ドーモ。ヴィランスレイヤーです。これはニンジャが来てヴィランを討つ物語。   作:白白明け

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アイエエ・・・、オールマイトに勝てるワケないよ・・・。

皆様の暇つぶしになれば幸いm(_ _)m

期末試験編は次で終了予定です。




期末試験②

 

 

高層ビルが建ち並ぶ演習試験の会場(ステージ)に入り、試験開始のアナウンスを待つ。

小大唯はキョロキョロと周囲を観察する。建ち並ぶ高層ビル群の一部が倒壊していた。

(ヴィラン)が暴れているっていう想定かな。足場は悪いけど、身を隠しながら逃げるのにはいいかも知れないね」「・・・爆薬の香り。爆豪=サンの残り香アトモスフィアを感じる」「ん?ごめんなさい。なにか言った?」「いえ、ナンデもありません」

(・・・やっぱり不安)小大唯は普段から物静かで奥ゆかしい為、勘違いされることもあるが、芯のしっかりとした少女だ。ヒーローを志し、雄英に入学出来る実力もあるのだから、当然だ。

つまり言う時は言うべきことを言う。「ねえ。コジュウタ。先生と戦おうとか、考えちゃダメだよ」「ナンデ?駄目(ダメ)ナンデ?」

小大唯のキレイな眉が僅かに寄る。「コジュウタは試験に合格したくないの?」「するよ。だからナンデ?」

 

〈皆位置についたね。それじゃあ今から、雄英高1年期末テストを始めるよ!レディイイ―――・・・GO‼〉

 

試験開始のアナウンス!

小大唯は直ぐに周囲を警戒する。「先生に勝てるわけないよ。戦闘は何があっても避けるべきだから、私に着いてきて」「・・・ハイヨロコンデー」

嫌そうなコジュウタの態度!小大唯が奥ゆかしくなければ舌打ちをしていただろう!

小大唯はグッと堪えつつ、道路に停車している車に触れて個性を発動!車がミニカーサイズまで縮む!フシギ!

小大唯は数台の車をミニカーサイズにして、腰回りに付いているポーチにしまう。

「小大=サンのサイズ・ジツか。何個かください」「ん」小大唯はミニカーサイズになった車を何台かコジュウタに手渡す。

 

小大唯の個性『サイズ』。触れた物の大きさを変えることができる。ただし生物には適応されない。大きい物を小さくして持ち運んだり、小さい物を大きくすることができるトリッキーな個性だ。

 

「先生が来たら、投げて。サイズを戻して壁にするの」「その隙に逃げる?」「ん」

逃げの1択。勝ち筋はそれしかないと小大唯は考えていた。

コジュウタはミニカーサイズになった車を懐にしまいつつ、大人しく小大唯の後ろを歩く。

(素直。コミュニケーション能力は、ヒーローに重要な能力だもの。大丈夫。コジュウタもわかってくれている)

コジュウタは実際優等生。嫌だからという理由で小大唯の指示を無視したりはしない。

 

2人は物音を立てないように進む。小大唯は使えそうなモノを小さくして収集し、コスチュームのポーチにしまっていた。

その様子を見ていたコジュウタが訪ねる。「小大=サン。サイズ・ジツで小さくできるモノに、限界はありますか?」「ん。トラックくらいの大きさが限界。それ以上は、負担が大きい」

「アレはムリ?」コジュウタが指さしたのは、倒壊したビルだ。

小大唯は首を振る。「アイエエ・・・無理だよ」「ソーですか」

コジュウタは残念そうだ。

小大唯は(ビル1棟を縮めるなんてできっこないよ)と無茶ぶりをしてきたコジュウタに困惑する。仮にできたとしたら、どうするつもりなのだろうかと考えていた。

ーーーその時だ。

 

「小大=サン!」コジュウタが突如、小大唯を道路に押し倒した!そして、そのまま覆い被さる!「アイエエエ⁉」突如行われた獣めいた行為に小大唯は目を白黒させる!

「イヤーッ!」「グワーッ!」反射的に平手でコジュウタの頬を(はた)いた!平手打ちッ!正当防衛ッ!

平手打ちされたコジュウタはそれでも小大唯の上から退かない!おお、コジュウタよ。どうしたというのだ!小大唯は実際美少女。艶やかな黒髪。知的めいた眼。そして、その彼女の胸は豊満であった!

だからといって、獣めいた行為に及ぶなど言語道断ッ!しかも、今は授業中(試験中)だッ‼

しかし、大丈夫。コジュウタの行為の正当性は直ぐに証明される‼

 

押し倒された直後、コジュウタの頭上。つまり小大唯の眼前を()()()が高速で通過した。2人の上を通り過ぎたナニカは、地面にはブレーキ痕めいた跡を残しながら着地。腰に手を当てて尊大に笑った。「HAHAHA!避けられてしまったね」

今のはオールマイトのダイナミックエントリーアンブッシュだ!

