ハイスクール 鬼と竜   作:謎の旅人

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第7話

私が覚醒した翌日。起きると私と兄さんは上半身裸でした。え?なんで?

あっ!そういえば、服を処分したあとでめんどくさくなって、そのまま寝たんでしたね。

 

やっぱり兄さんの体つきが変わりましたね。少し、脂肪がなくなり筋肉がついてきてます。

ちょ、ちょっと触れてもいいですよね?私はちょっと抱きつきます。

はあ~、なんだか眠くなります。少し眠ってもいいですよね。おやすみなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう?吸血鬼の力を覚醒させた感想は」

「なんだかいい気分だった」

「そうでしょう。だってそれがあなただもの」

 

 

私と私は互いに微笑みあっています。周りから見れば仲のいい2人です。

まあここは私の意識の中ですので、見られませんけどね。

 

 

「あなたはこれからも、ああやって殺さないの?」

「殺さないよ。私は不殺主義だからね」

「私とは違うね」

「でも、あなたは私。私はあなた。絶対に不殺じゃない。あなたのように殺すときもある」

「こうしてると私はあなたなのに、色々と違うね」

「うん、違う。でも、根本は同じ。ちょっと存在理由が違うだけ」

「私はあなたを守る」

「私は・・・・」

「あなたは幸せを掴む。それが今の存在理由」

「私はそれでいいの?」

 

 

だってあなたは私です。同じ私なのにこんなに理由の重さが違うなんて……。

それは嫌です。私のプライドが許しません。

 

 

「あなたはやっぱりいい子。でも、それは違う。あなたの存在理由は2つ目。でも私は

まだ1つ目」

「どういうこと?」

「あなたは1つ目をすでに終えたの」

「それはなに?」

「言えない。あなたはただ幸せになればいいの。今はそれが理由だから」

 

 

いつ1つ目を終えたのでしょうか?それだけは教えてほしいです。

気になってしょうがないです。もしかしたら気になって寝れないかも。

 

 

「あなたは今寝ているけどね。1つ目はとっくの昔。あなたは吸血鬼だよ。本当はずっと

昔から生きているの」

「そうだよね。魔力がなくなったから人間になったんだから。大体どのくらい?」

「忘れた」

「忘れたの!?」

「大体数百年くらい」

「えっ!?私ってそんなに年取ってたの!?うぅ……ごめん、兄さん。私、じつは

ババアでした……」

「き、気にしなくていいと思うよ?だってこれから兄さんと永遠に生きるんでしょ?」

「……そうですね!1億年も生きれば小さな差にしかなりませんしね!」

「な、なんでそんな単位……」

 

 

気にしたらダメ、気にしたらダメ、気にしたらダメ、気にしたらダメ!

年齢なんて長く生きていたら無意味です。そうですよ。無意味です。

 

 

「ねえ、私はまだ必要?」

「え?」

「だって君はもう完全に覚醒したもの。きっと、もう大丈夫」

「だめ。あなたはずっと私とともにいなきゃ。もうあなたは1個人みたいなもの。

いわば姉妹。それにあなたは私を守ってくれるんでしょ?」

「うん。そうだね。私は君を守らないとね」

「そう。いくら覚醒したからといって絶対に守られる必要がないわけじゃないの。

だから私をこれからも守って」

「分かったよ。これからも守る」

 

 

「うわああああああ!!なんじゃこりゃああああ!!」

 

 

「ん、そろそろ兄さんが起きたみたい」

「なら、そろそろ起きるね。あっ!そうだ。いくら同じ私でも名前が必要だよね。

私は絢乃。あなたは何がいい?」

「なら絢音(あやね)はどう?」

「うん。いいね。今からあなたは絢音。よろしくね」

「よろしく」

 

 

絢音と絢乃。姉妹みたいな私たちにはとってもいい名前。

そろそろ起きないと。さっきの兄さんの声も気になるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふああ~、兄さん、朝からうるさいですよ」

「ちょ、ちょっと待て!今起き上がるな!」

 

 

私は兄さんの制止の言葉を聞きましたが、まだ頭がクリアになってない私は、起き上がります。起きあがると私にかけられた布団がずり落ちる。でもなんだか違和感があります。よく自分の体を見ると上半身に何も着ていませんでした。

 

兄さんのほうを見るとあきらかに私の胸あたりを見ています。しばらくして互いの顔が赤くなりました。って、私はなんで隠さないんですか!!一気に思考がクリアになり、

布団で胸を隠します。

 

