ハイスクール 鬼と竜   作:謎の旅人

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第-5話

私は高校一年生です。私はオタクです。一番好きな作品は「魔法先生ネギま!」です。アニメや漫画の中でも一番です。他にもいい作品はありますが、なぜかこれが気に入っています。

 

オタクになったきっかけはいじめです。自分で言うのもなんですが、容姿には自信があります。告白だってされました。でも相手のことをよく知りませんでしたので、断りました。しかし、そんなもてる私が気に入らないほかの女子たちに、いやがらせを受けました。最初は私も無視していたんですが、だんだんひどくなってきたんです。

 

もういじめだった。ノートには落書きをされるし、体操服は隠される。まだ殴られるとかなかったのが幸いだった。だけど、心はすでにボロボロだった。

 

ですが、そんな私を支えてくれたのは私の親友の女の子でした。私たちは小さい頃からの親友です。よく相談などにも乗ってくれました。周りから見ても仲のいい友達です。でも、親友がいじめられないようにするために、学校での接触は避け親友の家で慰めてもらっていた。

 

そして、いじめがひどくなるにつれ、私は親友以外の人を信用できないようになっていました。みんなの視線が怖い。あの人もあの人も私を狙っている。絶対そうだ。もう疑心暗鬼になっていた。

 

それがいけなかったんです。いじめに関わっていない人までも信用しなくなったことが。もし他に親友と呼べる子がいれば、私は壊れなかっただろう。ある時、私は親友に呼び出されました。

 

場所は体育館裏。私はなんの疑いもなく、その場所へと訪れた。すでに親友はそこにいた。壁に背を預け私を待っている。私が声をかけると顔を私に向けた。

 

 

「来たね」

「うん!」

 

 

私は微笑む。親友は私に近づき、頬を撫でた。親友もまた微笑んでいる。親友にこうされるは好きだ。小さい頃からこうやってされた。親友はもう片手を私の腰に回し、私との距離をなくす。

 

 

「本当にあなたってきれいね。ちょっと羨ましい」

「そ、そう?」

 

 

でも親友のほうもきれいだと思う。それに私と違って友達も多いし、色々と信頼が高い。そして、頭がいい。それに比べて私は……全くの反対。友達は少ないし信頼もないし頭が悪い。

 

 

「そういえばだけど、あなたはあなたをいじめた人のこと、どう思っているの?」

「なんで?」

「だってこのままじゃずっとこうかもしれないんだよ。私は慰めることしかできない。きっといつかはそれでは無理なときが来る。行動しないと終わらないよ。だから聞いたんだよ。言ってごらん? 君の本音を」

 

 

親友は耳元で囁く。まるで誘惑だ。

 

 

「わた、しは……私は……」

「そう。言って。怨んでいるって」

「怨んで……ない」

「っ!! 本当にそうなの? 怨んでないの? 大丈夫。聞いているのは私だけだから。さあ、言ってよ」

「怨んでない」

「嘘をつくな!!」

「え? きゃっ!!」

 

 

私はいきなり親友に押し倒され尻餅をついた。い、痛い。ゆっくりと見上げると今まで見たことがないほどの顔をして、額を手で押さえる親友の姿があった。なんだか怖い。本当にあの親友なの?

 

まるで違う人みたいだ。ゆっくりと立ち上がる。幸い体育館の壁は親友の後ろで私の後ろにはちょっとだけ木がまばらにあるだけだ。今の親友は親友ではない。

 

 

「……………………はは」

「……?」

「あはははははははっ本当にあなたって優しいわね! まさか自分をいじめていた人間さえも怨んでいないなんて。あんたは天国行きだよ」

「な、なにを言っているの?」

「…………………………………………………………………………………………………………………………………だけど、そんなのは面白くない。私が求めたのは狂ったあなた。そんな優しいあなたを求めていない」

「ね、ねえ、どうしたの? 本当に何を言っているの? 意味が分からないよ」

 

 

すでに距離は開いている。ゆっくりとさらに下がった。やっぱりこんなのは私の知っている親友じゃない。どうしてこうなったの? いつもは優しいのに今は違う。

 

 

「その顔を絶望に変えてあげる」

「えっ?」

「来てちょうだい」

「「「はーい!!」」」

 

 

体育館の角から数人が出てきた。その顔を見た瞬間、私の体はびくんと震えた。だってその人たちは私をいじめていた人たちだったから。な、なんで? なんであなたたちがいるの?

