ドーモ。ヴィランスレイヤーです。これはニンジャが来てヴィランを討つ物語。   作:白白明け

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・・・新年度・・・部署異動・・・新しい人間関係・・・アイエエ・・・
プライベートが忙しく、更新頻度が落ちてしまっています。
ですが、ガンバルゾー!

今後も皆様の暇つぶしになれば幸いですm(_ _)m




林間合宿①

雄英高校。ホームルームにて。

先日、木椰区ショッピングモールにて(ヴィラン)連合のリーダーと()される(ヴィラン)と1年A組の生徒の接触があった為、雄英が林間合宿で例年利用してきた合宿先を急遽キャンセルし、行き先は当日まで明かさない運びとなったとの報告があった

ブラドキングがB組生徒たちに言う。「幸い、被害はなかったが油断はできん。各自、気を引き締めて臨むように」

物間寧人が言う。「おいおい、またA組のトラブルかい。いい加減にして欲しいよね!ホントにさ!」

物間寧人の態度に拳藤一佳が苦言を呈する。「そういうの、本当に止めなよ」

しかし、物間寧人はどこ吹く風だ。「事実だろう」物間寧人は周囲に同意を求めるが、彼の言動は実際奥ゆかしさが欠けているので、同意する生徒はいなかった。

「僕は事実を言っているだけのつもりなのだけどなあ」それでも物間寧人は気にしない。

短くない付き合いで物間寧人の人となりを知るクラスメイトたちは、平常どおりの彼に変な安心感を抱きつつ、雑談をしている。

「合宿自体をキャンレルしねェのがァ、英断すぎんぜェ」「流石、雄英って感じノコ」「(ヴィラン)に屈さぬ姿勢。流石は雄英ですぞ」

そんな中、雑談に混ざらずに窓の外をみている灰色髪の少年がいた。コジュウタである。

コジュウタは己の不甲斐なさを恥じていた。A組の生徒と(ヴィラン)の接触があった日、コジュウタも木椰区ショッピングモールにいたのだ。しかし、コジュウタはA組の生徒がそんな殺伐(サツバツ)たる状況にあることも知らず、ショッピングに興じていたのだ。仕方のないこととはいえ、(ヴィラン)のアトモスフィアを感じ取れなかった。

「マスターなら・・・」そう思わずにはいられない。最近、腑抜けていたのかもしれない。そんな思いが脳裏を過る。

「・・・ガンバルゾー」コジュウタは人知れず、腑抜けた自分を鍛え直すことを決意するのだった。

 

 

 

濃密だった前期は幕を閉じた。そして、夏休み。林間合宿、当日。合宿先に向かうバスに乗り込む灰色髪の少年がいた。コジュウタである。

コジュウタの隣にいる回原旋が言う。「合宿、楽しみだな」

コジュウタは首を振る。「ソだね」「俺、トランプ持ってきたぜ。夜にやろーぜ」「ヨロコンデー」

青春めいた会話。その時、物間寧人の声が聞こえてきた。「え?A組、補習いるの?つまり赤点取った人がいるってこと⁉」A組の生徒に向けて、楽しげに失礼(シツレイ)な発言を繰り返す。

「ええ?おかしくない⁉おかしくない⁉A組はB組より優秀なハズなのにぃ⁉あれれれれえ⁉」

それは同時にコジュウタに対するアンブッシュめいた効力を発揮する。

「赤点⁉あれれれえ⁉」「ぐ、グワーッ!」コジュウタが胸を押さえて(うずくま)る!

「コジュウタ!大丈夫か?」「だ、ダイジョブダッテ」「大丈夫じゃなさそうだ!おい、誰か物間のバカを止めろ!流れ弾が飛んで来てるぞ!」

赤点を取ったコジュウタは実際不様(ブザマ)であった!しかも、赤点の原因は制限時間を忘れるという初歩的ミスだ!それを指摘されれば、コジュウタは恥辱のあまり自ら切腹(セプク)するはめになるだろう!サツバツ!

