ゴジュウアーカイブ   作:盈月さん

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第13話 戦慄!ゲヘナの風紀委員会②

「…チナツ!」

「先生! ご無沙汰しております。まさか、こんな形で再開することになるとは…」

 

 近づいてきた風紀委員会の軍隊に、チナツが居ることに気付いた哮は話しかけ、それにチナツは驚いた顔をしたのち申し訳なさそうに苦笑みしながら挨拶する。

 

「あれが前に言っていたシャーレの先生か?」

「はい。自ら前線に赴き戦いながら、的確な指揮を出す方です。イオリ、戦闘は止めましょう。向こうに居るのはアビドス高等学校の生徒達と先生…政治面でも戦闘面でも劣っています」

 

 横に居るイオリからの質問に答えつつチナツは忠告をする。

 しかし、ヘイローがない哮が本当に強いのか疑問に思っている彼女は、「ふ~ん」っと小さく言ってチナツの言葉を左から右へと聞き流しながら、哮を見つめる。

 

「……なあ、先生。そこに居る便利屋68。こっちに渡してくれないか…? そいつらは私達が追っていた問題児集団の1つでさ、捕まえるためにここまでやって来たんだ……返答によっては…強硬手段を取らせてもらう」

 

 チナツの話が終わった後、イオリは前へと出て、持っているスナイパーライフルの銃口を哮に一度向けて、武力行使を仄めかす。

 

「…皆? どうする? ここはアビドス自治区、君達の場所。だから俺は、君達の判断に従うよ」

 

 イオリの脅しに怯えることなく、哮は対策委員会の皆の方を見た。

 

「どうするって言われても…」

「あれと戦うのは少し…」

 

 哮からの問いに、セリカとノノミは圧倒的な数の差から、風紀委員会と戦闘をすることを躊躇う。

 だが、シロコは迷いがない真っ直ぐとした瞳で、哮を見ながら言う。

 

「他に選択肢はない。風紀委員会を阻止する。何の連絡もなく、アビドスを攻撃して被害を拡大したのは許せない!」

『…はい。シロコ先輩の言う通りです! 便利屋が被害を出したのは事実ですが、だからといって、他の学園の風紀委員会が私達の許可なく、こんな暴挙を許すという意味ではありません!』

 

 シロコの答えに、風紀委員会の行動に怒りが静かに湧いていたアヤネは同調する。

 

「そうですね。これは私達アビドスの権利を無視したようなもの…そう簡単に許してはいけません…!」

「それに、便利屋には罰を与えて、紫関ラーメンを破壊した弁償を支払って貰うんだから!」

 

 シロコとアヤネの説得を受けて、ノノミとセリカも風紀委員会相手に戦う意志を見せ、それを見届けていた哮はニヤッと笑みを浮かべると、イオリ達の方へと顔を向ける。

 

「ということだ。悪さをしちゃった便利屋への罰はアビドス側が決め、行う…君達には悪いが、お引き取り願おう……エンゲージ!」

 

 彼女らにそう伝えた哮は、いつでも戦闘状態になってもいいように、右手のゴジュウウルフの指輪を外し、現れた金のテガソードに嵌め込む。

 

クラップ・ユア・ハンズ!!

 

 金のテガソードから周囲へ鳴り響く待機音に合わせ、哮は右上に掲げて2回クラップ。左上に来るようにステップを一度踏みながら1回クラップ。正面にガントレットの青い刃で円を描き、2回クラップ。そして最後に、その場で1回転しながら頭上で1回クラップする。

 

ゴウジュウウルフッ!!

 

 ゴウジュウウルフへと変身を完了させた哮は身構える。

 

「それは、私達と戦いたいということで受け取っていいか?」

「いや、君達が撤退するなら解くさ。これはただ、突発的に戦闘が起きた際、対処できるように身構える…君ら流に言ったら、銃のセーフティを外して構えているだけ…銃口は向けてない」

 

 イオリと哮の両者の間で、ピリついた空気が流れ、一触即発の状態へと陥る。

 

「そうか…なら、さっきの返事はこr――「これはどういう状況?」

 

 間を空けたイオリが、開戦の火蓋を切る銃弾を哮に放とうとしたその時、両者の間に紫色の瞳に白くお日様の良い匂いがしそうなモフモフとした髪をなびかせて、1人の少女が割って入った。少女は低身長だが物凄い威圧感を放っており、頭の上の王冠の形をしたヘイローはその威圧感を体現していると言って良い。

