ドーモ。ヴィランスレイヤーです。これはニンジャが来てヴィランを討つ物語。   作:白白明け

9 / 31

感想、評価、ありがとうございます!
誤字脱字報告を下さる方々。とても助かっています。

今後も皆様の暇つぶしになれば幸いです!\(^o^)/




騎馬合戦

 

 

第二種目騎馬戦。チーム決めのために与えられた時間は15分。予選通過者が一斉に動き出す中で、情けない声を出している灰色髪の少年がいた。

「アイエエ・・・」コジュウタである。

コジュウタに割り振られたP(ポイント)は1000万ポイント。諸行無常(ショッギョ・ムッジョ)!“過ぎたるは及ばざるがごとし”とは正当な佗茶(ワビチャ)の始祖、平安時代の茶人リキューの言葉である。

1000万ポイントは確実に全員に狙われる。物間寧人は言った。「その場限りの優位に執着しても意味ないし、僕は堅実に行かせて貰うよ」そして去っていった。

正論である。1000万ポイントを保持し続けるより、試合終了間近に奪いに行った方が戦術として正しい。だから、コジュウタはクラスメイトたちから露骨に避けられていた!まさかの村八分(ムラハチ)である!殺伐(サツバツ)

そんな中、女神が現われる。ポニーだ。

「コジュウタ!私と組みましょう!2人ならどんな困難も乗り越えられマース♪」「ポニー=サン!」

そこに拳藤一佳たちが現れる。

「はーい。ポニーは私たちと組むよー」「流石に1000万ポイントはダメキノコだもんね」「悔い改めて」「オーノー」「ポニー=サン⁉」

救いの女神は連れ去られてしまった。残念(ザンネン)

 

落ち込むコジュウタの肩を叩くイケメンがいた。

回原旋である。「女子はリアリストだからな、落ち込むなよ。俺がいるぜ」「回原=サン!いいのか?」「逃げ切りゃ勝ちだ。逆にチャンスだろ」

回原旋は自然にウインクをした。イケメンである!

友情(ユウジョウ)を確かめ合う2人の肩に手を回す漢が居た。

鉄哲徹鐵である。「俺ァ入れて3人だ。あと1人はどうすっかァ」「徹鐵=サン!いいのか?」「困難とはァ、乗り越える為にあんだよ」

鉄哲徹鐵は男らしく言った。イケメンである!

 

「コジュウタさん。おれと組んでくれないか」

 

3人に声をかけてくる生徒が居た。心繰人使である。

鉄哲徹鐵は言う。「誰だァ?」

回原旋は思い出す。「ほら、前にA組で宣戦布告していた」

コジュウタは両手を合せて挨拶(アイサツ)。「ドーモ。人使=サン。2人とも、こちらは心繰人使=サンです。人使=サンは普通科の生徒です」「普通科ァ」「普通科ね」

心繰人使は鉄哲徹鐵と回原旋の反応に僅かに怯む。やはり普通科の生徒と組むメリットはないと考えているのだろうと思う。しかし、自分の個性を知って貰えれば、それも覆るだろうと個性を口にしようとしたところでその考えが間違えだったと知る。

鉄哲徹鐵は言った。「普通科で予選通過とはやるじゃねェか」

回原旋は言った。「宣戦布告。見ていたよ。格好よかったぜ」。

2人はイケメンである!

心繰人使は言う。「・・・俺で、いいのか?」「気合い入った奴は好きだぜェ」「それはコジュウタが決めることだけど、俺は良いと思うよ」

心繰人使はコジュウタを見る。

コジュウタはマスクの下で笑っていた。「人使=サン。ヨロシクオネガイシマス」

騎馬はできた。ヨカッタネ!

 

 

 

15分後、試合開始前に物間寧人がクラスメイト達を集めて言った。

 

「ここにいるほとんどがA組ばかりに注目してる・・・何でだ?A組の連中も調子づいてる・・・。おかしいよね・・・。彼らと僕らの違いは?“会敵”しただけだぜ?」

 

物間寧人の言葉はB組生徒が少なからず胸に秘めている思いだ。

 

「話を聞かない奴ら以外のヒーロー科B組が予選で何故、中下位に甘んじたか。調子づいたA組に知らしめてやろう皆」

 

騎馬戦が始まる。

 

 

 

 

 

 

〈さァ上げてけ(とき)の声‼血を血で洗う雄英の合戦が今‼狼煙を上げる‼‼〉

プレゼント・マイクの実況と共に各馬が騎馬を組む。コジュウタチームの騎手を務めるのはコジュウタだ。

騎手決めの際、回原旋が言った。「コジュウタが騎手でいいな」

コジュウタはこれを辞退。「いえ、結構です。悪いです」

ここですぐに騎手を受けるものは蛮人と見なされ、村八分(ムラハチ)だ。

回原旋が再度、薦める。「コジュウタがやるべきだろ。やってくれよ」

コジュウタは受けた。「それでは」

一度、断ったことで十分な奥ゆかしさが付与される。この一見面倒なやり取りにこそ、正当な佗茶(ワビチャ)に通ずる“心”があるのだ。侘び寂び(ワビサビ)!

