綾乃のおっぱいの感触を堪能しつつ、俺たちは移動する。ちらっとおっぱいをみるとおっぱいが歩くたびに上下に揺れていた。感触を楽しむのもいいが、こうやって見るのもまたいい。
しかし……これがまだ大きくなるのか。おっぱいが大きいといえばリアス先輩と朱乃先輩だろう。あの二人は本当に見事なものを持っている。そして、二人のおっぱいはそれぞれ特徴があるのだ。
さて綾乃もそのぐらいの大きさになるのだろうか。俺が興味があるのはやっぱり俺の嫁である綾乃のおっぱいだ。リアス先輩や朱乃先輩のおっぱいに興味がないとは言わない。俺には綾乃という彼女がいるが、それはそれ、これはこれだ。
だが、別に浮気とかではないのだ。おっぱいを見てしまうのは言ってしまえば男としての仕方のない生理現象。生理現象を止めることはできない。でも、俺が好きなのは綾乃だけだ。それは変わらない。それは確かだ。
「むっ、兄さんは何かエッチなことを考えていませんか? とくに胸のことで」
…………なんで分かった。お前はエスパーなのか?
「たとえそうだとしても別に問題はないだろう。俺は男で綾乃の恋人だからな」
「堂々としていますね。まさか正直に言うとは思ってはいませんでしたよ」
「いまさらだろう。男はみんなエロいんだから」
「だからって異性の私に正直に答えます?」
「答えるさ。お前はただの異性じゃないだろう」
「まあ、そうですね。…………………………色々と」
最後に小さく呟いたが俺の耳には届いていた。そうだ。色々と複雑な異性だ。この複雑が後になにかを起こしそうだ。それが最悪にならなければいいが。
「それで兄さんはエッチなことを考えていたんですよね」
「そうだな。考えていたな」
「ではやっぱり胸ですか? そうじゃなくて別のところですか? 腕ですか? お尻ですか? 脚ですか?」
綾乃は各部分を言うたびにその部位を俺に見せたり俺の体に触れさせた。綾乃はにやりと笑みを浮かべている。その行動と顔にエッチなことを誘うような気分にさせた。こいつ、俺に襲ってもらいたいのか? だからそうやって挑発しているのか?
現に綾乃と組んでいる俺の腕は左右のおっぱいに挟まれる形となっていた。こうなったことでさっきとは違い、よりおっぱいの感触が伝わった。さっきよりも接触面積が広くなったせいだ。
今は人は少ないものの道を歩いている。その俺たちを見る人たちは大きく分けて二通りだ。一つは近所のお母さんたちのような微笑ましく見る人たち、もう一つは俺たちを殺気のこもったような視線を向ける人たちだ。その殺気はとてつもない。
だが、その気持ちは分かる。俺だって見る側だったらそうなっていた。だって、彼女の胸の谷間に恋人の腕を挟んでいるんだぜ。そのせいで胸の形が強調されている。彼女のいない男からすれば完全に挑発していると思ってしまう。
だからといって俺はこの行動を止めようとは思わない。感触を楽しむほうが大事だからな。俺がおっぱいについて考えて質問の返事をしなかったせいで、綾乃は頬をぷくぅっと膨らませていた。
「聞いているんですか? 答えてくださいよ」
「はあ……なんで答えなきゃいけないんだ? 別に答えないといけないようなものでもないだろう」
「こっちは答えてもらいたいんですよ。それに別に答えたって何も問題ないですよね。それでどこですか? 視線の感じからしてやっぱり胸のような気がしますけど」
「…………そうだ。俺はおっぱいを見ていたんだ。男はみんなおっぱいが大好きだからな。それに現在進行形でこうなっている。俺の腕にその柔らかな感触があるんだ。しかも挟まれている。いつもとは違った感触なんだ。そのおっぱいに関心がいかないなんてありえないだろう」
「……答えてといいましたが、そこまで言わなくてよかったんですけど。部位だけでよかったのに」
少々恥ずかしそうに言う。
「すまん。つい興奮した。だがそうさせたのはお前だからな」
「あっ、人のせいにするんですか? こっちはただ恋人らしくしていただけです。別に興奮させるためにしたんじゃありません。勝手に興奮したのは兄さんでしょう。文句言われる筋合いはありません」
「嘘だな! 絶対に嘘だ! 今やっているこの腕の組み方を見て、誰が興奮させるためじゃないと言えるんだ!」
「では、私がそういう意図でやったという証拠はあるんですか?」
綾乃がくすりと笑う。
