ドーモ。ヴィランスレイヤーです。これはニンジャが来てヴィランを討つ物語。   作:白白明け

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Kindleでニンジャスレイヤーを読んで勢いで書いてしまった何番煎じかもわからないヒロアカにニンジャスレイヤー要素をいれた物語です。
せっかくなので1年B組を舞台に書きたいと思い挑戦しています。作中での描写がA組と違い少ないので、オリジナル展開やキャラ崩壊が有るかも知れません。ご容赦ください。


皆様の暇つぶしになれれば幸いです。m(_ _)m

評価・感想を頂けるとモチベーションが上がり、とても嬉しいです。\(^_^)/



戦闘訓練②

 

 

回原旋は息を呑んだ。周囲に散らばった手裏剣(スリケン)。破壊されたコンクリの壁。気絶しているチームメイト。其処に立つ青黒いニンジャ装束に身を包んだ少年は、かすり傷の一つも負っていない。「鉄哲が一方的に負けたのか⁉」その衝撃が覚めやらぬまま、鬼火めいた青い眼光が次なる敵として自分を見定めていた。実際コワイ!

 

「ドーモ。旋=サン。コジュウタ・フジキドです」「どうも、コジュウタ。お前、マジかよ」回原旋は口元を引きつらせながら、気絶している鉄哲徹鐵に目を向ける。激しい戦闘があったのは見ればわかる。間に合わなかったことを後悔する前に、回原旋の頭にある考えが浮かぶ。果たして鉄哲徹鐵は目の前の忍者(ニンジャ)を相手にどこまで食い下がったのか。瞬殺されたのか。それとも五十歩百歩(ゴジュッポ・ヒャッポ)だったのか。後者だったなら、自分だけ不様(ブザマ)は晒せない。舐められる!「鉄哲の仇ッ、とらせてもらうぞ!」回原旋はヒーローのように叫びながら、コジュウタに向かって走る。近接戦闘(カラテ・ファイト)だ!

 

「手裏剣の怖さはわかった!投げさせる暇は与えねぇぞ!」回原旋は手刀を構える。そして、その腕は唸りを上げて回転を始めた!「ラセン・ジツか!」「個性『旋回』だ!」回原旋の回転する腕はドリルのようだ。その掘削力はコンクリを容易く削りとる!アブナイ!素手での対処は不可能だ!コジュウタはカラテを構えた。「イヤーッ!」「イヤーッ!」カラテパンチとドリルパンチが弾きあう。回原旋は驚いた。「素手で弾いた⁉」「これがカラテだ!」コジュウタはカラテの回し受けによって回転の威力を殺していたのだ!ワザマエ!

そして、近接戦闘(カラテ・ファイト)はコジュウタの望むところだ。「イヤーッ!」コジュウタの右カラテパンチ!「イヤーッ!」回原旋は左ドリルパンチでそれを弾く。コジュウタはその回転の勢いを利用する。床から足を離したコジュウタの身体が、ドリルパンチの螺旋回転を利用して、勢いよく回り出した!重力を無視したその動きは、コジュウタの個性『無重』(ムジュウ・ジツ)だ!思わず目を丸くして隙を晒した回原旋にコジュウタのカラテパンチが叩きこまれた!「イヤーッ!」「グワーッ!」回原旋は吹き飛び、床に背中を強く打ちつける。「イタイッ⁉」肺の空気が吐き出されてしまった。戦闘開始から此所まで、僅かに10秒。瞬殺だった。

 

「旋=サン。カイシャクをしてやる。ハイクを読むといい」

 

(ヴィラン)になりきっているコジュウタが、奥ゆかしくゆっくりと幽鬼の様な足取りで歩いてくる。実際コワイ!回原旋の目尻に涙が浮かんだ。「ナンデ!ドウシテ!」回原旋は心の中でそう叫んだ。回原旋にとってコジュウタは()()()()()()()()()()に成るはずだった。そう思っていた。回原旋はなんとか立ち上がると、悔しげに言った。

 

「お前は、ジャパニーズカルチャーかぶれの、ニンジャアニメ好きの外国人だろ⁉」

「・・・だったら、ナニ?」

「俺と同じ、大した理由もなく日本でヒーロー目指したんじゃないのかよ!なのにどうしてッ、そんなにスゲぇんだ!ずるいだろ!」

「ナニが?」

「後ろめたくないのかよ!くだらない理由でッ、他の受験生を蹴落としてッ、俺たちは雄英(此所)にいるんだぞ!」

 

回原旋の目から、一筋の涙が伝う。後悔の涙だ。雄英高校ヒーロー科に居るのは未来のヒーロー界を担うに足る人々だ。そんなクラスメイト達に囲まれて過ごす中で、回原旋はずっと後悔に苛まれていた。

