ゴジュウアーカイブ   作:盈月さん

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 立ち込める暗雲での便利屋の流れは、原作と同じのため、泣く泣くカットすることになりました…! 申し訳ございません!!


第11話 怪しい暗雲合流注意

「確定だな…」

 

 パイプ椅子に座って、闇銀行から手に入れた集金記録を細かく確認し終えた哮はそう呟いた。

 

「カイザーローンは闇銀行を通して、アビドス襲撃の依頼やその資金を提供していた…」

 

 哮は椅子から立ち上がって、その証拠となる部分を皆が見えるように机の上に置く。

 集金記録には、アビドスから788万円を集金した後すぐに、カタカタヘルメット団に任務補助金として500万円を提供していたというのが分かる表が書かれてあった。

 

「カイザーローンが資金、カイザーPMCが依頼や兵器…これは、カイザーコーポレーション本社の息が掛かっているとしか思えない…」

「はい。そう見るのが妥当かと…」

 

 予測されていたとは言え、重い空気が教室内に広がる中、シロコは集金記録を手に取って見ながら、自身の予測を話、ヒフミはその意見に同調する。

 

「…目的が分からないのが怖いですね…学校が破産したら、貸し付けたお金も回収出来なくなりますし…」

「お金以外で、アビドスの何か(・・)を狙っている…ということでしょうか…」

 

 カイザーコーポレーションの目的が分からず、皆は黙り込む。

 暫くの間続いた沈黙は、下校時間を知らせるチャイムによって打ち破られた。

 

「あっ…私はそろそろお暇しますね。皆さん、今日は色々とありがとうございました!」

 

 チャイムを聞き、椅子から立ち上がったヒフミは、哮達に向けて深々とお辞儀をする。

 

「変なことに巻き込んでしまってごめんなさい」

「あ、あはは……」

 

 ノノミの謝罪に、ヒフミは苦笑いする。

 そして、気持ちを切り替え、真剣な眼差しで対策委員会の皆の方を見る。

 

「私、このことをティーパーティーに報告しようと思います!」

「ヒフミさんっ…?」

「まだ詳しい事は明らかになっていませんが…これはカイザーコーポレーションが、犯罪者や反社会勢力と何かしら関連がある。その証拠に成り得ます! それに、アビドスの皆さんのことをここまで知ったのに、放っておく訳には……」

「「「「「…っ!」」」」」

 

 いきなりのことに皆は驚いたが、アビドスを助けたいというヒフミの気持ちを聞き、哮や対策委員会の皆は嬉しくなる。

 なお、ヒフミが言うティーパーティーとは、トリニティ総合学園の生徒会のような物で、とある事情でその生徒会長との繋がりがあるヒフミは、その生徒会長に頼もうとしているのである。

 

「ありがとうございます! ヒフミちゃん!」

「トリニティの生徒会が入ってくれるなんて、こんなにも心強いことはありません…!」

「…ティーパーティーはもう知っていると思うけどね~」

「ほえ…?」

 

 ノノミとアヤネが喜ぶ中、水を差すように今まで黙っていたホシノが口を開いた。

 

「ティーパーティーだけじゃない。ゲヘナもミレニアムも、皆このことを知っていると思う」

「そんな…知っているならどうして…」

「知ってて放置しているんじゃない…?」

「知ってて…なら、何故皆さんのことを……!」

 

 何処か冷たく感じるホシノの言い方や、三大校がカイザーコーポレーションの悪事を知ってて放置していることにヒフミは戸惑う。

 

「うん、ヒフミちゃんは純真で良い子だね~。でも、世の中そんなに甘くないからさ」

「………」

 

 少しぎこちない笑みを浮かべるホシノの言葉をヒフミは眉をひそめながら聞く。

 

「ヒフミちゃんの気持ちはありがたいけど、そっちに知らせたところでこれといった打開策が出る訳でもないし…かえって私達がパニクる事になりそうなんだよね~」

「どういうこと…?」

「ほら、今のアビドスって廃校寸前じゃん? トリニティとかゲヘナみたいなマンモス校からのアクションをコントロールする力がないんだよ……言っている意味、わかるよね?」

