ドーモ。ヴィランスレイヤーです。これはニンジャが来てヴィランを討つ物語。 作:白白明け
林間合宿編を書き終えてから投稿しようとしていたら、予想以上に時間がかかってしまいました。
そして、かきえ終えられない体たらく。アイエエ、、、。
これまでニンジャスレイヤー原作に似せた書き方をしていたのですが、私の力不足の為、今回から書き方を少し変えています。
以前の方が良かったなど、感想があれば教えてください。
(´・ω・`)
皆さまの暇つぶしになれば幸いですm(_ _)m
(((イレイザーヘッドと合流。
鬱蒼とした森の中、マタタビ荘に向かって走っていた2人の生徒あり。回原旋と取蔭切奈だ。
「回原。今のって」
「ああ、マンダレイのテレパスだ」
「戦えってことなのかな。うん、やってやるよ」
取蔭切奈は言葉とは裏腹に、不安げなイントネーションで言った。
「追いかけてきている
「無理するな」
「していないよ」
「声、震えてるから」
「か、回原だって」
「俺のは武者震いだよ」
実際、回原旋はなんとか平常心を保っていた。突然の
追って来ている
「追って来ている奴。強いけど、コジュウタほどじゃないな。コジュウタが相手なら、もう追いつかれてる」
実際、回原旋は取蔭切奈を狙った
「あんたのコジュウタに対する信頼はなんなのさ…」
取蔭切奈は呆れたように言った。少しだけ、和らぐ
だが、回原旋の足は停止する。
・・・前方の木陰から現われた存在があったからだ。
この場面で現われるクラスメイトは限られている。そして、その存在はクラスメイトではない!問答無用!
回原旋は手にしていた礫の回転を加え、投擲ッ!
「イヤーッ!」
「イヤーッ!」
・・・だが!螺旋回転運動で弾丸めいて投げられた礫は、その
木陰から現われた仮面の
ビー玉めいた球体をで手遊びしながら仮面の敵は
「どうも。おじさんの名前はMr.コンプレスです」
名乗られたのならば、名乗らねばならない。
「どうも。回原旋です」
「取蔭切奈だよ」
白の仮面に丈の長いトレンチコート、羽根飾りの付いたシルクハットという出で立ちの
「すごい胆力だ。彼女さん、良い彼氏を持ったね」
「そういんじゃない」
Mr.コンプレスの勘違いを回原旋は即座に否定する。
取蔭切奈はどこか不満げだ。
「え。そうなの?おじさんてっきり・・・ごめんね。こういう所がおじさんの悪いところだよねえ」
Mr.コンプレスは笑いながら、臆することなく2人に近づく。
「実はおじさんは戦闘が苦手でさ。できれば話合いで解決したいことがあるのだけど」
本音である。
「1回話を聞いてくれない?」
「イヤーッ!」
問答無用!回原旋は踏み込みドリルパンチ。Mr.コンプレスはこれを両腕クロスガード。
回原旋のドリルパンチはコンクリートを掘削するほどの威力を誇る!生身でガードは命知らずだ!しかし、ギャリリリィィ!響くのは肉を削る音ではなく、金属音ッ!Mr.コンプレスの腕にはいつの間にかガントレットが装着されていた!まるで手品だ!
「イヤーッ!」回原旋は腕を引き、軸足で回転!回し蹴りを繰り出す!
「イヤーッ!」ラセン・キック!
「イヤーッ!」Mr.コンプレスは身を屈めてこれを回避、さらに左手で回原旋の身体に触れようとする!
腰の入っていない打撃など、効くはずもない。
しかし、回原旋はMr.コンプレスの左手に不穏な
これはブリッジ回避と並ぶニンジャのカラテの基本中の基本。ワーム・ムーブメント!
コジュウタからカラテトレーニングを受けていたことが功をそうした。
「ありゃ、おじさんに触られるの、そんなに嫌?傷つくなあ」
Mr.コンプレスは変わらずの飄々とした態度。
対して回原旋は冷や汗を流していた。
「触られるの、なんかヤバい気がする。取蔭、気をつけろ」
「う、うん」
取蔭切奈は構えるが、及び腰だ。何度も言うが、これが
如何にヒーロー志望とはいえ、彼らはまだ十代前半の子供。在学中に
回原旋の行動は勇気に満ちたものであるが、実際正しいのか?