前騎馬は鉄哲徹鐵。個性『スティール』で騎馬同士の衝突にも揺るがぬ屈強さ故だ。

右騎馬を回原旋。左騎馬を心繰人使が務める。

 

プレゼント・マイクがカウントダウンを開始する。

〈いくぜ‼残虐バトルロアイヤル!カウントダウン!3‼2‼〉

 

「チーム、テンミリオンッ!行くぞォ‼」「応っ!」「応っ!」「ガンバルゾー」

 

〈1・・・‼START(スタート)!〉

 

 

スタートの合図と同時に向かってくる騎馬がいた。ポニーの騎馬だった。

「コジュウタの1000万(ハート)をゲットするのは私デース!」南無三(ナムサン)

まさかポニーと争う事となろうとは、恐ろしきは雄英体育祭。なんたる因果応報(インガオホー)か!

突撃してくるポニーの騎馬と共に飛来物あり。それはポニーの頭部に生えている角だ。

「ポニー=サンのホーンホウ・ジツだ!」

ポニーの個性『角砲(ホーンホウ)』。彼女は角を飛ばせる。飛ばした角は直ぐに生えてくる。

鉄哲徹鐵が叫ぶ。「避けんぞォ!」騎馬がダッシュ。

ポニーはしかし、「逃がしまセーン!」

個性『角砲(ホーンホウ)』で飛ばした角は現在、2本まで操作可能!流鏑馬(ヤブサメ)!2本の角が虻蜂(アブハチ)めいた軌道で追ってくる。

コジュウタは決断的に状況判断。回避は無理。「迎撃ッ!」

鉄哲徹鐵たちは指示に従い、足を止めてポニーたちの騎馬に向き直る。

鉄哲徹鐵が叫ぶ。「手裏剣ねェぞ!」

コジュウタが言った。「カラテがある。イヤーッ!」

コジュウタは飛んでくる角を空手(カラテ)チョップで叩き落とす。コンクリに突き刺さる強度と出力(パワー)を持つ角が、砕かれた!

回原旋はコジュウタの業前(ワザマエ)を称える。「流石だぜ!」

ポニーも何故か嬉しそうだ。「流石はコジュウタデース!」

ポニーの前騎馬を務める拳藤一佳が(げき)を飛ばす。「バカ。間髪入れずに攻めるよ!」

拳藤一佳の声でポニーたちの騎馬は本格的に動き出す。

拳藤一佳の指示が飛ぶ。「(いばら)はポニーの角の邪魔にならない高さでツルを出して、希乃子(キノコ)は地面にキノコで妨害!」

塩崎茨のツルの様な髪の毛が伸び、コジュウタたちに向かう。「哀れな子羊たちに救済を」

小森希乃子の個性『キノコ』でコジュウタたちの足元にキノコが生えた。「がんばりキノコ」

ポニーが操る2本の角がコジュウタを襲う!「一佳(イッカ)ッ、了解ネ!コジュウタ、覚悟するのデース!」

()()」拳藤一佳が、冷酷さを感じさせる声色で言う。

 

「狙うのは左騎馬ッ‼」

 

拳藤一佳の指示を3人は即座に理解。ツルが、キノコが、角が、()()()使()()()()

ヤブサメは馬から墜とせ(将を射んとせばまず馬を射よ)”。平安時代の剣豪にして哲学者、ミヤモトマサシの言葉である!そして、狙うならば()()()から!鉄哲徹鐵と回原旋の強さをしるB組女子から、普通科である心繰人使が狙われたのだ!