 

 ホシノの言葉に疑問を抱いたシロコからの質問を答えたホシノは、ヒフミに少し悲しげを感じる視線を向けて聞く。

 

「……サポートする名目で悪さをされても…阻止できないって事ですよね…」

「うん。その通り」

 

 悲しそうな声でヒフミはホシノが言いたいことを言い当て、それに対してホシノは少し笑みを浮かべながら頷く。

 

「ほ、ホシノ先輩、少し悲観的に考え過ぎなのではないでしょうか?」

「そーよ…! 本当に助けてくれるかもしれないし…」

「私もそう思います…!」

「でも、万が一ってことがあるでしょ? 今のアビドスは、その万が一をスルーしたから、こうなっちゃったんだよ」

 

 ヒフミのフォローをしようと対策委員会の皆は言葉を挟むが、ホシノは何処か悲しそうな笑顔で言い、その言葉に皆が黙り込む。

 

「……では……えっと…今日は、一日で色々な体験をしましたね…」

「そうだね、凄く楽しかった」

「……楽しかったのはシロコ先輩だけじゃないの?」

「あ、あはは…でも、私も楽しかったです」

「いやぁー、ファウストちゃんにはお世話になったね」

「そ、その呼び方はやめて下さい!」

「そうです! ヒフミちゃんは覆面水着団のリーダーさんです!」

「もーっと、やめてください!!」

「皆さん、ヒフミさんが困っているじゃないですか…」

 

 沈黙に耐えれなくなったヒフミが口を開き、それを皮切りに皆はいつものように楽しく話始める。

 

「そ、それじゃあ、私はそろそろ…! これからも大変だとは思いますが、頑張って下さいね。応援していますから! それでは皆さん、またお会いしましょう!」

「気を付けてな~」

「また会えることを楽しみにしとく」

「今度遊びに行く時はよろしく~」

 

 ヒフミは満面の笑みを浮かべて別れの挨拶をすると、そのまま教室から出て行った。

 

「……それじゃあ、俺もここら辺で…」

 

 ヒフミを見送った哮は、荷物を纏めてホテルに戻る準備を始めた。

 

「じゃっ、また明日!」

は~~いぃ!!

 

 対策委員会の皆に見送られながら、哮も教室から出てホテルに向かって歩き始めた。

 それから数分後、アビドスから離れた人通りの少ない道で、哮は周囲を見渡した後、スマホを取り出してとある人物へ電話をかけた。

 

「あっ、もしもし? 俺俺。そそ、哮」

 

 電話に出た相手に、哮は親しそうに話かける。

 

「今日は頼みたいことがあってさ~…いや、小遣いじゃなくて……ちょっと聞いて来て欲しいというか、調べて欲しいというか……ああ、それは――」

 

 哮はホテルへと向かいながら、電話の相手にとあることを頼み込んだ。

 

 

――〇――

 

 

 翌朝。哮はいつも通りに対策委員会の教室の前にやって来た。

 

「おはよ~…」

 

 少し欠伸をしながら哮は扉を開け、教室内へと入る。

 

「先生、おはようございます! 今日は早いですね?」

「おはよ~、せんせ~…」

 

 教室には、椅子に座っているノノミと、椅子を並べてベットの代わりにしつつ、ノノミを膝枕を猫のように堪能しているホシノが居た。

 

「…何やってんだ?」

 

 目の前の光景に少し呆気を取られつつ、哮は2人に尋ねる。

 

「あ~、ダメだよ。ここは、私だけの特等席なんだから~」

「いや、そうじゃない」

 

 欠伸をしながらワザとふざけて話すホシノに、哮はツッコミを入れる。

 

「そうですよ。ホシノ先輩、私の膝は先輩専用じゃないですよ~」

「そっちでもないわ…!」

 

 同じくからかうように言うノノミの言葉を哮は否定する。

 

「…話は変わるけど、他のメンバーは…?」

「え~っと…シロコちゃんは恐らくトレーニングに、セリカちゃんとアヤネちゃんは2人仲良く勉強をするために図書館に居ると思います」

 