コジュウタが押し倒さなければ、小大唯はおそるべきアンブッシュの餌食となっていただろう!

それに気づいた小大唯が平手打ちしたことを謝る前に、コジュウタは立ち上がりオールマイトに向けて両手を合せていた。

 

「アイサツ前のアンブッシュは1度だけ許される。アナタほどの人がそれを知らぬ筈がないとケーカイしていました。ドーモ。オールマイト=サン。コジュウタ・フジキドです」

「どーも。コジュウタ少年。小大少女。ヴィランの、オールマイトです」

 

(ヴィラン)役のオールマイトが来た!「逃げよう!」小大唯がコジュウタの服の裾を掴んだ。その瞬間、オールマイトの眼光が小大唯を射貫く。「あ。」思わず漏れた恐怖を嗤いながら、オールマイトが言う。

「私は(ヴィラン)だ。ヒーローよ。直ぐに逃げ出すなんて情けない。真心込めて、かかってこい」

オールマイトの全身から立ち上る威圧的雰囲気(アトモスフィア)にあてられて既に小大唯は戦意喪失。コジュウタの()()()()()()()()()()()()()()()()()

「チームを置いて逃げる気かい?」無意識にしようとした事を指摘され、小大唯の身体が小さく跳ねた。

「ち、違う・・・」小大唯は恐怖の震える必死に抑えてオールマイトを睨む。しかし、睨み返されてしまう。ゾッとした。「そんなこと・・・思ってない!」ミニカーサイズまで縮めた車を投げるッ!

そして、オールマイトの前で両手を合せて個性を発動ッ!縮めた車が本来の大きさへと戻る!オールマイトと接敵したら車を壁にして逃げること!それは小大唯が事前に考えていた作戦だ!

しかし、オールマイトはそれを片手で掴み取ると、遙か彼方へと投げ飛ばす!タツジン!

「あ。」小大唯から、再び恐怖の声が漏れた。

“ナチュラルボーンヒーロー”、“平和の象徴”、日本No.1ヒーローを前に車なんて壁にならない!

 

「次は?」

 

オールマイトは未だに此方を舐めている!実際(ヴィラン)らしい行動だ。

小大唯はこの隙に()()()を探す。“平和の象徴“は、今は”恐怖の象徴“と化している!逃げ出す為に()が必要だった!

(なにか、ないの。なにか!)小大唯はポーチを探る。車。車。瓦礫。道路標識。どれもオールマイト相手の壁としては心許ない。(なにかないの!)焦る小大唯の眼は、目の前に居るコジュウタ(肉壁)を捕らえた。

「あ。」その瞬間、小大唯は恐怖した。(私、今、なにを考えて・・・)

己の内に巣くった()()()()()に、恐怖(ゾッと)した。

 

「小大=サン」コジュウタの声にビクッと身体が跳ねた。(嫌、見透かされた⁉)

反射的に「違うの」と(こぼ)す。しかし、続く言葉は「逃げましょう」だった。

小大唯は安堵する。最低な考えを悟られたわけではない。そんなことに安堵した。

しかし、再び続く言葉は小大唯をピンチに陥れる。

 

「オレが相手をしている間に、逃げてクダサイ」「ん。一緒に逃げ・・・え?」

 

コジュウタの腕が円を描きながら、ジュー・ジツを構えた。

振り返ることもない背中が小大唯に語る。「ダイジョブダッテ。だから、小大=サンは逃げてクダサイ」

小大唯の脳内がグワングワンと揺れる。(逃げていいの?)

コジュウタの言葉を聞いて、安心してしまった。それがあまりにも・・・みじめだった。

 

オールマイトが遂に動き出す。「自分を肉壁にして逃げようとしたチームを守るのかい?」

大股で歩きながら、その口元には笑みがない。「追い詰められた時、人は本性を現すのさ。コジュウタ少年。君の後ろで震えているだけのチームを、君が命がけで守る意味があるのかい?」

オールマイトの言葉はコジュウタに向けられたものだ。しかし、小大唯の眼に涙が滲んだ。

オールマイトの言うとおりだ。自分はヒーローとして、やってはならないことをしようとしていたと泣きそうになる。・・・みじめだった。

 

「チガウ」

 

流れそうになる涙を止めたのは、コジュウタの声だった。

「追い詰められた時、現われるのは追い詰められた人の心だ。オマエが小大=サンのなにを知っている。ヴィランめ」

「なら、守ってみなよ。ヒーローッ‼」オールマイトのタックルッ!「HAHAHAッ!」「イヤーッ!」コジュウタも両腕をクロスさせてタックルッ!

ぶつかり合う2人。「グワーッ!」弾き飛ばされたのはコジュウタだ!しかし、コジュウタはバック転して勢いを殺して着地ッ!「イヤーッ!」即座にスリケンを投擲ッ!虻蜂(アブハチ)めいた軌道でオールマイトに向かうッ!

