ハイスクール 鬼と竜   作:謎の旅人

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第28話

あの変な外国の方と別れたあとは一人で黙々と食品を選んでいた。本当に寂しい。確かに逃げ出した私が悪かった。でも、すぐに私を見つけてくれると思っていたんだもん! 子どもみたいだけどさっきは恥ずかしかったから仕方なかった。

 

別に口説き文句を言われたわけでもなかったのだが、なぜか兄さんがかっこよく見えた。きっと私が兄さんに対しては単純なせいだろう。いや、でも単純すぎるだろう、私。

 

ああっ! さっきのを行動を思い返しても、なんだか恥ずかしすぎる! ちょうど缶詰を持っているときに、思わず手に力が入った。缶はパキパキと音を立て、きれいな円柱の側面を歪めていた。

 

蓋部分が膨らみ破裂しかける。そこでようやく気づき力を緩めた。あと少しこのまま力を入れ続けたらきっと私や周りが色々とやばいことになっていただろう。あーもうこれ買うしかないよ。

 

運がよく今晩の子猫ちゃんたちの夕飯に使うものだったらよかった。これが美味しくないやつだったらどうしたことか。きっと私はなにも見なかったと自身に暗示をかけ、そっと棚に戻していただろう。

 

 

「おっと、ここにいたのか」

「へ? あっ兄さん!」

 

 

別々で私を探したのか、兄さん一人のようだった。なんだかうれしい。最初に友人や親友ではなく大好きな人が見つけてくれるのは女の子ならうれしいものだ。やっぱり特別だと感じるのだ。

 

あと少しで恥ずかしさでさらに顔を真っ赤にし、一人ということで涙目になっていたかもしれないところだった。

 

 

「全くなんでいきなりどこかへいったんだ? 探すのに苦労したぞ」

「す、すみません」

「一人で大丈夫だったか?」

「大丈夫ですよ。私も大人なんです。一人でも大丈夫ですから」

「そうか? 泣きそうな顔だったぞ」

「そ、そうですか?」

 

 

まさかうまく隠したつもりだったけど、遅すぎたようだ。ばれてたよ。兄さんは私が持っていたカゴを持つ。

 

 

「持ってもらうのはいいんですけど、子猫ちゃんたちはどうするんですか? 子猫ちゃんは分かりませんけど、私たちは携帯持ってませんよ。どうやって合流するんですか? まさかとは思いますけど、探すんですか?」

「そうだな。探すしかないな」

「うう、疲れました……」

「こうなったのはお前のせいだぞ。文句言うな」

「……はい、そうでした。すみません」

 

 

これも自業自得。今度は買い物をしながら来てくれるのを待つのではなく、買い物をしながら探すことになった。私は兄さんの腕に抱きつき歩いていた。まるでコアラだ。周りからの目があるが、あんまり気にしない。

 

そんなことが気にならないほどにこうしていることがよかった。やっぱりこういうのっていいよね。

 

 

「なにニヤニヤしているんだ?」

「内緒です。それにしても二人とも見つかりませんね。そもそも食品売り場に子猫ちゃんたち二人で探しに来ているんですか? そうじゃなかったらこれを買ってからじゃないと見つかりませんよ」

「そうだな。俺はここに来て、子猫ちゃんたちは近くの店に向かったからな。多分見つからないな」

「えっ!? ちょっと待ってください! しばらく見つからないって分かっていて行動していたんですか!?」

「ん、そうなるな」

「意味ないじゃないですか! そうならなんで行動しているんですか!!」

 

 

まさかの告白に私は声を上げる。だって私は子猫ちゃんたちがこの食品売り場に来ていると思って探していたんですよ! なのに兄さんは最初からそれを知りながら無意味な行動をしていたなんて!

 

この頃、覚醒のせいで疲れも溜まりやすく、ずっと眠いのに。私が睨むように見ると見上げると笑いながらカゴを置き、その手で頭を撫でてきた。

 

 

「だ、ダメですよ! そ、そんなことをしても、ゆ、許しませんから!」

「そうか」

 

 

撫でていた手を私の頭から離す。それもわざとらしくゆっくりと。

 

 

「許しますからもうちょっとお願いします……」

 

 

やっぱり無理だった。欲望には勝てなかった。だって撫でられるのって大好きだもん。なんだか安心するし。再び撫でられる。その心地よさに思わず頬が緩んでしまう。ちなみにここは商品棚に囲まれた小さな通りである。

 

通行人からは

 

 

「あらあら若いっていいわね~」

「くそっリア充なんて!!

