ドーモ。ヴィランスレイヤーです。これはニンジャが来てヴィランを討つ物語。   作:白白明け

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書いている内に長くなってしまった・・・。
分割して投稿させて頂きます。

感想・評価をくれる方々。ありがとうございます!
誤字脱字報告をくださる方々、本当に助かっています!

今後も皆様の暇つぶしになれば幸いですm(_ _)m




期末試験①

 

雄英高校。

職場体験終了直後のヒーロー基礎学にて、運動場γ(ガンマ)を駆け抜ける青黒い風と化したニンジャがいた。コジュウタである。

「イヤーッ!」コジュウタは複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く密集工場地帯を駆け抜けているッ‼個性により重力に囚われない動きでの疾走はハヤイ‼

 

授業を担当するオールマイトは、キリンめいた建設用クレーンの先端でその様子を上から見下ろしていた。

今回の授業内容は救助訓練レースだ。

B組生徒20名を5人4組に分けた組の中で、誰がいち早く、救難信号を出したオールマイトを救助できるかという競争。

オールマイトはコジュウタの組にB組でも機動力に優れる生徒たちを集めていた。

そうしなければこの授業がコジュウタの独壇場になることが分かりきっていたからこその決断的な判断。

骨抜(ほねぬき)少年。宍田(ししだ)少年。黒色(くろいろ)少年。鎌切(かまきり)少年。皆、悪くない動きをしているが・・・コジュウタ少年が速すぎるね」

 

 

 

骨抜(ほねぬき)柔造(じゅうぞう)は個性『柔化』で柔らかくした地面の中をスイマーめいて泳ぎ地上の障害物を無視して最短距離で進む!しかし、その頭上をコジュウタが飛び越えて行った!「イヤーッ!」

飛び越えながら、コジュウタは骨抜柔造を挑発ッ!

 

「“地面を這いずる虫に、イーグルの思考は理解できん”!」失礼(シツレイ)だ!

 

「この野郎ッ‼」骨抜柔造は口角を上げながら、クロールの速度を上げる!

コジュウタの態度には勿論、理由がある。

レース開始前、骨抜柔造を含めた4人はコジュウタに親指と中指と薬指をくっつけて前に押し出し、同時に人差し指と小指を立てるハンドサインを向けた。

キツネ・サインだ。これは中指を立てるより奥ゆかしい表現であるが、敵対と威嚇を意味する実際攻撃的なサインだ。クラスメイトたちに教えたのはコジュウタ本人である。

5人は友だち。しかし、此所はヒーロー科の最高峰、雄英である!たとえ友だろうと常日頃から切磋琢磨しあうライバルでもあるのだ!

コジュウタは4人からのキツネ・サインを挑戦と受け取った!

ならば、全力で迎え討たねば失礼(シツレイ)

 

 

 

「イヤーッ!」コジュウタは宍田(ししだ)獣郎太(じゅうろうた)の横を併走。個性『ビースト』により巨大化し、4足歩行で爆走する巨獣めいた彼を追い越すッ!ハヤイ!

追い越しながらコジュウタは宍田獣郎太を挑発ッ!

 

「“詮索好きの犬は警棒で殴られる”!」

 

「アオーン!悔しいですぞオォォ!」宍田獣郎太は咆吼しながら速度を上げる!

 

 

 

「イヤーッ!」コジュウタは黒色(くろいろ)支配(しはい)が個性『黒』により溶け込んでいるパイプを踏みつけて跳躍ッ!陰の中を進んでいた黒色支配は悔しげにコジュウタを見上げる!タカイ!

踏みつけながらコジュウタは黒色支配を挑発ッ!

 

「“井戸の中の闇を覗きすぎると落ちる”ッ!」

 

「やっぱ。やるなぁ」黒色支配は潜む影を次々に変えながら追う!

 

 

 

「イヤーッ!」コジュウタは鎌切(かまきり)(とがる)がカマキリめいた動きで工業地帯を駆け抜けるのをハチドリめいた動きで追い越すッ!食物連鎖を彷彿とさせる速度の差!ハヤイ!

パルクールめいた動きでコジュウタは鎌切尖を挑発ッ!

 

「“キョートは時間の流れが遅い!”」

 

「なんかムカつく!」鎌切尖はコジュウタの軌道に追いすがろうと飛ぶ!