 

「ひ、ヒナ委員長…!?」

「イオリ、説明して…なんで、シャーレ先生に銃口を向けているの? 私達の目的は、不良生徒達の鎮圧と回収のはずよ?」

「いやっ! これは…その…」

 

 鋭い目線でヒナに睨まれ、イオリは返事がしどろもどろになってしまう。

 

「え~っと…便利屋68を発見し、迫撃砲を撃ち追い込んだのですが…そこにアビドス高等学校と先生がいらっしゃまして…便利屋68への処罰はアビドス側がするため、我々への身柄引き渡しは出来ないと言われているという状況です…」

「そう。ありがとうチナツ…」

 

 ヒナの威圧に気圧されながら、チナツは現状について説明を行い。それを聞いたヒナはお礼を一言述べた後、哮の方に顔を向ける。

 

「初めまして、シャーレの豊夜哮先生。私はゲヘナ学園風紀委員長、空崎ヒナ。貴方の噂は聞いているわ」

「そうか、初めましてヒナ……さっきチナツの言葉通りに、俺達的には、便利屋への対処はこちらに任せて欲しいと思っているし、君らとは戦闘したくない。何、罰則が終わったらゲヘナへ送るから、心配はしないで欲しいな」

 

 互いに自己紹介を済ませると、哮は会話による平和的な解決を試みるが、ヒナは鋭い目で哮を見つめる。

 

「…事前通告無しでの他校自治区における無断兵力運用、及び他校生徒たちとの衝突未遂……けれど、そちらも風紀委員会の公務を妨害しているのもまた事実……違う?」

『「「「っ!」」」』

「……」

 

 風紀委員会の公務妨害を行っていることを指摘され、対策委員会の皆は眉を顰め、哮は無言のままヒナの方を見つめる。再び哮達と風紀委員会が一触即発の事態になる。

 その一方、便利屋68は瓦礫の影に移動し、その様子を伺っていた。

 

「風紀委員長まで来た…」

「もう無理ゲーだね~」

 

 瓦礫の影からヒナが来たことを確認したカヨコとムツキ。そして、同じく影から見ている意識を取り戻したアルに、ハルナが言う。

 

「アル様、今の内です。急いでここから離れた方が……アル様…?」

 

 真剣な眼差しでヒナと睨み合っている哮達をアルが見つめていることに気付いたハルカは、不思議そうに首を傾げる。

 

「……ねえ、やってしまったことをいつまでも後悔するのって、アウトローじゃないわよね」

「「えっ?」」

「自分のミスを人に擦り付けて、コソコソ逃げるのもアウトローじゃないわよね」

「くふふふ…っ!」

 

 唐突なアルの言葉に、カヨコとハルカが驚く中、ムツキだけはその意図を理解して、笑みを浮かべる。

 

「何言ってんの! 今はそんなことを言っている場合じゃ――」

「アウトローって…私達が目指すアウトローって…どんな相手でも自分の信念を曲げないことじゃない…!?」

 

 冷静的な判断でアルを止めようとするカヨコの言葉を振り払い、アルは自身の信念に従って、行動することを決意をした。

 便利屋がそうしている間も哮はヒナと睨み合っていた。

 

「ヒナ。どういわれようが、こちらは引き下がるつもりはないからな?」

 

 沈黙を打ち破るように、哮は改めて対策委員会の意思を風紀委員会に伝える。

 

「……分かったわ。なら、私達は――」

 

 溜息を吐いたヒナが返事を返そうとしたその時、その場には似つかわしくない拍手が聞こえてきて、全員が音の方へと顔を向ける。

 すると、そこには瓦礫の山の上に器用に乗っている黒いローブの者が居た。

 

「…アグヌスっ!」

 

 そのローブの者がアグヌスだと気づいた哮は、殺意を剝きだしてアグヌスを睨みつける。

 

「久しぶりと言っておこうか、悪魔(テガソード)の犬」

「何が目的だ…!?」

「そこに居る風紀委員長に少し用があってね~。いやはや、まさかこんなに簡単に来てくれるとは…嘘を流したかいがあったという物だ…」

 

 哮が問い詰める中、アグヌスは両手で三角を作り、その枠内にヒナを定める。

 

「もしかして、ここら辺を爆破させたのって、貴方!?」

「ご名答、便利屋の社長さん」

 