殺伐(サツバツ)

 

戦いになった時、自分が真っ先に狙われることを心繰人使は理解していた。卑怯とは言わない。弱点を攻めるのはセオリー。寧ろ、舐めずにかかって来てくれることに感謝したいくらいだった。迫ってくるツルとキノコと角。この窮地(ピンチ)を覆す個性(チカラ)を、心繰人使は持ち得ない。心繰人使の個性は強力だが、一対多では効果が薄い。

()()()、“俺たちを頼れ”と試合前に回原旋は笑っていた。

 

“お前は切り札だ”と。

 

「回原さん!」心繰人使の声に回原旋は答える。「フォローッ」

回原旋は右脚を軸に回転。個性『旋回』を生かした180度ターンだ。心繰人使と回原旋の位置が瞬時に入れ替わる。

回原旋は飛んでくる角を右腕のドリルパンチで迎撃!足元のキノコは脚部の回転により無効化!しかし、右腕にツタが絡みつく!回転だけでは抜け出せない⁉

塩崎茨が笑う。「逃がしません」

回原旋も笑った。「じゃあ、一緒に行こうか」

拳藤一佳が意図を悟り指示を出す。「ツル離して!」しかし、もう遅い。

鉄哲徹鐵が()()()()の合図を送っていた。「タイミング合わせろォ。イチ、ニィ、サンッ!」

騎馬が10メートル近く跳んだ。ヒーロー科(内1人志望)男子の脚力×3たす事のコジュウタの個性『無重』(ムジュウ・ジツ)が成せる大ジャンプである!業前(ワザマエ)

ツルで絡みついていたポニーたちは大ジャンプに引っ張られ騎馬を崩した。

コジュウタたちはその隙に逃げ出すのだった。

 

 

 

大ジャンプから着地。ポニーたちから逃げ出した先で待ち構えていたのはA組の騎馬たちだった。

緑谷出久が言う。「さっきはしてやられたけど、次は僕たちが1位を取る!」

透明な騎手から声がする。「はっはっは‼1000万ポイントいただくよー‼」

コジュウタは決断的に状況判断。

まずは挨拶(アイサツ)。「A組の皆さん。ドーモ。コジュウタ・フジキドです」

「あ、緑谷出久です」「葉隠透だよー!」

そして、「撤退!」騎馬の3人は息を合わせて再びの大ジャンプ。

A組からブーイング。「あっ、逃げるなー!」

鉄哲徹鐵が言う。「積極的にやりあう理由がねェ」

透明な騎手、葉隠(はがくれ)(とおる)が前騎馬の耳郎響香(じろうきょうか)に指示を出す。

耳郎(じろう)ちゃん‼」

「わってる」

耳郎響香の耳たぶから伸びた音響プラグめいたものがコジュウタたちを襲う!

「ミミタブ・ジツか⁉」「かっこ悪⁉個性『イヤホンジャック!』だよ!」

ただの耳たぶ「イヤホンジャック!」と侮るなかれ。耳郎響香はプラグとなった耳たぶを挿すことで自身の心音を爆音の衝撃波として放つことができるのだ!

プラグがコジュウタの腕に突き刺さる。「バカにすんな!」

直後、コジュウタの体内を爆音が走り抜ける!瞬間、コジュウタは大きく息を吸い、ゆっくりと吐く。チャドーの呼吸だ!耐えた(タエタ)

耳郎響香は狼狽する。体内への音の衝撃波は防御無視の筈だった。「ナンデ?ドウシテ⁉」

コジュウタは言う。「“アオカビをもって結核菌を制する。これ即ちペニシリンの発見なり”(注釈:毒をもって毒を制すの意)」

コジュウタはチャドーの呼吸で心音を強化。体内に響いた耳郎響香の心音を打ち消したのだ!業前(ワザマエ)!しかし、紙一重の攻防であった。耳郎響香の個性は実際スゴい!

それを称えてコジュウタはマスクを下げて笑った。「キレイな音でした」

その素顔は美男子である。口元の艶ぼくろが妖艶(色っぽい)!そして、「オタッシャデー」

 

「・・・耳郎ちゃん。顔赤い?」「赤くない‼」

「・・・テメェ、ポニーに刺されるぞォ」「ナンデ?」「これはコジュウタが悪い」「ドウシテ?」「ごめん。おれでもわかる。あれはコジュウタさんが悪い」「アイエエ・・・」

 

コジュウタがラブコメの波動を放っていると追いすがる()があった。

 

「ダークシャドウ!」

 

突然現われた影の怪物がコジュウタたちを襲う!