 

私の本能はその理由を察知するが、私自身は理解していない。いや、理解することを拒否していた。だから分からない。

 

ああ、眩暈がする。映っているものが全部歪んでいる。息は詰まっていないのに息苦しい。うまく立てない。吐き気がする。

 

 

「ねえ、なんであなたと親友である私はいじめられないと思う?」

「そ、それは私が学校では出来るだけ会わないようにしたから」

「違うよ。だって、いじめの前からはもう私たちは仲がいいことは知られているからね」

「じゃ、じゃあ、なに? 分からないよ。ねえ、なんでその人たちがいるの?」

「一個ずつ答えてあげる。いや、これを言ったら全部分かるかな」

 

 

親友はいつもと違う妖しい笑みを浮かべた。私はなんとかその場に立っていることで精一杯だった。

 

 

「私がなぜあなたと一緒にいじめられないのか? それはこの子たちが主犯じゃなく、私が主犯だから」

 

 

その瞬間、私の視界はさらに大きく歪み左右に揺れた。そしてついに体の力が入らなくなり、その場に崩れ落ちた。

 

 

「あなたが……私を……?」

「そう。私がこの子達に言ってあなたをいじめさせたのよ」

「……なんで、なんで!!」

 

 

私とあなたは小さい頃からの友達だった!! 幼馴染だった!! ずっと仲良しで私自身、姉妹だと感じていたのに!! どうして!!

 

 

「嘘だって言ってよ!!」

「くくく、あははははははははっ。いいね、その顔! でもね、これは嘘じゃないの。本当よ。私があなたをいじめたの」

「うぐっ…………ぐすっ…………うわああああああああんっ」

 

 

親友でもあり幼馴染でもあり姉でもあった彼女に裏切られた。その事実がついに心を壊した。もう顔はくしゃくしゃで大量の涙で溢れている。

 

 

「私ね、ずっとあなたが嫌いだったの。だってあなた、私よりもてるじゃない。気に入らないのよ。あなたがいると私が目立たないの。だからこの子たちを利用したの。楽しかったわ、ひどい顔をしていたあなたが私に支えられ、安心する顔。そして再び崩れる顔。でも、それより今の顔が最高よ。親友である私がいじめの主犯だって分かったときの、絶望の顔がね! あはははははははっ!!」

 

 

もう……嫌だ。この世界は私を拒否している。私はこの世界には必要ないんだ。だからこんなに残酷なんだ。私はただ結局怨まなかった。なんで怨まないの? だってこれは怨んでいいんだから。

 

天国とか地獄があるなら親友は私は天国に行くと言った。なら怨んで晴らして地獄へ行っていいから。怨め。怨めっ。怨め! 怨め!! みんな殺して私も死んで!! それで終わりだから。

 

これで解決だよ。だけど………………………無理だよ。私は人を怨むなんてできなかった。

 

 

「はは…………あははははははっ」

 

 

そんな自分に涙を流しながら笑った。それを見た元親友と他はそれを見てクスクスと笑っている。きっとショックで狂ったのだろうと思ったんだ。でも違う。まだ狂ってない。私が笑ったのは優しすぎる自分に笑っただけなんだから。

 

 

「あんたってすごい悪ね。さすがだわ」

「これからもこんな顔が見たいね」

「ねえ、次はどうするの?」

 

 

他たちが元親友に言う。だが視線は笑い泣く私に向いていた。私を見て笑っている。それでも怨めない。

 

 