「俺には、憧れたヒーローなんていない!ヒーローに助けられた事もない!どんなヒーローに成れば良いかもわからない!ただ、モテたくて、金持ちになりたくて、雄英に入った!入っちゃったんだよ。他の、俺よりもずっと、きっと、ヒーローに成りたかった奴を、蹴落として・・・」

回原旋には信念がない。覚悟もない。けれど、優しい少年だった。だから、縋るように泣いていた。

 

「なぁ、コジュウタ。お前も、同じだろ?同じだって、言ってくれよ」

 

コジュウタは縋るように泣いて笑う回原旋を見て、一度だけ目を瞑ると、直ぐに開く。その眼には鬼火めいた青い光が揺らいでいた。

 

「オレは母を(ヴィラン)に殺された」

「・・・は?」

「母はマイコだった。女手一つで育ててくれた。昔、初めての海外旅行でアメリカに行った時、オレを(ヴィラン)から庇って死んだ。強くて優しいマイコだった」

 

回原旋は絶句した。自らの勘違いを心から恥じた。少し考えればわかることだった。何故、日本生まれの純日本人である少年がアメリカ国籍を得るに至ったのか。何故、自分と変わらない年齢で此所までの戦闘能力を有しているのか。それに足る理由が有ったからだ。血反吐を吐いて血尿を撒き散らしながらカラテを極めなければならない理由があったからだ。「オレは誓った。全ての(ヴィラン)を許さぬと。(ヴィラン)、討つべし。慈悲はない!」最初から、コジュウタのヒーローコスチュームから目を背けなければわかることだった。コジュウタの口元を覆う鉄製の面頬(メンポ)。其処に刻まれた『敵』『討』の漢字(レリーフ)から、目を逸らすことさえしなければ!「アイエエ・・・」回原旋は小さく喘いだ。

 

「じゃあ、俺は・・・やっぱり独りか。ハハッ、もう退学した方が、いいのかもな」

「甘えるな!」

 

コジュウタの大声が響いた。回原旋は思わず身を震わせる。視線の先には激怒するコジュウタがいた。

「オレは母を(ヴィラン)に殺された!だが、だからヒーローに成れるワケじゃない!オレはヒーローに救われた!だから、ヒーローに成れるワケじゃない!オレには憧れのヒーローがいる!だから、ヒーローに成れるワケじゃない!」

コジュウタは回原旋の襟首を掴んで立ち上がらせる。「オマエは此所に立っている」と伝える為だ!

「誰もがヒーローにッ、成れるワケじゃない!悲劇など、チャメシ・インシデントだ!今こうしている間にもッ、ヒーローに成りたいとッ、成るのだと泣いている人がいるだろう!その全てがッ、ヒーローに成れるワケじゃない!」

コジュウタは入学試験で助けた数多くの学生たちを思い出す。彼らの大半は、此所にはいない。彼らはヒーローになる資格さえ、与えられずに去ったのだ。

 

「退学するだと!フザケルナ!」

 

コジュウタは回原旋の額に己の額をぶつけた。頭突きだ!実際イタい!

そして、大きく息を吸って、大きく息を吐く。心の平衡にするチャドーの呼吸だ。

 

「旋=サンは、徹鐵=サンのピンチに駆けつけた。カタキを討つと言った姿は、オレの目にはヒーローに見えた」

「・・・欺瞞だ。ハリボテだ」

「それもイイ。ヒーローに成るのに、ツライ過去なんていらない。信念はこれから見つければイイ。憧れたヒーローがいないなら、憧れられるヒーローになればイイ」

「・・・無理だ。俺は弱い、くだらない人間だ」

「旋=サンのセンカイ・ジツは実際スゴい。一緒にカラテを極めよう」

「・・・成れるかな。ヒーローに。俺も、成っていいのかな」

「後悔は死んでからすればよい」コジュウタは襟首を離す。回原旋はもう支えられずとも立てるのだ。回原旋は涙を拭う。コジュウタはそれを見て面頬の下で奥ゆかしく笑った。

 

「さあ、イクサを再開。いや、始めよう」

 

コジュウタは両手を合せて奥ゆかしく挨拶(アイサツ)

回原旋が敬意を払うに値すると認めているが故の二度目の挨拶(アイサツ)だ!

 

「ドーモ。回原旋=サン。コジュウタ・フジキドです」

「ああ、ありがとう。コジュウタ・フジキドさん。ヒーロー志望の、回原旋です!」

 

コジュウタがカラテパンチを放つ。「イヤーッ!」「イヤーッ!」回原旋がドリルパンチでカラテパンチを弾く。コジュウタが手裏剣(スリケン)を投げる。「イヤーッ!」回原旋が旋回し、独楽(コマ)めいた動きで手裏剣(スリケン)を避ける。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ」「グワーッ」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ」「グワーッ」。五十歩百歩(ゴジュッポ・ヒャッポ)!しかし、均衡はコジュウタが回原旋のように回転を始めたことで崩された!

