ハイスクール 鬼と竜   作:謎の旅人

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第15話

リアス先輩とアーシアさんの茶番が終わったあと、私たちはソファーに座ります。私と小猫ちゃんとアーシアさんと兄さんの対面にはリアス先輩と生徒会長が座っています。けど片方のソファーに4人も座っているので、さすがにきついです。

 

ですが、私の隣には兄さんがいるので、うれしいですけどね。兄さんは端っこなので私以外は誰も触れることはありません。いくら小猫ちゃんたちと仲がいいとはいえ、兄さんだけは渡しませんよ。

 

 

「早速だけど、絢乃とイッセー。私たちは悪魔よ。どのようなものかはアーシアに説明したとおり」

「はい、話を聞いていたので理解しています。私たちの正体は知っての通りです。けど、今は言わないでくださいね。兄さんがいますから」

 

 

私は兄さんをチラッと見ながら言います。兄さんはそれに首を傾げました。反対側にいるアーシアさんにも顔を向けるとそちらも兄さんと同じように首を傾げていました。アーシアさんには今度説明しましょう。兄さんは今夜です。

 

 

「どういうことだ?」

「兄さん、夜に言うって言ったことです。だから今は我慢してください」

「分かったよ」

 

 

兄さんの問いに答え、リアス部長を見ます。

 

 

「それで生徒会長も悪魔なんですよね?」

「ええ。あと、私のことは名前で呼んでください。私の本当の名前はソーナ・シトリーです。私はあなたのことをリアスと同じように絢乃と呼びますから」

「分かりました、ソーナ先輩」

「はい、それでいいです、絢乃」

 

 

ソーナ先輩がニコッと微笑みます。その微笑を見たアーシアさん以外の私たちは驚きました。ソーナ先輩が微笑むなんて初めて見ました。きっとこの学校でそれを見た生徒はいないと思います。それくらいソーナ先輩が微笑みなんてことは珍しいのです。

 

 

「? どうしました?」

「い、いえ、何でもありません」

 

 

答えない周りの変わりに私が答えます。どうやら当の本人はそのことに気付いていないようです。

 

 

「それで生徒会役員って全員悪魔ですよね? だって小猫ちゃんが襲われたとき、私が暴走したとき、そしてさっきもいましたし」

「――っ!? 絢乃!! どういうことだ!?」

 

 

兄さんが私のほうを見ます。その手は私の肩に置かれ、私と兄さんとの近かった距離がさらに近づきます。私は顔を赤くし、思わず顔を逸らします。

 

 

「に、兄さん。ち、近いです。人前でそういうことは……」

「違う! お前が暴走したことを聞いているんだ!」

「ああ……それですか。それも夜話します」

「……絶対だぞ」

「ええ、嘘はつきません」

 

 

さっきまで頬を染めていた顔は真剣になり、兄さんの目を見つめます。兄さんにもそれが伝わります。

 

 

「そうか。分かったよ」

 

「あ、あの~、お2人は恋人なんですか?」

 

 

シリアスな空気が流れていた部屋にアーシアさんの可愛らしい声が響きました。私たちは一斉にアーシアさんを見ました。自分以外の視線が自分に向けられたと気付いたアーシアさんは「あぅぅぅ」と言って困り顔になっています。

 

 

「え~と、そうですね。兄さんとは恋人の関係ですね」

「でも、その兄さんという呼び方は……」

「ああ、私と兄さんは兄妹なんです。でも義理のですけどね」

「両親が再婚したんですか?」

「いえ、拾われたんです。小さい頃に」

「「「「!!」」」」

 

 

そう言った瞬間、兄さんと私以外が驚いた顔をします。あれ? どうしてみんな驚いているんですか?

 

 

「ご、ごめんなさい。つらいことを聞いてしまって」

「謝らないでください。拾われたおかげで兄さんと恋人になれましたし、皆さんとこうして仲良くできましたから。それに私に本当の両親がいるかどうかさえ、怪しいです」

 

 

悲しそうな顔をしたアーシアさんに、そう言いました。私は吸血鬼です。それも何百年も生きています。そんな私に両親はいるんでしょうか? いるかもしれませんが、私は会いたくないです。今はお父さんたちが本当の両親です。それだけでいいです。

 

 

「それより、ソーナ先輩。生徒会役員は全員悪魔ですよね?」

「ええ、全員悪魔です。そして、私の眷属です」

「そうですか。ということは、この前入った匙先輩もですか?」

「ええ、彼は最近悪魔になりました。なので、役員になりました」

 

 