 

「兄さん!いくら見たいからといっても、私の寝ている間に脱がすなんてひどいです!!」

「ち、違うんだ。起きたときから俺も絢乃もこうだったんだ」

「言い訳はいいです。私だって兄さんが男だって知ってます。正直に言ってくれれば

やります。今度から言ってください。知らない間に・・・・というのはいやなので」

「だから、本当に違うんだって。本当だ」

 

 

あれ?そういえば、昨日の夜に血のついた服を処分したのはよかったけど、服を着せるのが面倒だったんでそのまま寝たんでした。は、はは、つまり私のせいでした。

ごめんなさい!でもあんなに言ったからには、このままつきとおすしかありません。

 

 

「はあ~、分かりました。信じます」

「本当か?」

「ええ、本当です」

「というか、俺たちどうやって帰ったんだ?」

「覚えてないんですか?買い物して、帰ったんです」

「公園に行かなかったか?」

「いえ、行ってませんよ。あんなに暗いのに行くわけないじゃないですか」

 

 

私は全力でとぼけます。言うのは兄さんが自分の体の異変に気づいてからです。

 

 

「兄さん、早く服を着ましょう。今日は学校ですから」

「そうだな」

 

 

何事もなく朝食を食べ、学校へ向かいます。やっぱり吸血鬼ですから太陽の日差しは

つらいです。隣にいる兄さんも私より辛そうにしています。やっぱり私の方が吸血鬼と

しては強力ですからね。

 

 

「あ~、つらい。絢乃はつらくないか?」

「私は大丈夫です。兄さん、病気ですか?今すぐ帰りましょう。大丈夫です。私が看病しますので」

「でも、成績に響くぞ」

「兄さん、そんな心配は必要ありません。私の学力は大学生並ですので」

「どこでそんな学力を……」

「お母さんが色々買ってくれました。それでどうするんですか?」

「いや、行くよ。どうせ寝不足だ」

「分かりました。でも、こうさせてもらいます」

 

 

私は兄さんの腕に抱きつきます。もう周りから見ればラブラブです。

 

 

「な、なあ、それをするといつも絢乃の胸が当たっているんだが」

「こ、恋人同士ですから。兄さんだってうれしいでしょ?」

「うれしいかと聞かれればうれしいよ」

「なら問題ないです」

 

 

学園に近づくと登校する生徒が増えていきます。周りからの視線が増えてきます。

でも、気にしません。気にしていたら恋人らしくなんてできません。

それに兄さんに言い寄る女性を撃退するという意味もあります。

 

兄さんを好きな子がいるなんて話は聞きませんが、そうなる前に恋人がいるとなれば

好きにならないでしょう。仮に好きになってもし、もしですよ。私ではなくその子ほうが好きになって付き合ったとしても、今の兄さんは不老不死の吸血鬼です。

 

絶対に幸せにはなれません。あれ?IFの話でしたが、そんなことがあるかもと思ったら

目に涙が……。もうそう考えるのは止めましょう。だってそんなことはないのですから。

 

 

「どうしたんだ?泣いているのか?」

「いえ、泣きそうなだけです」

「だ、大丈夫か?どこか痛いのか?」

「兄さんはずっと私を愛してくれますか?」

「何言ってんだ。当たり前だろう。俺が死ぬまで愛するよ」

「それを聞けてよかったです」

「それが泣きそうだった理由か?」

「はい、そうです。ちょっと不安になって……」

「そっか」

 

 

兄さんがもう片方の手で私の頭を撫でます。それだけでいろんなことが伝わります。

ふにゃ~、幸せすぎて死んでしまいそうです~。

 

 

 

 

 

そんないい事があった私は幸せな顔をしながら教室へ行きました。

早速小猫ちゃんに報告しないと。まあ、のろけ話ですけどね。

 

 

「ねえ、兵藤さん、今日のニュース見た?」

 

 

私に話しかけたのは私のクラスメイトです。友達です。でも、小猫ちゃんと同じような

関係ではありません。でも、よくお話はします。

 

 

「何かあったんですか?」

「ええ、あったのよ。それも近くの公園で」

「どんな話なの?」

「公園で氷の中に人形が入っているっていうの」

「へ~、人形がですか。面白いものがありますね」

「うん。それで不思議なことにずっと溶ける様子がないの」

「見てみたいですね」

「そうだね。おっと、これで失礼するね」

「はい」

 