 

 

などとコソコソを言われていた。私たちの距離はいつの間にかなくなり、私は胸元に顔をすり寄せていた。はあ~やっぱりいいですね。兄さんから頭を撫でられ、兄さんのぬくもりを頭や頬や体から受け取る。

 

 

「……綾乃さんとイッセー先輩。なにやっているんですか?」

 

 

見れば小猫ちゃんがジト目で私を見て、アーシアさんは顔を真っ赤にして隠れるように小猫ちゃんの後ろに立っていた。小猫ちゃんの目はとても冷たい。さっきまで他人の視線なんて気にしなかったけど、小猫ちゃんからのその視線は気にしてしまう。

 

だって親友だよ。他人だけど他人じゃないんだよ。本当の他人ならまた会うなんてないから気にはしないけど、親友とは何度も会う。今後の空気が気まずくなるよ。

 

 

「……い、いつからそこに?」

「ついさっきです。私とアーシアさんで一生懸命探していたのに、まさか二人でこんな人目のある場所で、いちゃいちゃしていたなんて思いませんでした。二人はそういうプレイがお好きなんですか?」

「ち、ちがっ」

「そうなんですか。そうですよね。そうじゃないとこんなところでそうやっていちゃついているわけがないですよね」

「は、話を聞いて」

「二人が仲がいいことは知っています。だからこれもちゃんとした自分の意思ですよね。ちょっとそういうプレイをしているので、引きましたけどこれからもずっと親友ですから」

「ねえ、私の話を聞いて? お願い」

「でも、そういうプレイが好きだからと言っても、さすがにここでというのはちょっと……。他の人たちの迷惑になります。だから人に見られないかもしれませんけど、あまり人気のないところでお願いします」

「聞いてないよね? 猫なのに耳が悪いの?」

「ちょっと真面目な話に戻しますけど、まさかこうやって二人でいちゃつくために綾乃さんは逃げたんですか? もしそうだったら逆に関心します。まさかあれが演技で私を騙したんですから」

「にゃんにゃん♪ 小猫ちゃんです♪」

「私も猫又としてもまだまだです。そういう気を読めなかったんですから。……綾乃さん、あとでお説教ですね。これも説教ですが、もっと長い説教です」

 

 

あれ? 聞こえてたの? ちょっとやばくない? 小猫ちゃんの目が本当にやばい。本当に怒っている。助けてもらおうと隣にいた兄さんを見るが、すでにいなかった。逃げた!? 私を置いて!? ひどい!! ならと、アーシアさんを見るがいつの間にかいなくなっていた。

 

 

「ね、ねえ、話し合おう? そ、そもそも小猫ちゃんが無視するのが悪いんだよ。だから、ね?」

「そんなことは関係ないです。今、怒っているのは私たちを騙してイッセー先輩といちゃいちゃしていたからです。私をバカにしたことについては、あとでじっくりと綾乃さんが言っていた話し合いをしますから。いいですよね?」

「……はい」

 

 

そうして私は小猫ちゃんにびくびくしながらアーシアさんたちと再び合流し、買い物を続けた。こんなに小猫ちゃんの家へ帰ることが怖いなんて……。いつもは静かだけど怒ると怖い人がいる。小猫ちゃんはそういうタイプの人だった。

 

買い物が終わると小猫ちゃんとアーシアさん、私と兄さんのペアで帰った。人気のない道で、前を歩く二人は仲良く話す。小猫ちゃんはアーシアさんとの話に笑う。ああ、やっぱり可愛いな。

 

もちろんアーシアさんもです。それにしても小猫ちゃんが私以外でこんなに表情を表すなんて初めてだ。私がその表情を見るのには結構かかった。小猫ちゃんがアーシアさんにこんなに早く表情を見せるのは、私がきっかけだと思いたい。

 

だって私は小猫ちゃんの親友なのだ。その親友が知り合ったばかりのアーシアさんに表情を表す。それがなにか嫌だ。つまりは私の嫉妬。だから私が小猫ちゃんの意識を変えたと思いたかった。

 