つまり、学校は悪魔によって管理されているというわけですか。主にソーナ先輩に。けど、リアス先輩も高い身分なはずです。だって、グレモリーとシトリーですよ。どちらもソロモン72柱の中の1つです。つまり、それなりに高い身分のはずです。

 

けど、この知識は実際の悪魔とは違うはずです。これはあくまでも人間の知識ですから。けど、だからといって悪魔のことを詳しく知ろうとは思いませんけどね。

 

 

「さて、私たちも教室に戻りましょう。私はもう話すことはないわ。ソーナはなにかあるかしら?」

「いえ、私もありません」

「そう。ならアーシアは絢乃とともにここにいなさい。暇でしょうが、そこは我慢してちょうだい。昼食は……そうね。私たちもここで食べるから、そのときに持ってくるわ。着替えはこの部屋にある物を使いなさい」

 

 

昼食と服の問題は解決されました。けど、今の私はすでにお腹が空いていました。少ない魔法をすべて使ったことと、兄さんの血を少ししか飲めなかったせいでお腹が空いたんです。兄さんの血をもう少し飲みたかったです。

 

 

「じゃあ、アーシア、絢乃。私たちはもう行くわ」

「分かりました。私たちはここで待っています」

 

 

リアス先輩とソーナ先輩は先に出ます。次に小猫ちゃんが私の前に来ました。

 

 

「絢乃さん、あとで話があります」

「う、うん。分かった」

 

 

なぜか小猫ちゃんの後ろに黒いなにかを見たような気がします。きっと私が約束を破ったことで怒っていたんでしょう。うん。これは逃げられないね。というか、私が悪いんだから、小猫ちゃんに怒られないといけない。

 

私は小猫ちゃんに怒られるという未来を確定させました。小猫ちゃんもこの部屋から出て行きます。次に兄さん。兄さんは私の手を引き、部屋の外に出ます。私はされるがままに連れて行かれます。部屋の外には誰もいません。すでにこの旧校舎を出たようです。

 

 

「兄さん? どうしたんですか?」

「…………」

「にいさ――――――んむ!?」

 

 

兄さんとそう言う前に私の唇は兄さんの唇によって塞がれます。私は驚き後ろに下がります。兄さんも私の動きにつられ、一緒に後ろに下がります。私の後ろには壁があり、私の背中が壁に触れました。

 

しかし、兄さんの両腕が私の腰に回りこみ、抱き寄せられます。兄さんと触れ合っていた部分が増えました。私の思考もやっとのことで落ち着き、私も目を瞑ります。しばらくそのままでいると、兄さんの舌が私の中へ侵入してきました。

 

 

「んんっ!?んん……はむ……」

 

 

一瞬、驚きましたが、私もまたその舌と私の舌を絡ませます。互いの唾液が私と兄さんの口の中を行き来します。そのたびにいやらしい音をたてました。私の体になんともいえないすさまじい感覚が駆け抜けます。

 

き、気持ちいい……。こんなに気持ちいいなんて……! こんなの初めてです。もう……少しこの快感を味わいたい。いえ、もうこのままずっとでも……。

 

 

「んん……ん……ちゅうぅぅ……ちゅ……んむむぅぅぅ……んむぅ……あむぅ……」

 

 

私は初めての濃厚なキスに酔いしれていました。体は興奮により熱くなり、思考はぼんやりとして正しい判断ができませんでした。体の力があまり入らないので、兄さんに体をあずけます。

 

 

「んちゅ………はあ……はあ……はあ……はあ……」

「はあ……はあ……はあ」

 

 

私と兄さんの唇が離れます。互いの唾液が私と兄さんの唇から垂れ、糸を引いていました。兄さんの顔を見れば、兄さんも興奮で赤くなっていました。

 

 

「……すまない、絢乃」

「謝らないでください。わ、私もうれしかったですから」

「そ、そうか。じゃ、じゃあ、俺はもう行くからな」

「ちょっと待ってください」

 

 

私は行こうとしていた兄さんを呼び止めます。再び近づきスカートからハンカチを取り出しました。ハンカチを兄さんの口元へ運びます。運んだハンカチはそのまま兄さんと私の唾液をふき取ります。

 

ふき取った後は続いて私の口元へ運び、私の口元をきれいにしました。それを見ていた兄さんは恥ずかしくなったのか顔を逸らしていました。

 

 

「はい。もういいですよ」

「ありがとうな。じゃあ、行くよ」

 

 

私は兄さんに手を振り見送りました。私はしばらくそのままでいました。さっきまで熱かった体の体温はその間にいつもの状態に戻っていました。私は人差し指を自分の唇に当て、部室へ戻っていきます。

 

 

