「最新銃火器入荷だよぉ~」
「よってらっしゃ、見てらっしゃい。今は無き売れ筋武器が、揃ってるよ~!」
ゴミが道端に散乱し、ガラの悪い生徒や住人が行きかう地帯、ブラックマーケットにやってきた哮達は少し物珍しさから辺りを見渡しながら歩いていた。
哮にとっては、路上売りで武器が出されているという光景は滅多に見ない光景のため、珍しい光景ではなく、異様な光景となってはいるが…
「小さな市場を想像していたけど…まさか、連邦生徒会の手が及ばないエリアが、街ひとつ分まで巨大化しているなんて…」
「…連邦生徒会長が失踪した影響だろうな……リンちゃんや皆に後で労いの品を上げないと…」
シロコの驚きに、哮はブラックマーケットが街1つ分まで拡大した要因を考え、連邦生徒会の皆を不憫に思う。
「まあ、私達は普段はアビドスばっかりいるからね~。学区外は結構変な場所が多いんだよ」
「ホシノ先輩、ここに来たことあるの?」
「いんやー、私も初めてだね~。でも他の学区には、へんちくりんな物が沢山あるんだってさ~…ちょーデカい水族館もあるんだって。確か、アクアリウムだったかな?」
シロコとホシノがアクアリウムについて話していたその時、哮達の前の方から1発の銃声音が聞こえ、少女の叫び声が聞こえてくる。
「待ってって言ってんだろ!!」
「う、うわあああああ!! つ、ついてこないでくださーーい!!」
「そうは行くか!!」
哮達が声の方を見ると、半泣きのツインテールの少女がスケバン達から逃げているのが見えた。
『あの制服…トリニティです!』
オペレーターのため学校に残っているアヤネがドローンを通して、彼女の制服にある紋章から、三大校の1つトリニティ総合学園に少女が所属しているということに気付く。
「あう~~!!」
「任せて」
哮達の間をすり抜けて行こうとした少女に、シロコはすれ違い様に一言をかけて前に出て銃を構える。
「安心してくださいね~」
「え?」
足を止めた少女にノノミが優しく声をかけていると、3人のスケバン達が追い付いてきて、それぞれ武器を構える。
「なんだよ、お前らは? 私らはそこのトリニティ生に用があるんだ!」
「そうだ! キヴォトスで一番金を持っている学校、トリニティ総合学園の生徒…! 拉致って、たんまり身代金を頂くために用があるんだ!」
ペラペラとスケバン達が自分達の目的を話す中、哮はシロコに少し近づいて、
「シロコ、制圧頼む」
と耳打ちした。
「了解…」
シロコは小さく呟いた後、話をしている3人のスケバン達それぞれの眉間に向けて銃弾を放った。
「うぎゃっ!」
「ぐあっ!」
「うわあっ!」
至近距離かつ眉間辺りに数発銃弾を叩き込まれたスケバン達は、変な声を出しながら後ろに倒れて気を失った。
「明らか敵の相手には、容赦なく攻撃を仕掛けろ…これ、鉄則ね」
哮は胸を張ってそう教える。
「物騒過ぎない…?」
「まあ、時と場合によるな。相手の情報を引き出したい時は、あのまま話を聞いてもいいけど、明らか相容れない時は、さっさと撃った方が楽…というのが、俺の経験談」
「何処で何をすれば、そんな経験をするのよ」
「昔にちょっと色々とね!」
物騒なこと教える哮に、セリカは少し引く。
「それで、君は大丈夫かな?」
「あっ…は、はい!」
哮に声をかけられたツインテールの少女は、少し言葉を詰まらせながら元気のよい返事を返す。
「助けてくださって、ありがとうございます! 私、阿慈谷ヒフミと言います!」
ヒフミは深く一礼して礼を述べた後、自己紹介をする。
「そっか~。ヒフミちゃんって言うんだ。よろしくね! でも、トリニティのお嬢様であるヒフミちゃんが、何でこんなところに…?」
ホシノはお嬢様学校に通うヒフミが、お嬢様には似つかわしくないブラックマーケットに居ることが不思議に思い、首を傾げながら訪ねる。
「あ、あはは……それはですね………ペロロ様の限定グッズを探していたんです…!」
ホシノからの質問に、ヒフミは少し恥ずかしそうに1枚の写真をスマホの画面に表示すると、皆にそれを見せる。
スマホの画面には、ブサイ……何処か気味がわr………少し変わった見た目をしている白く丸っこい鳥の口にアイスが無理矢理詰め込まれているに見える写真が表示されていた。
「限定生産で、100体しか作られなかった。ペロロ様のぬいぐるみです!」
満面の笑みを浮かべながら、ヒフミは写真に写るぬいぐるみの詳細を言う。
