カルドセプト『可能性の1つに』   作:ハガサネ

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第20話 改竄式カルドセプト『ナジャラン』VSバルテアス・アバター


第20話 ◎竄°カル§Щ&『〷ャ@ン』VSバルテアス・アバター

「ナジャラン、色々とアドバイスをしておきたい…まずバルテアスがキミに触れただけで自動的にカルドセプトの所有者になる。早い話負けだ」

「…まぁ、あんな奴に触れただけで身体が弾けるだろうし、大差ないわね」

 

今ナジャランは同化しているカルドセプトの一部と会話している。あらゆる現象や時間のうねりが心に響き渡るが、あまりにもそれは漠然とした感覚だった

 

「そしてこれが肝心、バルテアスの封印が解けた今。制御してた神々の力がフリーになったんだ、彼らに働き掛けるカードの創造が可能になったよ」

 「創…造?」

「いや、もう既に出来上がってる、か」

 

困惑してるナジャランを他所に爆進する人影が見える、怒りのあまりバルテアスの姿になったベルカイルだ。

 

「死ねぇえええええEE!!!」

頓狂な声をあげながら灼熱の腕を振り上げる彼に、避けるという反応が出来ずガード姿勢を取るナジャラン。なぜカルドセプトの忠告した言葉を守れないのか

 

そう、この神は思った

「な…!?」

 

異質な感触が彼の右腕を襲う。見えない壁の様な

「風の神『テレイア』…貴様!!どうやって」

 

バルテアスを思わせる程に低く、感情を露わにした声とは対照的に冷静な老人の様な声で返答した

〈風は遍くものだ、抗う意思に呼応するは必然であろう〉

 

ならば、と距離をとり反逆神を模した神父は腕を上げた、合図だ

「いかに貴様らといえど飽和攻撃だけはどうにもなるまい!ベールゼブブ!!!」

 

空はさらに濃い闇の色になっている

もはや京に届く数にまでなった風の王の視線を一身に感じたナジャランは身震いをした

 

確かに一斉に降りれば身が持たないだろう、手を焼かせる小娘だ。とその神は思った

 

漆黒の闇から太陽の光が差し込む。よく見れば風の王は微動だにしていない

「何が起こってる…の?」

全ての存在がそう思っただろう、その正体を唯一知るものは憎々しげに透明の水の膜で守られた蒼天を眺めた

 

「水の神『イクシア』……!!まさか…下天したというのか!?となるとカルドラも!?」

 〈勘違いするなバルテアス、貴様の相手なぞ我らで十分…まぁ、さながら防虫ネットが妾の仕事というのは…いささか不満だが〉

 

高速で飛翔する風の王だがイクシアの障壁に触れた途端、自らの衝撃に耐えきれず大半は粉々に砕かれてしまう

 

もはや勝利は確定した、と祝福する様に真昼なのにオーロラが空を渡る

〈とはいえベールゼブブの攻撃を防ぐのは未だ時間が掛かる〉〈やれるか?ナジャラン〉

イクシアとテレイアの期待に応える様に頷くナジャラン

 

「あの…他の二柱の神は?」

〈貴様の望みを叶えている。と言えば解るか?〉 

「…ありがとうございます。もう思い残すこと。ないかも」

 

このやり取りにすら目もくれず、バルテアス…もといベルカイルは召喚しているダークマスターに騎乗した、手にはイフリートの攻撃で黒くなったマスターロッドバルガンが握られている

 

「今、解析が完了いたしました…バルテ…失礼、ベルカイル殿」

「世辞はいい。奴の弱点は?」

「まず現在のナジャランはカルドセプトを間借りしてる不安定な存在に過ぎず、触れただけで譲渡されるかと」

 

「なるほど、覚悟を決めろバルガン…たった今レジェンドの魔力も回復した…この勝負、勝つぞ」

未だに彼の目には勝利の執念と怨恨が宿っていた

 

「キミも解ってるだろうナジャラン」

カルドセプトはささやく

「この戦い、キミの存在の消滅する。」

彼女の運命を。

──

懐かしい、本当に穏やかだったあの頃の朝日が彼の目に飛び込んだ

「…こ、ここは…」

「ひさしぶりだね、ゼネス」

 

燃やし尽くされた診療所で目を覚ました彼が眼にしたのは惨死した師匠がいた

「先生…!サルバトール先生!!」

 

ぶわっと涙が流れた、あのゼネスが、だ

「…本当に、本当に申し訳ありませんでした。俺は、激昂した挙句とんでもない事を」

 

「謝るべきは私の方だ、私の業と罪が…キミをここまで苦しめる事になるとは」

サルバトールも静かに涙を流したが、彼にとってはそれはあまりにも想定外だった

 

「業と罪…?いったい、何の話を?」

「…まだ私が若かった頃の話だ、大きい戦争があってね。妻と幼い我が子が殺され、私は荒れ狂った。『争い』という行動を憎み、戦場を駆け回りあらゆる諍いの元を砕いていった」

 

全く想像が出来ない。虫一匹殺さなかったサルバトール師匠の過去がそのような修羅の道だったとは

 

「千の戦を滅ぼし万人を救った存在『戦神』とも呼ばれた事もあったが何一つ満たされなかった。その目的は世界征服だとか噂されたがね、実際は死に場所を求めていたんだ」

 

サルバトールは机を眺めると写真があった

老人二人が手を握手をしてお互いを讃えてる様だった

 

「その折だ、私はギルマン様に戦いを挑み完敗した。情けをかけず殺せと訴えたが…私の心の弱さを見抜いたのだろう、ならば生き抜いてみせよと」

 

