ドーモ。ヴィランスレイヤーです。これはニンジャが来てヴィランを討つ物語。 作:白白明け
せっかくなので1年B組を舞台に書きたいと思い挑戦しています。作中での描写がA組と違い少ないので、オリジナル展開やキャラ崩壊が有るかも知れません。ご容赦ください。
皆様の暇つぶしになれれば幸いです。m(_ _)m
評価・感想を頂けるとモチベーションが上がり、とても嬉しいです。\(^_^)/
回原旋は息を呑んだ。周囲に散らばった
「ドーモ。旋=サン。コジュウタ・フジキドです」「どうも、コジュウタ。お前、マジかよ」回原旋は口元を引きつらせながら、気絶している鉄哲徹鐵に目を向ける。激しい戦闘があったのは見ればわかる。間に合わなかったことを後悔する前に、回原旋の頭にある考えが浮かぶ。果たして鉄哲徹鐵は目の前の
「手裏剣の怖さはわかった!投げさせる暇は与えねぇぞ!」回原旋は手刀を構える。そして、その腕は唸りを上げて回転を始めた!「ラセン・ジツか!」「個性『旋回』だ!」回原旋の回転する腕はドリルのようだ。その掘削力はコンクリを容易く削りとる!アブナイ!素手での対処は不可能だ!コジュウタはカラテを構えた。「イヤーッ!」「イヤーッ!」カラテパンチとドリルパンチが弾きあう。回原旋は驚いた。「素手で弾いた⁉」「これがカラテだ!」コジュウタはカラテの回し受けによって回転の威力を殺していたのだ!ワザマエ!
そして、
「旋=サン。カイシャクをしてやる。ハイクを読むといい」
「お前は、ジャパニーズカルチャーかぶれの、ニンジャアニメ好きの外国人だろ⁉」
「・・・だったら、ナニ?」
「俺と同じ、大した理由もなく日本でヒーロー目指したんじゃないのかよ!なのにどうしてッ、そんなにスゲぇんだ!ずるいだろ!」
「ナニが?」
「後ろめたくないのかよ!くだらない理由でッ、他の受験生を蹴落としてッ、俺たちは
回原旋の目から、一筋の涙が伝う。後悔の涙だ。雄英高校ヒーロー科に居るのは未来のヒーロー界を担うに足る人々だ。そんなクラスメイト達に囲まれて過ごす中で、回原旋はずっと後悔に苛まれていた。
「俺には、憧れたヒーローなんていない!ヒーローに助けられた事もない!どんなヒーローに成れば良いかもわからない!ただ、モテたくて、金持ちになりたくて、雄英に入った!入っちゃったんだよ。他の、俺よりもずっと、きっと、ヒーローに成りたかった奴を、蹴落として・・・」
回原旋には信念がない。覚悟もない。けれど、優しい少年だった。だから、縋るように泣いていた。
「なぁ、コジュウタ。お前も、同じだろ?同じだって、言ってくれよ」
コジュウタは縋るように泣いて笑う回原旋を見て、一度だけ目を瞑ると、直ぐに開く。その眼には鬼火めいた青い光が揺らいでいた。
「オレは母を
「・・・は?」
「母はマイコだった。女手一つで育ててくれた。昔、初めての海外旅行でアメリカに行った時、オレを
回原旋は絶句した。自らの勘違いを心から恥じた。少し考えればわかることだった。何故、日本生まれの純日本人である少年がアメリカ国籍を得るに至ったのか。何故、自分と変わらない年齢で此所までの戦闘能力を有しているのか。それに足る理由が有ったからだ。血反吐を吐いて血尿を撒き散らしながらカラテを極めなければならない理由があったからだ。「オレは誓った。全ての
「じゃあ、俺は・・・やっぱり独りか。ハハッ、もう退学した方が、いいのかもな」
「甘えるな!」
コジュウタの大声が響いた。回原旋は思わず身を震わせる。視線の先には激怒するコジュウタがいた。
「オレは母を
コジュウタは回原旋の襟首を掴んで立ち上がらせる。「オマエは此所に立っている」と伝える為だ!
「誰もがヒーローにッ、成れるワケじゃない!悲劇など、チャメシ・インシデントだ!今こうしている間にもッ、ヒーローに成りたいとッ、成るのだと泣いている人がいるだろう!その全てがッ、ヒーローに成れるワケじゃない!」
コジュウタは入学試験で助けた数多くの学生たちを思い出す。彼らの大半は、此所にはいない。彼らはヒーローになる資格さえ、与えられずに去ったのだ。
「退学するだと!フザケルナ!」
コジュウタは回原旋の額に己の額をぶつけた。頭突きだ!実際イタい!
