傭兵部隊『ラーズグリーズ』キヴォトス戦記 作:Zerosen1
ラーズグリーズがキヴォトス全域の治安回復、維持、復興をシャーレの看板でやっていた時期の会話記録。
・・・という設定。
というかこういう設定の会話ログ的なのをチマチマ入れる予定。
カンナ「こうして仕事をしてると、時折思うんです、自分のしている事に意味があるのか、と・・・」
ゼロ「過労で哲学にでも目覚めたか?」
カンナ「茶化さないでください」
ゼロ「まぁ、気持ちは分かるさ、お前の仕事を考えればな、外でもそういう奴は居た。
そして、こんな歪な社会のキヴォトスじゃ特に、そう思う機会も多いだろう、だがな、信じるしか無いのさ、お前みたいな仕事の連中はな」
カンナ「信じるしか無い・・・ですか」
ゼロ「少なくとも無意味じゃ無いんだ、だから、実感が無くても、きっと誰かの助けになっていると信じるしか無い」
カンナ「・・・・・」
ゼロ「警察官の仕事は消防と同じで薬のような物だ」
カンナ「薬、ですか?」
ゼロ「尊敬する警察官の話だがな、何かが起きて、要は何らかの被害が発生してからじゃないと動けないし、動かないし、役目を全う出来ない。
その働きの結果が目に見えない形での抑止力として事故や犯罪を抑える事はあっても、被害を無くす事は不可能なんだ。
危険人物を馬鹿正直に24時間年中無休でケツ追っかける訳にもいくまい、それじゃどっちが危険か分かったもんじゃないし、法と秩序が許さない。
つまり、完全に被害を無くす事は不可能だ、だから疑問を持つ、自分の仕事は本当に意味があるのか、と。
とはいえだ、警察の仕事はなにも事件や事故の処理だけじゃ無い、被害に遭った被害者、そして行くあても無い加害者、双方に寄り添って、道を示すのも時として仕事となる」
カンナ「道を示す?」
ゼロ「キヴォトスに限った話じゃ無いが、学籍が無いってのは戸籍が無い、要は人権が無い・・・そして、金を得るには当然働く必要があるが・・・
なぁ、カンナ、彼女達がまともな仕事に就いて、真っ当な給料で雇われて、そして無事に働けると思うか?」
カンナ「それは・・・」
ゼロ「キヴォトスじゃ外よりも、そういう、犯罪以外に生きる手段が無い連中が多い事を頭に入れておけ、情けをかけろとは言わん、何とかしろとも言わん。
ただ、どうしようも無い、非情で冷徹で残酷な現実が、少し目を凝らすだけで、そこら中にありふれている、それを覚えておけ」
カンナ「・・・酷いですね」
ゼロ「酷いさ、現実なんていつだって、そしてどこだって、こんなハズじゃ無かった事や後悔ばかり、何が正しいのかなんて何ひとつ解らない不確かな世界で、それでも足掻くんだ。
少なくとも、人類の歴史の幾つかの面は、そういう泥臭くて、みっともなくて、汚い部分で構成されている。
でも俺はそれで良いと思ってる、これからもそんな、溺れるようなもがき苦しむような進み方で良いと、きっと、その方が間違えない」
カンナ「間違えない?」
ゼロ「そう、正しさが分からなくても、過ちは分かる、間違えさえしなければ、きっと最悪は、或いはそれを通り越した破滅は避けられる。
とても辛くて厳しい、でも、人は1人で生きている訳じゃ無い、良い奴も悪い奴も、馬鹿みたいなお人好しから救いようの無いクズまで色々。
みっともない不揃いな玉石混合の寄せ集め、それが社会や文明と呼ばれる世界というものだと思ってる」
カンナ「・・・間違いさえしなければ、ですか」
ゼロ「連邦生徒会をはじめ、ヴァルキューレやSRTの問題は根深く複雑だ、よりによって中央政府と言うべき組織とその直轄同然の組織が、だ。
だが・・・今、本来の歴史通りに進んでる解決策は、正しいと思うか?
或いは、間違ってない、と、そう思えるような内容なのか?」
カンナ「いえ、アレは1企業に治安維持に関する権力を集中させてしまう、そうなれば遅かれ早かれ、結局は犯罪の温床となる・・・
そもそも、あの関係こそが犯罪です・・・そこに関しては、間違っていると断言できます」
ゼロ「そうだ、でも、あの時、キヴォトスにおいて打てる手はそれしか無かったのも事実だろう、カンナの立場は中間だ、そう動ける身じゃ無い」
カンナ「そう、ですね・・・タブレットを取り返していなければ、どうなっていた事やら・・・」
ゼロ「Rabbitが自らを見つめ直せたのも大きい、外なら取り返しが付かないし、SRTとしてはあの時点で終わりだが・・・キヴォトスの歪みが、彼女達にやり直しのチャンスを与えた」
カンナ「やはり、嫌いですか」
ゼロ「あぁ、FOXもRabbitも、正直特殊部隊以前に、ただのテロリストだと思ってるよ、大義無き、乱を起こす異物だ、存在価値が無い・・・
だが、彼女達がいなければ、本来の先生は死んでいた、功罪のみを考えれば、目を瞑る他あるまい・・・
それに、立場だけなら、前例を知っている、テロリスト同然の立場に堕ちて尚、世界を救う為に諸悪の根源を追い続けた特殊部隊をな」
カンナ「特殊部隊ですか・・・だから彼女達を?」
ゼロ「別にタスクフォースを作るつもりは無い、必要ではあるがな、だからかな、つい、彼らのような身も心も優れた兵士になって欲しいと願ってしまう、特殊部隊だからな」
カンナ「貴方からすれば、私も彼女達も、立場と権限から、子供として扱えないのですね」
ゼロ「あぁ、別に大いなる力には大いなる責任が、などと傲慢な押し付けがましい理論を振りかざす気は無いが、それでも、子供が感情で振り回して良い物では無いのも事実だ」
カンナ「そうですね・・・誤認逮捕で人生が狂った、そういう事例も聞いたことがあります・・・」
ゼロ「だからさカンナ、もがくんだよ、幸い、この世界線には俺達が居る、何の因果か記憶も流れ込んでいる。
俺達だけが、最悪の未来を避けようとしている訳じゃ無い、記憶を持ったみんなが、もっと良い結末があったハズだ、ともがき苦しみ、足掻いている。
俺達大人は、そんな子供らしい欲張りな願いに手を添えてやる、それだけの話なんだ、それで良いじゃないか。
少なくとも、破滅はしない、最悪の中で、泥のように纏わり付く悪意に呑まれても、破滅だけはしない、それ以上沈まない、沈ませない。
最低でも立ち上がれる、這い上がれる、そして、掴み取れる、その為に俺達が来た、無法者の傭兵で申し訳ないがな」
カンナ「正規軍や諜報機関を含んだ非正規軍ですか、とんだ詐欺ですね」
ゼロ「国家に帰属して無いから嘘は言ってない、ただ、守る対象が世界に変わったから、国の正規軍じゃ無くなった、それだけだ。
国連やNATOじゃ実効力というか即応性というか、まぁ、頼れないからね、そうなったのさ、世が世なら義勇軍も名乗れたかもな」
尚、こんな事を書類仕事やパソコンでデータ打ち込みしつつ。
史実では裏で暗躍してたCIAやKGBなどの職員達の中で平然としていたので、職員達は召喚兵といえど心が痛んだ模様。