園に明ける   作:クエクト1030

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家を出たあの日。いや、それよりも前から。
僕の世界は曇りくすんでいた。
全ての色と光は短調になって、差がつかなくなっていった。
唯一、姉の色だけが綺麗な藤色で淡く光って見える。
周りの雑草から根を伸ばされ、まとめて除草剤を撒かれているというのに、
姉は精一杯の光を放っていた。

僕には色はなかった。光も放つつもりは無かった。
求められていたものは...それ自体は嫌いではなかった。
姉と共に語らえるものだったという事もある。
けど、それに一生縛られるのは御免だった。
姉と一緒ならそれでも良かった。けれど。
それに縛られる宿命にあったから...僕の色も光も、くすんでしまい、
放つ意思も無くなっていったのだと思う。

一番頭に来た事は、家族会議の時だった。
僕が■だからという理由で、僕がそれをやり、そして姉はもうそれを止めろという話だった。
あの時、姉の光が弱まった。
そして僕の瞳からは涙が零れた。


第一話「くすんだ色の中で」

 忘れる事はない。そして億が一にも忘れたくはない。

2019年1月1日。今にも空が泣き出しそうな曇天の日。

 僕は運命に出会った。

 

──────

────

──

 

 その日の朝。シャワーを済ませ、併設されたレストランで朝食取り終える。

ここ一か月の間拠点にしているカプセルホテルから出ると、外は酷い天気だった。元から酷くくすんだ(・・・・)世界にしか見えないのに、空までもがくすんでる。

 

「はぁ…」

 

 嫌だなぁと沈んだ気分のまま、僕は路地裏に入り壁を蹴り上げながら屋上へと登る。見晴らしの良い場所で屈んで、呪力を目に集中させ視力を深め見渡した。

 

 日課の呪詛師探しだ。

 

 ある程度賢い呪詛師の多くは"呪詛師狩り"を警戒して呪力を抑える技術を身に着けている。奴らは狡猾なことに一般人のふりをして、外出をしている。けどこれも技術の問題で、より詳細に、より呪力の振れ幅を見つめる事で看破出来る。

 この世の中、呪詛師はごまんと存在している。ちんけな呪詛師から、巨大な犯罪組織を立ち上げている者まで。ヤクザに力を貸す呪詛師なんてのは聞き飽きた話だし、そのヤクザの構成員が呪詛師に覚醒したなんて話も聞く。

 

「いた…」

 

 一か月前から目を付けていた呪詛師を発見する。

今はフリーランスで術師をしている都合上、一発でデカい報酬にありつけた方がいい。そう思って目標にした呪詛師は、人身売買を行っている呪詛師グループのリーダーだった。

 田中実(たなか・みのる)という名前を使用している男。

オーバーサイズの服で体格を隠しているが、服の下の身体はよく鍛錬されている。呪力も同様。よく呪力を抑え、呪力のブレも少ない。実に「私は一般人なので呪力の漏出を抑える事なんて出来ません~」という顔が出来てるけど、その内側には鋭いナイフを構えているわけだ。

 田中は取り巻きを周囲に作らない。これは呪詛師の他にも術師や呪霊にもよく見られる。「雑魚ほどよく群れる」「強者は一人で動く」。

 この男もそんな所だろう。

 

「移動したか」

 

 田中の移動に合わせて屋上を飛び移り、視界を確保し続ける。

当然、呪力で強化しつつもその呪力を抑えながら。

 相手も何か強い呪力があれば勘付く。だから追跡者も呪力は抑えなければならない。

 

 また、確保するにあたっても可能な限り人目は避けなければならない。呪詛師狩りをする僕が呪術規定を破ってしまったら話にならない。僕まで犯罪者になって追いかけられるなんて御免被る。だから可能な限り人目のつかない場所で、そして短時間で決着をつけたい。

 

 田中は朝からバーのある階段を下りていった。バーの名前は「ナイトメア」。調査の限りでは、田中は週一回程のペースでこのバーに通っているようだ。

 協力者か、あるいはアジトか。もしくはその道があるのか。しかし以前に潜入した限りではアジトとして利用するにはあまりにも普通のバーだった。

 

