守れ自然を ゴールドマグロ輸送作戦   作:ガチタン雷電

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エピローグ 

エピローグ いつものテント

 

夜。

 

ゴールドマグロ輸送作戦を終えた一行は、作戦終了後に集まる、いつもの大型テントへ戻っていた。

 

黒とベージュの布が幾重にも張られた天井。

 

その間から吊り下げられた照明が、広いテントの中を明るく照らしている。

 

中央には長机が並べられ、その周囲には今回の作戦に参加したメンバーが集まっていた。

 

戦場とは思えない、穏やかな空気。

 

そして――。

 

ステージの前に立ったヒフミが、手を上げた。

 

「では!」

 

一同の視線が集まる。

 

「ゴールドマグロ輸送作戦、反省会を始めます!」

 

拍手が起こる。

 

「まず、今回の作戦で良かった点!」

 

ヒフミがホワイトボードを指す。

 

「ゴールドマグロは無事に目的地へ届けられました!」

 

「それは良かったな」

 

リチャードが頷く。

 

ジェレミーも笑う。

 

「護衛部隊も大きな損害はありませんでした」

 

「うん」

 

アズサが頷く。

 

「任務としては成功」

 

「はい!」

 

ヒフミが嬉しそうに答える。

 

しかし――。

 

「では、次に反省点です」

 

ヒフミがホワイトボードを裏返した。

 

そこには大きく一つ。

 

『遅刻』

 

と書かれていた。

 

「……」

 

ヒフミの顔が固まる。

 

アズサが淡々と言った。

 

「ヒフミ」

 

「はい……」

 

「どうして遅れたの?」

 

「そ、それは……」

 

ヒフミが視線を逸らす。

 

「ペロロショップに……」

 

「限定グッズを買いに行った」

 

「はい……」

 

会場から笑いが起こる。

 

「でも、限定だったんです!」

 

ヒフミが必死に弁明する。

 

「今日を逃したら買えなかったんですよ!」

 

「それでも遅刻は遅刻」

 

アズサが即答する。

 

「はい……」

 

ヒフミが肩を落とす。

 

リチャードが笑いながら口を挟んだ。

 

「まあまあ。結果的には間に合ったんだからいいじゃないか」

 

「リチャードさん、ありがとうございます!」

 

「ただし――次からは作戦開始前に買え」

 

「……はい」

 

また笑い声が起こった。

 

その後も反省会は続いた。

 

ルクスの速度。

 

ニトロによる加速。

 

ディンゴ部隊との戦闘。

 

高速道路での激しい戦車戦。

 

それぞれが今回の作戦を振り返っていく。

 

そして最後に――。

 

「まあ、いろいろあったけど……」

 

ジェレミーが周囲を見渡した。

 

「全員無事だった」

 

一同が頷く。

 

「ゴールドマグロも無事」

 

「はい」

 

ヒフミが笑う。

 

「そして任務も成功」

 

アズサが続ける。

 

「なら、それでいい」

 

ジェレミーが笑った。

 

テントの中に、穏やかな空気が流れる。

 

やがて照明が少しずつ落とされていく。

 

話し声も次第に小さくなる。

 

ステージだけに明かりが残った。

 

ヒフミが振り返る。

 

「……これで、反省会は終了です!」

 

拍手。

 

カメラはゆっくりとテントの外へ。

 

明るいテントの入口が、少しずつ遠ざかっていく。

 

外には静かな夜空。

 

中からは、まだ皆の笑い声が聞こえている。

 

今日もまた、一つの任務が終わった。

 

守るべきものを守り。

 

仲間と共に戦い。

 

そして最後には、いつもの場所へ帰ってくる。

 

――ゴールドマグロ輸送作戦。

 

これにて、すべての任務を終了する。

 

テントの明かりが消える。

 

夜空だけが残る。

 

♪ エンディングBGM ♪

 

――END――

 

――数分後――

 

暗転。

 

静寂。

 

そして――。

 

パッ。

 

一本の照明が点灯する。

 

場所は変わっていた。

 

作戦本部。

 

そこに、ウィルマンが一人で座っている。

 

机の上には、今回の作戦報告書。

 

ウィルマンはそれを確認しながら、満足そうに頷いた。

 

「……作戦は成功」

 

そのとき。

 

バンッ!