そうなる前にB組の良心こと拳藤一佳が物間寧人の首に一撃(チョップ)。「イヤーッ!」「グワーッ!」

雄英の負の面こと物間寧人は物理的に静かになった(気絶した)。拳藤一佳は奥ゆかしくA組の面々に頭を下げる。「ごめんな」そう言って物間寧人を引きずってバスの中に入っていく。

それを見ていた柳レイ子とポニーが言う。「物間(こわ)」「平常運転デースね」

取蔭切奈はケタケタと笑った。「体育祭じゃなんやかんやあったけど、まァよろしくねA組」

小大唯は小さく頷く。「ん」塩崎茨が何かに祈っている。「隣人を愛します」小森希乃子は笑顔で言った。「よろしくね」

賑やかに林間合宿は始まった。

 

 

 

それが約2時間前の出来事である。現在、コジュウタは1人、見事な松や楓が自生する神秘的な森にいた。ジュー・ジツを構えたコジュウタは、全方位に警戒を怠らぬままゆっくりと森の中を歩く。落ち葉と湿った土が僅かに沈む。その瞬間、突如地面に穴が空く!「イヤーッ!」コジュウタは跳躍して穴への落下を回避ッ!おお、見よ!穴の底には斜めに切られた竹が剣山めいて(ひし)めいているではないか!おそろしい落とし穴・トラップである!

穴の底の竹槍は実際作り物(ハリボテ)だろう。しかし、トラップに引っかかればタイムロスは免れない。コジュウタは全方位に警戒を怠らぬまま腕時計を見る。時刻は11時半。森に迷い込んでから、既に2時間が経過している。

コジュウタが決意と共に呟く。「タイムリミットまであと1時間。次は、忘れない」

演習試験での苦い経験がコジュウタの時間感覚を研ぎ澄ませていた。

 

なぜ、コジュウタが森の中を1人で歩いているのか。それは雄英が生徒に課す困難が原因だ。

合宿先に向かうため雄英を出発したバスは1時間ほど走った後、何もない場所で止まった。見渡す限り山しかない見晴台。そこでB組生徒を待っていたのはなんとプロヒーロー-ワイルド・ワイルド·プッシーキャッツのメンバーだった。

連盟事務所を構える4人1チームのヒーロー集団。なにを隠そうコジュウタは彼女(彼ら)のファンだ。B組生徒たちを出迎えたのは4人の内の2人。ラグドールと虎だった。

コジュウタは叫んだ。「ネコネコカワイイヤッター!」ラグドールは笑ってくれた。

大興奮したコジュウタ(思い人)の姿にポニーと小大唯は少し引いた。彼女たちは彼氏の趣味がアイドルの追っかけだと判明した時の彼女の心境を味わっていた。

 

「静かにしろ。もう既に合宿は始まっているんだぞ」ブラドキングがコジュウタを(たしな)める。コジュウタは素直に謝った。「申し訳ゴザイマセン」

ブラドキングの言葉に物間寧人が反応する。「A組のバスが前にいなくなった時から、嫌な予感がしていましたけど、彼らは別地点からスタートですか?」

ブラドキングは頷く。「察しがいいな。お前は周りが見える奴なんだから、普段から、そうしろ」

ブラドキングの苦言に物間寧人は肩を竦めた。

説明を虎が引き継ぐ。ネコグローブを装着した指で遠くの山を指さした。「あれの麓が合宿先よ」虎は筋骨隆々の元女性だ。

「現在午前9時半。タイムリミットはそうだな・・・12時半としよう」

虎の言葉にB組生徒たちは唾を飲む。物間寧人以外の生徒たちも、これから行われるサバイバル(サヴァイヴァル)雰囲気(アトモスフィア)を感じ取ったのだ。

ラグドールが大きな眼で彼らを見る。「12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きだから、頑張ってね!」「ガンバルゾー!」「ハハハハハ、元気!でも、油断はダメよ!此所はただの森じゃなくて、()()()()なんだから!」

 

「「「魔獣の森?」」」

 

B組生徒一同はドラクエめいた言葉に首をかしげたのだった。

 

 

 

 

 

コジュウタのニンジャ聴覚が獣めいた声を捕らえる。ジュー・ジツを構えたまま息を殺す。「・・・ァガァアー・・・ガァアーアー・・・」遠く、獣めいた唸る複数の声。

「・・・アガアアー、ガアアーアー」声は近づいてくる。気配を消しているはずのコジュウタの元へ、間違えなく接近してきている。「来るか」コジュウタが呟く。忍者(ニンジャ)の気配遮断(ジツ)を実際無視する索敵能力は、獣の能力ではなくまさに魔獣といえた。

「アガアアー!ガアアーアー!」茂みの中から飛び出してきたのは3匹の三途の川の悪魔(サンズデーモン)めいた大型犬ほどのサイズの奇っ怪な魔獣たち!4足歩行で飛び跳ねながら、獰猛な牙でコジュウタに襲い掛かるッ!