 一時間と数分待つと、田中が店から出てくる。そしてその数分後に既にいた客か、四人の男たちも店から出てきた。

 男たちは概ね田中と同じ道順を辿っていく。仲間か、取引相手か。田中の行く先に奴らの生業の証拠か現行現場を見つける事が出来るのだろう。

 僕はその足取りを追っていく。

 


 

 田中が足を止めたのは、とある神社だった。

有名な神社ではないが地域住民からすれば近場にいける神社としてありがたいのだろう。そこそこの人数が初詣に訪れ、鈴を鳴らし願い事に目を閉じている。

 また、この規模の神社としては珍しく感じるが露店も出ている。人口の多い東京だからだろうか。

 

 田中と仲間はこの人混みの中で合流した。何を話しているのかは分からない。距離があるため聴力の強化をしても流石に聞こえない。

 その後、彼らは散開する。後続の仲間たちも今度は一人一人行動しているのが見える。

 僕の存在が気付かれたとは思えない。何かここで行動を起こすのだろう。そのまま暫く観察していると、奴らは衆人環視の中で結界を張り始めた。

 

「巧い……」

 

 真っ先に出てきた感想は驚きや侮蔑よりも先にそれだった。

帳とは異なる、完全にこの計画のために作ってある結界──────つまり、結界効果を定義出来るだけの知識と技術を有しているという事になる。

 

「呪力を感じ取れなくなった。視覚で感じ取れるのと感覚で感じ取るので……差があるな」

 

 傍から分かる効果は「内部の呪力の非検知」。呪力を外部に漏らさないようにしている。そして奴らが結界を張った瞬間、呪力が感知出来なくなった事から、結界術の効果を先に出している事が分かる。一刻も早く現場を隠蔽して高専側の目から逃れたいのだろう。

 実際、今こうして直接監視していなかったら中で何が起きても術師にとっては後の祭りだったと思う。

 田中は結界を張った後、再び人混みに入って行った。他の四人はそのまま位置を変えない。恐らく結界の維持の担当はこの四人なのだろう。

 

「ん〜、厄介だなぁ。変に動いて逃げられるのも困るし……」

「フィルターで検出はどうだ?流石に術者レベルを全員弾くのは現実的じゃないと思うんだよな」

 

 結界には他にどのような仕様があるのだろうか。呪力を持つ存在を弾く事はしないだろう。一般人であれ呪力を持つのだからそれを弾く事は技術的に不可能だ。出来るとすれば「一定以上の呪力を持つ者」だが、そこまで行くと露骨だろう。結界の強度が相当高くなければすぐ破壊されに突入される。

 それに結界の維持を四人が担当し動かない以上、防ぐために動いてはならないのに、逃げるためには動かなければならない矛盾が出来る。強度的や侵入の可否については仕様を決めていないだろう。

 掌印も維持中は組んでいない。外から呪力を感知できない以上は、見た目で誰が誰が結界維持の係かは分からない。余計にわざと侵入を拒む必要もないわけだ。

 内から外の呪力を感知できるかは分からない。が、恐らく出来るだろう。マジックミラーみたいなものだ。これなら外から脅威が近づけばすぐに合図を送れる。

 警報代わりの効果は奴の売買対象からしてあまり考えられないだろう。そもそも騒ぎを起こしたくないし、攫う事自体は相手は子供な以上簡単なはずだから。

 

「結論としては、入ってみるしかない、と」

「戦闘用じゃなくて仕事用に組んでるようで助かったな〜、それでも面倒だけど……」

 

 ひとまずは、結界が張られたからといって呪力の隠蔽を怠らなかった自分を少し褒めてあげたい。

 

「んじゃ、こっちもそろそろ動くか」

 

 軽く準備運動をする。もちろん、神社からは目を離さないで。

 結界を張った以上、ここで何かを起こす事は間違いはない。監視を続けながら確保の動きを考える。四人と本命の田中の位置がそれぞれ離れている以上、全員を確保する事は難しいだろう。一人でも維持出来なくなれば結界が晴れる可能性も高い。その上での分散だとしたら相当頭がキレるわけだし。