 

やっぱりニュースになってましたか。それも、人間ではなく、人形。まさか、一瞬で

人間が凍ったなんて思いませんよね。あの形をした人形が凍ったしか思いませんもんね。

 

 

「小猫ちゃん、おはよう」

「……おはようございます」

「近くの公園で面白いものがあったそうですよ」

「……そうみたいですね」

「今もまだあったら見てみたいです」

「…………そうですね」

 

 

間が結構あきましたね。まあ、気にしないでおきましょう。

あれ?おかしいです。小猫ちゃんが人間じゃない感じがします。コスプレさんとは違う

感じです。聞きたいですけど、聞けません。

 

聞いたら私の正体を言ってしまうということです。だって、小猫ちゃんが人間じゃないって、普通の人間が気づけるわけがありません。どうやって気づいてた問い詰められます。

これはしばらく放置です。いつかそんな機会が来るでしょう。

 

 

「……絢乃さん、放課後一緒にきてください」

「いいよ」

 

 

放課後なにかあるんでしょうか?ちょっと珍しいです。小猫ちゃんが誘ってくるのは

大抵食べ歩きです。けど、今回は違う見たいです。ちょっと楽しみです。

 

 

 

 

 

 

放課後、小猫ちゃんに連れられて、人が入ることがない教室に入ります。

あれ?てっきりどこかへ行くかと思ったんですけど、ここに来るなんて……。

 

 

「小猫ちゃん、それで何?」

「……絢乃さんは何者ですか?」

「どういう意味?」

「……今の絢乃さんからは人間じゃないにおいがします」

 

 

ギクッ。に、においでいきなりばれました!というか、においでなんて、女の子である

私にとっては嫌です。なんか、私が臭いみたいじゃないですか!

 

 

「においでそういうことが分かるって人間技じゃないよ、小猫ちゃん」

「……はい。私は人間じゃありません」

 

 

小猫ちゃんに獣耳と尻尾が現れました。人間じゃないというのは本当ですね。

でも、そんなことより……

 

 

「……か」

「?」

「可愛いいいいいい!!!!!」

 

ビクっ!

 

子猫ちゃんの体は一瞬、震える。私は思いっきり小猫ちゃんに抱きつきます。まさか、付け耳ではなく本物、天然の耳と尻尾が見られるなんて!! しかも、それ+小柄!! 圧倒的な破壊力です!! 小猫ちゃんと友達になれてよかったです!! これを猫モードと名付けましょう。

 

これは運命?それとも神のいたずら?私は小猫ちゃんの頭と尻尾を撫で回します。

や、やっぱりこの手触りは最高に気持ちいいです。

 

 

「ひゃん、ちょ、ちょっと絢乃さんや、止めてください!」

「もう少しだけ、このままで」

「だ、だめです!」

 

 

小猫ちゃんが私を引き剥がします。あ~、もう少し触りたかったのに……。

 

 

「……それで絢乃さんは何者ですか?」

 

 

どうしよう?言っていいのでしょうか?そうだ!絢音に聞きましょう!

意識が夢の中にいるような感覚になります。

 

 

 

 

 

 

「絢音、どうすればいいと思う?」

「絢乃、ちゃんと話して」

「えっと、小猫ちゃんに私が吸血鬼だということを話していいかってこと」

 

 

絢音はしばらく考え込みます。この空間を見るとなんだか物が増えたような気がします。

いえ、絶対に増えました。前は何もない真っ白な空間でした。なのに今はいろいろと家具が置いています。

 

 

「いいと思う。もし、周りにもばれて、襲われてもあなたに勝てる存在は少ない」

「本当に?」

「多分」

「適当だね!」

「だって、この世界のこと詳しくないもん」

「そうなんだ」

 

 

なんだか不安です。私より強い敵に出会ったらどうしましょう。

私は戦いは嫌いなんです。戦わないように注意しましょう。

 

 

「ありがとうね、絢音」

「ん、どういたしまして、絢乃」

 

 

 

 

 

 

 

「絢乃さん?」

「ごめんね、ちょっと考え事してた」

「……なにをです?」

「ちょっとね」

「……それで何者です?」

「私は吸血鬼だよ」

 

 

小猫ちゃんが驚きます。まさか、正直に言うとは思ってなかったんでしょう。

 

 

「……本当ですか?」

「本当だよ」

 

 

私は歯を見せます。そこには人間のような歯ではなく、長い歯。鋭い歯。

そこから連想されるのは吸血鬼です。

 

 

「……ほ、本当みたいですね」

「ね?でも、小猫ちゃんは私が正体を隠すために、小猫ちゃんを殺すなんて思わなかったの?」

「……思いませんでした。絢乃さんは友達ですから」

「ふふふ、信用してくれてありがとうね。だから、もし危険になったら……え~と……そう!心の中で私の名前を呼んでね。すぐに駆けつけるから」

「……できるんですか?」

「できるよ」

 

 

私は親友である小猫ちゃんの助けの声くらい、気合いで察知できます!