「ないがここは裁判じゃない。そういう証拠がなくても成立するはずだ!」
「まあ、そうですね。裁判でもないのですので、そういう証拠はいりませんね」
「認めるのか? 俺を興奮させようとしたと認めるのか?」
「さあ? どっちだっていいじゃないですか。たとえそうだったとしても、私は兄さんに喜んでもらいたくてやったんですから。それに兄さんにとっては、そこに意図的な意思があるかないかの違いでどちらにしてもプラスしかありません。なのにそれでも知りたいんですか? 知ってどうしますか?」
そう言われると確かにそうだ。別にそれが意図なのかを知って何になるのだろうか。知っても知らなくても俺に不利益なことなんてない。
「ほら、どちらでもいいでしょう。だから私は答えませんよ。でも聞きたいなら私の体に無理やり聞いてくださいな」
「つまり襲えと?」
「はい♪ 襲ってください。兄さんがやりたいようにやって、ね。兄さんだって年頃の男です。私の体の味を覚えた兄さんは毎日だってやりたいでしょう。もう一線を越えたんですから、私としては毎日だっていいんですよ。吸血鬼となった今、悪魔と同じように子どもができにくい体になりました。それぐらいしないと子どもはできませんからね」
「ちょっと待て。まさかお前は子どもを作る気か? 俺は反対だぞ。子どもは作らない」
「えっ!? こ、子どもを作りたくないんですか!? ま、まさか私のほかに好きな人がいるんですか!? だから作りたくないって……!」
綾乃は目に涙を溜める。まずい。声が大きかったから周りの人たちに聞こえたはず。このままでは俺が遊びで付き合っていると思われる!! 俺は別に遊びなんかじゃない!! 本気なんだ!!
例え巨乳の女の子がいたって俺は綾乃を選ぶ自身がある。それほど本気なんだ。だから早く! きっと誤解しているからそれを解こうか。
「おい、ちょっと待て。泣くなよ。今はって話だ。綾乃と俺は学生なんだ。自分で金を稼げないのに子どもを作るわけにはいかないんだ。分かってくれ」
「じゃあ、他に好きな人がいるとかじゃないんですね?」
「いるわけがない。いたらお前に俺の命をやるよ」
これは比喩でもない。それは綾乃のためでもあり、そしてこれは俺のためでもある。人一人愛し続けられなければ、もしも、もしもだぜ。綾乃と別れたらきっと女性関係できっとろくなことがない。
俺はそう思っている。だったらもう好きだった女性自身に殺されたほうがいい。そっちのほうが俺としても楽だ。それに綾乃は
「いいでしょう。もしも私以外の人を好きになったら私の手で殺してあげます。それと一つ。私は兄さん以外を好きになれません。私の心は兄さんという鎖、呪いで縛られているんですよ」
「なんだか脅されているみたいだな」
「ええ、そうですね。脅しているんです。これは卑怯かもしれませんね。でもこうすることで私も兄さんを縛っているんです。私は兄さんのせいで他の人を恋愛対象として好きになれない。だから他の人を好きになったら許さないと」
とても深い愛だ。愛は殺意だな。時に愛は殺意と変わる。世の中にはそれで事件になったことだってあった。例えばストーカーだ。これも愛のせいだろう。相手が好きすぎるが故に犯罪となってしまった。
そして、ついに愛は人を殺すことになる。愛のある人物に固執するところは殺意とあまり変わらない。ある人物をうらみ続けて殺す。愛と殺意はある意味一緒だ。だが、無差別殺人の場合は違う。あれは快楽のためやらが多いからな。
しかし、殺人か。俺たちは吸血鬼となった。その気になれば町の人々を殺すことができるほどの力がある。俺は綾乃に殺人を犯してほしくはない。そのためにはやはり綾乃以外を好きになってはいけない。
なるほど。彼女の言ったとおり俺は縛られているな。
「私のためにもよろしくお願いしますね」
「ああ、分かっているよ」
彼女は笑顔でそう言った。それから俺たちはほぼ無言で歩いた。だが、雰囲気が悪いとかじゃない。腕を組む綾乃の顔はえへへとにやけていた。家から繁華街までは結構な距離がある。歩いて約四十分くらい。
結構話をしたためその間にあと十分ほどまでになった。人も多くなっている。だが、綾乃は離れずに堂々としていた。もしかして、さっきの話が影響しているのか? この男は私のものだと言っていると示しているようだ。
