カタカタヘルメット団が反省したので、セリカを攫ったのはスケバンに変更しております。
翌朝。
対策委員会の部室は騒然としていた。
「セリカちゃんが行方不明!?」
アヤネから話を聞いたホシノが、目を大きく開いて驚く。
「はい。そうなんです! 電話をしても繋がりませんし、家に行ってチャイムを押しても返事がなくて…一応部屋に入ってみたんですが…鞄も制服もなく…」
「まさか、昨日の夜に…」
「誘拐…?」
セリカが誘拐されたかもしれないという事態になり、対策委員会の皆が騒然とする中、哮は内ポケットに入れているシッテムの箱を取り出して起動ボタンを押し、
「皆、ちょっと待ってて」
と、他の者に一言掛けて意識をシッテム内へと移した。
「う~み~は~、広いな~…おお~き~な~……あっ、お疲れ様です! 先生!」
シッテム内の青空教室では、穏やかな波が立っている海の方を見ながら、アロナが1人で歌っていたが、哮が来たことに気付いて、振り返った。
「アロナ、セントラルネットワークにアクセスできるか?」
「えっ…まあできますけど…」
「なら、急いでそれを使って、黒見セリカの居場所を特定してくれ…!」
「…は、はい!」
哮の気迫からただならぬ気配を察知したアロナは、哮の頼みを了承し、哮はそのまま現実世界へ意識を戻した。
哮が意識を現実に戻すと、対策委員会の皆が不安そうに哮を見つめており、ふと手元のシッテムの箱を見ると、
という文言と共に、ミニアロナのイラストが映っていた。
そして、2秒も経たないうちに、ピロンっという音と共にミニアロナのイラストと文言が変わり、シッテムの箱の画面には、アビドスの地図と車程の速度で点滅しながら地図上を移動するセリカを表した点が映し出された。
「よし、セリカの位置特定完了…!」
「ど、どうやって…!?」
傍から見ると、数秒程度で哮がセリカの位置を特定したようにしか見えないため、ノノミは声を出して驚く。
「俺の権限で、連邦生徒会のセントラルネットワークにアクセスして、そっからセリカのスマホの位置を特定したんだ」
特定方法について説明しながら、哮はシッテムの箱の画面を皆に見せる。
「うへ。先生そんなこともできるんだ…」
「あ、あの…それって、バレたら不味いのでは…?」
「アヤネ、良いことを教えてあげよう…バレなきゃ犯罪じゃないんだよ」
「…先生……」
「…教師として、その発言はダメじゃないですか…?」
小ボケを挟む哮に、アヤネは乾いた笑みを浮かべ、ノノミは呆れる。
「……ここは、郊外の砂漠地帯…?」
画面と睨めっこしていたシロコは、地図がどこの場所か分かった。
「よし、善は急げだ! セリカ奪還作戦、開始と行こう!!」
「「「「はいっ!!」」」」
セリカのおおよその位置を特定した哮達は、先日カタカタヘルメット団の前哨基地に向かった際に使った車を使い、セリカを追うことにした。
「う、うーん……」
車のエンジン音と不定期に来る大小様々な揺れにより、セリカはうなされながらゆっくりと目を開けた。
「……ここは…」
はっきりと意識がしない中、セリカは目を動かして周囲を見渡す。
いつもであれば、自宅の天井が視界に入ってくるはずだが、今視界に入ってくるのは、荷物が入っているであろう段ボールやアタッシュケースらしき物が積まれている景色だった。
「…車…トラックの中…? そうだ、私…襲われて…! まさか、誘拐されたの!?」
聞こえてくるエンジン音と荷物から、セリカは自身がトラックに荷台に居ることが分かり、それと同時に気を失う前のことも思い出した。
「ぐっ!」
セリカが自身の現状に驚いていると、トラックが大きく揺れた。