もちろん兄さんのときもです。他の方は分かりませんけど。

 

 

「……分かりました。呼びます」

「あと、私が吸血鬼だってことは内緒ね」

「……分かってます」

「じゃ、帰ろう」

「……はい」

 

 

小猫ちゃんは猫モードから人間モードになります。あ~、もうちょっと見ていたかったのに……。私も猫モードやりたいな~。そしたら兄さんも喜んでくれるのに……。

内心で小猫ちゃんのことを羨ましながら一緒に帰りました。

 

 

 

 

 

 

 

夜。私はいつも通り寝ています。しかし、兄さんは眠れないようです。兄さんはまだ吸血鬼になったばかりです。吸血鬼は夜の生き物。夜は私たちにとって一番力が湧き上がります。吸血鬼になってから、そういうことが分かるようになりました。

 

 

「兄さん、どうしたんですか?いつもなら寝ていますよ」

「う~ん、なぜか眠れないんだよ。どういうわけか、朝より調子がいいんだ。なんというか、体の奥底から何かが湧き上がってくるっていうような感じがな」

「兄さん、大丈夫です。慣れればいつも通りです」

「それってどういうことだ?」

「気にしないでください。……ちゅ」

 

 

私は兄さんとキスをして口を塞ぎます。

 

 

「兄さん、おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」

 

 

兄さんの目が閉じ、すばらくすると兄さんから寝息が聞こえます。よかった。

兄さん、お休みなさい。私は兄さんに再びキスしたあと、眠りにつきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、暇だからチェスをやろう」

「絢音はそれだけのことで私を呼んだの?」

「うん。だって絢乃は外を自由に見て回れるけど、私は絢乃の体を乗っ取らないと見れないの」

 

 

さりげなく、すごいことを言ったような気がします。でも、そうですね。絢音はずっと

ここにいます。それに1個人です。だったら暇になります。それにストレスがたまります。それに絢音は絢乃です。私には付き合わなければなりません。私自身いやではありません。

 

 

「いいよ。やろう」

「じゃ、私が黒で」

「私が白だね」

 

 

私たちはゲームを始めます。チェスなどのゲームは得意です。

絢音と絢乃。互いに同じ自分のようなものなので、手強いです。今までこんなに強い相手はいませんでした。

 

 

「やっぱり絢乃は強い」

「絢音こそ」

 

 

でも、戦略は少し違いますね。結局、勝ったのは絢音でした。とても長い時間でした。

ここまでかかったことはありませんでした。でも、楽しい勝負でした。

 

 

「あ~、楽しかった。絢乃、次は将棋をやろう!」

「いいですよ。でも、私は将棋のほうが得意です」

「私はチェスが得意」

 

 

再び始めます。やっぱり絢音は強いです。ですが、さっきの言ったように私は将棋の

方が得意です。そして、勝負がつきます。

 

 

「本当に得意なんだね。私の負け」

「でしょ?まだ何かやる?」

「いや、今日はこれで満足した。また、遊んでね」

 

 

そう言った絢音の顔は寂しそうにしていました。絢音と話せるのは私だけです。

絢音のためにも私のためにも、一緒に居ます。

 

 

「やっぱり、もう少し絢音と話すよ」

「いいの?」

「うん。そんな顔をされたらほっとけないもん」

「ごめんね」

「いいよ。あなたは私、私はあなたでしょ?」

「そうだね。なら、お願い」

 

 

私は絢音と話し始めます。それは長い時間でした。でも、互いにとって充実した時間でした。だから、終わりの時間が来たとき、絢音が笑顔で言ったのでしょう

 

 

「もう終わり。そろそろ起きないと」

「そうみたいだね。でも、絢音は大丈夫?」

「私の目を見て。ね?」

 

 

確かにその目にはさっきのような、さびしさはありませんでした。

だから、それを信じて私は起きました。

 

 

 

 

 

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