 

 

 

「イヤーッ!」4人を追い越したコジュウタは体操選手めいた動きでオールマイトの目の前に着地!タツジン!

「おめでとう!」オールマイトは『助けてくれてありがとう』と書かれたタスキをコジュウタにかける。

「ドーモ。こちらこそアリガトウございます」コジュウタはタスキを受け取って奥ゆかしくお辞儀(オジギ)。そして、威風堂々と叫んだ。「ゴウランガッ‼」

 

 

 

 

 

―――と、言うのが今日の授業内容だったね」

放課後、職員室にてオールマイトは今日の授業内容を振り返っていた。そこにはB組担任教師のブラドキングもいた。

2人の手にはバインダーがあり、B組生徒たちの現時点での評価が細かく書かれている。

大の大人2人が膝をつき合わせて考えているのは、6月の最終週に行われる期末テストでの演習試験のチーム決めである。

ブラドキングは思い悩む。「期末テストの演習試験ではそれぞれの生徒にあった()()を当てねばならん」

例年、期末テストの演習試験はロボを相手にした戦闘だったが、今日(こんにち)(ヴィラン)活性化に伴いロボとの戦闘訓練は実践的ではないと判断し、雄英は決断的に方針転換。対人戦闘・活動を見据えたより実践に近い教えを重視することとなった。

期末テストの演習試験の内容は生徒2人1組(チームアップ)での教師1人との戦闘だ。

 

「オールマイト。実際どう思う?」ブラドキングの悩みの種はコジュウタだ。

コジュウタは優等生。普段は教師を悩ませることなどほとんどないのだが、今回ばかりはその優秀さが悩みの種となっていた。

No.1ヒーローながら新人教師オールマイトはアンチョコを手に応える。「そうだね。コジュウタ少年はA組の蛙吹少女と同じような課題らしい課題のない優等生。それなら組んだ相手の“弱点”をサポート出来るかを判断材料にするべきなんだろうけど・・・あの子、力業でなんとかしちゃう感じあるよね」「空手、か」「うん。空手で」

 

“「イヤーッ!」”カラテ。シャウトを叫びながら、()()()()()()()()も勝手に解決してしまうコジュウタの姿を思い浮かべて、2人はなんともいえない表情を浮かべた。

 

「それでは組んだ相手の成長に繋がらん」「HAHAHA、そうだね。いっそのこと、コジュウタ少年だけ1人で戦わせるワケには・・・」「ダメだ。生徒1人を特別扱いなど出来ない」「だよね。どーしよっか」

 

大の大人2人が悩む姿は端から見れば面白かったが、本人達は真剣だ。

「やっぱり私が相手をしよう」オールマイトが力こぶを作る。「パワーにはパワーさ。私がコジュウタ少年諸共組んだ生徒を押さえ込む」

ブラドキングはやはりそれが最適かと頷く。日本No.1ヒーロー、オールマイトには()()()()がある。雄英教師陣はその秘密を共有している。だから、あまり無理はさせたくなかったのだが仕方ないと、そんな表情をしていた。

それを察したオールマイトは笑う。「HAHAHA。有精卵の未来の為、此所は無理をする場面だ。大丈夫。無理をし過ぎないようにはするさ」

ブラドキングは再び頷く。「まかせた」「まかされたよ」

 

「後は組ませる相手だけど、どーしよっか」「それならば1人、適役がいる」

ブラドキングが示したのは意外な名前だった。

 

 

 

 

 

ある日の放課後。

ポニーは教室で第2回決断的女子集会(ガールズトーク)を開催していた。

参加者は以前も参加していた拳藤一佳、取蔭切奈(とかげせつな)にくわえて小大(こだい)(ゆい)(やなぎ)レイ子。以前参加していた小森希乃子と塩崎茨は家の用事で欠席だ。

主催者であるポニーが頬を膨らませながら言った。「職場体験が終わってから、コジュウタの様子がおかしいデース」

「聞かせて」拳藤一佳は腕を組んでいた。取蔭切奈も腕を組んでニヤニヤとしている。初参加の2人も取りあえず同じ姿勢をしている。

決断的女子集会(ガールズトーク)とは、ポニーの思い人であるコジュウタを中世の魔女裁判めいて糾弾する場なのだ!裁判の前にすでに判決は決まっている!ムラハチだ!コワイ!