「まさか、砂漠を走って居るの!?」
トラックの揺れから自身の居場所を察知したセリカは、脱出しようと身体を動かすが、手首と足にきつく巻かれた縄のせいで、上手く身動きが取れない。
(……どうしよう…皆心配しているだろうな……このまま、誰にも気づかれないように、どこかに埋められちゃうのかな………連絡も途絶えて…私も他の子のように去ったと思われるのかな……裏切ったって思われるかな……誤解されたまま、死ぬなんて…ヤダよ……)
知らない場所で、光がない暗闇の中、セリカの心の中は恐怖と不安で一杯になり始める。
「……皆…」
セリカが一筋の涙を流したその時だった。
大きな爆発音が鳴り響くのと同時に、トラックが急停止した。
「なっ、何!?」
外の状況を把握できないセリカは、驚きながらも耳を立てる。
すると、外から銃声と爆発が聞こえ始め、
「お、おい! なんだあの赤いの!?」
「なんで、空を飛んでんだ!?」
という会話が聞こえた。
「……まさか…」
赤いのという言葉を聞き、セリカは驚く。
ここキヴォトスでは、銃やドローンは珍しくない。ミレニアムの方には、人が飛ぶ装置がある聞く。それなのに驚くということは、それがキヴォトスでは見ることがないということ。
そして、セリカ自身、最近似たような物を見た記憶がある。銃を持った相手に、ガントレットソードで仕掛ける赤い戦士を見た記憶が…
「…で、でも…私は…アイツを……」
怒りに任せて酷い言葉を自分の口から言ったことを思い出し、セリカは赤い戦士が来るはずないと思っていたその時、
「セリカ…!」
聞いた事がある声と共に、トラックの扉が開き、光が入って来たことでセリカは思わず目を瞑ってしまう。
そして、ゆっくりと目を開けると、トラックの入口には、スケバンから回収したセリカの鞄とバックを持ったシロコと、動物戦隊ジュウオウジャーの赤き戦士、ジュウオウイーグルへと
「半泣きのセリカ、発見…!」
「よし、シロコ…こっちは任せろ…!」
哮に時間稼ぎを任せ、シロコはトラックの荷台へと上がり、通信機をセリカに着けた後、縄を解き始める。
『セリカちゃん!』
『うちの可愛いセリカちゃん、そんなに寂しかったんだね~』
『セリカちゃん! 私達がその涙拭いてあげます!』
「う、うるさい! 泣いてなんかない!!」
通信機から聞こえてくる煽りに、セリカは内心嬉しい気持ちで一杯になりながら、いつものように声を大にして恥ずかしがる。
「というか、何でアンタまで居るのよ!」
「まあ…ストーカーだからな…!」
「ば、ば…バッカじゃない!? こんな時にふざけないでよ……」
蛇腹剣系の武器であるイーグライザーの刀身を鞭のように振り、スケバンからの攻撃を防ぎながら、哮はセリカの質問をふざけながら返す。
「それじゃあ、お話もここまでとして…皆、反撃開始と行こうか!」
『『はい!』』
『はーい』
イーグライザーを元の長剣に一度戻し、シロコと武器を持ったセリカと共に、哮はスケバン達を蹴散らすため、動き始めた。
「野生解放…!」
走っていた哮がそう言うと、背中に鳥のような赤い翼が現れ、哮はそれを使って、空高く舞い上がる。
「また、飛びやがった!」
「撃ち落とせ!!」
スケバン達は空へと飛んだ哮に銃口を向け、各々の武器を集中攻撃を始める。
「ほらほら~! 全然当たらないよ~!」
「あ゛~! もうイラつく!!」
「クッソ! ちょこまかと…!」
哮は自由自在に空を飛びながらスケバン達を煽り、スケバン達は青筋を立てて、哮への攻撃をより苛烈していく。
「そろそろかな? 皆、一気に行っちゃって!」
