カルドセプト『可能性の1つに』   作:ハガサネ

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※この二次創作の内容は単行本6巻以降、未収録のストーリーを含みます。
※露悪的・バイオレンスな表現があります。


第4話 ベルカイルの過去・後編

雲が満月を遮っている真夜中、焼けた教会のすぐ近くに処刑された首吊り死体が2つあった

教会の中は焼け焦げ、突き出た棒が木なのか骨なのか判別がつかない。わずかに燃え残った編み人形のほつれた糸が風に吹き飛ばされる

 

ベルカイルは確かに死んだ、首の骨が折れて以降身体は全く動かない。呼吸もしていない。まばたきもしない。だが意識だけは明瞭だった

理由は自分でも解らない、そして今に至る時間まで村人に対する想いが延々と頭の中で渦巻いていた

 

雲が通り過ぎ、月明かりが彼を照らす、その時不気味な謎の声が頭に響き渡った。男のような低くい声が響き渡った

恐らくは破壊の神ガイデスだとベルカイルは最初そう思った

 

『汝は使命を果たした、こうした悲劇の積み重ねが繰り返され、人類は己の行為を鑑みる

天に昇り安寧を過ごすがいい』

 

「否」ベルカイルはその問いを拒否した

 

『では地獄に行き、悪を裁く獄卒となりて死後彼らに罰を与えるのもよかろう』

 

「否」ベルカイルはその誘惑も拒否した

 

『ほう…?まさかとは思ったが、それすら拒否するか』

 

「私はそもそも、あの村人や村長にそこまで憎しみが沸いていないのかもしれない…

確かにこれほどの力を持つ存在がいること事態が間違いだろう。あのまま私たちが生きていたら村は私たちセプターに依存し、富むに富んだ村は都市に発展しそのうち王国と交渉して独立を求め…そして戦争が始まったかもしれない」

憶測を超えた、未来の一遍をベルカイルは垣間見た

 

『生きるべきではなかった、と?お前も、あの男も、ミランダも?』

 

「否、全てがだ」

 

『なに?』

 

「全てだっ!人間の行動の全てが悪に容易く傾くのだ!

あの村の住民だけが悪いのではない、人間そのものが悪を招くのだ!正義も!愛も!それを理由に人を傷つける言い訳に過ぎない!このような考えに至った私を嘲笑うか!?貴様は!!」

 

頭の中で笑い声が響き渡る。

その声は邪悪であったが何故か友人の様な親しみさを感じた

 

『良いだろう、合格だ!創造の神アティスを超えた慈悲を貴様にくれてやろう』

止まったはずの心臓が激しく脈動するのを感じベルカイルは再び息を吹き返した

さらには砕けた首の骨が復元され身体を揺らしただけでロープが千切れる。凄まじい怪力を実感した

 

『そして破壊の神ガイデスを超えた果てなき破壊を行うのだ!カルドラの描く輪廻から解き放ちこの地上に住まう全ての命を消滅させ、カルドセプトを使い新たな世界を我と共に構築しよう!ベルカイルよ!』

「まさか…あなた様は…闇の神モルダビア…?」

 

否!否!否!

我が名は反逆する神バルテアス!ベルカイルよ、貴様は暗黒司祭として再誕し、破壊の限りを尽くせ!

瞬間ベルカイルは肌も髪も青銅の様に青く変わり果て、全てのセプターを凌駕する魔力を一身に受けた

 

 

「開けてくれぇ!!一大事なんだ!」「俺達はどうすりゃいいんだ村長!」

村長は今にも泣きそうな悲鳴とドアを勢いよく叩く音で目を覚ました

「騒々しい!明日は麦を買い付けねばならんのだぞ!?」村長は憤りドアを開けると血相を変えた村人達がいた。松明を持っているというのに未だ震えが止まっていない。

「大変だ!あの時教会で殺したはずのセプターが蘇って、村を襲ってる!」「な…なにぃ!?」

 

村長達が広場に駆けつけると首があらぬ方向に傾き、フラフラと歩くセプターがいた。ベルカイルと共に処刑された男だ

 

駐留してる騎士らは召喚されたゾンビと応戦しているがまるで歯が立たない

鎧を怪力で剥がされ筋肉のついた首筋をかじり出す「や…やめろ!!ぎゃあああ」

他にも炎の剣であるフレイム・タンを振り回すスケルトンや鋭い爪を伸ばしたグールが村人を襲っている

夢ならどれだけよかっただろうか…

 

その光景をみた村長は通じないと解りつつも目の前のセプターと交渉するしかなかった

開ききった瞳孔が揺れる松明と村人達を見据えている。「永遠に呪ってやる!」という彼の言葉が記憶となって甦った

 

「な、なぁ… デュミナス、お前殺してしまった事は謝る、だがこれは全て村のためだったんだ」

ぐ…おお

デュミナスと呼ばれたセプターの遺体は唸り声をあげ瞳孔の開いた眼で彼らを見据えた。光の宿らぬ瞳に松明の明かりとそれに照らされた住民しか映していない。腐敗こそしていないが召喚したゾンビより痛々しく、そして悍ましかった

「お、お前の両親の墓も立てよう!あの神父もこんな事を望むはずが」

デュミナスと呼ばれた死体は見当違いだと反応するかの様にクリーチャーを召喚させた。

屍霊ラルバが口を開け、万力のような腕で村長の顔を掴み醜悪な顔を近づける

「ひ…ヒイイイ!!ゆ、許してくれぇぇ!デュミナスうぅぅ」

 

懺悔と命乞い、そして絶叫…地獄のような灯りをつまらなげに教会の丘からベルカイルは見下ろしていた…娘の愛したあの丘の上で

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