さて、ここからは人が多くなるのだが、ここで注意しないといけないのは、知り合いに会うことだ。特に小猫ちゃん。あの子は綾乃のこととなると色々と変わるからな。まるで綾乃のことが好きかのように。
他は注意しなくていいと思う。あの話からしても見分けられるのは小猫ちゃんだけらしいから。そして、ついに繁華街へ。やはり昨日よりも多くの人で溢れていた。行き違う人たちは俺たちを見てやはり二通りだった。
ここは人が多いから色々な感情が混じった視線が濃くなっている。さてとどこへ行こうか。ん? ちょっと待てよ。そういえば、金ってどのくらい残っていただろうか。昨日、少し使ったからな。
もうあまり残っていないような気がする。今日はデートといったからな。何か買うことがあれば俺がおごらなければ。
「にやけているところ悪いが、どこか行く前に銀行に寄っていいか?」
「うにゃ? いいですよ。でもこの近くにATMってありましたっけ?」
「ちょっと遠いけどあるな。だが、金を下ろすのはATNじゃない。銀行でだからな」
「ああ、銀行でしたか。なら近くにありましたね。でも、本当に行くんですか?」
なぜかおかしなことを言う綾乃。銀行に行かないとお金は下ろせないし、下ろさなければ何も買えない。
「当たり前だろう」
「そうですか。なんだか嫌な予感がするんですけど……それでもですか?」
「ああ、だって近いからな」
「……ちょっとは考えてくださいよ。嫌な予感がするって言っているんですよ」
無視して銀行まで行く。これから行く銀行は窓口のあるちょっと大きい銀行だ。そこでお金を下ろす。さてとどのくらい下ろそうか。とりあえず一万円ほどあれば大丈夫か? 綾音には悪いがおごるのは値段の低いものにしよう。
それにもうすぐで母さんたちが海外へ行くんだ。何があっても大丈夫なように金を無駄遣いしないようにしないと。
「ちょっと聞いています?」
「聞いているが大丈夫だよ」
「私のこういう勘って結構当たるんですよ。それでもですか?」
「それでもだ。ほら行くぞ」
「あっ、ちょっといきなり歩かないでくださいよ~」
いきなり歩いたせいで綾乃がこけそうになった。銀行に入るとお金を下ろそうとする人がいた。しばらくすると急に温度が上がったような気がした。
「ここは外ほど暑くないので魔法を解きました」
なるほど。そういえば俺たちは魔法のおかげで涼んでいたな。忘れていたよ。本当に便利だな。確かにここは外よりも暑くはなかった。汗もかかない。この程度なら綾乃の魔法は必要ないな。
俺はとりあえず綾乃を長椅子に座らせた。だが、腕を放さないため俺も座ることになる。
「放してもらわないとお金が下ろせないんだが」
「ちょっと待ってください。本当になにか嫌な予感がするんです。やっぱり何かあるような気がします」
「でもここって銀行の中だぜ。何があるって言うんだ」
「分かりませんよ」
無理やりでも放してもらおうと思ったが、その表情が真剣だったので仕方なく隣に座ることにした。綾乃は俺の肩を枕にするように寄りかかる。しかし、悪い予感か。辺りを見回しても危険になるようなものはない。
火事だって起きそうにない。では、悪い予感ってなんだ? いや、そもそも曖昧でもいいから火事やらの物理的なものなのか、それとも運が悪いとかの非物理的なものなのかをはっきりしてもらわないと考えられないな。
でもとりあえず用心しておくことには越したことはない。一応信じてみようか。
「ふわああ…………………………………やっぱりこっちにも影響が出ますね」
あくびをしながらぼそりと綾乃が呟いた。綾乃は俺に聞こえないように言ったようだが、俺の肩に寄りかかっている綾乃の言葉は吸血鬼でなくとも誰でも聞こえる。しかし、俺は気づいていないふりをする。
綾乃は呟いてすぐにしまったという顔になるが、俺が反応しなかったため気づいていないと思った。さて、いつまでこうしていればいいのだろうか。今日はこいつのためのデートからな。
これで満足するというなら俺としてはこれでいい。だが、もしこれでいいのなら、お金のかからない女だな。まあ、性格に若干、難ありだが。そう思い少し笑う。ふと出入り口を見ると覆面をした男たち六人が入ってきた。
その手にはなにやらでかいボストンバッグを持っていた。数は三つだ。そして、そのうちの一つのバッグはすでにごつい何かが入っている。それを見て俺は理解した。ああ、銀行強盗だと。