そして、大きく息を吸って、大きく息を吐く。心の平衡にするチャドーの呼吸だ。
「旋=サンは、徹鐵=サンのピンチに駆けつけた。カタキを討つと言った姿は、オレの目にはヒーローに見えた」
「・・・欺瞞だ。ハリボテだ」
「それもイイ。ヒーローに成るのに、ツライ過去なんていらない。信念はこれから見つければイイ。憧れたヒーローがいないなら、憧れられるヒーローになればイイ」
「・・・無理だ。俺は弱い、くだらない人間だ」
「旋=サンのセンカイ・ジツは実際スゴい。一緒にカラテを極めよう」
「・・・成れるかな。ヒーローに。俺も、成っていいのかな」
「後悔は死んでからすればよい」コジュウタは襟首を離す。回原旋はもう支えられずとも立てるのだ。回原旋は涙を拭う。コジュウタはそれを見て面頬の下で奥ゆかしく笑った。
「さあ、イクサを再開。いや、始めよう」
コジュウタは両手を合せて奥ゆかしく
回原旋が敬意を払うに値すると認めているが故の二度目の
「ドーモ。回原旋=サン。コジュウタ・フジキドです」
「ああ、ありがとう。コジュウタ・フジキドさん。ヒーロー志望の、回原旋です!」
コジュウタがカラテパンチを放つ。「イヤーッ!」「イヤーッ!」回原旋がドリルパンチでカラテパンチを弾く。コジュウタが
コジュウタは跳躍した後、片脚を上げたままきりもみ状に回転を始める!まさかコレは血も涙もない暗黒カラテ技、チャドー奥義タツマキケンか!否、チガウ!コジュウタが使うのは片脚のみ!両脚を
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
コジュウタの爪先が回原旋のみぞうちに突き刺さる。回原旋は回転ながら吹き飛んでいく。吐き出した吐瀉物がネズミ
「ゴウランガッ!」
回原旋は薄れ行く意識の中でそれを聞いていた。
彼には憧れたヒーローなんて、いなかった。
今日、この日までは。
ビルの地下にあるモニタールームで戦闘訓練の講評が行われていた。コジュウタのカラテで怪我をした鉄哲徹鐵と回原旋は保健室に運び込まれた為に欠席だ。
オールマイトがB組の生徒たちに向けて勢いよく手を上げる。
「今回のベストは誰だが、わかる人!」
生徒たちが口々に出す名前はコジュウタだった。「フジキドかな。まさか鉄哲相手にごり押しできるとは思わなかったよ」「彼、そうとう恨めしいよね」「コジュウタがNo.1デース!」だが、塩崎茨を押す声も上がる。「しかし、フジキド氏が暴れられたのは塩崎氏が核を守っていたからですぞ」「ヒーローチームが4階に上がれなかったから目立たなかったけど、塩崎の功績は大きいでしょ」コジュウタが戦って居る間、塩崎茨は個性『ツル』で4階フロアを埋め尽くし、核を完全防護していたのだ!実際スゴい!
オールマイトがコジュウタと塩崎茨に問う。
「作戦を考えたのは塩崎少女かな?」コジュウタは頷き、塩崎茨を称えた。「実際スゴい」塩崎茨は満更でもない様だ。「感謝します」オールマイトは二人を見て頷く「どうやらベストは二人のようだ」反対意見は上がらなかった。
オールマイトは次に「ヒーローチームが勝つにはどうすればよかったか」を生徒たちに問う。挙手したのは先ほども最初に答えた女生徒-
「実力のわからない
コジュウタに話の腰を折られた拳藤一佳は大きな青い目をパチクリとさせた後、言葉を続けた。「コジュウタの実力がわからない以上、二手に分かれたのがマズかった。鉄哲も回原も、戦闘には自信があったんだろうけどさ、悪手だったと思うな」オールマイトは力強く頷く。「その通りだ。二人とも索敵能力がなく、制限時間もわからないから早めに核を発見したかったのだろうけれど、裏目に出たね」そして、総評を述べる。
「戦いの基本は情報戦だ。敵の力がわからない以上、闇雲に突っ込んではいけない」
まさしく“急ぐと失敗する”。ミヤモト・マサシのコトワザどおりだ。
オールマイトはしかし、とも続ける。
「だが、ヒーローたるもの足を止めてはいけないよ。待ってばかりでは勝てる筈もない」
“負けを待って無駄死に”。これもまたミヤモト・マサシのコトワザだ。
オールマイトは不敵に笑う。「考えろ有精卵共!己を知り、敵を知り、自分にできることを全力でやるんだ!これは今の自分に何ができるかを確認するための授業!さあ、第2回戦開始だ!」
雄英高校ヒーロー科。一年B組の授業はこうして大きなトラブルなく進んだ。オールマイトは「A組の時と違ってやりやすいなあ!」と笑顔の下で安心するのだった。