“逃げる戦士は追う戦士より遠ざかるので致命傷は受けにくい”とは、かの哲学剣士ミヤモトマサシの警句だ。実際そういう考え方もある。(注釈:逃げるが勝ちの意)
狡猾なる
「彼女さん。怖がっているよ。見逃してあげようか?」
取蔭切奈の身体がビクリとする。
しかし、回原旋の決断的態度に揺るぎはなかった。
「コジュウタなら逃げない」
回原旋は前に出て、Mr.コンプレスに向かいカラテを構えた。
コジュウタから
「取蔭は
言外に逃げろと。取蔭切奈は困惑する。
「回原1人を置いてなんていけないよ!私も戦えるさ!」
「駄目だ」
「なんでさ!」
「・・・お前が傷つくのが、嫌なんだ」
「ええッ⁉」
取蔭切奈の顔が真っ赤に染まった。
回原旋は言う。
「ヒーローに成るんだ。いつか逃げないで戦わなきゃいけない日は来る。でも、きっとそれは今日じゃない。震えるお前を、戦わせない」
「・・・でも」
「早く行けって。そんでもって、援軍を呼んできてくれよ」
回原旋は笑う。「大丈夫だって」
「・・・うん。わかった。無理しちゃ駄目だからね!」
取蔭切奈は戦線を離脱した。
パチパチパチ。Mr.コンプレスは拍手した。
「まるで青春ドラマだ。おじさん、感動しちゃったよ」
回原旋はMr.コンプレスを睨み付ける。取蔭切奈に向けていた笑顔とはうって変わって、怖い。
「あんた達の目的はなんだ?」
「おじさんって奴は須く青春コンプレックスをこじらせているからね。若者にちょっかいを出したくなるものなんだな、これが」
「答える気はないか。いいさ、叩きのめして喋らせてやる」
「彼女はもう見てないんだから、強がんなくてもいいんだよ?君も、逃げたっていい。おじさんが口裏合せてあげちゃうからさ」
「・・・俺に時間をかけたくない?」
回原旋の言葉にMr.コンプレスは仮面の下で目を細めた。
「あんたにはなにか、目的があるんだろ。ただ害するのが目的なら、取蔭を簡単に逃がす筈がないもんな。誰かを探している・・・?とか」
Mr.コンプレスは溜息を吐く。
「やれやれ、流石は雄英。マスタードはブルジョアなんてって言っているけどさ、やっぱり進学校に通う子は地頭が良いよ」
パチパチパチ。Mr.コンプレスは拍手した。
「
Mr.コンプレスは邪悪なことを楽しげに言う。
「リーダーが目をつけたのは2人。上手くやればこちら側に引き込めるかもしれないってさ」
回原旋は鼻で嗤った。
「そんな奴いるかよ」
「色んな考え方がある。例えば君の彼女だって、ここで君が殺されれば世界に絶望して
「あんまり俺たちを舐めるな。それから、取蔭とはそんなんじゃないって言っただろ」
「わざとだよ。彼氏君」
Mr.コンプレスはニヤニヤと笑った。
「ハラスメントさ」
「冗談が好きなおっさんだな」
「そうだ。おじさんは冗談が好きなんだ」
同時刻。肝試しにおけるB組生徒集合場所付近。
「ドーモ。洋雪=サン」
眼前でニンジャ着地を決めた灰色髪の少年は、B組生徒-
「無事でヨカッタ」コジュウタである。
コジュウタの後ろから、緑谷出久も現われる。
「八百万さん!よかった」
彼は泡瀬洋雪と共に避難していたA組生徒-八百万百の姿を確認し、安堵していた。
泡瀬洋雪は大きく安堵の溜息を吐く。
「コジュウタ。よかった」
それは緑谷出久が出した安堵とは、別の種類のモノだ。"コジュウタが無事でよかった"ではなく、"コジュウタが来てくれてよかった"。そんな種類のものだった。
コジュウタが問う。
「他の皆サンは?」
泡瀬洋雪が答えた。
「後ろに小森と黒色がいる。全員で動くと見つかるかも知れねぇから、2人一組で動いてた」
コジュウタは普段と変わらない口調で言う。
「賢明デス」
その声が、泡瀬洋雪の耳にじんわりとしみわたる。
泡瀬洋雪は恐怖を捻じ伏せ、コジュウタに問いかけた。
「なあ、一体全体、どうなっているんだ?」
「
言葉の中にはかすかな悲しみの