飛んでくる銃弾を避けながら飛んでいた哮は、スケバン達が自分への攻撃を集中していると確認して、通信機で皆に指示を送る。
「はい、では皆さん。お仕置きですよ~!」
「うへ~、おじさん達を忘れて貰ったら困るね~…」
「ん、こっちも忘れられるのは困る」
「よくも誘拐してくれたわね!!」
空を飛ぶ哮に集中していたスケバン達に、対策委員会の皆はタイミングを合わせて、一気に仕掛ける。
「しまっ――」
「ぐはっ!」
「きゃあっ!」
不意を突かれたスケバン達は、次々と倒れて行く。
「よし…このまま一気に…!」
哮が上空から一気に急降下して、スケバン達に仕掛けようとしたその時、
砲撃音が聞こえたと思ったら、スケバン達に弾丸の雨を浴びせていたノノミの近くで爆発が起き、砂煙が立ち上がった。
ふと、音が聞こえてくる方に顔を向けると、そこには砲口をシコロ達の方に向けて、突き進む戦車が見えた。
『くっ…! クルセイダー巡航戦車です!』
『はぁ!? なんで、そんな物をスケバンが持っているのよ!?』
『流石に、今の装備だと…これは骨が折れそうだね~…』
アヤネからの通信にセリカは驚き、ホシノは気だるそうに言う。
「皆はそのまま敵の無力化を頼む! 戦車は俺に任せろ!」
策がある哮は、皆にそう言うと、巡航戦車目掛けて飛ぶ。
『本当に大丈夫なんでしょうね!』
先程まで泣いていたとは思えない程、本調子が戻って来たセリカに、哮は問い詰められる。
「先生に任せとけ!」
セリカにそう言って、哮は飛びながらイーグライザーを振り、斬撃を飛ばす。
斬撃は戦車の目の前に着弾し、砂煙を立てて巡航戦車の視界を塞いだ。
「本能覚醒!」
砂煙の中に空から着地した哮は、イーグルを模しているマスクを上へとスライドさせて、ゴリラを模したマスクを現す。
「ジュウオウゴリラ!」
ゴジュウウルフのアーマーの一部を吹き飛ばしながら、哮の身体はゴリラを彷彿させる筋肉質な物へと変わる。
「とりゃあ!!」
数回、拳で胸を叩いた哮は、巡航戦車へと駆け寄り、装甲がへこむ威力のパンチを数発叩き込んだ後、掛け声と共にアッパーで巡航戦車の砲塔を上に押し曲げた。
「……」
「ひ、ひえっ…」
その光景を見ていたスケバン達の顔は真っ青になり、
「に、にに…逃げろぉーーー!!」
誰かがそう叫んだのを合図に、散り散りとなって逃げて行った。
戦意を喪失し、逃げていくスケバン達を見た哮は、戦闘終了と判断して金のテガソードから指輪を外して変身を解除した。
「皆、お疲れ~!」
戦闘が終わり、哮は手を振りながらシロコ達の元へと駆け寄った。
「先生こそ、お疲れさまでした☆ まさか、巡航戦車を拳で倒すなんて、凄いです!」
「いや~、先生の力って凄いね~」
「まあ、それほどでも~…!」
ノノミとホシノに褒められて、哮は後頭部を片手で撫でながら照れる。
すると、哮にセリカが近づく。
「セリカ、怪我とは大丈夫か」
セリカが近づいてきたことに気付いた哮は、そう声をかける。
「だ、大丈夫わよ! だけど…その……助けに来てくれて……ありがとう…!」
頬を少し赤く染めながら、セリカは哮に礼を述べる。
「…先生として、当然のことをしたまでさ…!」
セリカがデレたことに少し驚きながら、哮は笑みを浮かべて言う。
「おっ、セリカちゃんがデレた~」
「ちっ! ちがっ…! 違うってば!!」
「本当に~?」
「もう!!」
ホシノとセリカがいつものようにやり取りを始め、他の皆はその平和を噛みしめるように笑った。
リンちゃんSS
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