「ふふ、そうね。次は下級生の子を対象にするなんてどう? ある日、一人の後輩が困っていたところ、私という優しい先輩が助ける。それをきっかけに仲良くなって後輩は私を慕う。後輩はいつの間にか段々と仲間はずれにされ、そこで私が慰める。もう後輩は私がいないとダメになったところで私が裏切る。優しいお姉さまに裏切られる後輩。おもしろいと思わない?」

「今回のとちょっと似ているけど、それでいいね。なら相手はちょっと体育会系の子にしない? 先輩、後輩の関係って言えば体育会だからね。それに心当たりがあるからね」

「じゃ、その子にしましょう」

 

 

私がいる目の前で私の次のターゲットを決めていた。私もこうやって計画されていたのだろうか。

 

 

「ねえ、この子をどっかの男たちの欲の解消にしない?」

「ひっ!!」

 

 

一人の恐ろしい言葉を聞き、思わず声を上げた。それだけは嫌だ。まだ誰からも抱かれていない純粋無垢な体を好きでもない男によって汚されたくはない。体が震えた。

 

 

「……放っておきなさい」

「なんでよ。きっとこいつ処女だよ? 無理やりされて歪む顔を見たくないの?」

「もし犯されて警察にでも通報されたら、私たちにまでも被害が及ぶ。危険な橋を渡らずに美味しいところを狙うのが私だからね。みんな行くわよ」

 

 

そう言って元親友は去っていった。元親友が私を男たちのもとへと送らなかったのは、元親友の最後の優しさだったと感じた。私も元親友とは長い付き合いだった。だからそう思った。

 

私は泣きながら私から遠ざかる背中を消えるまで見続けた。消える前に元親友は私を見て口を動かした。それは「さよなら」だったと思う。元親友たちが去ったあと、数時間そこで泣き続けました。

 

体育館裏だったので誰にも気づかれず思いっきり泣いた。泣いて泣いて泣いて……。一生分の涙を流したような気がした。泣き終わったあと、私は立ち上がり荷物を取り、家へと帰った。

 

これが私がちょっとしたオタクから、完全なオタクになったきっかけでした。私は不登校になりました。信じられる人間はもういない。何もしたくない。この現実から逃げるためにただアニメなどを見ればそれでいい。

 

私の人生はこれでいい。もう人生なんてどうでもいい。ただアニメなどを見て過ごす。ですが、そんな引きこもり生活は終わりを告げました。それは両親に怒られるとかではないもので。

 

ある日、私は親から小遣いをもらい、食べ物を買いにいきました。今の私は両親でさえも少ししか信用できなかった。だから、一緒のテーブルでご飯を食べることはできなくなった。そんな私の態度に両親は私の心の傷を分かってくれて自由にしてくれます。それがいいことなのかは分かりません。

 

本当はせめて両親とはこうなる前のようにしたほうがよかったのかもしれない。そうしていればなにか違ったはず。

 

すでに日は落ちかけ茜色に染まる歩道を歩く私はコンビニでパンやお菓子をいくつか買います。もちろんジュースもです。まさにニートですね。そんな食生活が続いているが、私の体型にはなんの変化もなかった。

 

買い終わった後は暗くなった道を慎重に歩いた。しかし、歩いて数分後にキキキッ!! という甲高い音とバアアンッ!! という重いなにかがぶつかる音がした。

 

なんでしょう? そう思います。ですが私の視界はぐるり回転していました。そして、その回転が止まる。止まったとき見えたのは、コンクリートの地面と流れる鉄くさい赤い液体でした。しばらくすると体中に激痛が走りました。

 

痛い! 痛い!! 痛い!!! 今までで一番感じたことがない痛みでした。そのときになって、私はあの音が私が跳ねられた音だと理解しました。轢かれるとこんなに痛いんだ。もう二度と轢かれたくないよ。痛いのはいやだもん。

 

ノイズの走る耳から周りから聞こえる誰かの声。そのうちの一人が近づいてくる。その口はパクパクと動くが周りの音と混じってよく聞こえない。雑音を聞きながら意識は消えていきます。

 

それは気絶ではなく死でした。それはある意味、もう二度と轢かれることはなくなったということだった。

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