜空を見上げていた。
その日の夜、どこからともなく嗅ぎつけたヤノサが日本代表宿舎に乗り込んできた。
全日本ユーススタッフが止めようとするもぶっ飛ばして晴也の部屋に乗り込み、梢先輩とさやか先輩にもバレて、晴也が"
― つづく ―
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