懐かしむように写真を眺めた。よく見れば後ろの壁はドラゴンの鱗と眼球が移っているそ

「その後は修行の毎日。ほぼ同じ時期に強さを求道していたホロビッツと一緒に根を上げたものだ」

ふふっと賢者は肩を揺らせた

 

「私はね、身に着けた戦闘技術を決して他者を傷つけたりしないと寿命で死んだギルマン様に誓ったんだ」

「そんなバカな!?あのホロビッツと同格の貴方がなぜ!?」

 

「あまりにも人を傷つけたからだ。過去を振り返れば、私は無数の国を滅ぼしていった。戦の事ばかり考える国だったが、彼らには守るべき家庭があった。人生もあった、それを踏み潰したのだと修行を通じて悟ったんだ」

 

懺悔するようにサルバトールは顔をしかめる

 

「私がもし暴力で死ぬような事があれば、それは私の愚行の輪廻が来たに過ぎないとそう信じた…結果、優しかったキミの人生を大いに捻じ曲げてしまったんだ」

心から、済まなかったと賢者はこうべを垂れた

 

「何をおっしゃいます!」

ゼネスはその謝罪を真っ向から否定した

「話合いに応じず、無防備の老人相手に集団で殺す事の何処に正当性があります!?」

 

「それは彼らが」「弱かったからです!俺も弱かった故にあの様な事をしてしまいました!」

またも涙があふれた

 

「先生は正しい事をしました!真に強くなければ出来ない事です。俺の様な弱きものには出来ません」

しかし、その涙はすぐに引いた

「ですが俺はこの弱さを胸に歩いていきます。この業と罪は…俺だけのものです」

 

もっとも、俺は死んだのでしょうが…とゼネスは自嘲した

 

フレイムロードとの戦い…熱線を掻い潜りオーエンの秘蔵武器『オーラブレード』での攻撃に成功した。しかしそれすら意に介さずカウンターの一撃で搭乗している『バンドルギア』が吹き飛ばされたのだ

 

「大丈夫さ、キミはこれから目を覚ます。」

恐らくこれは、夢なのだろう。自分に行動に対して勝手に赦されるという甘ったれた夢

故にもう一つ、話さなければならなかった

 

「そ…その、もう一つ、謝りたい事が…俺は、勢い余って貴方の事を義父と呼んでしまいました」

ハハ…ハハハとサルバトールは思い切り笑った。なんというか、珍しかった

 

「ゼネスという名前はだな、死んだ息子の名前だ」

やはりこれは都合のいい夢だ。彼は3度目の涙を流した

 

「さよならだ我が息子よ、願わくば」

差し出した師匠の手は勢いよく燃えている。だがゼネスはそれを両の手で掴んだ

 

「友と囲む暖かな火の祝福を」

 

──

「ゼネスどの!いかがなされた!?」

熱さとオーエンの叫び声でゼネスは我に返った

 

心配する彼を他所にコクピットのAIに質問をする

「バトルギアβ!俺が気を失って何秒経過した!?」

2秒と測定するβに困惑したが、それ以上に驚く事実がある

義手が異様に熱い。幻肢痛とは違う。新しい宇宙が左腕から生えるこの感覚に彼は震えた。

 

出力はともかく耐久力がもう殆どない。目の前にいるフレイムロードはエネルギーを貯めている動作が見えている。間違いなくこの一撃で終わるだろう。向かおうにも先ほどのカウンターがやってくる

 

「オーエン!手札に何がある!?」

「虎の子の『スフィアシールド』が1枚のみ」

 

僥倖だった

「オーエン!今から最後の作戦を説明する!」「何を!?」

「時間が無い!乗るかそるかだ!」「……承知!」

 

どうせ死ぬなら足掻くのが老虎の本懐

信じるのではない、賭けるのだ

 

だがその説明を聞き目を白黒させるが、すぐに動揺は収まった

「ご武運を」

オーエンは軽く会釈すると「分離!!」勢いよくボタンを押した

 

球形のバトルギアαが残存するミゴール族の集団に激突する勢いで突っ込み

「万物を守れ!『スフィアシールド』」

巨大なドーム状のシールドが彼らとバトルギアを覆った

 

その様子を見届けたゼネスはバトルギアβに乗り目の前にいるフレイムロードに突貫する

「β!モードをバトルスーツ形態に」「グットラック」

 

足形のマシーンは勢いよく変形し、ジェットエンジンを積んだような衣服に変わった

「うおおおお!!!」

 

フレイムロードはゼネスの叫びを無視するように最大級の火球を放った

それはまるで小型の太陽のそれだった。直視すれば失明するだろう。シールドが無ければミゴール族ですら果てただろう

「とどけええぇっっ」

 

ゼネスは火球に飲み込まれた

身体は灰すら残らない、消滅を

 

「ビステア!!!」

 

虚空から男の声が響いた

瞬間、フレイムロードの胸にぽっかりと穴が開いた

火の王は何が起こったのか理解できず。灰になって霧散した

 

「死という絶対的な結果すら捻じ曲げるか…」

その炎はあまりに強く、上空の風の王も幾つか燃えていた

 

「ゼネスーーーッ」

向こうから声が聞こえる。

オーエンとミゴール族の戦士たちが駆けつけてくる

 

どこまでいけるか解らないが、先生…俺は生きます

ゼネスは天に上る塔のクリーチャー『レジェンド』を眺める

 

「そこにいるのか?ナジャラン」

義手ではない、新しくなった左腕を塔に伸ばして

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