The Another World Online ー召喚術師さんののVRMMО活動記ー 作:瓶詰め蜂蜜
窓から入り込む夏の暑い日差しを明かりに、部屋を冷まそうと唸るクーラーと騒がしい蝉の大合唱をBGMにし、小学生の頃から使用している学習デスクに置いたPCの画面を瞬きを忘れてしまう程にPCのメール通知を凝視し続ける。
「……っ!?うおっしゃあっ!!
ピコンとメールが届いた報せを見るやいなや直ぐ様新着のメールを開き、件名の横に書かれていた、『The Another World Online 当選者各位』の文字を見た瞬間、雄叫びを上げてしまった。
ドンッ!
『うっさいんだけど!』
「ごめんなさい!」
腹立たしそうに壁を殴りつける音とともに聞こえてきた妹の怒声に、反射で謝罪しつつも、当選の2文字に顔のニヤケが止まらなかった。
βテストの時点で凄まじい自由度と圧倒的なリアリティで話題を呼んだ、VRMMОRPG『The Another World Online』、通称:
そして、僕
因みに、同じく応募していた妹は残念ながら落選していたようで、メールが届いた時のあの壁ドンは、その不満を晴らす八つ当たりも兼ねての壁ドンだったらしい。当選した事を母親に伝えた時になまはげも斯くやの形相で妹に睨みつけられたのは、怖かった。
数日後。しっかりとネット経由でお小遣いから捻出したソフトの代金を振り込み、今日ついにTAWOのソフトが僕の下へと届いた。
妹に「ソフトを譲って♡」と擦り寄られていたが、母から「そんなみっともない真似止めなさい」と叱られてからは妬ましそうに見られるだけだった。
ここ数日の妹の残念行動を思い返しながら、ゲームのハードであるVRヘッドギア、『コネクト』にソフトを入れて頭に被りベッドに横たわる。
「コネクト、スタート」
目を閉じて起動コマンドを口にすると、僕の意識を電脳空間へと転送される時特有のなんとも言えない浮遊感を感じたのだった。
《ようこそ。The Another World Onlineの世界へ》
真白い空間の中、眼の前に浮かぶウインドウに書かれたその一文を見ると、僕の心はとてもワクワクし始めた。
ウインドウを触ると表示が切り替わり、五十音表記のキーボードが表示される。まずはプレイヤーネームを決めるのだ。
僕は迷わず普段使っている名前の『ケンシン』と入力すると、どうやらまだこの名前を使っている人はいないようで、問題なく認証された。
続いて、キャラメイク画面へと移る。
「流石はTAWO。前評判に違わぬ自由度だ」
キャラの容姿を弄る画面で提示された、軽く3桁を超える髪型パーツの数々、多分カラーも合わせると髪型を弄るだけでも1000を超える選択肢があるのでは無いだろうか?
髪型パーツや髪色をざっと流し見しながら、適当に選んだ髪型パーツは少しだけボリューミーな、グランジジェンツツーブロックかきあげリバースパーマショートとかいうものに決めた。
髪の色は
顔のパーツはわざわざカッコよく作るのも恥ずかしいので、僕の生体データからモデリングされた、デフォルトのままの顔を使う。なんか女性的にも見える中性的な顔立ちだが整ってるのでヨシ!
瞳の色は顔立ちと髪色に合っていそうな空色に決め、そばかすなどのオプションは付けずに決定する。
身長や性別に関しては、現実との差異とかなんとかで変えられないのでアバターのメイキングはこれで完了である。
「次は初期ステータスか」
TAWOのステータス設定では最初に100のステータスポイントをそれぞれのステータスに割り振り、初期に覚えるスキルを5つ、選択出来る。
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RACE:人類種
JOB:冒険者Lv.1
ステータス
HP:10/10
MP:10/10
STR:1
VIT:1
AGI:1
INT:1
MND:1
DEX:1
LUK:1
CHA:1
◀1/3▶
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
初期のステータスポイントはここで割り振り終わらないと消失してしまうので、しっかりと割り振らなければならない。HP、MPはステータスポイント1に対して10。他のステータス値はステータスポイント1に対して1増えるようで、ざっと設定してみる。
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RACE:人類種
JOB:冒険者Lv.1
ステータス
HP:60/60
MP:10/10
STR:12
VIT:12
AGI:15
INT:13
MND:13
DEX:11
LUK:16
CHA:11
◀1/3▶
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ステータスポイントはLv.が1上がる事に貰えるらしいので、取りあえずはこれで良いだろう。
続いて、初期スキルを5つ選ぶ。スキル欄を開いてみれば、『直剣使い』『短剣使い』『大剣使い』『槍使い』『杖使い』『棒使い』『棍使い』などなど、ズラッ……と大量のスキル名が並び、目が滑りそうになってしまう。
まず最初に選択したのは、『剣使い』。やはり男の子は剣を使いたくなるものである。
次に『無魔法』スキル。属性無しの魔法系スキルである。属性がないので特殊効果などはないが、シンプルで使いやすいだろうと思い、これを選んだ。
続いて『握力』。握る力を強化するスキルで、これを選んでおけば武器を取り落とす事を防げるのでは?と考えて選んだ。
そして『錬金術』。生産系のスキルも持っていたら便利だと思い選択。
最後に選んだのは『気配察知』。不意打ちなどを防げるのではと思い選んだ。
ステータス表の下に表示された《決定》の文字を押すと、『これでいいですか?』と確認のメッセージと《OK》《NO》の選択肢が。
もちろんステータスを振り終わっているので、《OK》の文字を押す。
『それでは、私達の世界をお楽しみください。良い旅を』
そんなメッセージを贈られたあと、視界が真っ白な光に包まれた。