 小さく溜息を付いた哮は、ノノミから教室に居ない対策委員会の子達について聞く。

 

「よいっしょっと…先生も来たし、おじさんは皆が来る前にドロンさせて貰おうかな」

「ホシノ先輩、どちらに…?」

「ちょっと、そこら辺をぶらついて適当にサボってくるよ…身体を動かさないと、なまっちゃうしね~。あっ、なんかあったら連絡ちょ~だ~い」

 

 起き上がったホシノは、いつも緩い笑みを浮かべながらそう言い残すと、哮にすれ違いながら教室から出て行った。

 

「ああ言って、何処かでお昼寝するだけだろうな」

「だと思います」

「まあ、今日はいい天気だからな~」

 

 ノノミと話しながら、哮はいつものパイプ椅子の所へと向かって座った。

 

「…ホシノ先輩。変わりました」

「え…?」

 

 哮がパイプ椅子に座ると、ノノミは少し顔を俯きながら話し始める。

 

「今は、いつも寝ぼけているような感じですが…私が初めて会った頃のホシノ先輩は、いつも何かに追われているような感じでした…」

「借金返済に追われていたことか…?」

「いえ…ありとあらゆることに…と言いましょうか。聞いた話なんですけど、ホシノ先輩が入学した当初、アビドス最後の生徒会長が居たらしいんですが、とても頼りない人だったそうで…その人が去ってからは全て、ホシノ先輩が引き受けることになったと…当時のホシノ先輩は一年生だったようで……そんなことがあったからか、他の学園と関わることもかなり嫌がっていたのに…かなり丸くなりましたね」

 

 俯きながら話していたノノミは微笑みながら哮の方へ顔を上げる。

 

「…俺が来たせいかな? ホシノが少しずつ変わっているのは…!」

「ふっ、ふふふ…! はい、きっと先生のせいです☆」

 

 ドヤ顔でホシノが変わる要因になったことを誇る哮を見たノノミは笑い、満面の笑みを浮かべて肯定した。

 

 

――〇――

 

 

 アビドス学区内に建てられたとあるビル。

 そのビルの一室に、セーフティを外したショットガンを片手に持ったホシノは、たった1人である人物と対面していた。

 

「これはこれは…お待ちしておりましたよ。暁のホル……いや失敬、小鳥遊ホシノさんでしたね」

 

 ホシノの目の前には、黒い無機質で身体が構成され、右目にあたる箇所から顔全体に亀裂が走っている黒いスーツをきっちりと着込んだ男が、両肘を机に立てて寄りかっている椅子に座ってホシノを歓迎していた。

 

「今度は何のようなのさ。黒服の人…」

 

 ショットガンを片手に持つホシノの口調は、哮達の前で見せるのほほんとした柔らかな物ではなく、氷のように冷淡だった。

 

「…ふふっ、かなり(・・・)状況が変わってしまったので…この度は再度、アビドス最高の神秘をお持ちのホシノさんにご提案をしようと思いまして……」

「ふざけるな!! それはもう…!!」

 

 ホシノはショットガンの銃口を黒服の男に向け、鋭い目つきで睨みながら怒鳴る。

 

「まあまあ、落ち着いてください」

 

 殺気を剝きだしているホシノを宥めつつ、1つのスーツケースを取り出す。

 

「……お気に入りの映画の台詞がありましてね。今回はそれを引用してみましょう」

 

 そんなことを言いながら、黒服の人はスーツケースから一枚の紙と取り出し、机の上に置く。

 

「貴女に、決して拒めないであろう提案をひとつ…興味深い提案だと思いますので、どうかご清聴ください。ククッ、クックックックッ……」




 リンちゃんのSSアンケートは、来週の木曜日で締め切りとさせていただきます!

リンちゃんSS

  • 哮とリンちゃんの慰安旅行
  • 豊夜哮の配信(リンちゃん視点)
  • 床のトマトジュースを血だと思って焦るリン
  • 幼児退行リンちゃん
  • 哮とリンちゃんラジオ~脳破壊を添えて~
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