そこで哮は、彼女のスマホカバーやバックがペロロのグッツになっていることに気付く。
「可愛いでしょ!」
「「………」」
「……確かに…」
「「……え…?」」
胸を張って可愛いと言うヒフミに対して、シロコとセリカは少し引くが、哮は小さくヒフミの言葉を肯定し、耳が良いためその独り言を聞いたシロコとセリカの2人は、こいつマジかと言った目で哮を見た。
「モモフレンズですね! 私も大好きなんですよ! 特に、ミスター・ニコライが好きなんです」
「分かってくれますか!」
同志が居たことにヒフミが嬉しそうに喜ぶ一方、
「いやぁ~何の話か、おじさんにはさっぱりだな~…」
ホシノは話に着いて行けなかった。
「ところで、皆さんはどうしてここに…?」
ブラックマーケットに来た理由を話したヒフミは、首を傾げながら哮達に尋ねる。
「ちょっと、カイザーコーポレーションの調査をね…」
「カイザーコーポレーションを…?」
「まあ、君には話していいか」
ヒフミの質問に答えた哮は、彼女なら話しても問題ないと思い、人通りが少ない道に移動したのち、自分達がブラックマーケットに来た理由を話した。
「…確かに…この部品は昔はブラックマーケットにはあったようですが…2年程前から、販売ルート、保管記録…全てが不自然なほどにないですね……」
哮に見せて貰った戦車の部品をスマホで調べたヒフミは、その部品についての最新の記録が殆どない事に違和感を抱く。
「…それって、異常なことなの?」
「はい…ブラックマーケットを牛耳っている企業は、開き直って商売をしているので…変に隠すことはしないんです」
近くに偶々あったたい焼き屋で買ったたい焼きを食べ終えたシロコに尋ねられ、ヒフミは違和感を抱いた理由を話した。
「そうですね。例えば……」
辺りを見渡したヒフミは、他のビルと比べて異質な雰囲気を放っているビルの方に顔を向けると、そこに指を指した。
「あそこのビル。あれが、ブラックマーケットに名を馳せている闇銀行です。聞いた噂ですと、キヴォトスで起きる犯罪に関わる金融の15パーセント近くが、あそこに流れているそうです。横領、強盗、誘拐などで得られたお金が、武器や兵器に変えられて他の犯罪に使われるという悪循環が続いているんです」
「犯罪によって集めたお金で、犯罪を支援し…より大きな犯罪を起こさせ、そしてその犯罪で起きたお金を集める…まさに闇の銀行だな」
ヒフミから闇銀行について聞かされた哮は、銀行の入口の方を見つめながら、犯罪者の手助けをしている闇銀行を潰したいという気持ちにかられる。
「…ん?」
銀行を見つめていた哮の目に、とある車が見えた。
「皆、あれって確か…?」
「え?」
「はい?」
「ん?」
「うへ?」
『えっ…?」
哮が指さす方、そこには建物に横付けされるように停まっている車があり、その車と建物の間では、スーツを着たロボットが、感じが悪い見た目をしたロボットにアタッシュケースを渡している姿があった。
「…あのバンってもしかして…」
停まっている車に、アビドスの皆は見覚えがあった。
そして、取引が終わったのか、スーツを来たロボットは車に乗り込むと、バイクに乗った護衛らしき軍用ロボットと共に道へと出て、走り去っていったが、哮達は車が去る際に、その車にカイザーローンのマークが入っていることを見逃さなかった。
「間違いない。集金に来るカイザーローン!」
「私達のお金を犯罪資金にしているってこと!?」
「多分違うと思う…」
セリカが怒りを露わにする中、哮は一言呟いた。
「恐らく、カイザーコーポレーションは、資金を闇銀行に提供し、闇銀行はその資金を使ってアビドス襲撃の資金や依頼料を出しているんだと思う。こんな回りくどいことをするのは、自分達は資金を提供しただけ、その資金をどう使おうが銀行の勝手…とか言って、何かあった時のための言い訳をするためだろうな」
ブラックマーケットに向かう際中、カイザーコーポレーションについて調べ上げた哮は、カイザーコーポレーションが違法と合法のグレーゾーンで上手く振る舞っている組織という情報とカイザーPMCがヘルメット団やスケバンに資金提供をしていたという事実を基に考えた、カイザーローンが闇銀行に資金を提供している理由を皆に伝えてみる。
『ですが、証拠がありませんし…』
「そうだよな~…今言ったのも一つの仮説だからな…」
通信機を通して、アヤネと哮はカイザーコーポレーションが闇銀行を通してヘルメット団やスケバンに資金提供をしているという証拠がないため、手詰まりになってしまう。