どうやら綾乃の言っていた嫌な予感とはこれのことだったらしい。確かに当たったな。あとでちゃんと謝らないと。しかし、こいつの勘は未来予知レベルだな。虫の知らせなんてあるが、本当にそれだ。
俺は銀行強盗が来たというのに逃げもせずに、のんびりと綾乃に自分の肩を枕にさせたまま座っていた。男のうち二人が出入り口を塞ぐようにし、残りがそれを確認したところで一人の男が懐から拳銃を取り出し、天井へ向けて発砲した。
銃声は一つ。その音はこの室内ではよく響いた。そして、その音は五感が鋭くなった俺たち吸血鬼にとっては轟音でもあった。くそっ、耳がキーンとするじゃないか! いや、それよりも命の危機なんだけどさあ。
でも、俺って吸血鬼だぜ。吸血鬼の再生能力はすでに知っている。腕が切断されようがまた新たにすぐに生えてくるということを。それに綾乃曰く不老不死だそうだ。なら、頭に銃弾を受けても死なないということだ。
だが、これからそうならないように願いたい。試したくはない。隣を見るとこっちもむすっとした顔をしていた。さっきまで気持ちよさそうにしていたので、機嫌が悪いようだ。
「全員動くな!! 変な真似をしたらすぐに殺すからな!!」
銃を撃った男がそう叫んだ。周りの人たちは大きな声は出さなかったが、小さく悲鳴を上げる。それは女性の声。そして子ども。男性の声はしなかった。それはプライドとかのせいか。悲鳴とともに子どもの母親はすぐに子どもを抱きしめ守る。
みんな体が震えていた。他のみんなは俺たちのような吸血鬼ではない。つまりは撃たれれば死ぬ可能性があるということだ。だから、死に近くなった今、震えている。男たちはごついバッグからアサルトライフルらしき銃を取り出す。
「おい、すぐに金を出せ!! すぐにだ!! それと出入り口のシャッターを下ろせ!!」
「は、はい! わ、分かりました!」
銃を突きつけられ命令された銀行員は、すぐに金の準備とシャッターを下ろし始めた。今は金よりも命だ。
「てめえらはこっちだ!! 早く動け!!」
そして、金を用意する銀行員一人以外の俺たちは隅へと集まることとなった。やはり恐怖はない。怖いのは隣にいる綾乃だ。不機嫌なせいで今にも強盗犯たちに襲いかかりそうだ。
自分たちよりも強盗犯のほうが命の危機にあるのだ。俺は綾乃を抱きしめてそれを止めている。外からは怯える彼女を安心させている彼氏に見えているだろう。しかし、こっちはそんなものではない。俺と綾乃では力の差が違う。
綾乃は真祖の吸血鬼で俺はその眷属だ。主と従者。綾乃のほうが力が大きい。だから、本当に綾乃を押さえ込んでいるのは俺の力と彼女のわずかな意思だ。お願いだから変な真似はしないでくれよ。
こっちはあんたらの命のためにがんばっているんだから。いや、人質となった俺たちと武器を持った強盗犯。比べるとこっちの命のほうが大切だし、解放したほうがいいんじゃね? 思わずそう思う。
吸血鬼になってから変な考えになってきたな。とにかくだ。とりあえずこのままだ。
「おい、まだかぁ!? おせえよ、おせえよ!!」
男が金の用意にもたついている銀行員に向けて発砲した。だが、弾は銀行員のすぐそばを通った。
「ひいいいいっ!! す、すみません!!」
銀行員は余計に怯えて手元が震えた。だんだんと強盗犯たちに焦りが出る。銃の発砲音は外までに聞こえているはずだ。外の人たちが異変に気づいて通報しているだろう。しかし、どうやって逃げるんだ? シャッターまで下ろしたんだぞ。
どうやって……ん? 五人しかいないな。強盗犯の一人がいなかった。窓口の奥を見るとドアがあった。そのドアが開いている。なるほど。裏口か。おそらくその一人が裏口を確保しているのだろう。
そこから逃げるつもりか。逃げ道もあるってことは車も用意しているのだろう。まあ、分かっても意味がないけどな。こういうのは警察の仕事だ。俺はただ彼女を抑えているだけをしておく。それで抑えている綾乃といえば……
「……むかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつく」
ぶつぶつとつぶやいている。一発目で不機嫌に二発目でこうなった。それとともに俺の服を掴む手に力が入って服に穴が開き、破れかける。俺が解放すればすぐに強盗犯を殺してくれるだろう。