もしもグランドツアーの3人がキヴォトスに来たら3 ゲスト登場 作:ガチタン雷電
守れ自然を ゴールドマグロ輸送作戦
――「最悪の再会」
ゲヘナ郊外、舗装の港町。
なぜか戦車が並んでいいことになっている場所。
低く、重く、まるで地面そのものが動いているかのようなエンジン音が近づいてきた。
――ゴゴゴゴ……
姿を現したのは、無駄のないシルエット。
戦時中にロールアウトされたが戦後生まれの理性の塊のような車体。
センチュリオン戦車。
ハッチが開き、
リチャード・ハモンドが顔を出す。
「……やあ」
カメラに向かいリチャードがあいさつをする。
次の瞬間、反対側から別の音が割り込む。
――ヴォォン、ヴォン……!
明らかに違う。
軽快で、機嫌が悪そうで、速度に自信のあるエンジン音。
姿を現したのは
パンターG型。
低い車高。
長い75mm砲。
「世界大戦後半の理性」という顔をした戦車。
ハッチが跳ね上がり、
ジェレミー・クラークソンが満面の笑みで立ち上がる。
「リチャーーード!!」
ハモンドは即座に顔をしかめた。
「……嫌な予感しかしない」
ジェレミーは戦車の上から周囲を見回し、満足そうに言う。
「私は合理性の結晶。
君は……」
一拍置いて、センチュリオンを見下ろす。
ジェレミー
「……おや珍しいな。
イギリスが“ちゃんと考えた”時代の戦車じゃないか」
リチャード
「失礼だな。
これは“考えすぎた結果、全部盛りにした”戦車だ」
周囲で警戒にあたっていたキヴォトスのモブ生徒たちが、困惑した表情で見守っている。
トリニティ側モブ(小声) 「……あれが、大人?」
ゲヘナ側モブ 「……たぶん」
ジェレミーはハモンドを指差す。
「聞いたかい諸君。 彼は“最強”を選んだ。 私は“最良”を選んだ」
「誰も戦うなんて言ってない!」
ハモンドが叫ぶ。
そのとき、
通信機から乾いた声が割り込んだ。
ウィルマン
『――お二人とも。 本日のミッションではお互いの“戦闘禁止”です』
ジェレミー、即答。
「つまらん」
ハモンド 「助かった……」
だが通信は続く。
『今日のミッションはゴールドマグロを、
ゲヘナ港からトリニティ水族館まで、
“無事に”輸送していただきます』
一瞬の沈黙。
ジェレミーがゆっくり笑う。
「つまり?」
ハモンドが嫌な予感に包まれながら答える。
「……僕たちが、護送?」
通信の声は淡々としていた。
『はい。
なお、途中で美食研究会に見つかる可能性があります』
ジェレミーの目が輝く。
「最高だ」
ハモンドはハッチの縁に額をぶつけた。
「……やっぱり、最初からこうなるんだ」
二両の戦車が、
不釣り合いな並びでエンジンを吹かす。
鈍重な英国紳士。
俊敏なドイツの理屈。
――そして、
この二人が揃ったとき、
何も起きないはずがなかった。