こうやって知り合ったばかりのアーシアさんと仲良くできているのは私のおかげだと。そうじゃないとなにか嫌なのだ。私は嫌なやつなのかもしれない。

 

 

「そんなに怖い顔をしてどうしたんだ? なにか悩み事があるのか?」

「あ、ありませんよ。でも、そんなに怖い顔をしていましたか?」

「してたよ。それに動揺しただろう。本当は悩みがあるんじゃないのか? 言ってみろ」

「な、ないですよ」

「あるだろう」

「ないです」

「ある」

「ない」

「ある」

「ない」

「ある」

「む~」

 

 

なぜか変なやり取りが起こる。互いに兄さんは私を、私は兄さんを睨む。だけど、至近距離からのにらみ合い。私は恥ずかしくなり、目を逸らしてしまった。

 

 

「……負けました。実は……あります。聞いてくれますか?」

「ああ、聞くよ」

 

 

私は前を歩く二人に聞こえないようにさっきより密着し、私が思っていたことをすべて話した。それを兄さんは一句漏らさず聞いてくれた。それはまるで私のすべてをさらけ出したような気がした。

 

思っていることを話すということはそんな気分にさせる。それは恥ずかしさもあったが、心を軽くした。

 

 

「なるほどな。それで悩んでいるのか」

「私って嫌な子ですね。親友が私以外の人と早く仲良くしたからといって、嫉妬しているんですから」

「そんなことはないと思うぞ。お前はただ不安なだけだ。親友である小猫ちゃんがアーシアに取られると思っているんだよ」

「そうなんですか?」

「そうじゃないのか? アーシアが自分のときよりも早い時間で自分に近い関係になった。それは小猫ちゃんが自分よりもアーシアを選んだから。だからそう思ったんじゃないのか? どうだ?」

 

 

私は小さく頷く。兄さんから言われてそうだと気づいた。私は親友をアーシアさんに取られるのが怖かったんだ。兵藤 綾乃の人生の中でここまでの関係の人なんていなかったから。

 

だから、私はアーシアさんに小猫ちゃんを取られたくはなかったのだ。それを認識したとき、すべてのピースがまとまる。

 

 

「お前のその心は正常だ。お前は優しいが、それでも心のある人だ。嫉妬だってする。それに小猫ちゃんとアーシアがこんなに早く仲がよくなったのは、お前がいたからだと思うぜ」

「……なぜです?」

「木場から話を聞くとお前と小猫ちゃんが親友になってから、いつもとは違う表情を出し始めたらしい。それに木場はショックを受けたみたいだよ」

「え? それって木場先輩が小猫ちゃんのことが好きだということですか?」

「いや、違う。木場は小猫ちゃんのことを妹や可愛い後輩だと思っているそうだ。ショックを受けたのは小猫ちゃんが心から笑っていたからだ」

「心からってどういうことです?」

「小猫ちゃんはお前と会う以前から笑ったりしていた。木場やリアス先輩たちもそれが本当の笑顔だと思っていた。しかし、それは偽りの笑顔。だからショックを受けたんだよ。小猫ちゃんは自分たちに心を開いていなかったんだからな」

 

 

私の足は止まる。私が思うにリアス先輩たちとは長い付き合いだと思っていた。だから私とのように親しくしているのだと思った。でも違うだなんて……。

 

 

「でもそれが?」

「つまりはお前が小猫ちゃんの偽りの仮面を取り払ったということだ。だからアーシアとこんなに早く仲良くなったんだ。お前がいなければアーシアと出会ってもこうはならなかったはずだ。だから別に小猫ちゃんはアーシアを選ぶわけでも、アーシアが小猫ちゃんを取るわけでもない。心配するな。これで安心したか?」

「はい、安心しました。ありがとうございます。……んっ」

 

 

私はその頬にキスをした。やっぱり私をいつも救うのは兄さんだけだ。兄さんはキスされたところを触り、照れていた。ふふふ、兄さんが照れるなんて珍しい。私はちょっと早足で前を歩き、首だけを回し微笑み兄さんを見る。

 

 

「兄さん、ほら小猫ちゃんたちが行ってしまいますよ」

「あ、ああ、分かった」

 

 

私に追いつき腕を組み歩き出した。私は小猫ちゃんたちと小猫ちゃんの家へと帰った。だが、兄さんは私が小猫ちゃんの家で夕飯を作るということを言うために途中で家に帰った。

