便利屋68が襲撃してきた翌日。
哮はアビドスの皆がカイザーローンに今月分の支払をしている中、先に部室の椅子に座ってシッテムの箱を起動して待っていた。
「ここ数日、ちょくちょく厄災…モリス出現の報告が相次いでいるのが気になるな…」
『そうですね~。3日前はD.U地区で1件、一昨日は山海経で1件、昨日はミレニアムとトリニティの2件でしたね』
シッテムの箱の画面に直近のモリスが出現した件数と場所を表にした物を出しながら、アロナは画面越しに説明する。
現在、モリスのことは正体不明の化物であり、出現が確認され次第、各学校で対処するようにという指示が連邦生徒会から出されており、キヴォトスではモリスのことは周知の事実となっている。だが、未だにモリスが厄災クラディスの戦闘員ということは、哮とリン、トリニティ総合学園のティーパーティー、ゲヘナ学園の
「襲撃場所や時間はバラバラ…何処か一か所に集まって居るわけでもなく、キヴォトス全域でモリスが出現している……あのアグヌスという奴、何が目的なんだ? テガソードや熊手さんに聞いても、奴の名前は初めて聞いたと言われたし…」
パイプ椅子に持たれつつ、哮は思考を巡らせる。
「アグヌス…ラテン語で子羊だったか?
アグヌスが何かクラディスに繋がる共通点がないか、自分が知っているクラディスに関する言葉を述べた哮だったが、いくら考えても思いつかないため、諦めてそういうのが得意そうな生徒達に頼むことにした。
「取り敢えず、今はまだ現状維持だな…アロナ。モリスの報告が上がり次第伝えてくれ」
『はい! 分かりました!』
「じゃあ、頼んだぞ」
そう言い残して、哮はシッテムの箱の電源を切る。
「はぁ~…ほんと、ストレスが溜まる…」
丁度その時、溜息を吐きながらセリカが扉を開け、今月分の支払いを終えたアビドスの皆がゾロゾロと部室に帰って来た。
「お疲れさん。色んな飲み物買って来たから、そこのクーラーボックスから自由に取って飲んで」
「うへ~、気が利くね~」
「わぁ~! ありがとうございます☆」
「有難く頂きますね」
帰って来た皆は、哮が用意したクーラーボックスから好きな飲み物を手に取り、それぞれ一口程飲んでから、各自の定位置に着く。
「…はい。皆さんが揃ったので、定例会議を始めたいと思います」
皆が席に着いたのを確認したアヤネが口を開いた。
「今回は2つの事案についてお話したいと思います。まず1つ目は、昨日襲撃してきた便利屋68についてです」
哮とアヤネが共同で調査した便利屋68の報告に、皆は耳を傾ける。
「便利屋68は、頼まれたことは何でもするサービス業者のようで…社長を自称していたピンク色の髪をした生徒は、陸八魔アル。室長と呼ばれていた白い銀髪の生徒は、浅黄ムツキ。課長と呼ばれていた白と黒の髪の生徒は、鬼方カヨコ。そして、平社員と呼ばれていた濃い紫色の髪の生徒は、伊草ハルカとのことです」
「…ちょっと待って、社長の名前が分かるのはまだいいんだけど…なんで社員の名前も分かるの?」
アヤネの報告を聞いたセリカは、疑問に思ったことを呟きながら、哮の方を見てみると、哮は天井に顔を向けるという明らか怪しい行動をしていた。
「あんたまさか!」
哮の反応を見てセリカはシャーレの権限で調べたのではないかと疑う。
「イヤ普通ニ調ベタダケデスヨ」
「余計怪しいわよ!!」
天井に顔を向けたまま棒読みの哮をセリカは睨みつける。
「まあ、本当のこと言えば、普通に色々とネット検索をかけて調べただけなんだけどね」
「紛らわしいことすんな!!」
哮は本当のことを言いながら、セリカの反応を内心で楽しむ。
「…ん、アヤネ、ゲヘナは起業は許されているの?」
「それはないので、勝手に起業したのではないでしょうか。ゲヘナでは、非行の限りを尽くした問題児扱いされているみたいですし…」
「悪い子達には見えなかったんですけどね~」
何処か不機嫌なアヤネがシロコの質問に答え、ノノミは少し不思議そうに首を傾げる。
「…アヤネちゃん、便利屋と何かあったの? 何か並々ならぬ恨みがあるように見えるんだけど…?」
不機嫌なアヤネから何か感じ取ったセリカは、そう尋ねるが、
「…いえ、特に何も…」
と言ってアヤネは誤魔化した。
「では、気を取り直して…2つ目の事案に移ります」
そう言って眼鏡をかけ直したアヤネは、スケバン達と戦った時に回収した戦車のマズルブレーキを机の上に置いた。
