ドーモ。ヴィランスレイヤーです。これはニンジャが来てヴィランを討つ物語。 作:白白明け
アンケート結果により、主人公の職場体験先はエッジショット=サンの元になりました。ただB組と同じく情報が少ないので、オリジナル展開が続くと思います。キャラ崩壊もあるかも知れません。それでも大丈夫な方のみ、お進みください。
少しでも皆様の暇つぶしになれば幸いです(^^)
紺と赤のニンジャ装束に身を包んだ1人の男が、ビルの屋上から夜の歓楽街を見下ろしていた。天頂には暗雲が渦巻き、時折、細い雷光が走った。東には徐々に顔を出し始めた太陽の光。
新宿歌舞伎町。欲望渦巻くこの地にて、夜明けを迎える男の名は
エッジショットの手には
エッジショットがオリガミ・メールを開いた。毛筆でしたためられた手紙を読み、彼は思案する。
[
礼儀正しい文章には[
手紙の差出人は[ニンジャスレイヤー]。以前、エッジショットが渡米した際に出会ったアメリカのニンジャヒーローだ。
「同胞の頼み。無碍にはできない」エッジショットはオリガミ・メールを四角く畳み、懐にしまい込んだ。
空が明るくなっていた。オレンジ色に滴る朝日が、ビルの間からゆっくりと昇ってきつつあった。朝の光が夜の闇を照らす前に、エッジショットの姿は一瞬のうちに消え失せていた。
職場体験当日。
新幹線が乗り入れるターミナル駅にて、地方に向かう友人たちを送り出す灰色髪の少年がいた。コジュウタである。
B組の担任教師、ブラドキングが言う。「皆、コスチュームは持ったな。わかっていると思うが、コスチュームを着て良いのはプロヒーローの引率時のみ。落としたりもするなよ」
「「「はーい(ッス)」」」B組生徒たちの元気の良い返事。
ブラドキングは満足げに頷く。「くれぐれも失礼のないようにな!気をつけて行ってこい!」
コジュウタはブラドキングの隣で手を振る。「オタッシャデー」彼の職場体験先は東京だ。地方に向かう生徒たちとは違い新幹線に乗る必要はない。お見送りである。
「コジュウタッ!」ポニーがコジュウタの手を取る。「お別れは寂しいデース」
コジュウタのホームステイ先がポニーの実家なので、雄英入学後から2人が離ればなれになることはなかった。不安を感じているポニーを子供のように思いながら、コジュウタは言う。「ダイジョブダッテ!」サムズアップッ!
ポニーは頬を膨らませる。「少しは寂しがって!」「アイエエ・・・」「あと、体験先で無闇に女の子に優しくしちゃダメデース!ワカッタ‼」「アッハイ」「あと、一日三回はラインすること!ワカッタ‼」「・・・アッハイ」「あと、夜は通話すること!寝ちゃってもOKデース!ワカッタ⁉」「・・・・・・アッハイ」「あと、それから―――
回原旋がポニーに詰め寄られるコジュウタを見て苦笑い。「大変そうだな」
鉄哲徹鐵が言う。「焦ってんだァ。体育祭以降、コジュウタの奴ァモテてっからなァ」「そうなのか?」「アァ、この前は普通科の奴に呼び出されてたぜェ」「まあ、コジュウタは格好いいからな」
「よくないよね」男子2人の会話に入って来たのは拳藤一佳だ。腕を組んでいる。拳藤一佳の横には小森希乃子と塩崎茨もいる。2人も腕を組んでいる。
女子3人は厳しい視線をコジュウタに向けていた。「ポニーがいるのに、ああいうのはよくない」「だめキノコだよね」「浮気は罪です」
回原旋が友人のフォローに回る。「告白だって、断っただろうしコジュウタは悪くないだろ」
しかし、効果はないようだ・・・。「悪い」「だめ」「罪です」「アイエエ・・・」
小森希乃子が言う。「ああいう態度がだめキノコ。ああいう真面目に見えて少し抜けている不思議系男の子は“私は彼を理解してあげられる”って女の子を勘違いさせるノコ」「それな」「罪ですね」「アイエエ・・・やっぱりコジュウタは悪くないだろ・・・」
鉄哲徹鐵が回原旋の肩を叩く。そして、首を振る。「やぶ蛇だァ。止めとけェ」的確な状況判断。実際、恋バナでの勝率はゼロだ。
「女子は怖いな」回原旋が言う。鉄哲徹鐵は否定も同意もしなかった。
回原旋の肩が再び叩かれる。
回原旋の態度は素っ気ない。
こうしてB組の職場体験が始まった。
コジュウタは在来線を乗り継いで東京へとやってきた。そして、山手線を逆走して新宿へ向かった。実際
新宿の歓楽街。この区画には飲み屋や
「アイエエ」
「・・・」だが、それはコジュウタだから、怖くないだけだ。
路地裏。人気のない場所で少女が男に殴られようとしていた。唾を吐き散らしながら怒鳴る声。タンクトップと筋肉質な肩。男の前にいる少女は震えている。「2万ッ!2万ッ!」「・・・私は、そういうんじゃないので」「3万ッ!3万ッ!」「・・・だから」「コラーッ!俺に恥かかせようってか?そうは行くかよ!いいから来いよ!」少女に伸びる毛むくじゃらの腕!「やめてくださいッ!「はげしく前後ッ。はげしく前後ッ」卑猥な言葉をわめきちらす男は明らかに正気ではない。
「やめてよ!」抵抗する少女の頬を、男はいきなり拳で殴りつけた。「ザッケンナコラー!」ヤクザ・
これはもう
震えているのか少女はヒーローを呼べずにいた。「アイエエ・・・」
大きな事故や大暴れする
歓楽街での暴力沙汰など、
男が少女に覆いかぶさるために近づく。
「3万ではげしく前後ッ」激しく卑猥な言葉!