コジュウタは跳躍した後、片脚を上げたままきりもみ状に回転を始める!まさかコレは血も涙もない暗黒カラテ技、チャドー奥義タツマキケンか!否、チガウ!コジュウタが使うのは片脚のみ!両脚を(カマ)の様に振り。敵の首を刈るタツマキケンとは別の技だ!コレはまだチャドーを極めきっていないコジュウタが個性『無重』(ムジュウ・ジツ)を用いて行うタツマキケンの模倣奥義!モホウ・タツマキケンだ!

 

「イヤーッ!」

「グワーッ!」

 

コジュウタの爪先が回原旋のみぞうちに突き刺さる。回原旋は回転ながら吹き飛んでいく。吐き出した吐瀉物がネズミ花火(ハナビ)の様に撒き散らされた。ムゴイ!コジュウタに容赦なし!「ヒーロー討つべし!慈悲はない!」コジュウタは(ヴィラン)役になりきっていた!「スッゾコラー!」悪役(ヤクザ)じみた叫声を上げる!しかし、残心(ザンシン)は忘れない!

 

「ゴウランガッ!」

 

回原旋は薄れ行く意識の中でそれを聞いていた。

彼には憧れたヒーローなんて、いなかった。

今日、この日までは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルの地下にあるモニタールームで戦闘訓練の講評が行われていた。コジュウタのカラテで怪我をした鉄哲徹鐵と回原旋は保健室に運び込まれた為に欠席だ。

オールマイトがB組の生徒たちに向けて勢いよく手を上げる。

 

「今回のベストは誰だが、わかる人!」

 

生徒たちが口々に出す名前はコジュウタだった。「フジキドかな。まさか鉄哲相手にごり押しできるとは思わなかったよ」「彼、そうとう恨めしいよね」「コジュウタがNo.1デース!」だが、塩崎茨を押す声も上がる。「しかし、フジキド氏が暴れられたのは塩崎氏が核を守っていたからですぞ」「ヒーローチームが4階に上がれなかったから目立たなかったけど、塩崎の功績は大きいでしょ」コジュウタが戦って居る間、塩崎茨は個性『ツル』で4階フロアを埋め尽くし、核を完全防護していたのだ!実際スゴい!

オールマイトがコジュウタと塩崎茨に問う。

「作戦を考えたのは塩崎少女かな?」コジュウタは頷き、塩崎茨を称えた。「実際スゴい」塩崎茨は満更でもない様だ。「感謝します」オールマイトは二人を見て頷く「どうやらベストは二人のようだ」反対意見は上がらなかった。

オールマイトは次に「ヒーローチームが勝つにはどうすればよかったか」を生徒たちに問う。挙手したのは先ほども最初に答えた女生徒-拳藤(けんどう)一佳(いつか)だ。拳藤一佳はオレンジ色のサイドテールが特徴的な武闘派女子だ。鉄哲徹鐵とは仲が良かった。そして、そのバストは豊満である。

 

「実力のわからない(ヴィラン)、フジキドに「ドーモ。拳藤一佳=サン。コジュウタ・フジキドです。コジュウタと呼んでください。皆さんもファーストネームでドーゾ」え、あ、拳藤一佳です。うん。わかったよ」

コジュウタに話の腰を折られた拳藤一佳は大きな青い目をパチクリとさせた後、言葉を続けた。「コジュウタの実力がわからない以上、二手に分かれたのがマズかった。鉄哲も回原も、戦闘には自信があったんだろうけどさ、悪手だったと思うな」オールマイトは力強く頷く。「その通りだ。二人とも索敵能力がなく、制限時間もわからないから早めに核を発見したかったのだろうけれど、裏目に出たね」そして、総評を述べる。

 

「戦いの基本は情報戦だ。敵の力がわからない以上、闇雲に突っ込んではいけない」

まさしく“急ぐと失敗する”。ミヤモト・マサシのコトワザどおりだ。

オールマイトはしかし、とも続ける。

「だが、ヒーローたるもの足を止めてはいけないよ。待ってばかりでは勝てる筈もない」

“負けを待って無駄死に”。これもまたミヤモト・マサシのコトワザだ。

オールマイトは不敵に笑う。「考えろ有精卵共!己を知り、敵を知り、自分にできることを全力でやるんだ!これは今の自分に何ができるかを確認するための授業!さあ、第2回戦開始だ!」

 

雄英高校ヒーロー科。一年B組の授業はこうして大きなトラブルなく進んだ。オールマイトは「A組の時と違ってやりやすいなあ!」と笑顔の下で安心するのだった。

 

 

 

 

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