泡瀬洋雪はその観察眼で、そのことに気が付いた。しかし、コジュウタは強い男だ。ポニーを心配しながら、それを極力表に出そうとしていない。彼は冷静だ。身体に傷もない。
一方、緑谷出久はボロボロであった。両腕の損傷は激しく、特に右手に至っては握り拳を作る事も出来ずに半開きの状態で力なく垂れている。
「なあ、コジュウタはともかく・・・お前が俺たちと一緒に避難した方がいいぜ」
泡瀬洋雪は緑谷出久を気遣った。
「そうですわ」
八百万百も賛同する。
しかし、緑谷出久は首を振った。
「僕は、行かなきゃ。
泡瀬洋雪には緑谷出久の気持ちが痛いほどよく分かった。彼には雄英高校ヒーロー科の生徒として、今まで培ってきた経験と誇りがある。本来なら、自分もコジュウタとの同行を申し出るべきなのだろう。それでも、相対するのは現実の
泡瀬洋雪はかすかに震える手を握りしめ、八百万百の方を振り返った。
コジュウタは無言でそのさまを見守っている。
「八百万さん。頼みがあるんだけど・・・」
「貴方も行くと言えば、わたくしは止めますわ」
八百万百は
実際指示を受けたのはコジュウタだけであり、緑谷出久は無理矢理ついてきているだけなのだが、それを彼女が知る術はない。
「わかってる。実際、手が震えてる。・・・今の俺じゃ、緑谷以上にコジュウタの足手まといだ。自覚はある。だから、そうじゃ無くて・・・個性でさ、まな板と包丁とか出せない?あと皿も」
「包丁?お皿?え、ええ、可能ですが・・・なぜに?」
「少しでも力にならなくちゃな。コジュウタ。緑谷も、ちょっと待っていてくれ。直ぐにできるからさ。小森と黒色も呼んでくる!」
小森希乃子と黒色支配を呼んで戻った泡瀬洋雪は、頭のヘアバンドを捻り頭に巻き直す。
ヒーローを目指す以前の彼の将来の夢は、料理人だった。飲食業という人々を笑顔にする身近な職業に憧れた。どちらの夢を見るべきか・・・悩んだ幼少期。
答えが出せたのは、彼の出身地が被災地になった時だ。
『料理は火加減が命!チョコレートはカレーのスパイスになるんだ!』
料理人とヒーローを両立する同郷のトップヒーローに出会った。
現在、雄英の台所を預かるクックヒーロー、ランチラッシュに憧れて泡瀬洋雪は雄英ヒーロー科にやってきた。不安で眠れぬ夜に食べたあの日のカレーライスを、忘れたことはない。
食事は人を助けることが出来るのだ。
「お
鬱蒼とした森の中。泡瀬洋雪が作り上げたのは驚くべきことに
無論、
紛い物の
「ごめんな。こんなことしかしてやれなくて・・・」
顔を伏せる泡瀬洋雪に、コジュウタは首を振った。
「イタダキマス」
コジュウタは無言でバイオ・マツタケ・
「美味しい。サツバツたるイクサを前に、こんなご馳走は初めてです。ご馳走さまデシタ」
「お粗末様でした」
お互いに
その後を慌てて緑谷出久が追いかけて行った。
泡瀬洋雪はバンダナを外すと恥じ入るように地面を見つめる。
「こうするしか、なかったのか。本当に・・・そうか」
誰かに向けた言葉ではない。己の弱さに打ちのめされた、そんな声色だった。
「なんで緑谷みたいに追いかけられない。たいした怪我もしていないのに、どうして一緒に戦おうって思えない。怖いからだろ・・・。怖じ気づいてんだろ・・・。俺は・・・弱い・・・」
「そんなこと・・・」
そこまで言って、八百万百は言葉を止めた。
泡瀬洋雪は慰めの言葉なんて求めていない。それは彼の側で同じように顔を伏せる黒色支配や小森希乃子も同じだとわかった。
コジュウタ・フジキド。
かの
スゴいと思う。強いとも思う。轟焦凍の様な強個性。爆豪勝己の様な戦闘力。緑谷出久の様な強い心。この状況下で、教師陣が彼に他生徒の救援を任せるのにも納得できる。
悔しいという気持ちは湧かない。それは彼女が彼を知らないからだ。
B組生徒は知っている。誰も少なからず、心の中に抱いていた感情が浮き彫りにされていた。
八百万百は言う。
「行きましょう。わたくしたちは、わたくしたちにできることをやりましょう」
正しいことをしなければ。