数キロ離れた先の海…島を襲うリヴァイアサンに光の矢が命中すると凄まじい勢いで蒸発した
間一髪で脱出する民衆の命が救われたのである
その矢を放ったのはギルドのクリーチャーではない、空を飛ぶ巨大な空中艦だった。
「い…一体、何が起こってるの!?」
ナジャラン、ゼネス、そして牢屋から脱出したカリンはエンダネスの地で遠くの空を眺めた
「動揺するのは後にしろ、ナジャラン!まずはアイツらが何者か知る必要がある、メガネの女!あの船が寄港しそうな場所は?」
「無事な所は第2デッキですわ、第1デッキは避難民でごった返してますから無理でしょう」
それと、と言って1枚のカードを渡した。移動スペル『チャリオット』である
「私の名前はサーカスマスターのカリン、よろしく竜眼のゼネス」
車輪で出来たヘリコプターに乗りながら今までの状況を3人は確認した
「師匠の墓参りから随分な事になったな…俺の左腕は切断されて『フレイムロード』は敵の手に、加えてセプターズギルドの主である『ダゴン』まで奪取されるとはな」
「総力戦の奇襲も失敗との知らせが来ましたわ、救護に後詰部隊が向かったらしいですが…成功は五分五分といった所、ダゴンで構成していた島も無くなり、メテオストームでエンダネ自体は崩壊寸前、私も釈放されました」
「釈放…?なんで捕まったんだ」「ナジャランの暗殺」
ゼネスは噴き出した
「な…なんだ…それ…ククク、そんな奴と友人になったのか…本当に面白い奴だな貴様は」
「笑いごとじゃないよゼネス、まぁ瀕死のホロビッツ先生を救い出してくれたのは感謝するけど」
ややあってゼネスは神妙な面持ちになった
「野戦病院の惨状を見て青ざめてたのが嘘のようだな、裏切ってホープを奪取したゴリガンの事は吹っ切れたか」
ゼネス!と声をあげたカリンを右手で遮った
「答えろナジャラン、重要な事だ」
深呼吸をして彼女は答えた
「正直解らない…許せないって気持ちもあるけど…ゴリガンは大切な家族で…」
「そうか、ならば多くは言うまい、家族と言えば…病院から抜け出して塞ぎ込んだ時にナイトは貴様の父が託したカードと話したな。俺としてはそちらも懸念がある、本当に戦えるのか?」
「その点に関しては心配しないで、カリンが精一杯励ましてくれたから」
ナジャランが視線を送ると恥ずかし気に彼女は視線を窓に逸らす
海上には吹き飛んだしたリヴァイアンの残骸が崩壊している、海底をさぐるとカードが見つかるだろう。だがそんな事は些細な話だ
「それにしても、瀕死とはいえ最後のリヴァイアサンが追撃するなんて思っても見ませんでしたわね、しかも避難民を狙ったかの様な」
話題を逸らすように呟く
「最初はあの航空船が近づいてきたサイレンで向かっていったのだが…突然海からヤツが出てきたときは血の気が引いたぞ…距離が距離だ、ロードランナーやチャリオットを使っても間に合わなかったろうな」
ゼネスは直ぐ上の天井を見ながら嘯いた
「いきなり現れてからの砲撃…クリーチャー抜きであの出力だ。いったいどれだけの大金をはたいて製造したんだか」
そうこう雑談しているうちにチャリオットがデッキ近くの簡易ポートに着地した
「いずれにせよ、セプターに協力的な国や機関は限られている。疑うにこした事は」
「「「落ち着いてくださーーーーいエンダネス島の市民のみなさーーーん」」」」
キンキンに響くスピーカーがゼネスの声をかき消した
「「「私たちの所属はボージェスアカデミー、この実習船『真理の探求者号』で被災者したあなた方の救援に参りましたーーー」」」
「この声、もしかして…」
「聞き覚えがありますの?ナジャラン!?」
どけッ!どいてくれぇ!!
後ろから偉そうな恰好のセプターの声が話しかけてきた
「いま、確かにボージェスアカデミーと言っていたが、まことか!?」
「確かにそう聞こえましたが」
カリンがそう答えると血相を変えて男性はデッキに向かっていった
「確かあの方は元老院のなにがしか…まぁ船に誰が乗っているか、にわかに解って来ましたわ」
3人とも元老院の男性を追うようにデッキに向かって行った…
彼らが着いた時と航空艦が付いたのはほぼ同時と言えよう
着地用の脚がポートに降り立ち搬入口が開いた、と同時に
ゴオオオ!!!
大型のコンテナが滑り落ち、待機していたスタッフや整備員に向かっていった
『ゴーレム』
ゼネスはそう叫ぶと大きな岩人間のクリーチャーが飛び出しコンテナを受け止めた
「荷物の係留くらいしっかりしろ、たわけが!」
「お…お前は竜眼のゼネス!?何故ここに!?」
慌てる彼らをなだめる様に彼女は前に出た
「私が許可いたしました、この№4のカリンが、ね?」
元受刑者が…かよ、と言いたげだがなんとか飲み込みスタッフたちはゼネス達に感謝を述べる
「元老院の許可も下りてます、私たちはこの船の調査に向かってきましたわ」
説明しているアルタを尻目にナジャランは搬入口でゴブリンを使ってコンテナを動かしてる人物を見てギョっとした
「チミノ!?」
「げぇ!?ナジャラン」
スキンヘッドの大男は驚いたが、すぐに態勢を立て直した
「ちょ…ちょっと待て!色々騒がして悪いがな、俺達はボランティアできたんだよ!」
「ボラン…!?う…嘘だぁ」
「ホントだよ!!つーかよぉ!調査とか何とか言われてもトップ連中の許可が下りてる以上やましいモノなんかあるわけねぇだろ!仕事の邪魔だぜ?」
「「許可するよ、彼女を、ナジャランを貴賓室に案内してあげて」」
男性の声が船から聞こえた
「さっさと行ってやれナジャラン、俺はコンテナの搬入をもう少し手伝ってやる」
「私はスタッフの指示が残ってますわ、すぐに追いつくますので」
ゼネスとカリンはそういうとナジャランから離れていった
そうして学生の案内で通路から貴賓室の扉の前に立った彼女は深呼吸を2回ほどして扉を開ける。
「失礼します」
「ノックを忘れてるね。ようこそ『真理の探求者号』へ。久しぶりだね、ナジャラン」
アナウンスの声の主が出迎えてくれた。
「ホアキン!」
人類最後の反撃が始まろうとしていた
この作品は今年の正月から執筆しているものです
本当は全て書き終えてから加筆修正しようと思っていましたが突然のカルドセプト・ビギンズ、そしてカルドセプト・theファーストの朗報にいてもたってもいられず投稿しました。成功を心より応援しております