「イヤーッ!」コジュウタは6枚の手裏剣(スリケン)を連続投擲!3匹の魔獣に2枚ずつ手裏剣(スリケン)が突き刺さる!しかし、魔獣たちは動きを止めない!

「ピクシーボブのドリュウ・ジツ。実際脅威だ」

魔獣の正体はプッシーキャッツのメンバーの1人、プロヒーロー-ピクシーボブの個性『土流』によって作られた血も涙もない土塊の怪物なのだ‼コワイ!

「イヤーッ!」コジュウタが飛びかかってきた魔獣にカラテパンチ!「アガアアー!」魔獣は爆発四散ッ‼「イヤーッ!」コジュウタが更に飛びかかってきた魔獣にカラテパンチ!「アガアアー!」魔獣は爆発四散ッ‼「イヤーッ!」コジュウタは最後の魔獣にカラテパンチ!「アガアアー!」魔獣は爆発四散ッ‼

魔獣3匹を即座に無力化したコジュウタのカラテ!ワザマエ!

しかし、爆発四散し土塊となった魔獣たちはウゴウゴと蠢いている。土塊同士が再結合しようとしているのだ!ムテキ!

「倒しても倒しても湧いてくる。コレが噂に聞くナムの地獄か・・・」コジュウタは戦慄する。

無限に湧いてくる魔獣によってコジュウタは他のB組生徒たちと引き離されていたのだ。

「今は皆さんを信じるしかナイ」コジュウタは魔獣が復活する前にその場をしめやかに離脱するのだった。

 

 

 

 

その様子を遠く離れた場所から見ている者がいた。ラグドールである。彼女の個性は『サーチ』。目で見た相手の居場所、弱点などの情報を100人まで知ることができる。

ラグドールの『サーチ』で雄英1年全員の居場所を把握し、ピクシーボブの『土流』で作った魔獣を向かわせることで、今回の殺伐たるサバイバル(サヴァイヴァル)訓練は成り立っていた。

「言われたとおり1人だけ孤立させたけど・・・これでいいのかな?」ラグドールが隣に立つブラドキングに尋ねた。

ブラドキングは腕を組んだまま頷く。「ありがとうございます」

ラグドールが訪ねる。「特別扱い?」ブラドキングは首を振る。「アイツは赤点を取った。然るべき補習だと、思っていただきたい」「でも、他にも赤点キティいるよね?」

B組で赤点となったのはコジュウタと小大唯。そして、物間寧人の3人だ。

その内のコジュウタのみを過酷な状況に追い込むブラドキングにラグドールは疑問を覚えている様子だった。

ブラドキングは言う。「本来、アイツは赤点を取るような生徒ではありません。周りを見すぎて冷静さを失う。そんな奴なのです。ですから、今回は誰も周りにいない状況でどの程度の実力を出せるのか、見せて貰う必要がある。今後のアイツに必要なことです」

 

ブラドキングの説明にラグドールは納得する。確かに『サーチ』で見る限り、あの生徒には弱点らしい弱点がない。普通、突然森の中に放りだされて孤立無援の戦いを強いられれば心身共に衰弱するはずだが、スタートから2時間弱。未だに『サーチ』してみても弱点として、それらが現われていなかった。つまり未だに平常どおり。子供とは思えない精強さだ。

そして、あの生徒は着実にゴールに近づいていた。

 

「スタート地点から合宿場所まで、()()()()()()()3()()()。普通のキティじゃまず12時半までにゴールなんて無理だけど・・・」あるいは本当に?

 

車を準備していた虎が2人に声をかけた。「そろそろ行こう」

「うん」

「はい。そうしましょう」

うなずき合い、ブラドキングとラグドールは車に乗り込むのだった。

 

 

 

現在時刻12時45分。林間合宿場『プッシーキャッツのマタタビ荘』

雄英1年生の到着を待っていたのはプッシーキャッツの全メンバーとA組担任イレイザーヘッドとB組担任ブラドキング。そして、プッシーキャッツのメンバーの1人であるマンダレイの従弟、出水洸太(いずみこうた)の7名。

5歳の少年、出水洸太が言う。「くだらん」そう言って彼は建物の中に入っていく。

マンダレイが言う。「私たちもお昼にしようか」

「にゃん」「そうね」「うむ」他のメンバーも同意した。イレイザーヘッドもそれに続く。

ブラドキングが森の中を睨んだまま動かない。「・・・」「ブラドキング、どうした?」イレイザーヘッドはブラドキングに尋ねる。その時だ。「・・・ィ・・・ャ・・・」森の中から、聞き慣れた叫びめいた声が確かに聞こえた。「まさか!」イレイザーヘッドの驚いた声。

