ドーモ。ヴィランスレイヤーです。これはニンジャが来てヴィランを討つ物語。   作:白白明け

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最終種目①

 

第二種目、騎馬戦が終わった。結果は1位フジキドチーム。2位轟チーム。3位爆豪チーム。4位緑谷チーム。

以上の4組が最終種目へ進む。最終種目は昼休憩を挟んでから行われる。

 

昼休憩。

中庭の木の上に灰色髪の少年が居た。コジュウタだ。コジュウタは枝に腰掛け、なにかを食べていた。寿司(スシ)だ。寿司(スシ)を食べている。寿司(スシ)を補給している。

コジュウタは考える。「第1種目、第2種目ともに1位。マスターは見ていてくれただろうか」

遠い異国の地にいる師匠(マスター)、ニンジャスレイヤーに思いを馳せる。彼は滅多に人を褒めない。自他共に厳しい人なのだ。しかし、それでもコジュウタがなにかを成し遂げた時、頭を撫でてくれた。コジュウタはそれがたまらなく嬉しかった。

 

「コジュウター!」コジュウタを呼ぶ声がする。ポニーだ。ポニーが木の下で手を振っている。

コジュウタは最後の寿司(スシ)を口に放り込み、手を合せてから飛び降りる。

「ドーモ。ポニー=サン。なにか用事ですか?」

ポニーは言う。「姿が見えないから探していました!そろそろレクリエーションの時間デース。・・・もしかして、精神シューチュー?邪魔した?ヤバいね」

シュンとしたポニーにコジュウタは首を振る。「ダイジョブです。行きましょう」「ハーイ!」

ポニーはコジュウタの腕に自然に身を寄せる。その豊満な胸をコジュウタの腕にさりげなく押しつけながら、上目遣いでコジュウタを見る。しかし、コジュウタからの反応はない。

コジュウタの目は前をジッと見ていた。ポニーも釣られて前を見る。そこには爆発頭のヤンキーが居た。爆豪勝己だ。2人の様子に苛立って居る様子だ。

コジュウタが手を合せて挨拶(アイサツ)

「ドーモ。爆豪=サン」

爆豪勝己が舌打ちをする。

「チッ、乳繰り合いやがって。随分余裕だな。似非ニンジャ」

挨拶(アイサツ)を返さない爆豪勝己の不遜な態度!

神聖な挨拶(アイサツ)を顧みない悪童的姿勢にコジュウタの目は細まる。

 

両者は互いに激しい嫌悪感を抱き合った!

 

爆豪勝己が言う。「雄英体育祭の最終種目は例年、サシでの勝負だ。そこで俺はテメェを殺す。覚悟しておけ」

コジュウタが返す。「宣戦布告は2度目。・・・暇カ?」「アァン?喧嘩売ってんのかテメェ!」

コジュウタは取り合わず「ヤンナルネ」ポニーの肩を抱いて歩き出す。

爆豪勝己が横を通り過ぎるコジュウタの肩を掴む。「待てやッ!」コジュウタがその手を払う。「ブッタも怒る」

一触即発の両者を止めたのは、レクリエーションの時間になっても現れ無い3人を探しに来た教師、B組担任教師のブラドキングだった。

 

「お前たちなにをしている!」

 

ブラドキングは睨み合うコジュウタと爆豪勝己。そして、オロオロしているポニーを見てある程度の状況を察し、筋肉質で大柄な身体を間に割り込ませた。

「レクリエーションの時間だ。最終種目の発表もある。さっさとスタジアムに向かうぞ」「・・・ウッス」「アッハイ」

爆豪勝己が1人で先に行く。コジュウタが離れて歩き出す。

ブラドキングはポニーと歩幅を合せながら問う。「何があった?」「・・・コジュウタは悪くないデース。Crazy boy(クレイジーボーイ)が急に喧嘩を売って来ました。彼、ヤバいね」

ブラドキングは「コジュウタが挑発に乗ったのか」と意外に思う。

コジュウタはB組で1番の問題児である物間寧人に喧嘩越しでこられても、いつの間に友人になっている。年齢よりもずっと大人びた少年。ブラドキングはコジュウタの事をそんな生徒だと思っていた。

ポニーが言う。「コジュウタは挨拶の蔑ろを嫌いマース」「挨拶を無視された、か」

ブラドキングは「それだけのことで」とは言わなかった。代わりに去りゆくコジュウタの背中を見る。

ブラドキング(自分)が付いているとはいえ、ポニーを残して先に行く。()()()()()()()()