 

私はアーシアさんに手伝ってもらいながら夕飯を作る。アーシアさんの手つきは悪くない。だけど、いつの間にか手伝っている小猫ちゃんの手つきは危なっかしい。見ているこっちが怖い。

 

包丁で切るときなんて間違って指を切らないか心配になるほどだ。それに包丁が安定していない。だから余計危なっかしいのだ。アーシアさんは私の手伝いではなく、小猫ちゃんの手伝いになっていた。

 

いや、手伝いではなく監視役と言った方がいいかもしれない。何か悪ければ指摘し教えている。私も小猫ちゃんのほうにペースを合わせていたため、結構遅くなった。

 

うう、本当に無事に終わってよかった。小猫ちゃんには基礎から教えないと明日の朝が怖い。もし怪我をしたらアーシアさんは混乱して、小猫ちゃんは失血死、なんてことにはならないでほしい。

 

そういうわけで基礎を小猫ちゃんに教え、家に帰った。おかげで帰るのが夜遅くになってしまった。帰ったときにはすでに3人は食べ終わっており、一人さびしく夕飯を食べることとなってしまった。

 

兄さんが傍に居てくれるかと思ったけど、用事があるとか言って外へ飛び出した。なので一人さびしく食事中。でも、兄さんに用事とはなんだろうか? まさか女? あはははっまさかね。

 

いえ、もしそうだとしたらどうしようか。でも、まだ決まったわけではない。帰ってきたときに匂いを嗅ぐしかない。吸血鬼の鼻は結構鋭いです。女と親しくしていたならそういう匂いが分かりますからね。

 

う~ん、私も小猫ちゃんのことは言えない。どんな匂いですか! て、話ですね。

 

 

「ふあああ……眠い」

 

 

眠気が頂点へと達したのでさっさと風呂へ入り、兄さんを待たずにベッドへ倒れこみぐっすりと寝てしまった。うう、一人で眠るのは寂しい……。シーツを嗅いで紛らわせようにも洗ったばかりなので洗剤の匂いしかしなかった。

 

兄さん、なんで今日はいないんですか? こっちはとてもさびしいですよ。いつもみたいに抱きしめてもらいたいのに。私の意識は眠りの海へと溺れた。

 

   ◆   ◆   ◆

 

朝、起きると目の前に兄さんの胸板があった。それは筋肉によってガチガチだった。吸血鬼になった作用とはいえ、見事なものだ。どうやら私は抱きしめられているようだ。う~ん、これじゃ起き上がれない。

 

兄さんが起きるまでこうするしかない。はあ~昨日は抱きしめて寝られなかったから、今のうちに堪能しないと! 手がその胸板へと伸びる。触れるとやっぱり硬い。匂いも一緒にと顔も寄せる。

 

 

「くんくん……あれ? なんの匂い? 土?」

 

 

興味本位に匂いを嗅ぐと土の匂いがした。どうして土の匂いが? こんなに匂いがするということは土の上で寝転がったりしないとダメだ。昨日の夜に兄さんは外へと行った。その用事は聞いていない。

 

でもだからといってこうなるわけがない。兄さんは本当になにをしに行ったのだろうか。うーん、分からない。というか、それよりもくっついてるということが頭でいっぱいで考えられない。もういいや。それよりももっと触ったり抱きついたりしたほうがいい。

 

この匂いも私の匂いに変えちゃえ。これで兄さんから土のにおいがしたという事実は消える。そうしたら気にしなくてもいい。私は密着した状態からこすりつけるように体を動かした。当たっているのは主に胸。胸は兄さんの体に触れ、形を変える。でもまだ密着したい。

 

兄さんを抱き枕のように抱きしめる。それにより敏感な部分は快楽を生じさせる。

 

 

「ん……あ……にい……さ、ん……」

 

 

乳首が擦れ、甘い声を出した。しかし、それだけでは我慢できずに体を兄さんに絡めた。性的興奮で体が熱を持つ。もうすぐで夏が来るこの時期、汗がたくさんできるというわけでもないが、それなりに暑い。

 