「こちらにある先日スケバン達が使っていた戦車部品。こちらが、現在は生産が止められている違法な物であること…そして、その出所がブラックマーケットであるということが判明しました」
「ブラックマーケット?」
アヤネから部品の出自がブラックマーケットという哮にとってあまり聞きなじみのない場所だと教えられ、哮はその場所の詳細が知りたくなり、聞き返す。
「はい。キヴォトスの条約で禁止されている違法な品物が多数流通し、連邦生徒会の許可を得ていない非認可の部活も沢山存在する危険な地帯です」
「なるほど…そんなブラックマーケットで、スケバン達は戦車を手に入れたのか……」
「そのようなのですが…この部品が付けられていたクルセイダー巡航戦車は、元々はトリニティ総合学園が運用している戦車で…そこら辺のスケバンが手に入れるのはかなり難しい代物ですので……」
「裏で誰かが支援していると…?」
「そう考えています」
今までのアビドスへの襲撃の裏に、何者かが暗躍しているという憶測が出てきたため、対策委員会の皆の表情は険しい物となる。
「…となると、カタカタヘルメット団も支援を受けていた可能性があるな…少し聞いて見る」
「あ、ありがとうございます!」
カタカタヘルメット団も支援を受けていたかもしれないと考えた哮は、モモトークを開いて、哮に援助されながらも復学しようと頑張っているカタカタヘルメット団のリーダーこと、
哮が聞いてから数分後、ラナから返事が返ってくると共に、ヘルメット団を支援していた組織の名前を教えてもらえた。
「…はぁ~…ひっどいなこれ…」
ラナから送られた組織名を見た哮は呆れながら、対策委員会の皆にモモトークを見せた。
「「「っ!?」」」
「はぁ!?」
「嘘っ!」
モモトークの画面を見たホシノ、ノノミ、シロコは目を見開いて驚き、セリカは驚きのあまり椅子から立ち上がり、アヤネは両手で自身の口を覆って驚いた。
「ヘルメット団に依頼していたのは、カイザーPMC…つまり、アビドスに金を貸したカイザーコーポレーションが態々依頼を出して、ヘルメット団やスケバン、便利屋とかにアビドスを襲わせていたって訳だ…」
「「「「「………」」」」」
衝撃的な事実が分かり、対策委員会の皆は絶句する。
「借金の利子で、物資の補給を制限させつつ、不良生徒達に依頼を出してアビドスを襲わせ追い込む…そこまでして何が欲しいんだ…?」
皆が言葉を失っている中、哮は一人カイザーコーポレーションの目的を考える。
「じょ…冗談じゃないわよ!! 私達が汗水働いて用意したお金が!! 私達への襲撃の資金になっていたということ!?」
続いていた沈黙をキレたセリカが破る。
「お、落ち着いてセリカちゃん…!」
「落ち着いているわよ!!」
セリカを宥めようとアヤネは声をかけるが、セリカは息を荒げながら言う。
「…先生、本当にカイザーコーポレーションが暗躍していると判断していいの…?」
シロコは哮を見つめながらそう聞く。
そして、哮は少し間を取ったのち、口を開いた。
「…まだ断言はできないな。カイザーPMCという子会社が単独で暴走して…という線がある。証拠や情報がない以上、カイザーコーポレーションに問い詰めても知らないの一点張りで終わらされる…」
証拠がないことと情報不足により、哮は少し判断に迷っていた。
「…証拠……っ! それでしたら、ブラックマーケットに向かうのどうでしょうか! 今回手に入れた戦車の部品は明らかスケバンだけでは入手困難な代物でした。そして、カイザーコーポレーションは、ブラックマーケットで強い影響力があるという噂があります。ですので、ブラックマーケットに行き調査をすれば、何か分かるかもしれません」
証拠を見つけるために、アヤネがブラックマーケットに行くことを提案すると、ホシノが席から立ち上がった。
「よーし、なら決まりだね。じゃあ、皆でブラックマーケットに行ってみよ~!」
おおぉ~~~!!
委員長の決定もあり、哮はブラックマーケットに赴くことにした。
今回の要約
・カタカタヘルメット団のリーダー(幹部)ちゃん名前貰う
・本編より早くカイザーPMCの名前とカイザーコーポレーションの悪行が露見する。
自分的にはこういう本編と少し違うのが二次創作の醍醐味の1つだと思ってます!
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