ブラドキングは言う。「アイツは思うよりずっと、ナニカを胸の内に秘めているのかもしれないな。角取、アイツを見てやってくれるか」

ポニーが力強く頷く。「モチロンデース」

 

 

 

 

忍者(ニンジャ)を知らぬ者は知らぬもの。挨拶(アイサツ)とは、自分を殺すであろう相手の勲し(イサオシ)を想い、あるいは死に()く相手へ自分が誰に殺されるかを手向(たむ)けとすべく、手を止めて自分が何者であるかを明かす、極めて奥ゆかしく神聖不可侵な儀式なのである。

聡明な読者諸君は既にお気づきだろう。

コジュウタのアトモスフィアが爆豪勝己のアトモスフィアを感じ取り、深層意識の中で彼が自分を殺し(倒し)得る敵手として見ていたのだ。

だからこその態度。つまりは殺伐(サツバツ)

 

 

 

 

 

最終種目は進出4組、総勢16名によるトーナメント形式の1対1のガチバトルとなった。

司会のミッドナイトがくじ引きの箱を手に言う。

「組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります!レクに関して進出16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。息抜きしたい人も温存したい人も・・・」

 

ミッドナイトの説明を聞き流している灰色髪の少年が居た。コジュウタである。コジュウタの視線は司会のミッドナイトではなく、A組の女子たちに向けられていた。A組の女子たちは何故かチアガールの衣装を着ている。実際カワイイヤッター。

コジュウタは隣に居る回原旋に訪ねる。「旋=サン。A組の皆さんは、どうしてチアを?」「わかんないけど・・・」

回原旋は爽やかに笑う。「可愛いな」「実際カワイイヤッター」

 

「そこの男子2人!」

 

2人が顔を上げるとミッドナイトが立っていた。「可愛い女子に盛り上がるのは青春っぽくていいけど、くじ引きは1位チームから順によ。早く引いて頂戴」

2人はミッドナイトの注意に顔を赤くした。「ごめんなさい」「スミマセン」

スタジアムにクスクスと小さな笑い声が広がる。

 

くじ引きが行われ、トーナメントの組み合わせが決まった。

 

 

☆トーナメント表

 

【挿絵表示】

 

 

 

回原旋が大画面に写し出されたトーナメント表を見ながら言う。「ブロックが離れたから、コジュウタと当たるとしたら決勝か。戦闘訓練のリベンジ、果たさせて貰うから覚悟しておけよ」

同じ宣戦布告にして、なぜ爆豪勝己と回原旋ではこうも違うのか。考えて、コジュウタは爆豪勝己()は人類と反りが合わないのだろうという結論に至る。

コジュウタは回原旋に拳を突き出す。「決勝で待つ」

回原旋が拳を合わせた。「応っ」良い笑顔だ。実際イケメンである。

それを見ていたミッドナイトはサムズアップ。「青春(アオハル)ね!」

 

トーナメントの組み合わせも決まり、実況のプレゼント・マイクからのアナウンスが流れる。

〈それじゃあトーナメントはひとまず置いといて、イッツ(つか)()。楽しく遊ぶぞレクリエーション!〉

 

レクリエーションには自由参加である最終種目参加者は思い思いの時間を過ごす。

 

戦いに向けて準備を行う者。

休憩室でナニカを爆食いする鉄哲徹鐵に物間寧人が訪ねる。

「鉄哲。何食べているんだい?」「鉄分サプリ」

 

神経を研ぎ澄ます者。

姿を消した心繰人使をクラスメイト達は探し回っていた。心繰人使は1人、精神を集中させている。

「・・・」「心繰―!居ねぇな。普通科からのトーナメント出場なんて快挙だし、クラスで祝おうと思ったのに」「ねー」

 

緊張を解きほぐそうとする者。

やけくそで始まったA組のチアを見るコジュウタと回原旋。そこにやって来たポニーは声をかける。

「コジュウタ。マッサージしてあげマース。リラクゼーション!」「旋=サンとA組のチアを見るので良いです」「あ、馬鹿」「Why(ナンデ)two-timer(浮気もの)‼」「旋=サンがどうしてもと・・・」「オレを巻き込まないで・・・」

 

それぞれの思いを胸に、あっという間に時が来た。

 

 

 

 

 

プレゼント・マイクの実況が響く。

〈ヘイガイズアァユゥレディ⁉色々やってきましたが‼結局これだぜガチンコ勝負‼頼れるのは己のみ!ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ!わかるよな‼心技体に知恵知識‼総動員して駆け上がれ‼〉

 

最終種目(トーナメント)開幕!