「HAHAHAッ!」オールマイトは拳を振るう!風圧でスリケンを弾いた!チカラワザ!

そのまま拳がコジュウタの眼前に迫る!だが、コジュウタはかわしながら蹴撃クロスカウンター!だが・・・だが!オールマイトがコジュウタの足を掴み取る!「HAHAHAッ!」万力めいた握力!「グワーッ!」「HAHAHAッ!」そのままコジュウタの身体を振り上げ、地面に叩きつける!「グワーッ!」「HAHAHAッ!」叩きつける!叩きつける!叩きつける!「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」そして、無造作に投げ捨てる!「グワーッ!」コジュウタはボロ雑巾めいて地面に転がった!そこにトドメのオールマイトのスタンピングッ‼

「イヤーッ!」寸前、コジュウタは反動跳躍!さらに連続バック転で距離を取る!

「スゥゥウ。ハァァア」コジュウタはチャドーの呼吸で体力を回復させる。

「やるね!」オールマイトは思わず親指を立てる(サムズアップ)。コジュウタのワザマエに対する純粋な賞賛であった。

コジュウタは悔しげに奥歯をギリと擦る。「ツヨイスギル」

小大唯が戦闘を絶対に避けるべきと判断したのは正しかったと悟る。しかし、今のやり取りで少しは時間が稼げたはずだと前向きにとらえる。

この間に小大唯は脱出ゲートに向かっているはず・・・しかし、南無三(ナムサン)!コジュウタの視界には固まって動けずにいる小大唯の姿!彼女は自分への失望と目の前で行われたタツジン戦闘に息を呑み、動けずにいた‼

 

「HAHAHAッ!無能な味方は敵より怖い!ナポレオンの名言だったかな!」(ヴィラン)役に徹するオールマイトが嘲笑う!小大唯の身体がビクッと跳ねた。

「誰だそれは、知らんヤツのコトワザを引用するな!低能なヴィランめ!」コジュウタはジュー・ジツを構え直し、小大唯に声をかける。

「小大=サン!タイミングをみて逃げッ、グワーッ!」オールマイトがコジュウタに拾った小石を投擲ッ!流石はオールマイト!正確無比なトウテキ・ジツまで納めているとは(ヴィラン)ながら天晴れ(アッパレ)

「させると思うかい?」オールマイトは小石を小大唯に投擲ッ!「イヤーッ!」コジュウタはスリケンを投げて相殺ッ!「そして、君は隙だらけさ!」「グワーッ!」「HAHAHAッ!」「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」オールマイトの連続パンチがコジュウタを襲うッ‼

小大唯への投擲は囮であり、オールマイトの狙いはコジュウタだったのだ!知能指数の高いおそるべき戦術である‼

 

 

 

「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」

 

小大唯は殴り続けられるコジュウタを見ながら、震えていた。これは実際演習試験。オールマイトがコジュウタに後遺症が残るほどの大怪我を負わせることはないだろう。

しかし、No.1ヒーローの威圧的雰囲気(アトモスフィア)が実践さながらの恐怖を小大唯に与え、彼女のメンタルをジリジリと削り続けているッ‼

 

(・・・怖い)コワイ。(・・・怖い)。コワイ。(・・・怖いよ)コワイスギル。

 

B組の担任教師、ブラドキングが見いだした小大唯の課題。それは彼女の魅力でもある奥ゆかしさに由来する。普段から奥ゆかしい彼女が、我の強いコジュウタとコミュニケーションをとり制御できるか。それは実際できていた。そして、もう1つ。

ピンチの際に仲間を置いて逃げるという()()()()()()()()()()。このままでは実際共倒れ。演習試験は落第だ。コジュウタの言うように、彼がオールマイトの足止めをしている間に小大唯は走り出すべきなのだ。それが正解。

しかし、奥ゆかしい彼女は考えてしまう。()()()()()()()クラスメイト達(友だち)にどう思われてしまうかを。

(ポニーに嫌われちゃうかも・・・)コジュウタを見捨てたことを咎めるポニーの顔を幻視する。

(一佳は呆れるよね・・・)失望の溜息を吐く拳藤一佳の顔を幻視する。

 

(切奈に、レイ子に、希乃子に、茨に・・・みんなに、嫌われたくないよ)

 

なら、1歩踏み出すべきだ。逃げられないなら、戦うしかない。

しかし、恐怖で震える足は―――前にも後ろにも、動かなかった。

「私は・・・どうすればいいの」

奥ゆかしさとは、心の美しさを表す言葉だ。

小大唯の心は今、深く沈んでしまっていた

 

「誰か・・・教えてよ」

 

その時、沈んでしまった心を引き上げる大声が聞こえた。

 

「ダイジョブダッテ‼」

 

顔を上げる。その先にはピンチを前に笑うヒーローが居た。

 

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