ヒーローはまだ来ない。
「ドーモ。ヨタモノ=サン」「ハァッ⁉」
代わりにニンジャが来た。
少女と男の間にいつの間にかマスクをした灰色髪の少年が立っていた。
男が驚き、後ろに下がる。「誰だ‼」
灰色髪の少年は両手を合せて挨拶。「ドーモ。コジュウ・・・いえ、通りがかりの親切な人です」
男が少年を見る。突然現われたことには驚いたが、背格好からして子供だ。男は舌打ちをしながら、少年に詰め寄った。「ガキがなんでこんな所にいる。どっかいけ。そこの立ちんぼは俺が買ったんだ」
少年が少女に尋ねる。「そうなんですか?」「違います」少女は力いっぱい否定した。
「チガウって」「ザッケンナコラー!」男が少年の眼前で唾を吐き散らしながら怒鳴る。
少年は溜息を吐いた。「ヤンナルネ。イヤーッ!」「アバーッ!」
勢いよく放たれた拳が、男の
「ザッケンナコ」「イヤーッ!」「アバーッ!」少年の右ストレートが男の顔面に叩きこまれた!
男は後ろに吹き飛び、[
少女は突然のことに目を白黒させ
「あなたは、誰ですか?」「親切な人です」ヒーローは来なかった。代わりに親切な人が来た。
男はよろよろと立ち上がる。「ふざけやがって・・・俺を舐めんじゃねぇコラー!」出血した歯茎を剥き出しにして凄んだ。少年は十分に手加減をしていた。少年のカラテパンチ力そのままに殴りつけられていた場合、男は顔面が陥没していただろう。それを知らぬ男は「殺してやる。お前は殺して、女は前後だ。画像をネットにばら撒いてやる!」大股で近づいていく。
その身体が徐々に大きくなっている。男の個性『増長』による身体強化だ!男の身長は3mを越えた!
少女が少年の服の裾を掴んだ。少年は再度、男に
男は再度、後ろに吹き飛び、壁に激突。[
男の体躯はすでに縮んでいる。痛みにより個性が解除されたのだ。
少年は男のタンクトップを掴んで立ち上がらせる。「マイコは好きか?」「は、ハァ?」少年のパンチ!「イヤーッ!」「アバーッ!」
少年はタンクトップを掴んで男を引き寄せる。「マイコは好きか?」「す、好きです」「イヤーッ!」「アバーッ!」少年のパンチ!
少年は言う。「オレの母はマイコだった。時々、頬を腫らして帰って来ることがあった。今思えば、オマエのような輩に殴られていたのだろう」「お、俺には関係な」「イヤーッ!」「アバーッ!」「イヤーッ!」「アバーッ!ご、ごめんなさい」「イヤーッ!」「アバーッ!ゆ、許してぇ」
少年は男のタンクトップから手を離す。「行け」十分に手加減をしているので男は歩いて帰れる。満身創痍となった男が
少女も少年と同じようにマスクをしていたので、表情は窺えないが、怯えているのだろう。少年は身体を震わせる少女を落ち着かせる為に背中を優しく叩いた。「ダイジョブダッテ」「・・・こ、・・・こ」「怖かった?」「・・・かっこ、・・・かっこ」「
少女が顔を上げて満面の笑みで言った。「かっこよかったのです‼すごいパンチ!かっこよかったです‼」
少女が少年の右手を両手で撫でる。男を殴った右手には血がベットリと付いていたが、少女に気にした様子はない。「血がねぇ。ドバッと出ててねぇ。キレーだねぇ。すごいよねぇ」
少年は若干引いた。「アイエエ・・・」しかし、少女に男に襲われたトラウマが刻まれなかったことは良いことだ。親切な少年のカラテパンチが少女を救ったのだ。
少女は血塗れの拳をまだ撫でている。「君の血じゃないのが残念」「・・・もうイイ?」「あっ、うん」
少女は少年の手を離し、ニッコリと笑った。マスクで顔を隠しているが、美少女なのはわかる。腫れぼったい目が可愛いなと少年は思った。
―――「無闇に女の子に優しくしちゃダメデース!」。ポニーの声がした気がした。
少年は
立ち去ろうとする少年を少女は必死に引き留めるが、少年の意志は固い。
少女は引き留めることを諦めて、せめてもの繋がりを少年に求めた。
「じゃあ、名前だけ!名前だけ教えてください!私の名前は―――」
少女は出かけた言葉を、飲み込んで何故か少しだけ寂しそうに言った。
「―――
「ドーモ。被我トミコさん。オレの名前は―――コタロー・モリタです」
少年は嘘を吐いた。少女を助ける為に男をボコボコにしたのは実際正当防衛。だが、少年の立場での暴力沙汰は面倒事に繋がるかも知れないからだ。偽名は
被我トミコは笑った。「コタローくん。カァイイ名前だねぇ」
その笑顔にコタロー(偽)は罪悪感を覚えた。
「では、オタッシャデー」「うん!バイバイ!コタローくん!」
罪悪感を抱えたまま、コタロー(偽)は路地裏を後にするのだった。
「ボロボロじゃないのに血の香りがする人。コタローくん。エヘヘ。カァイイ名前。血塗れのコタローくんが見たいなぁ。そうしたらきっと、また、好きになる。コタローくん。また会おうねえ」