「遅かったですね」

「そう?」

「ええ、15分くらい経ちました」

 

 

私はアーシアさんと隣に座ります。そんなに経っていたんですか。私にとっては5分くらいでしたよ。

 

 

「それより、アーシアさん。あの時は兄さんがいたから言えなかったけど、私の正体は吸血鬼だよ」

「吸血鬼ってあの血を吸うあれですか?」

「そうだよ。しかも何百年も生きているらしい。だからね、私には両親がいないと思うの」

「そう……だったんですか。だからああいう風に言ったんですか。絢乃さんは本当の両親を知りたくはないんですか?」

「知りたくはないです。さっきも言ったように、今のお父さんとお母さんが私の両親です。それに私の記憶はお父さんたちと会った時の記憶からしかありません。記憶喪失なんです」

 

 

私は昔のことを思い出します。今思えば最初に自分を16歳くらいだと勘違いしたのは、何百年も生きたからでしょう。さらに言えば私の体はもう成長しないはずです。それは何百年も生きたのに、16歳と勘違いしたことから言えます。

 

けど、10歳くらいの姿でこれ以上成長しない、なんてことにはならないくてよかったです。吸血鬼+ロリってどこのキャラですか? 少なくとも私ではないですね。この世界にも吸血鬼がいるようですし、そういう吸血鬼がいたら見てみたいです。

 

 

「……過去を、知りたくはないんですか?」

「……」

 

 

過去を知る、ですか。今までそう思ったことはありませんでした。私が吸血鬼だと知ったのもついこの間です。けど、私は何百年も生きてきたのは事実です。なのにそれを知ろうとしない。それどころか、そう思わなかった。

 

私は過去に興味がない。この幸せな時間があればいい。これが理由として近いような気がします。

 

 

「知りたくはないよ。知ったらなにか壊れそうだしね」

「そうですか。絢乃さんは強いんですね」

「強くないよ。自分の最初の記憶のときの体が、幼かったからだよ。もし4歳くらいの体じゃなく、今くらいの体だったらおかしくなっているよ」

 

 

幼かったから強かった。そうとも言えます。けど、こんなことを考えるより大切なことがあります。

 

 

「今から大切な話があるんだけどいい?」

「な、なんですか?」

 

 

私の真剣な声にアーシアさんが動揺します。私は体を近づけます。

 

 

「服、着替えない?」

「へっ?」

「着替えない?」

「あ、ああっ! そうですね! いつまでもこんな血のついた服ではダメですからね!」

 

 

アーシアさんは興奮気味で言ってきます。私が大切なことはこれです。過去のことなんてもうどうでもいいです。今は服のほうが大切です。自分の服を見れば、そこにはお腹の部分に穴があいている小猫ちゃんの服。そういえば、服は小猫ちゃんのでしたね。

 

もしかしたら、これについても怒られるかもしれませんね。私はリアス先輩の言うとおり、この部屋から服を取り出します。服はやっぱりリアス先輩のサイズで、私たちの胸ではぶかぶかです。けど、あきらめるしかないですね。

 

 

「ううっ、ちょっとこの服は胸の部分が……」

「大丈夫。私もだから」

「でも、私より大きいじゃないですか」

 

 

私は自分の胸とアーシアさんの胸を見比べます。確かに私のほうが大きいです。

 

 

「まあとにかく! 今は着替えよう。いつまでもこの服なのはちょっとあれだからね」

「……そうですね。着替えましょうか」

 

 

私たちは着替え始めます。服を脱ぐと私たちの体には血で汚れている部分が所々ありました。大抵の血は傷が再生すると同時に蒸発したりするんですが、それでも完全に血を体の表面から無くすことはできません。

 

 

「血が……ついていますね」

「そうだね。じゃあ、シャワーを浴びよう。ここにはシャワーがあるから」

「そうなんですか? じゃあ、入りましょう」

 

 

ちょっとうれしそうなアーシアさん。私たちはすべてを脱ぎ、シャワーカーテンの向こうへと移動します。さすがに狭いですが、まあ女の子同士なので問題ありません。それに小猫ちゃんと一緒に入りましたからね。

 

 

「ちょっと狭いですね」

「そうだね。それにしてもアーシアさんの肌ってきれいだね」

「ふふ、そういう絢乃さんの肌もきれいですよ」

 

 

アーシアさんの白い肌が目に入りました。私はノブを回しシャワーからお湯を、いえ、水が出ました。アーシアさんはその水を浴び、「きゃっ」と言って私のほうへ逃げます。私の肌がアーシアさんの肌と触れます。

 