回原旋が咄嗟に迎撃。「危ねぇ!」

振り返ると其処にはコジュウタたちと同じように飛んでいる緑谷出久の騎馬があった。

緑谷出久は言う。「逃がさないぞ」

その背後にはバックパックがある。コジュウタの目が右騎馬を務める少女を捕らえた。障害物競走の際に見たサポート科のハイテック少女だ。

緑谷出久たちはサポートアイテムの力を借りて追いついてきたのだ。

襲ってきた影の怪物は鳥のような形状からして、前騎馬を務めるトリ頭の少年の個性だろうと当りをつける。

大ジャンプで逃げ切れないのなら、これ以上の逃走は無意味。悪戯に個性と体力を消耗するだけだ。コジュウタたちは着地後、緑谷出久たちに向き直る。そこに新たな乱入者あり。

 

(わり)ぃが緑谷。こっちもマジだ。1000万ポイントは俺たちが獲るぞ」

 

A組実力No.1(トップ)。個性『半冷半燃(はんれいはんえん)』。轟焦凍のエントリーだ。

鉄哲徹鐵が言う。「紅白頭は俺でも知ってるぜェ。エンデヴァーの息子だァ」

回原旋が言う。「前騎馬もヒーロー家系。インゲニウムの弟だ。それと女子は取蔭と同じ推薦枠。金髪は電気系の個性。えげつないガチパだね」

コジュウタは感心した。「実際詳しい」「物間の受け売り」「なるほど」

コジュウタよ。感心している場合ではない!A組の騎馬二騎に挟まれた。二騎ともが1000万ポイントを狙っている以上、実際2対1である!殺伐(サツバツ)

そこで心繰人使があることに気づく。「そういえば、ここに居てもいい奴がいない。あの爆発頭」

爆豪勝己の事だ。「そうだなァ」「確かに」「ドコ?アッチ?」

A組前で宣戦布告をしてきた爆豪勝己がこの場に居ないのはおかしい。あの性格からして試合開始直後に突撃してきても良かったはずだ。

コジュウタは爆豪勝己からの闇討ち(アンブッシュ)を警戒する。しかし、ニンジャの聴力は別の場所から爆豪勝己の苛立ち混じりの怒声と物間寧人の嘲笑を捕らえた。

 

「んだてめェ退けよッ。殺すぞ‼俺は似非ニンジャに用があんだよ‼」

「あんなでもB組(ウチ)の顔だよ。囲んで棒で叩きたい気持ちはわかるけど、それはダメでしょ」

「ハッ、クソモブが。似非ニンジャの壁に成ろうってか?見上げた三下根性だなぁオイ。雑魚が。だからテメェはモブなんだ」

「自己紹介かな?「ヘドロ事件」の被害者くん。よかったら聞かせてよ。年に一度、(ヴィラン)に襲われるモブキャラの気持ちってのをさ」

「・・・予定変更だ。似非ニンジャの前に、テメェを殺す」

「まるで(ヴィラン)だな。怖い怖い」

 

なんたることだ。物間寧人が爆豪勝己を引きつけてくれていた。試合開始前にあんな事を言っておきながら、なんという奥ゆかしき気遣い。それを無碍にするのはニンジャに非ず。

コジュウタの瞳に鬼火めいた青い光が宿る。

 

 

プレゼント・マイクの実況が響く。

〈残り時間1分半ッ、未だに1位はガン逃げヤローのフジキドだ!奴からハチマキ奪える奴はどこだァー!〉

 

 

鉄哲徹鐵が問う。「コジュウタ、逃げっかァ」「迎撃」

回原旋が笑う。「実際2対1だぞ」「無問題(モーマンタイ)

心繰人使が覚悟する。「準備はできている。何時でも使ってくれ」「頼りにしている」

 

緑谷出久は拳を握る。「常闇君。麗日さん。発目さん。皆、力をかしてください」

轟焦凍は目を細める。「逃げねぇんだな。容赦はしねぇぞ」

 

コジュウタは鬼火めいた青い光が宿る目で彼らを眼下に見下ろす。

 

「誰にも・・・。渡さぬ・・・譲らぬ‼1人は(ワン・フォー)は常に唯一(ゆいいつ)‼」

 

1人は(ワン・フォー)は常に唯一(ゆいいつ)”とは、平安時代の哲学者にして剣豪、ミヤモト・マサシの言葉ではない。

コジュウタが()()から、実際聞いた言葉だ。くっきりとした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできた。その言葉が。

 

「人使=サン!」

「ああ!わかった!…コジュウタさんたちのお陰で今まで生き残れた。だから…」

 

心操人使はA組を嘲る。

 

「勘違いしている馬鹿どもなんて瞬殺だ」

 

緑谷出久と轟焦凍の声が、意図せずに合わさった。

 

「「やれるもの(もん)なら、やってーーー

 

そして、勝負は決着した。

 

 





1人は(ワンフォー)は常に唯一」
かつてどこかで誰かがコジュウタに言ったコトワザ。
しかし、彼は少し間違って覚えているようだ。


「おぼろげながら浮かんできた…」
令和時代の大名。コイズミの語録の一つ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。