「…あっ、確か。集金の際は受領証明書が出ますよね!? その発行の記録が見つかれば、証拠になりませんか?」
ヒフミのひらめきに、暗い表情をしていた皆の顔が一気に明るくなる。
「あっ…でも、もう証明書は銀行の中ですよね…流石にもう無理ですよね~…」
肝心の証明書が既に厳重な警備で守られている銀行内にあることに気付いたヒフミは、無理と判断して落胆するが、哮はシロコの方を向く。
「…シロコ、この前のアレ。今持ってる?」
「…? っ! 勿論、全員分ある…!」
哮の言葉の意味を最初シロコは分からなかったが、すぐに理解して自身のカバンから何かを探し始める。
「んあー、あれかぁ!」
「確かにアレなら!」
「……あれって、まさか…」
「あれって…なんですか…?」
哮の言葉の意味について、他の対策委員会の皆も気づき始めるが、唯一知らないヒフミは話に着いて行けずに困惑する。
「警備が厳重な銀行から、証明書を手に入れる方法はたった1つ……」
「銀行を襲う!」
困惑しているヒフミに哮は軽く説明し、タイミング良くシロコがその方法を口に出す。
「はいぃ~~~っ!!?」
銀行強盗をすると言われ、ヒフミは大声を上げながら驚く。
「ちょっと! なんで止めるべきアンタが、シロコ先輩の暴走を助長しているのよ!」
「そりゃあ、銀行強盗なんてやりたくはないし、やらせたくもない。だけど、相手は銀行と名乗っているだけの犯罪組織の一部だ。そんな奴らを襲っても罰は当たらないと思わない?」
「本当に教師が言っていいことなの? それ…?」
詰め寄るセリカに、哮は教師として半分終わっていることを話す。
『セリカちゃん、諦めよう…? 先生というストッパーが居なくなった先輩達は誰にも止められないよ…』
「はあ~…どうしてこうなるの…!」
銀行強盗が決定事項になり、アヤネは呆れかえり、セリカは頭を抱える。
「あわわ…」
ヒフミが周りの異質さに困惑していると、シロコがポンっと肩に手を置くと、
「ごめんヒフミ…先生の分は作っていたんだけど…私の想定が甘かったせいで、ヒフミの分の覆面がない…」
と覆面が足らないことを謝る。
「ええ!? 私もですか!?」
強盗メンバーに加えられたことにヒフミは驚く。
「仲間外れは可愛そう過ぎます!!」
「そ、そんな…! 私は全然気にしていないので……!!」
「…ヒフミちゃん! こちらをどうぞ!!」
「ちょっ! ちょっと待ってくだ…!!」
必死に断るヒフミだったが、ノノミの笑顔から放たれる圧に推し負け、ノノミが持っていた空になっていたたい焼きの袋を顔に付けられ、少し工夫を足される。
「はい! とってもお似合いです☆」
「はううぅ……!」
工夫が終わったノノミは一歩下がり、皆にヒフミの恰好を見せる。
ヒフミの頭部には、即席の覆面として目の部分だけくり抜き、額辺りに5と書かれた紙袋が付けられており、素顔が分からなくなっていた。
「わ、私もご一緒するんですか…? 銀行強盗に…?」
「助けてくれた礼としてさ~。一緒に来てくれな~い?」
涙目になり震えながら聞くヒフミに対し、ホシノは笑みを浮かべたまま助けたことを理由に同行を頼む。
「う、うあぁ……わ、私、もうナギサ様達に合わせる顔がありません……」
推しに弱いヒフミは、渋々頼みごとを受け入れることにした。
「大丈夫、私達は悪くないし! 悪いのは向こうだから!!」
落ち込むヒフミに、セリカはそう声をかける。
そして、各々がシロコから貰った覆面を付け、武器を構える。
「それじゃあ皆…いや、覆面水着団! 出撃と行こうか!」
はい!!
額にSと描かれた灰色の覆面を装着した哮は、銀行強盗して証明書を確保するための作戦を実行することにした。
皆さん、アンケートありがとうございました。今回のアンケート結果から、ブルアカ原作のストーリーを大幅に変えないのであれば、オリジナル設定は良いということが分かりましたので、ブルアカのメインストーリー通りに物語を進めつつ、所々に戦隊要素やオリジナル話などを加えてある程度原作や他の方の二次創作と区別を付けながら書いて行こうと思います。
それと、今回の投稿が遅くなってしまい申し訳ございません!! 何とか書いて行こうと思っていますので、どうか見捨てないでください!!!!
リンちゃんSS
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