今回の件、コジュウタは実際クロだということを読者諸君は知っているだろう。しかし、考えていただきたい。そこまでされる謂れはない!

「あれは外に女のつくった顔デース」ポニーはプンプンと怒っている。

拳藤一佳は眉間に皺を寄せる。「コジュウタは悪い奴だね」

取蔭切奈がケタケタと笑う。「サイテー」

柳レイ子が小さく手を上げた。「本当ならうらめしいけど、どうしてそー思うの?」

「乙女の勘デース」ポニーはプンプンと怒っている。「アイエエ・・・勘違いじゃない?」

取蔭切奈は言う。「レイ子、女の勘を舐めちゃダメ。取りあえずスマホ見ちゃおうか」

それはいくらなんでも失礼(シツレイ)だ!しかも、取蔭切奈は面白がっている!アクジョ!

親しき仲にも礼儀ありという言葉を知るポニーは「ウーン」と悩む。「いいじゃんいいじゃん」取蔭切奈は(けしか)ける。アクジョ!

「それはいくらなんでも失礼」拳藤一佳はポニーを正道に正しつつ、取蔭切奈を牽制。

取蔭切奈は長い舌を出して笑った。「冗談だって」カワイイ!

「直接聞きなよ」問題に対して正面から挑むのが拳藤一佳のやり方である。

「もう聞きました」とポニーは言う。「やるねー、なんて聞いたの?」取蔭切奈は問う。

 

「それは―――

 

ポニーの話に拳藤一佳、取蔭切奈、柳レイ子は興味津々だ。友人3人が恋バナに花を咲かせるのを、小大唯は静かに見ていた。彼女は控えめな性格で口数が少ない。

しかし、こうした女子会は大好きだ。話を聞いているだけでも楽しいと感じる奥ゆかしさが小大唯にはあった。

 

「唯はどう思う?」「ん。コジュウタはカッコイイよ」奥ゆかしい彼女の口からでた爆弾発言に一同騒然!拳藤一佳と柳レイ子は驚き、取蔭切奈は黄色い悲鳴を上げた。

ポニーはあわてふためく!「アイエエ!ナンデ!唯ナンデ⁉」

小大唯は中学時代、ファンクラブが結成されるほどの美少女!くわえてアメリカ人の自分にはない大和撫子的魅力がある!そして、その胸は豊満であった。

強力なライバル出現か⁉このまま女子会は末法(マッポー)めいてしまうのか⁉

 

小大唯は奥ゆかしく言葉を続ける。「普段から、ポニーを大切にしているのがわかる。そういうところが、カッコイイと思うよ」「・・・Really(ホントに)?」「ん。自信もっていいと思う」

 

4人は小大唯に後光がさしているのを見た。流石は正統派美少女と4人は拍手を送る。

「確かに・・・コジュウタからのLOVEを疑うなんてカッコワルイデース!」小大唯の言葉でポニーは奮起ッ!椅子から立ち上がり拳を握った!

「それにたとえコジュウタが過去に100人を愛した男だとしても、最後に私の側にいれば私の勝ちデース!」「世紀末覇王みたいなこと言い出した・・・」「ウケる」「ウラヤマシイやらウラメシイやら」

楽しそうな友だちをみて、小大唯は奥ゆかしく笑っていた。

 

 

 

 

期末テスト、演習試験。当日。

ヒーローコスチュームに身を包みバスに乗る灰色髪の少年がいた。コジュウタである。

最後尾の席に座るコジュウタの横には大和撫子めいた美少女、小大唯が座っている。

2人は前方の席で直立する2つの触覚、もとい前方の席に座るオールマイトを見ながらコソコソと話し合う。

「アイエエ・・・ダイジョブかな」コジュウタは珍しく不安げな表情。

彼のニンジャセンスはオールマイトが秘めたる圧倒的アトモスフィアを以前から感じ取ってきた。

オールマイトは言うなれば7つのニンジャソウルを受け入れてなお溢れぬ大器。

それは師匠(マスター)が寝物語に語ってくれた過去の強敵、ソウカイ・ジンジケートの首領(ドン)めいている。師匠(マスター)、ニンジャスレイヤーが半生半死でからくも勝利した相手である。もしオールマイトが首領(ドン)と同程度に強いなら、勝てるヴィジョンが浮かばないのだ。