 

扉が勢いよく開いた。

 

「ウィルマンさん!」

 

ヒフミだった。

 

その後ろにはジェレミー、リチャード、アズサ、そして今回の護衛部隊が勢揃いしている。

 

「……」

 

ウィルマンが固まる。

 

「どうしました?」

 

「どうしたじゃありません!」

 

ヒフミが机を指差す。

 

「聞きましたよ!」

 

「何をでしょう?」

 

「ゴールドマグロです!」

 

「はい」

 

「本物は、最初からヘリで運んでいたんですよね!?」

 

沈黙。

 

ウィルマンはゆっくり眼鏡を直した。

 

「……誰から聞きました?」

 

「そこは問題じゃありません!」

 

ジェレミーが一歩前へ出る。

 

「俺たちは高速道路で何を守っていたんですか?」

 

「囮です」

 

「即答するな!」

 

リチャードが叫んだ。

 

「しかも俺たち、ルクスと本気で戦ったんだぞ!」

 

「そのおかげで作戦は成功しました」

 

「そういう問題じゃない!」

 

アズサも珍しく声を上げる。

 

「私たちには何も知らされていなかった」

 

「必要な情報だけを共有したまでです」

 

「……」

 

アズサが黙る。

 

そしてヒフミが、さらに一歩前へ出る。

 

「ということは……」

 

ウィルマンが見る。

 

「はい?」

 

「私たちが必死に守ったトラックは……」

 

「囮です」

 

「ニトロまで使ったルクスと戦ったのも……」

 

「囮です」

 

「私、ペロロ限定グッズを買うために遅刻したのに……」

 

「それは今回の作戦とは無関係です」

 

「そこは分かってます!」

 

テーブルを囲んでいた全員が、一斉にウィルマンへ詰め寄る。

 

「説明してください!」

 

「最初から言ってくれ!」

 

「せめて作戦終了後には教えてくれてもよかっただろ!」

 

「俺たちの戦車、かなり撃たれたんだぞ!」

 

「ニトロまで使われたんですよ!」

 

ウィルマンは椅子に座ったまま、次々に飛んでくる言葉を静かに聞いていた。

 

そして――。

 

「……皆さん」

 

全員が止まる。

 

ウィルマンは報告書を閉じた。

 

「今回の作戦で、誰一人としてゴールドマグロを傷つけず、護衛任務を完遂しました」

 

「……」

 

「囮だったとしても、皆さんの任務は本物です」

 

ジェレミーが少し考える。

 

リチャードも腕を組む。

 

アズサは黙っている。

 

ヒフミは――。

 

「……それは、そうですけど」

 

「それに」

 

ウィルマンが続ける。

 

「美食研究会が本物の輸送ルートを知っていたら、どうなっていたでしょう?」

 

「……」

 

全員が黙った。

 

「だからこそ、知らないことにも意味があったのです」

 

しばらく沈黙。

 

ジェレミーがため息をつく。

 

「……理屈は分かりました」

 

リチャードも頷く。

 

「でもな」

 

ウィルマンを見る。

 

「次からは、せめて作戦が終わったら教えてくれ」

 

「検討します」

 

「検討じゃなくて!」

 

再びテント――ではなく、本部に怒声が響く。

 

その様子を見ていたヒフミが、ふと呟いた。

 

「……でも、本物のゴールドマグロは無事だったんですよね?」

 

「ああ」

 

ジェレミーが答える。

 

「それなら……」

 

ヒフミは笑った。

 

「まあ、良かったんじゃないでしょうか」

 

「ヒフミ!」

 

アズサが振り向く。

 

「ウィルマンさんを許すの?」

 

「……」

 

ヒフミは少し考える。

 

そして――。

 

「ペロロ限定グッズを買う時間を返してくれるなら」

 

「まだ言うのか!」

 

全員が一斉に突っ込んだ。

 

ウィルマンは苦笑する。

 

そして画面がゆっくり暗転する。

 

最後に一言。

 

「……次回は、もう少し説明を増やしましょう」

 

♪ エンディングBGM・再開 ♪

 

――本当にEND――

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