 

最終種目(トーナメント)、第1試合。

第1種目2位通過。第2種目も4位で通過。好成績の割に地味目な顔!

ヒーロー科1年A組。緑谷出久(みどりやいずく)

VS

第2種目1位通過、B組チームのまさかの伏兵。まさかの普通科!

普通科1年C組。心繰人使(しんそうひとし)

 

開始‼

 

開始直後、心繰人使がまずは挨拶(アイサツ)。「どーも。心繰人使です」

緑谷出久は挨拶(アイサツ)を返さない。失礼(シツレイ)だ。

心繰人使は言う。「何だよ。普通科とは口も聞けないってか?」「・・・(フルフル)」

緑谷出久は首を横に振るに止め、構えた。もし緑谷出久が返事をすれば、勝負は終わっていた。

 

心繰人使の個性は『洗脳』。彼の問いかけに答えた者は洗脳スイッチが入り、彼の言いなりになってしまう。彼の意志によりスイッチのオンオフが可能。初見殺しの強力な個性だ!実際スゴい!

 

心繰人使は余裕を装いながら、内心で舌打ちをした。「なんだよ。やっぱりバレてんのか」

第二種目のラスト。緑谷出久は心繰人使の洗脳に掛かっている。緑谷出久からすれば気が付けば勝負が終わっていた状態だった。そこから『洗脳』という個性を導き出し、返事が洗脳のスイッチだと考察した緑谷出久の個性への理解度は流石と言えた。

個性『洗脳』は強力だ。しかし、種が割れてしまえば対処は容易い。無視し続ければ良い。

ジリジリと迫ってくる緑谷出久に心繰人使は言う。

「おれの個性。おまえはどう思うよ」

緑谷出久は答えない。警戒しつつ距離を詰める。

「犯罪者。(ヴィラン)向きだって、思うよな。そういう世の中、仕方のないことだよな」

緑谷出久は答えない。警戒しつつ距離を詰める。

「でもさ、憧れたんだ。誰もが憧れるヒーローに、なりたくて、なれなくて!」

緑谷出久は答えない。警戒しつつ距離を詰める。

「こんな個性のおかげでスタートから遅れちまったよ!恵まれた人間にはわからないだろう!おあつらえ向きの個性に生まれて、望む場所に行ける奴らにはよぉ!」

緑谷出久は歯を食いしばり答えない。既に手の届く距離にいた。

緑谷出久が心繰人使に掴みかかる。

心繰人使が振り払う。「おれには個性を使う必要もないってか!馬鹿にしてんだろおれのこと!」

緑谷出久は尚も心繰人使に掴みかかる。

心繰人使が殴る。「なんか言えよ!」

緑谷出久は「・・・ッ」尚も心繰人使に掴みかかる。そのまま場外に押し出す気だ!

 

ガチンコ勝負のルールは簡単。相手を場外に落とすか行動不能にする。

あるいは「まいった」と言わせることが出来れば勝ち。

 

殴っても止まらない緑谷出久に圧され始めた心繰人使は逆に彼を場外に出してやろうと組む。土俵際でのがっぷり四つだ!

心繰人使が叫ぶ。「おまえが出ろよ!」

緑谷出久が吠えた。「ぁああ‼」

土俵際での押し出し合い。雄英体育祭の最終種目にしてはあまりにも地味な戦いにスタジアムの観客たちが困惑する中で、心繰人使の耳に声援が届く。

回原旋が叫ぶ。「心繰!押し負けんな!」

鉄哲徹鐵が叫ぶ。「心繰ォ!アゴだアゴォ‼」

コジュウタが叫ぶ。「心繰=サン!ドッソイオラー!」

 

心繰人使の頭突き(ヘッドバット)!緑谷出久を僅かに押し返す!

心繰人使は言う。「あの人たちがここまで連れてきてくれたんだ!負けられ、ねぇよ。おれは勝って!コジュウタさん(あの人)と・・・戦う!」

緑谷出久は言いたかった。(僕もだよ。僕も恵まれた。人に恵まれた!だから、負けられないんだ!)

言えなかった。だから、代わりに叫んだ。「んぬああああああ‼」業前(ワザマエ)

それは見事な一本(イポン)背負いであった。

 

審判を務めるミッドナイトの声が響く。

「心繰くん場外!緑谷くん、二回戦進出!」

 

 

 

 

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