 とすれば、全員を同時に確保するしかない。四人が田中並みにキレるとは考えたくないなぁ。

 

「…動いた。」

 

 田中は祭りの中で参拝中の一人の少女に声をかけた。遠目だが身長からして...小学生に入ったくらいだろうか。七、八歳くらいだろう。

 周囲の人間はその事に触れる様子はない。隣にいる両親も同様だ。

ちらりと視線を動かしてもいないだろう。少女が話しているのに目を暮れず、参拝が終わると別の場所へ歩いて行ってしまう。恐らくこれも結界の効果かな。内容でいけば一般人程度の呪力の持ち主は、田中か...あるいは呪力を持つものの動きに疑念を抱かない、といったところだろうか。

 今回確保する上ではかなり便利かもしれない。

 

 人身売買────田中が行っているのは、術師の素質がある子供の誘拐だ。ターゲットになるあの子は術師の素養があるという事だろう。ここ一か月の監視の中で田中が外で目星をつける姿は見なかった。つまり情報収集担当は別にいるわけで……はぁ、流石に今回で全てを炙り出すのは無理だよね。

 

 僕は突入のために屋上を伝い神社へと接近していく。気付かれた様子は今の所ない。

 田中はまだ少女と話している。僕は屋上から降りて徒歩で接近を試みた。

 その時だった。

 

ドゴォン!!!

 

 爆発したかのような音が、神社から聞こえた。

まだ結界の外にいる一般人は神社から雨の降る日の川のように逃げていく。僕はその流れに逆らい境内へと進む。

 一体何があったのだろうか。田中の目的は人身売買なのだから、殺傷はしないはずだ。それにこんな明らかな騒ぎになるようなことなんて……。

 


 

 俺は術師の卵を見つけては"上"に上納する仕事をしていた。報酬はかなり良い。ターゲットも上から通達されるから楽なもんだ。

 今回のターゲットは天園(あまぞの)聖華(せいか)という小学校一年のガキだ。かなり有望な術式を持っているらしく、いつもよりも更にデカい金が入るってもんで気合が入る。

 "上"がどこで有望な術式かを判断するなり知っているのかは気になる。だが俺は、術式が分かる術式持ちがいるのだと思考を放棄する。

 どうせそんな事を知った所でいい事なんてないからな。

 今回も仕事は部下を使う。結界術を仕込んだ部下。結界の効果は一か月使って入念に考えた。いつもの仕事よりも入念な効果の吟味、失敗時のプラン。当然、俺の逃走がしやすくなるようにはしてあるけど。

 

「じゃあ計画通りに。お前らちゃんとやれよ」

「「「はいッ」」」

 

 「レムナント」で集合してから、高専や呪詛師狩りを避けるため、念のために離れて移動した。目的地はここら近くの神社だ。

 ターゲットは去年一昨年もこの神社に初詣に来たらしい。時刻も大体八時から九時。

 

 神社に到着してから、早速結界を張る。仕込みは万全。結界にも異常はない、順調だ。

 試しに通行人から財布をスって認識阻害の効果が表れているのを確認する。

多少雑にやったってのにバレやしない。

 順調だ。非常に順調。

 

 次はターゲットだが、これもすぐに見つかった。

 術師の才能があるって奴は...外見が日本人離れしている奴が多い。髪色や瞳、肌の色から骨格まで典型的な日本人とは違うってこと。

 天園聖華はその例に漏れない。

黒というよりも深い水色がかった髪色。地味よりだが、まぁ分かりやすいコト。両親と仲良く手を繋いで参拝のために歩いている。俺は写真と照合し、こいつがターゲットな事を再度確認する。

 

 一家は賽銭を入れて手を叩いたり礼をする。

 ここだ。

 俺はターゲットに声をかける。

 

「もしもしお嬢ちゃん?」

「なにー?」

 

 ターゲットは振り返る。

 

「今神社でね、小さい子にお勉強って事で特別にとっても貴重なものを公開してるんだけど」

「どう、興味ないかな?」

 