小大唯がコジュウタの耳元で囁く。「ん。大丈夫だよ」コジュウタの身体がビクリと跳ねた。

「・・・どうしたの?」「いえ・・・続けてくだサイ」

移動時間も無駄には出来ぬとはじめたバスの中での作戦会議。対戦する教師(オールマイト)に聞かれないように小声で話すのは当然であり、小大唯がコジュウタの耳元で囁くのはやましくない。少し美少女ボイスにビックリとしただけだ。ASMR、ただの自立感覚絶頂反応だ。ヤマシクナイ。

「?。試験内容、先生を倒せとか単純なものじゃ無いと思う」ゾクゾク。

コジュウタは煩悩を払う。「ソーですか」「ん。勝てるワケないもの」

試験である以上、合格できるようになっているはずと小大唯は言う。コジュウタはそれを聞いて、ジッと小大唯の目を見た。「どうしたの?」次は小大唯がドキッとする番だった。

 

「勝てる気はしませんが、勝てないとは言ってマセン」

 

「勝てと言われれば勝ちマス」短い言葉は強がりではない。相手がたとえ超格上(オールマイト)であろうと、初めから負ける気で戦う気はさらさらない。

“格上と限界は越える為にある”とは、コジュウタの友だち鉄哲徹鐵の言葉だ。

「だから、ダイジョブダッテ」コジュウタは面包の下で奥ゆかしく笑った。

「ん」小大唯は(やっぱり変な人)と心の中で思った。不安を感じていた彼を案じていたのは自分なのに、いつの間にか安心させられている。

コジュウタが善い人なのは知っている。友だちのポニーが好きになった人だ。悪い人なわけがない。でも、どこかズレている。自分とは違う感覚で生きている人なのかも知れない。

(やっぱり少し不安・・・)小大唯は口に出さずそんな風に思っていた。

 

その不安は的中する。試験開始後、コジュウタは小大唯をピンチに追い詰めることとなる。読者諸君はすぐに知ることになるだろう。コジュウタがどれだけイカレているかと言うことを!サツバツ!

 

 

 

 

バスが目的地に到着。高層ビルが建ち並ぶ演習試験の会場(ステージ)に着いた。

オールマイトが演習試験の内容について説明をはじめる。

「制限時間は30分!少年少女たちの目的は『このハンドカフスを私に掛ける』or(オア)『どちらか1人がこのステージから脱出』だ!」

オールマイトが手錠めいたハンドカフスを2人に渡す。

小大唯が言う「前の授業と似ている。逃げてもいいんですか?」

オールマイトはHAHAHAと笑う。「もちろんさ。今回は極めて実践に近い状況での試験だ。敵わぬ(ヴィラン)を相手に逃げて応援を呼ぶのは当然。賢明な判断ってやつさ!」

小大唯は安堵のため息を小さく吐いた。コジュウタはハンドカフスを引っ張って強度を確かめている。

戦って勝つか、逃げて勝つかの判断力を試される試験。

小大唯の頭の中は既に逃げの1択。(オールマイトに勝てるワケないもの)

 

オールマイトは続いてド○えもんめいて腕輪と足輪を取り出した。「超圧縮おーもーりー‼」

「普通にやったんじゃこのルールは逃げの1択だからね。教師(私たち)は体重の約半分の重量を装着する!ハンデってやつさ。古典だが、動き辛いし体力は削られる!性能はA組の試験時に実証済み!思ったより重くてヤバいんだこれ・・・」

 

(ん。焼け石に水だよね)それを見ても小大唯の頭の中は逃げの1択だ。

その時、バキンッ。コジュウタの持っていたハンドカフスが壊れる音がした。2人の視線がコジュウタに向く。

コジュウタは冷や汗をかきながら言う。「アイエエ!コワレタ⁉ナニもしてないのにコワレタナンデ⁉」「いやいやいや、むちゃくちゃ引っ張っているのを見ていたからね!私は!ダメだよ壊しちゃ!」「ゴメンナサイ」「まったく。予備のやつ渡すから、もう壊さないでね」「ハイ!」

(やっぱり不安・・・)小大唯はそんなコジュウタを見ながらそう思っていた。

 

 

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