主に密着した肌からは汗が流れていた。その私の体から流れる汗は、着ているパジャマと兄さんの体を濡らす。だんだんと息も荒くなりもう自分を止められない。今はただ本能に従うだけ。その本能は子孫を残すこと。それに私は抵抗しない。

 

理性があっても兄さんの子が欲しいと思っているのだ。なのに抵抗しようなんて思わない。私は自分が着ているパジャマのボタンに手をかける。

 

それを上から順番にはずしていった。そこに現れるのは私の二つの胸。リアス先輩や朱乃先輩よりは小さい。だけど、きっとアーシアさんよりは大きい胸。個人的にもうちょっと大きくなって欲しいと思う。

 

そして兄さんは上はシャツなのでこうやって服を脱がすことはできない。なのでシャツを捲くった。さっきまではシャツとパジャマのズボンの隙間から覗く程度だったが、大きく兄さんの筋肉が現れた。私の鼓動が大きくなる。さっきは服をはさんで間接的にだったけど、今度は直接だ。

 

直接肌と肌が触れ合い、さっきまで以上の快感が襲ってきた。

 

 

「……っ!」

 

 

息が漏れる。ここまで来たら最後までやるしかない。そう思い片手を下のほうへと伸ばしていった。

 

 

「もう……ダメ……」

「何がダメなんだ?」

「ひゃうっ!!」

 

 

突然声をかけられて体がびくんと跳ねた。見れば兄さんが起きていた。今の私たちの状況はパジャマの前がはだけ、胸があらわになりそれを兄さんに押し付ける私と寝ていて起きたら発情した私に胸を押し付けられている兄さんという状況だった。

 

どう見ても私が襲っている図にしか見えない。今更恥ずかしくなりさっきとは別の意味で体が熱くなり、顔が真っ赤になった。だけど、胸は押し付けたままだ。離れようにももう理性が利かない。だからそのまま。

 

 

「お、起きていたんですか?」

「当たり前だ。こんなに暑くさせられて寝られるか。それでいつまでそのおっぱいを押し付けているんだ?」

「い、嫌でしたか?」

「嫌じゃない。このまま襲ってしまいたいくらいだ」

「襲っちゃいます? 今日まで休みです。今ここで襲ってもいいではうっ」

「朝から襲うか。ヤるなら夜だ」

 

 

兄さんにチョップされた額を押さえる。結構痛い。しかし、そうは言っても発情した私を止めようにも止められない。

 

 

「でも……私は襲ってほしいんです。体が……疼くんです。兄さんとの赤ちゃんが欲しいってなっているんです。だからいますぐ襲ってください!」

「なるほど。発情期か。だが、絶対にそういう行為はしないからな」

「なぜですか! 確かに前回から僅かしか経っていません。でも、もう大丈夫ですから」

「はあ…………仕方ない。だったらその発情を止めるしかないな」

「えっ?」

 

 

兄さんの人差し指が私の額に触れた。その瞬間、額から体全体にかけて何かが駆け巡る。それは攻撃ではない。同時に私の興奮も治まっていく。よく感じるとそれは魔力だった。私の体を兄さんの魔力が駆け巡ったのだ。

 

だが、まだよく分からない。驚いた顔で兄さんを見た。

 

 

「何を……したんですか?」

「言ったろ。先延ばしにしたんだよ」

「ど、どうやってですか? 魔力だとは分かりましたけど……」

「ただ魔力を流しただけだ」

「う、嘘です! それで治まるわけがないです! ちゃんと言ってください」

「だから本当だよ。ただ普通に流しただけではないってだけさ。それよりも服を整えろ。自分が今、どんな状態か分かっているだろう?」

「はうっ」

 

 

すぐにパジャマのボタンをしめた。乱したのは服だけだ。うん、他は大丈夫だね。でも、汗と興奮したせいでパジャマとショーツは変えないといけない。とりあえず、上半身を起こし、兄さんと向き合う。

 

 

「それで兄さんはどうやってそんな技を? 私は教えていないですよ。それに私はできません」

「それは内緒だ。それよりもほら、朝食を食べるぞ。起きろ」

「内緒ですか……」

 

 

ひとまずあきらめ、私はベッドから出て大きく伸びをする。カーテンを開けると光が部屋の中を照らした。吸血鬼が朝日を浴びるなんて本当に合わない。実際、ちょっと立ちくらみがした。やっぱり夜が一番気持ちがいい。

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