プッシーキャッツのメンバーも、何事かと森に目を向ける。

「イィ・・・ヤァ・・・」声は徐々に大きくなっていく。

ブラドキングはニヤリと笑った後、満足げにイレイザーヘッドに言う。「前期はA組が色々目立っていたが、後期はやはり我々B組の番だな」

イレイザーヘッドは呆れた様に言う。「おまえのところも一部は十分に目立っていたろ」

 

そして、森の中から忍者(ニンジャ)が飛び出すッ!

飛び上がりから体操選手めいた着地を決めた灰色髪の少年はもちろん、コジュウタだ‼

 

「時間は⁉」着地を決めたコジュウタがブラドキングに時間(タイム)を確認。「12時45分、いま、46分になった」「グワーッ!」コジュウタは膝から崩れ落ちた。

「アイエエ・・・サンシタ・・・アイエエ・・・」今回も制限時間を守れなかったと地面を叩くコジュウタの肩を、ブラドキングは優しく叩いた。「よくやった」「・・・アイエエ?」「到着は夜だと思っていた。本当に昼飯に間に合うなんて、誰も思っていなかった。ほら、見ろ」

ブラドキングが示す先には信じられないモノを見る目でコジュウタを見るプッシーキャッツのメンバー。

「誇れ。おまえがNo.1だ」ブラドキングの言葉にコジュウタの涙腺が緩んだ。コジュウタは目元をゴシゴシと擦ると立ち上がり、プッシーキャッツのメンバーたちの元に向かう。

そして、両手を合せて奥ゆかしく挨拶(アイサツ)。「ドーモ。プッシーキャッツの皆=サン。コジュウタ・フジキドです。アナタたちのファンです」

プッシーキャッツの一同はポカンとした後、挨拶に答えた。

「マンダレイよ。よろしくね」黒髪ショートの美女が答える。その胸囲(バスト)は豊満であった。

「ピクシーボブよ。あんたすごいじゃない。唾つけとこうかしら」金髪ポニーテールの美女が答える。その胸囲(バスト)は平均であった。

「あちきはラグドール!改めてよろしく!」緑髪ロングの美女が答える。その胸囲(バスト)は豊満であった。

「我は虎。見所がある男だな」筋骨隆々のトランジェスターが答える。その大胸筋は豊満であった。

ピクシーボブの綺麗な眉が曲がる。「ねえ、なんか失礼なこと考えてない?」

コジュウタは首を横に振った。「そんなバカナー」

 

コジュウタは懐からあるモノを取り出した。「お土産デス」周囲に臭い匂いが広がる。

ピクシーボブは目を見開いた。「松茸(マツタケ)⁉」

この悪臭は鋭敏すぎるニンジャ嗅覚を持つコジュウタからすれば、腐った死体の臭いめいた実際軽い吐き気を催すものだが、松茸(マツタケ)は高級食材だ。

自生の大物ともなれば、それはオーガニック本マグロ並の価格を誇る。だが、いかんせん臭い。

「ナンデ⁉松茸⁉松茸ナンデ⁉」ぴょんぴょんと跳ねて喜ぶピクシーボブ。

「時季外れなのに・・・どこで見つけてきたのかしら?」マンダレイは首をかしげつつも嬉しそうだ。

「クンクン。うひゃー」ラグドールが松茸の臭いを嗅ぎ、トリップしていた。

「松茸の成分は筋肉にもいいんだ」虎は松茸を摘まみ上げて笑っている。

 

日本人は松茸の香りを好み、漢方(カンポ)と呼ばれるオリエンタル的薬効成分を珍重する。松の木の下に死体を埋めると、その松茸は美味しくなるという伝説も古事記にある。これは古来より、日本ではキノコが神々やそれに連なる人間の霊的な食べ物とみなされてきたことに関連するのだろう。

 

嬉しそうなプッシーキャッツのメンバーを見て、コジュウタは満たされた気持ちになる。

「寄り道してでも拾ってきてヨカッタ」そんなコジュウタにブラドキングはあきれ顔だ。

「そんなことをしているから、間に合わなかったんじゃないのか?」「・・・そんなバカナー」

ブラドキングの実際もっともな指摘にコジュウタはそっぽを向く。

 

この後、めちゃくちゃ豪勢なお昼をみんなで食べた。

 

 

 

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