そこでアーシアさんの肌がすべすべだと感じました。私の方へ来たアーシアさんは私の肌と触れたと同時に足を滑らせます。その際に「あうっ!」という声が聞こえました。私はとっさにその体を抱きとめます。

 

抱きとめられたアーシアさんは私の胸に顔を埋めます。しばらくするとアーシアさんが顔を上げます。その頬は赤くなっていました。

 

 

「す、すみません」

「いいよ。それより怪我はない?」

「ないです。ありがとうございます」

 

 

アーシアさんはゆっくりと私の体から離れます。離れたあとには沈黙が続きます。その間にもシャワーから出るのは水からお湯へと変わっていました。私はシャワーを手に取り、アーシアさんの体にお湯をかけます。血の汚れはお湯によって流れていきました。

 

 

「熱くない? 一応確認したけど」

「熱くないです。これくらいがちょうどいいです」

「そう。よかった」

 

 

アーシアさんにお湯を浴びせた後、私自身にもお湯を浴びます。私の血も洗い流されます。お湯を浴びていると後ろから抱きしめられます。私は首だけを回し、アーシアさんの姿を見ようとします。見えたのは顔を伏せているアーシアさん。

 

 

「どうしたの?」

「…………生き物ってお腹が空いたとき、どうすればいいと思います?」

「美味しいものを食べればいいんじゃないかな」

 

 

アーシアさんのよく分からない問いに答えます。

 

 

「ありがとうございます。そうですよね。美味しいものを食べればいいんですよね。今、とてもお腹が空いているんです」

「なら、もう上がろう。それに私もお腹が空いたし」

「いえ、大丈夫です。だって目の前にあるんですから。美味しいものが」

 

 

私はその言葉に疑問を持とうとしました。けど、できませんでした。私の首筋に痛みが走りました。その痛みが私の疑問を持たせませんでした。見ればアーシアさんの()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その八重歯は吸血鬼のように()()()()()()()。私は思わず目を見開きます。そして、私の血が吸われるのを感じました。私はそれから逃れるために体を思いっきり回します。刺さった八重歯があったので私の首筋が大きくえぐれました。

 

プシャアアアアアッ

 

激しい痛みが走ります。私の怪我から大量の血が噴き出します。それはまるで噴水のように。その鮮血は壁や風呂を赤く染めます。私はその傷を抑えます。しかし、そのときには傷はすでに治っていました。

 

私はアーシアさんを見ます。やはりその歯は吸血鬼の八重歯。あきらかに吸血鬼化していました。私はふとあることを思い出します。アーシアさんの傷を治すために私は自身の血を飲ませました。その後遺症は?

 

それは吸血鬼化です。アーシアさんは口に付いた私の血を舐めます。その顔はにたりと妖しい笑みを浮かべていました。

 

 

「うふふ、どうして食べさせてくれないんですか? さっきちょっと食べてみましたけど、美味しかったですよ。恥ずかしがらないでください」

「それはありがとうね。でも、きっと後悔するよ。いや、化物になれば後悔する暇もないか」

「何を言っているんですか? 意味が分からないですよ」

「私は貴女を止めるよ」

「その前に食べます」

 

 

けど、ここは狭い浴槽の中。うまく動けません。ですが、私には関係ありませんよ。勝負は一瞬。いえ、勝負? そんなの必要ありません。私は右手の指、全てを曲げます。その動きに合わせ、糸がアーシアさんの体を拘束します。

 

 

「っ! 動かない? どうして?」

「教えないよ。『リク・ラク ラ・ラック ライラック 大気よ 水よ 白霧となれ この者に一時の安息を眠りの霧』」

 

 

アーシアさんの周りに霧が発生します。アーシアさんの体は私の魔法によって眠りにつきます。体が拘束されているので、体はその状態になっていました。私は拘束を解き、崩れ落ちるアーシアさんの体を受け止めます。

 

 

「おやすみ。そして、ごめんね」

 

 

私はその体を抱え風呂を出ます。出た後はアーシアさんの体を拭き、服を着せました。その後はソファーに寝かせます。私もソファーに座りました。もちろん服は着ています。

 

私はその寝顔を見ていました。今のところ何も異常はないようです。少量とはいえ私の血を飲みました。絢音なら何が起こるか知っているでしょう。けど、今は無理です。なぜってそれは絢音が眠いと言っているからです。

 

どうやら覚醒の反動のようです。なので起きるまで待つしかありません。私はそうしているうちに、急激な眠りに襲われました。ああ、これは覚醒の反動ですか。どんなものでも、最新にすれば何かがあります。コンピュータだったら再起動ですね。

 

私は抵抗を考えずにそのまま眠りにつきました。

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