 正直、結界の効果もあるから強引に連れて行ってもいいが、念には念を。人目につかない場所で確保したい。

 

「ない!お勉強嫌いー!」

 

 ダメか。なら甘いもので釣ってみるか。

 それでも断るなら気絶させるとしよう。

 

「お勉強終わったら、屋台の食べ物、何でも三つまで食べてよい券も貰えるよ?」

「何でも!?」

「うん、何でも。三つまでね」

「りんご飴と綿あめと~!」

「お父さん、お母さん、娘さん見学にいってきますね」

 

 両親の反応は穏やかなものだ。それも当然だが。

 

「パパママ、いってくるーーー!」

 

 ターゲットも呑気についてくる。

神社の地図は予め用意してある。公開されてるような適当なものじゃない、きちんと細かく作ったやつだ。ターゲットを気絶させたところで、結界内では問題ないとしても結界の外に出た瞬間が問題だ。

 だから今回の結界は、神社の駐車場まで範囲に含めてある。適当な物陰で外から見えない場所で気絶させる。その後は駐車場に待機させてある逃走車両に積み込む。後は回収場所に届けて終わり。

 簡単な仕事だ。

 

「じゃ、一旦ここで気をつけして、向こうを向いてねー」

「はーい!」

 

 そう思って、適当な物陰でターゲットの首に手をかけた所だった。

 

ドゴォン!

 

 目の前でターゲットが爆発する。

反射的に呪力で腕をガードしたお陰で両腕と泣き別れする事は避けられた。

 だが…一体何が起こって…?

 

「っ…、一体何が」

 

 目の前には、俺よりも少し高い────最低でも175cmはある女性が立っていた。ターゲットはいない…いや、こいつがターゲットだろう。そうとしか考えられないし、本当ならそう考えたくもない。というか呪力の感じからして本人だ。

自分の危機に反応して術式を使ったのかもわからないが、まず間違いなく美味い状況じゃない。

 

「きゃあーーー!!!」「逃げろ!!!」「な、なんだ爆発!?」

 

 結界の外の一般人が逃げていく。

気絶させてすぐに運ぶために駐車場近くに来ていたのも誤算だった。爆発の威力と範囲がそこそこ広かったせいで、置いておいたバンが損壊した。

 エンジンは無事だろうか。少なくとも凹みは出来てしまったから、逃走用としては使いづらくなった。

 

「あなた、敵ね?」

「一体何がどうなってやがる…」

 

 女性は俺に一言告げると。

 

「はや─────」

 

 いくら首を絞める程の距離とはいえ、一瞬で攻撃の姿勢に入り俺に拳を振りかぶっている。

 

ガンッ。

 

「ッ─────。」

 

 腕を呪力で固め拳を受ける。

 骨は折れていないが、腕が悲鳴を上げる。

 咄嗟とはいえ俺のガードが音を上げるのは異常だ。

 

「~♪、やるわね!」

 

 女性、ターゲット...いや。

 女は更に拳を振る。

 

「ふんっ!」

 

ガンッ、チッ。

 

 袖から猫手を降ろし握りながら女の拳を受け流す。返す拳でカウンターに斬りつける。

 女も猫手に気が付き避けようとしたが、掠らせはした。

 

「せいやぁっ!」

「チッ」

 

 猫手には神経毒を塗ってある…のだが、女は意に返さず蹴りつけてくる。何だこいつ熊かなんかか?

 商品を傷つけるのは好ましくないが、蹴りを受け止めながら脚に猫手で斬りつける。

 女もそれを察しているのかすぐに蹴り抜いて体勢を戻しちまうから、またしても掠って終わりだった。

 

「クソいってぇ...馬鹿みたいな力しやがって...」

 

 変身した以上代謝の変化以外にも様々な強化を得ているのかもしれない。実際この女になってからはヤバい。呪力量で言えば準一級術師並は固い。

 肉体も鍛えられたものになっているし、何よりも出力の高さが凄まじい。幸い呪力操作はお粗末だからガードは出来る。出来るが、ガードの上からとんでもない衝撃を叩きつけられる。

 

ガン、ガン。ザクッ。

 

 数十回も打ち合い、避け、切り込む。

 が。

 

ミシミシミシ....。

 

 対処が間に合わず、女の蹴りを胸部にまともに喰らっちまう。

 

「ガハッ...!」

 

メキ、バキンッ!