 瓦礫の陰で話を聞いていたアルは飛び出して、アグヌスに問い詰めると、アグヌスは軽い拍手をしながら答える。

 

「なるほど。通りで以外の美食研究会や温泉開発部が暴れている様子がないわけね……つまり、私達風紀委員会はまんまと偽情報を掴まされて、のこのことやって来た間抜け…」

「嘘を付くときは、真実を少しばかり入れないと騙しにくいのでね。偶々居た便利屋とやらを利用させてもらったよ」

 

 アグヌスの言葉から、風紀委員会の情報部が掴んだ情報がヒナを誘き出す偽情報だと知り、ヒナはまんまとその情報に踊らされた自分に呆れる。

 

「さてさて、風紀委員長には私の実験に付き合って欲しいのでね…連れて行かせてもらうよ」

 

 アグヌスが両手を二回叩くと、瓦礫に隠れていたのであろう大量のモリスが現れ、あっという間に風紀委員会や便利屋を含めて哮達を囲った。

 

『モリスを確認! その数……ご、5000体以上です!!』

 

 ドローンからモリスのおおよその数を確認したアヤネから、尋常ではない数が居ることを報告され、哮達対策委員会の皆の顔が引きつる。

 

「ゲヘナ最強の風紀委員長を捕まるんだ。これくらいは必要だろう…?」

 

 フードの陰でアグヌスの顔は見れないが、笑っていることが分かる。

 

「5000体って…そんなのどうすればいいのよ!」

「ですが、あっちを見てもこっちを見てもモリス…もう完全に逃げれませんね」

「逃げれないなら戦うまで…!」

 

 セリカが数の差に嘆いている中、ノノミとシロコは覚悟を決めて武器を構える。

 

「これは、対立している場合ではないな…ヒナ、協力してくれる?」

「勿論…迷惑をかけた上に、私のせいでこんな状況に巻き込んでしまったお詫びをさせて頂戴」

「ははっ、心強い」

 

 ヒナの隣に立ち並んだ哮は大きく息を吸う。

 

「皆よく聞け! 今は他校だの、問題児だの言い争っている場合じゃない! 全員の協力が必要だ…! このピンチを切り抜くため、全員力を合わせて行くぞ!!」

「勿論…!」

「私達を利用したこと、後悔させてやるわ!!」

「イオリ、チナツ…行くわよ」

 

 対策委員会、便利屋68、風紀委員会の皆に声をかけ、哮は身構えてヒナは背負っていた愛銃のセーフティを外して構える。

 

「モリス、進軍開始」

「ゴーッ!」

「ドルン!」

「ベチャ!」

「ジーグ…ジッ…」

 

 アグヌスの合図に、哮達を囲っていたモリスの軍団が武器を片手に動き出し、それと共に、予期せずに同盟関係となった対策委員会、便利屋68、風紀委員会がモリスへの攻撃を始め、戦いの火蓋が切って落とされた。




 いや~…哮くんがゴジュウウルフになるの久しぶりでしたね。話数的には5話ぶり…日数ですと、約一ヶ月ぶり…自分でもこれ書いていて、あれ? ゴジュウジャーだよね?ってなってました。いや~、ようやくゴジュウウルフを暴れさせることが出来そうで良かったです。
 ん? 初登場時のヒナちゃんの容姿を表した文章がおかしかった? 気のせいじゃないですかね? それはそうと哮くんには、早くヒナ吸いをキメてもらい、イオリの足をペロペロしてもらわないと…頑張って書かなきゃ……

 話は変わりまして、リンちゃんSSのアンケートの結果、哮とリンちゃんラジオ~脳破壊を添えて~を最初に書くことにします! 内容的には、哮とリンちゃんのイチャコララジオで生徒達の脳をバゴンバゴン破壊していく代物ですよ。ぐえへへへへへ…リンちゃんのイチャコラが見れて、推し生徒達の脳破壊ができる一石二鳥のSS…地産地消サイコーー!! 他のリンちゃんSSは、投票数が多い順に書いて行く予定です。いつ完成するか分からないけど(ボソッ

 ではでは、ノロマ投稿ですが、よろしくお願いいたします!!

リンちゃんSS

  • 哮とリンちゃんの慰安旅行
  • 豊夜哮の配信(リンちゃん視点)
  • 床のトマトジュースを血だと思って焦るリン
  • 幼児退行リンちゃん
  • 哮とリンちゃんラジオ~脳破壊を添えて~
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