 

 俺は吹き飛ばされて神社の柱に激突する。激突した柱は拉げ、俺の背骨もその後に当たった後頭部も激痛を訴える。

 

 準一級術師並なんてのは前言撤回する。この女、徒手だけで一級術師レベルの力を持っている。俺も全力で相手をしなければいけない。だがこれは仕事だ。俺はこの女を拉致って届けなければいけない。じゃないと"上"に消されちまう。

 クソ、これはトンチか何かか? 殺す気でやらないと殺される上に、殺しちまったら"上"に殺される。

 

「はぁ...クソ、とんだ仕事を受けちまった...」

 

 俺は痛む頭をさすりながら内ポケットから煙草とライターを取り出し、火をつける。

 女は隙とばかりに突撃してくる。

 猪みてぇな女だ。熊みてぇなフィジカルに猪みてぇな戦い方。女は肘鉄を構えながら俺にタックルを仕掛けて来る。先ほどよりも早い速度。

 

ジジ...。

 

 煙草の先が灰となり、俺は息を吐く。

 

ブンッ。

 

 女が衝突する寸前、俺は女の顎めがけて足を蹴り上げる。

 

「待ってました!」

 

 女はそれを笑顔で躱し、言葉通りとばかりに呪力を込めた拳を俺に振りかぶった。

 当然、俺もこれくらいは躱してくるとは予想している。

 

『落花の情・載』

 

 俺は優雅に。落ち着いた所作で。煙草の灰を落とす。

 女の拳は最大出力の『落花の情』が叩き落とされる。流石に知識は元のガキのままなのだろう。驚いた顔をしている。そして顔を歪める。毒がやっと効いてきたか。

 

「ガキはおねんねだ」

 

 そのまま俺は片方の拳で女を殴りつける。

 

「...あ?」

 

 女に触れる直前、女の姿は萎む…いや、それこそ子供向けアニメの演出みたいに小さくなっていった。みるみるうちに元のガキの姿に戻って、ガキはそのまま倒れた。

 

「制限時間ありか。まぁあんなふざけた馬力だしな」

「報酬いいからって飛びつくのも反省した方がいいかな、こりゃ」

「クソ、だとしても最後の一発くらい入れたかったな、ムカつくわ」

 

 灰を新しく作って、具体と共に煙を吐き出す。

 これで一件落着…と思ったその時だった。

 

 何かが来る直感が働く。

 呪力、五感。あからさまな気配じゃない。だが、この仕事をやってるとたまに感じる「嫌な予感」ってやつ。

 その時初めて、ハッと我に返る。クソ俺は馬鹿か? この女との戦闘で周りを完全に見失ってた。

 結界が解けている(・・・・・・・・)

 

 殺意。

 

 咄嗟に身体強化を全開にして、前方に跳躍する。

 

「誰だ...!?」

 

 振り返ると、目の前には淡い桃色の長髪の少女が、俺の首目掛けて刀を横薙ぎに振っていた。

 少女は惜しいとばかりに不機嫌そうな顔をしてから俺の問いに答える。

 

「呪詛師狩りですよ、お兄さん」




転入した来た呪術師、忌部白夜の前日譚になります。
「酷く澄んだ青いソラ」を静香編、
「園に明ける」を白夜編、といった具合で分けて執筆する予定です。
時系列が同一かつ、同じ出来事を体験している場合は、それぞれの視点で描写される、
といった書き方をしてみたいなぁと思いついてやってみました。
完走できるものならしてみたいですね(白目)。

なお、呪術小説では静香編である「酷く澄んだ青いソラ」を優先して執筆します。
他のキャラの視点の小説は外伝といった形で、気が向いた時に執筆する予定です。
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